多分嫌いで大好きで

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 暇つぶしだった。
 学校もバイトも疲れて、何か癒しが欲しかっただけだった。

 こんな事になるなら最初からやらなきゃ良かったとも思うし、あの人に会えたことを嬉しく思うこともある。

 まだ目立たないお腹を撫でて小さい命に誓った。

「ちゃんと幸せにするからね」

 この誓いと共にあの人への気持ちを捨てる。
 これはダメだと分かっていながら、自分可愛さに見ないふりをした罰だ。

 多分きっとこれからも大好きなのには変わりない。
 それは首の痕とお腹の命が証明してる。




 出会いは春が始まってすぐだった。

 俺は短大生になった。まだ18歳。
 幼稚園から高校までオメガ専用の学校に通ってた 崎野さきの咲久さくにとっては、初めての全バース共学の学校だった。

 咲久の通う短期大学は、全3学科からなる大学。
 日本文化学科、日本の生活文化を学ぶ学科。
 子供文化学科、児童教育や保育を学ぶ学科。
 栄養文化学科、食と健康を学ぶ学科。

 その中で比較的倍率が低く、偏差値の低い日本文化学科を専攻した。
 日本文化学科はオンライン授業が多く、単位も出席率よりレポートを重視するため学校にあまり通えない人達に人気があった。

 咲久は幼い頃に両親を無くし、養護施設で育った。そのため第二の性がオメガだと分かると、すぐにオメガ専用の施設に移されたのだ。
 特別閉鎖された空間というわけでもなかったが、高校までは嫌でもエスカレーター式で一貫の学校に通わされた。
 大学もエスカレーター式で行けるが、就職や婚活のこともあり多少自由に決めることができた。

 外の世界を知らない咲久にとって施設の外を選ぶ理由も特になかったが、施設を出ていった人達はみんな幸せそうな手紙を送ってくれた。
 それがどんな幸せであれ、施設しか知らない咲久にとっては羨ましいものだった。

 そのため高校卒業と同時に施設を出て、比較的オメガに考慮されたこの短期大学を選んだのだ。

 ーーこれから頑張らないとな

 初めての共学に初めての一人暮らし。
 緊張と不安に包まれたまま大学生活が始まった。


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