その付喪神、鑑定します!

陽炎氷柱

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第八章 盗品探しのスタンプラリー

71.二日目、午前

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 翌日、私は気持ちのいい朝を迎えられた。
 意外と疲れていたのか、ぐっすり眠れたことに安心する。
 ささっと身支度を整えて、ジャージのままホテルでバイキング式の朝食を食べる。なんと同じグループの園田さんと水瀬さんが誘ってくれたので、ぼっちじゃない。


(よし、先生からも変な連絡はない……!)


 中止なんてことにはならないと分かっているものの、やはり不安は残っていた。
 いっそ盗難ごと夢だったらよかったのにと思うものの、颯馬くんたちにアイコンタクトされたので現実である。


 朝食の後は部屋に戻って制服に着替えてから、忘れ物がないかを確認して指定カバンを持つ。
 集合場所である広場に行って自分のグループのところに向かえば、すでに他のメンバーは集まっていた。スタンプラリーの開会式を待ちながら、私たちは適当におしゃべりして時間を潰す。


「ねえ、本当にアタシたちがあの一条様たちと回れるの……!? 夢じゃない?」
「うぅ、緊張する……」
「麓集合って約束だし、そう目立たないと思うよ」


 ミーハーな水瀬さんを筆頭に、園田さんと野上くんもどこか緊張した面持ちだ。
 ただそれでも颯馬くんたちと一緒に回れる楽しみの方が勝っているのか、嫌な感情を持つ人は一人もいない。つくづく男女ともに人気ある二人である。


(誘っておいて途中から抜けるの、本当に申し訳ないなあ……)


 遠目で女子に囲まれている颯馬くんたちを見ながら、小さくため息をつく。
 綾小路さんの姿もあの中にあり、おそらく一緒にスタンプラリーを回ろうと誘っているのだろう。どうか今日は会いませんようにと祈っておく。


「みなさん、静かに! これより、謎解きスタンプラリーの開会式を始めます!」


 学年主任の言葉に、颯馬くんたちの周りにいた女子も自分たちのグループに戻った。
 開会式と言ってもほとんどの情報は事前に伝えられており、新しいことといえば各グループに配られるミッションカードくらいだ。
 そうして、大忙しのスタンプラリーがついに始まった。
 A組から移動していき、私たちは先に待っている颯馬くんたちのグループに合流する形になっている。
 その場で先に謎を解いてから移動するグループや、とりあえず観光がてら歩きながら謎を解くグループたちを横目に広場を後にした。


「一条たちは麓のお茶屋で待っているって。もう少し人が減るのを見計らって行こうか」


 アキくん繋がりという理由でみんなを誘ったので、連絡役はアキくんだ。
 あえて口で情報を伝えることで、他の人たちとの連絡先交換を防ぐ。連絡先なんて持ってたら、迷子探しなんて言うわけが通用しなくなるので。


(友だち作って、連絡先増えるチャンスだと思ったのに……明日またがんばろ)


 颯馬くんたちから送られてくる場所を目指して移動する。女子に囲まれていたらどうしようかと心配していれば、意外にもそんなことはなかった。
 どうやって振りきったのか分からないが、颯馬くんたちはガランとした茶屋でくつろいでいた。
 初顔合わせの人も多いので、まずはお互いに簡単な自己紹介を済ませる。軽く雑談を交わしてから、颯馬くんが話を切り出す。


「そろそろ俺たちも出発するか。ずっとこの店で場所を取っているのも良くないしな」
「けっこう長居しちゃったし、ミッションは歩きながら解こう」


 途中で私とアキくんが迷子になるという作戦上、ずっと室内にいるわけにもいかない。
 うまい誘導だなと桜二くんの言葉に耳を傾けながら、みんなと一緒にお店を出る。
 最初のミッションは意外と難しくなく、颯馬くんと桜二くんがいるおかげでグループのリーダーもはっきりしている。特に意見が食い違うこともなく、私たちは最初の目的地に向かった。


(商店街にある『一番古いお店』……はぐれるなら、ここかな)


 タイミングは自由と任されているが、観光地よりも人の行き来が多いところがいいはず。
 いきなりで申し訳ないが、みんなお店探しに夢中になっている間にこっそり抜けよう。
 他のグループにも気をつけつつ移動していると、すぐに商店街の入り口までたどり着いた。颯馬くんたちを先頭に、私とアキくんは一番後ろに下がる。
 みんな颯馬くんたちと話をしたくて前のめりになっているので、私たちの方を気にしている余裕はなさそうだ。


「目標のお店はこの近くのはずだが、スタンプがある場所は……」
「あ! アタシ地図開いてみるね!」
「俺も周りを探してみるよ」


 颯馬くんたちの方は私たちの考えに気付いたようで、注意を引くように声を上げた。
 その狙い通り、みんな我先にと颯馬くんに近寄っていく。


「うへぇ、アイドルの握手会みたい」
「颯馬くんが注意を引いてるうちに抜けよう!」


 うげっと嫌そうな顔をするアキくんの袖を引いて、そっとグループから離れていく。
 みんなの姿が完全に見えなくなる前に、目が合った桜二くんが小さく頷いてくれた。


(よし、あとは合流するだけだね!)

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