その付喪神、鑑定します!

陽炎氷柱

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第二章 いざ捜査へ

22.問題ばかり

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「付喪神が宿る条件って、百年間大事にされることだろ?たいてい、そういうのは価値がある物でもあるんだ。一つ二つならともかく、そう何個も学校に持ってこれないぞ」


 一つ二つなら持ち出せるんだという言葉を心の底にしまった。颯馬くんの言う通りだったからだ。


「そういうことだ。俺は友人に変なルールを押し付けるつもりないから、そんなに心配するな」
「はは、ソウの家はそんな気を遣うような場所じゃないから怖くないよ」


 そういう問題じゃなかったんだけど、また別方面で気になる言葉が聞こえてしまった。変なルールってなに……?
 密かに震える私を他所に、話はどんどん進んでいく。


「当日の捜索メンバーはここにいる四人。俺、桜二、それから七瀬と秋兎だな」
「ぼくも行くけど、あんまり戦力にならないよ」
「何を言ってるんだ、俺は秋兎の芸術センスを頼りにしてるんだぞ」
「……本音は?」
「人手が足りない」


 切実な問題だった。
 颯馬くんのお家、話を聞いてるだけでも大きいって分かるもんね。


「ぼく、ユキちゃんのお手伝いだけするつもりだったんだけど」
「それ、オレたちの手伝いと同じじゃない?」


 それは私も思う。


「違うよ。だいたい、一条の家でユキちゃんを一人にできるわけないでしょ」
「へえ、アキは以外と過保護なんだ?」
「そういうところなんだけど……って、何その呼び方」


 にやにやと笑う白鳥くんに、アキくんは地面に落ちたセミを見るような目をした。


「何って、仲間になった記念?休日に遊ぶ仲になったし、一人だけあだ名じゃないのさみしいかなって」
「ぼくたちは探し物をしに行くのであって、遊びじゃなくて仕事。一ミリもさみしくないから今すぐ適切な距離をとって」


 一息で言い切ったアキくんに、白鳥くんはすんっと真顔になった。


「ふぅん、友達じゃないやつの言うことなんて聞く必要ないよね。これからよろしくね、アキ?」
「今決めた。ぼくは一生お前の友達にならない」
「桜二、そうやってすぐに人をからかうのやめろ」


 悔しそうなアキくんに、からっと表情を変えた白鳥くんは声をあげて笑う。
 空気が悪くなる前に一条くんが間に入る。


「でも、呼び方を変えるのはいい考えだと思うぞ。俺も今更よそよそしいって思ってたんだ」


 とても爽やかな笑顔で、一条くんは私を見た。なんだか話の雲行きが怪しくなってきたような……。



雪乃・・、俺のことは颯馬って呼んでくれ」


 心臓が飛び出るかと思った。
 若干鼻にかかった甘い声に名前を呼ばれた瞬間、私は息をすることも忘れて固まった。
 でもすぐに我に返って、誤魔化すように勢いよく頭を左右に振る。


「む、無理だよ!」


 というかできれば七瀬って呼んでほしい。
 校舎で颯馬くんが私のことを名前で呼んだ日には、破滅まっしぐらだ。


「無理ってことはないだろ。確かに内部生には外部生に名前を呼ばれたくないってひねくれた奴いるが、俺は嬉しいぞ」


 颯馬くんは喜ぶかもしれませんが、ほとんどの女子は怒るんです。
 喉元まで出かかった言葉を飲み込んで、助けを求めようとアキくんを見た。アキくんはまだ白鳥くんと何か言い合っているようで、私の視線に気づいていない。
 逆に向かい側に座っていた白鳥くんが私の視線に気づいてしまい、にこりと笑顔を浮かべた。もしかして助けてくれるのかも、という期待は一瞬で砕かれた。


「あ、オレは桜二って呼んでよ。あんまり苗字で呼ばれるの好きじゃないから」
「えっ、いや、」


 断りにくい理由をつけないでほしい。
 なんとかこの場から逃げる方法を考えていると、十分前を知らせる予鈴がなった。ら、ラッキー……!


「あれ、もうこんな時間か。俺たちは戸締りとかあるから、先に言っていいぞ」
「ありがとう!アキくん!行こう!」


 ここぞとばかりにアキくんの手をつかむ。昨日とは真逆だ。


「それじゃ、また土曜日だな。午前十時、この部屋集合するぞ」
「ここ一応学校だから、制服で来てね。手ぶらでいいよ」


 ひらりと白鳥くんが手を振ってくれた。それにうなずいて、私は周りの目につかないように教室に向かう。
 ……颯馬くんたち、次に会う時には全部忘れてないかな。また学校が始まったばかりなのに、問題が多すぎるよ!

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