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第一部 王立宮廷大学を目指そう!
60. 名誉は剣とともに
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「――始めっ!」
テオフラストスは、実技試験では教官の騎士たちに勝てなかったものの、よい剣筋を見せたことと重心が安定した足さばきが評価され、受験者の上位十六名以内に入っていた。
盾を少し前に出し、やや身体を斜めにして構えながら、相手に次の動きを読ませぬよう、足さばきで間合いを探る。
一方のカテリーナは、剣をやや高く構えたまま、全身を半身に傾け、まるで彫像のように動かなかった。
テオフラストスからは、剣先から身体まで一直線になっているように見えていた。
――こいつ、突き狙いだな!
「おい、どうした! 来いよ! ビビって動けないのか? 魔法が使えない奴は、その程度だってことだな!」
わざとらしい挑発だった。
テオフラストスはカテリーナの戦い方を知らぬため、あえて怒らせて出方を見ようとしたのだ。
だが――カテリーナは動かなかった。
表情も、呼吸さえも、静まり返っているようだった。
その無反応さが逆にバカにされたように感じ、テオフラストスの神経を逆なでした。
――この……!
テオフラストスがほんのわずか、前に踏み出した瞬間だった。
――キンッキンッ、ガキンッ!
三度の金属音が立て続けに響いた。ただ三つめの音は、わずかに遅れて鳴った。
カテリーナの放った正確無比な三段突き――。
まず最初の二撃が、相手の膝の防具の隙間を正確に突き、両足の関節を打ち抜いた。
テオフラストスの体勢が崩れ、前のめりになった瞬間、三撃目が低空から天に突き上げるように放たれた。
テオフラストスの顎の防具の中心が、正確に撃ち抜かれていた。
金属が歪み、テオフラストスの頭が跳ねた、次の瞬間――
――バターン。
テオフラストスは崩れ落ちた。
両膝をつき、尻を突き出し、上半身を前に伏せるその姿は、まるで地にひれ伏す者のようだった。
「一本!」
審判の声が響く。
続いて、観客の大歓声がスタジアムを揺らした。
カテリーナは、倒れ伏すテオフラストスの前に立ち、静かに剣先をその頭に向けた。
試合場が凍りつき、歓声が静まり始めた。
観衆は息を呑み、次の言葉を待った。
「……我がルクサリス家の名誉を汚したこと、詫びて認めるということだな!」
試合会場に沈黙が流れた。
テオフラストスは動かない。
彼は脳を揺らされ、完全に意識を失っていたのだった。
審判が慌てて駆け寄り、彼の状態を確認する。
そして、両腕をバツ印に交差させ、運営席へ合図を送った。
「テオフラストス・アヴァリオス選手、意識を喪失! 試合続行は不可能! これにより、カテリーナ・ルクサリス殿の勝利です!」
その瞬間、国王が立ち上がり拍手を送った。
スタジアムが再び轟音のような歓声に包まれた。
「ルクサリス家がアヴァリオス家を下したぞ!」
「あの細身のお嬢様が勝ったぞ!」
「聖女さま、万歳!!」
カテリーナは、沸き上がる歓声の中で、どこか戸惑いの表情を浮かべていた。
――狙い通り、気を失わせて、ひれ伏すような姿にはできたけど……。
これで、本当に良かったのかしら?
カテリーナは、兄アレクシオスがアヴァリオス家に戦争を仕掛けかねないほど、激昂していたことを思い出していた。
戦が起こらぬよう、せめて謝罪の形を示させる――それがカテリーナの狙いだった。
そのための作戦――まず両膝を打ち抜き、跪かせ、そして意識を断つ。
それは完璧に遂行されたが、優しい彼女の心の中に、どこか相手を思いやる心の痛みも感じていた。
観客席には二つの反応があった。
兄アレクシオスを筆頭に、熱狂して歓声を上げる大勢の者たち。
そして、少数だが、アヴァリオス家の名誉が失われたことに、歯ぎしりする者たち。
国王の宣言により報復が禁じられているため、彼らは怒りを押し殺すことしかできなかった。
スタジアムの熱狂の中で、カテリーナの名誉と剣だけが、太陽の光とともに輝いていた。
テオフラストスは、実技試験では教官の騎士たちに勝てなかったものの、よい剣筋を見せたことと重心が安定した足さばきが評価され、受験者の上位十六名以内に入っていた。
盾を少し前に出し、やや身体を斜めにして構えながら、相手に次の動きを読ませぬよう、足さばきで間合いを探る。
一方のカテリーナは、剣をやや高く構えたまま、全身を半身に傾け、まるで彫像のように動かなかった。
テオフラストスからは、剣先から身体まで一直線になっているように見えていた。
――こいつ、突き狙いだな!
