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第九章 景品を取り返せ!
78.二日目午後、部屋
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それぞれの調査結果を持って、私たちは再び颯馬くんたちの部屋に集まる。
みんな座ったところで、桜二くんが最初に話した。
「ソウたちの報告はメッセージで貰ったから、オレの方の情報もまとめて説明するね」
「ナンバーの特定は上手くいったか?」
「特定だけなら、上手くいったよ。ただ途中で止まった記録はなくて、たぶん景品は斎藤清の家に保管されている。他の監視カメラにも一切怪しいところは映ってなかったから、心配していた通りになったよ」
つまり、家宅捜索できるほどの証拠がないから、警察じゃどうしようもないっていうことだ。
みんなの表情が暗くなるが、当の桜二くんは意外にも前向きだった。
「でも三人のおかげで、進展はあったよ。メッセージをもとに斎藤清が担当してた日の記録を調べてみたんだけど、二週目から備品の発注数と在庫数が明らかに合わないんだ」
「常習犯ってことかぁ」
アキくんが眉をひそめると、桜二くんは静かに頷いた。
「斎藤清がこのホテルに就職してから約一か月。数が合わない物はアメニティーの歯ブラシ、タオルとか小さい物が多かった。毎回ちょっとずつ、っていうスタンスなんだろうね」
だから今までバレなかったのだろう。
歯ブラシなんて何個かなくなたって、客の誰かが多めに持って行ったのかなって思うし、気にならないもんね。
ただその日その日問題なくても、こうして目的をもって記録を見るとすぐに不審な所に築かれてしまう。
「ちなみに、荷物置き部屋の清掃を担当していたのも彼だったよ。もちろん、荷物運びも同じ。警察にはこの記録を提出したけど、さすがに偶然が重なりすぎって判断してもらえたよ」
「じゃあ……!」
「そ、斎藤清を注意人物にすることはできた」
「大きな進展だな! それなら、もう捕まるのも時間の問題じゃないか?」
「だったらよかったんだけどねー!」
桜二くんはぴしゃりと否定すると、大きなため息をつく。
「今のところ、全部かもしれないって程度。このままのんびり待ってたら、百回は林間学校できるね」
「ほぼ一年かかるってことじゃん」
そんなの待っていたら、桜二くんは先生たちとの条件を達成できないということだ。
……林間学校が終わるまでに、景品が盗まれたかどうかを明かせなければ停学という条件。
「最初に言った通り、確かな証拠がないから警察としても下手に動けないってコト」
そういう桜二くんは、ふっと意味深な笑みを浮かべる。
「だからさ——オレたちで逮捕しようよ」
一瞬の沈黙のあと、アキくんがジトっと呆れた視線を桜二くんに向ける。
「最初、犯人はどうでもいいって言ってなかった?」
「鑑定団なら、事件には柔軟に対応しなきゃ」
涼しい笑みで流す桜二くんは、きっと覚悟を決めているのだろう。
ここまで来たら、私だって林間学校をめちゃくちゃにした犯人を捕まえたい。
(こんなに頑張った桜二くんが停学なんて、絶対に嫌だ)
覚悟を決めて、顔を上げる。
「いいよ、どうすればいい?」
私が真っ先に頷くのが意外だったのか、三人は話をやめてこちらを凝視した。
意見を変えるつもりはないという気持ちを込めて頷けば、桜二くんは雪が解けたような柔らかい表情を浮かべる。
「作戦は、考えてある」
そう言って桜二くんはパソコンを立ち上げ、ホテルスタッフのシフト表というファイルを開く。
名前と日付、担当エリアが細かく記されたその中に、『斎藤清』の名前もいくつか並んでいた。
「スケジュールによると、斎藤清は今日も事件が起きた荷物置き部屋の掃除を担当することになっている。それまで、あと一時間ある」
「そのタイミングに仕掛けるつもりか」
「うん。盗難を警戒して、今日から常に荷物部屋に先生が一人ついている。この見張りの先生を別のところに誘導して、その間に犯人を捕まえたい」
「どうやって誘導するの? 見張りなら、ちょっとやそっとのことで動かないと思うけど」
アキくんの疑問に、桜二くんは自信ありげに目を細めた。
「ユキとアキ、迷子でしょ? それで怪我をしたって言って、部屋まで先生を連れていくんだよ」
「……ぼくたちに、今から怪我をして来いって? 見張りの先生を動かすくらいの?」
責めるようなアキくんの視線を受け止めながら、桜二くんは鞄からレジ袋を取り出した。ホテルの売店の袋のようだが、戻ってくるときにでも買ったのだろうか。
