多分嫌いで大好きで

ooo

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「あの、すみません。」

 バイトが始まる前にオーナーに声をかけた。毎日18時で帰ってしまうため、バイト前に言わなくてはいけなかった。

「休みの希望は出しているんですが、1週間ほど出勤できないです。」

「おー分かったよ。いつもありがとうね」

 咲久が休むことを伝えるとオーナーは快く承諾してくれた。それにこうやって毎回感謝も伝えてくれて嬉しい。
 ここのバイトが楽しいのは仕事内容だけじゃなくて、オーナーからパートの人までみんな優しいからというのももちろんある。

 3時間だけの短いバイト。掃除や少しの事務作業をしたらあっという間に終わってしまった。

 そして俺はドキドキしていた。

 なぜなら学校終わりに家でスマホを見たらRさんから返事が来ていたから。そしてRさんからの「じゃあ時間があるなら今日少し会いませんか?」というメッセージ。

 急なことだったしアプリの人と会うのはやっぱり不安。

 でも会ってみたいという気持ちの方が強く、バイト終わりに最寄りの駅で待ち合わせした。

 更衣室に行き私服に着替えると、いつもより念入りに髪を整えた。学校に行った時のままの服だし、スニーカーは相変わらずボロボロ。
 咲久は今流行りオシャレな服は持っていない。マシだと思う服を外に来て行っているだけ。

「すみません!もうすぐ着きます」

「お疲れ様。急がなくて大丈夫ですよ。」

 小走りになりながらメッセージを打つ。この時間を指定したのも最寄りの駅を指定したのも咲久。見た目を気にしすぎていたら、待ち合わせの時間が迫っていた。

 駅の入口。ベンチや小さい広場があって、高校生や大学生が溜まって喋っている。帰宅中のサラリーマンもちらほら歩いている。

「コインロッカー付近に立ってます。服は黒のパーカーです。」

 駅の入口の近くにはコインロッカーが置いてある。黒のパーカーを着た人を探す。

 ーーあ、いた。

「あの、Rさんですか?」

 マスクをしていて顔はあまり見えない。身長も高く、咲久が見上げる程もある。

「…サクさん!」

 心臓の音がうるさい。会う前からうるさかった心臓の音が、一目見て、声を聞いたらもっとうるさくなった。周りに聞こえているんじゃないかと思うほどに。

 包み込むような大人な包容力があるような見た目だった。背も高く、それでいて威圧感がなく優しそう。

 そして本能で感じた。

 この人は絶対的なアルファなのだと。

 そばにいたい。触れたい。触れて欲しい。その声をずっと聞いていたい。匂いを嗅いでいたい。
 ずっと閉まっていたオメガとしての本能が動き始めた。

 そう実感した。

 多分きっと一目惚れだったんだと思う。





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