「おい、どうした! 来いよ! ビビって動けないのか? 魔法が使えない奴は、その程度だってことだな!」
わざとらしい挑発だった。
テオフラストスはカテリーナの戦い方を知らぬため、あえて怒らせて出方を見ようとしたのだ。
だが――カテリーナは動かなかった。
表情も、呼吸さえも、静まり返っているようだった。
その無反応さが逆にバカにされたように感じ、テオフラストスの神経を逆なでした。
――この……!
テオフラストスがほんのわずか、前に踏み出した瞬間だった。
――キンッキンッ、ガキンッ!
三度の金属音が立て続けに響いた。ただ三つめの音は、わずかに遅れて鳴った。
カテリーナの放った正確無比な三段突き――。
まず最初の二撃が、相手の膝の防具の隙間を正確に突き、両足の関節を打ち抜いた。
テオフラストスの体勢が崩れ、前のめりになった瞬間、三撃目が低空から天に突き上げるように放たれた。
テオフラストスの顎の防具の中心が、正確に撃ち抜かれていた。
金属が歪み、テオフラストスの頭が跳ねた、次の瞬間――
――バターン。
テオフラストスは崩れ落ちた。
両膝をつき、尻を突き出し、上半身を前に伏せるその姿は、まるで地にひれ伏す者のようだった。
「一本!」
審判の声が響く。
続いて、観客の大歓声がスタジアムを揺らした。
カテリーナは、倒れ伏すテオフラストスの前に立ち、静かに剣先をその頭に向けた。
試合場が凍りつき、歓声が静まり始めた。
観衆は息を呑み、次の言葉を待った。
「……我がルクサリス家の名誉を汚したこと、詫びて認めるということだな!」
試合会場に沈黙が流れた。
テオフラストスは動かない。
彼は脳を揺らされ、完全に意識を失っていたのだった。
審判が慌てて駆け寄り、彼の状態を確認する。
そして、両腕をバツ印に交差させ、運営席へ合図を送った。
「テオフラストス・アヴァリオス選手、意識を喪失! 試合続行は不可能! これにより、カテリーナ・ルクサリス殿の勝利です!」
その瞬間、国王が立ち上がり拍手を送った。
スタジアムが再び轟音のような歓声に包まれた。
「ルクサリス家がアヴァリオス家を下したぞ!」
「あの細身のお嬢様が勝ったぞ!」
「聖女さま、万歳!!」
カテリーナは、沸き上がる歓声の中で、どこか戸惑いの表情を浮かべていた。
――狙い通り、気を失わせて、ひれ伏すような姿にはできたけど……。
これで、本当に良かったのかしら?
カテリーナは、兄アレクシオスがアヴァリオス家に戦争を仕掛けかねないほど、激昂していたことを思い出していた。
戦が起こらぬよう、せめて謝罪の形を示させる――それがカテリーナの狙いだった。
そのための作戦――まず両膝を打ち抜き、跪かせ、そして意識を断つ。
それは完璧に遂行されたが、優しい彼女の心の中に、どこか相手を思いやる心の痛みも感じていた。
観客席には二つの反応があった。
兄アレクシオスを筆頭に、熱狂して歓声を上げる大勢の者たち。
そして、少数だが、アヴァリオス家の名誉が失われたことに、歯ぎしりする者たち。
国王の宣言により報復が禁じられているため、彼らは怒りを押し殺すことしかできなかった。
スタジアムの熱狂の中で、カテリーナの名誉と剣だけが、太陽の光とともに輝いていた。
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