袋はそこそこ大きく、結構重いようでテーブルに置いた途端にガラガラと中身が音を立てる。
みんな座ったところで、桜二くんが最初に話した。
「ソウたちの報告はメッセージで貰ったから、オレの方の情報もまとめて説明するね」
「ナンバーの特定は上手くいったか?」
「特定だけなら、上手くいったよ。ただ途中で止まった記録はなくて、たぶん景品は斎藤清の家に保管されている。他の監視カメラにも一切怪しいところは映ってなかったから、心配していた通りになったよ」
つまり、家宅捜索できるほどの証拠がないから、警察じゃどうしようもないっていうことだ。
みんなの表情が暗くなるが、当の桜二くんは意外にも前向きだった。
「でも三人のおかげで、進展はあったよ。メッセージをもとに斎藤清が担当してた日の記録を調べてみたんだけど、二週目から備品の発注数と在庫数が明らかに合わないんだ」
「常習犯ってことかぁ」
アキくんが眉をひそめると、桜二くんは静かに頷いた。
「斎藤清がこのホテルに就職してから約一か月。数が合わない物はアメニティーの歯ブラシ、タオルとか小さい物が多かった。毎回ちょっとずつ、っていうスタンスなんだろうね」
だから今までバレなかったのだろう。
歯ブラシなんて何個かなくなたって、客の誰かが多めに持って行ったのかなって思うし、気にならないもんね。
ただその日その日問題なくても、こうして目的をもって記録を見るとすぐに不審な所に築かれてしまう。
「ちなみに、荷物置き部屋の清掃を担当していたのも彼だったよ。もちろん、荷物運びも同じ。警察にはこの記録を提出したけど、さすがに偶然が重なりすぎって判断してもらえたよ」
「じゃあ……!」
「そ、斎藤清を注意人物にすることはできた」
「大きな進展だな! それなら、もう捕まるのも時間の問題じゃないか?」
「だったらよかったんだけどねー!」
桜二くんはぴしゃりと否定すると、大きなため息をつく。
「今のところ、全部かもしれないって程度。このままのんびり待ってたら、百回は林間学校できるね」
「ほぼ一年かかるってことじゃん」
そんなの待っていたら、桜二くんは先生たちとの条件を達成できないということだ。
……林間学校が終わるまでに、景品が盗まれたかどうかを明かせなければ停学という条件。
「最初に言った通り、確かな証拠がないから警察としても下手に動けないってコト」
そういう桜二くんは、ふっと意味深な笑みを浮かべる。
「だからさ——オレたちで逮捕しようよ」
一瞬の沈黙のあと、アキくんがジトっと呆れた視線を桜二くんに向ける。
「最初、犯人はどうでもいいって言ってなかった?」
「鑑定団なら、事件には柔軟に対応しなきゃ」
涼しい笑みで流す桜二くんは、きっと覚悟を決めているのだろう。
ここまで来たら、私だって林間学校をめちゃくちゃにした犯人を捕まえたい。
(こんなに頑張った桜二くんが停学なんて、絶対に嫌だ)
覚悟を決めて、顔を上げる。
「いいよ、どうすればいい?」
私が真っ先に頷くのが意外だったのか、三人は話をやめてこちらを凝視した。
意見を変えるつもりはないという気持ちを込めて頷けば、桜二くんは雪が解けたような柔らかい表情を浮かべる。
「作戦は、考えてある」
そう言って桜二くんはパソコンを立ち上げ、ホテルスタッフのシフト表というファイルを開く。
名前と日付、担当エリアが細かく記されたその中に、『斎藤清』の名前もいくつか並んでいた。
「スケジュールによると、斎藤清は今日も事件が起きた荷物置き部屋の掃除を担当することになっている。それまで、あと一時間ある」
「そのタイミングに仕掛けるつもりか」
「うん。盗難を警戒して、今日から常に荷物部屋に先生が一人ついている。この見張りの先生を別のところに誘導して、その間に犯人を捕まえたい」
「どうやって誘導するの? 見張りなら、ちょっとやそっとのことで動かないと思うけど」
アキくんの疑問に、桜二くんは自信ありげに目を細めた。
「ユキとアキ、迷子でしょ? それで怪我をしたって言って、部屋まで先生を連れていくんだよ」
「……ぼくたちに、今から怪我をして来いって? 見張りの先生を動かすくらいの?」
責めるようなアキくんの視線を受け止めながら、桜二くんは鞄からレジ袋を取り出した。ホテルの売店の袋のようだが、戻ってくるときにでも買ったのだろうか。
袋はそこそこ大きく、結構重いようでテーブルに置いた途端にガラガラと中身が音を立てる。
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