多分嫌いで大好きで

ooo

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 Rさんが連れてきてくれたのは展望台のある港だった。ここは割と有名でドライブといったらここに来るという人も多い。車好きにも人気のスポットだからか平日の夜なのに人はそれなりに多かった。

「久々にここに来ました」

「ここ来やすいしゆっくり出来るから好きなんだよね~」

 Rの口調はもう完全にくだけていた。

 少し外に出て夜風に当たってみる。日中は暖かい日が続いていたが、夜だと少し風が冷たくて気持ちい。

「サクさんは次の発情期はいつなの?」

 ドキッとした。俺がオメガなのはアプリに書いてあるから当然知っている。
 発情期の日を聞いてきた。それは多分そういうことなんだろう。セカンドパートナーという言葉が頭をよぎる。

「もうちょっとだよ」

 あえて教えなかった。Rさんもそれ以上聞いてくることはなかった。

 展望台がイルミネーションで綺麗に光ってる。他の人たちも楽しそうに話したり写真を撮ったりしている。
 反対に海は船が何隻も浮かんでいるのに暗くてなぜだか寂しく感じる。

 他愛もない話は盛り上がっていると思う。ここに来る前と変わらず、どうでもいい話をしている。
 一つだけ違うのは手が少しだけ触れていること。
 Rさんの手は俺なんかより大きくて、体格通りの手なんだろうな。その手で優しく触れられたならどんなに嬉しいだろう。

 セカンドパートナー

 アルファとオメガ同士なら不倫とは言いにくい。アルファは子孫繁栄のために番を何人も持てるから。
 ただオメガは生涯1人しか番えない。それは番ったアルファの家を絶やさずに守るため。
 その中に間違っても他のアルファの血なんて流してはいけない。
 たとえたった1人の番が、別のところで他の人と番ったとしてもオメガに文句は言えないのだ。

 離れるなら今しかないんだ。

 1人の人として本能には負けたくなかった。オメガだと後ろ指を刺されても、本当に後ろ指を刺されるような人にはなりたくなかった。


 時間は24時を回っていた。
 次に会う約束もせず、俺たちは別れた。

 たった一言。

「発情期、辛かったら連絡してね」

 最後にRさんが言った言葉に俺は応えなかった。

 ただずっと俺の頭にはずっとセカンドパートナーという言葉が浮かんでいた。





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