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エピソード2:手がかりは未来から Ver.19
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梅雨が明け、本格的な夏の日差しが照りつけるようになった。
清風学園高校の校舎は、まぶしい光を反射して、少しぼんやりとして見える。
あの日、科学室で未来スコープを見つけてから、彩奈と結花の日常は、すっかりその謎のアイテムに夢中になっていた。
放課後になると、二人は決まって校舎裏の、人目につかないベンチに集まった。
結花が大事そうにバッグから未来スコープを取り出す。
真鍮製の筒は、二人だけの秘密基地の宝物のように輝いていた。
「よし、今日のテーマは未来の彼の服装ね」
結花が、手元のノートにペンを走らせながら言った。
ノートには、既にびっしりと、これまでの実験結果や考察が書き込まれている。
キスの未来を見たあの日以来、彩奈はあの知らない男子のことが頭から離れない。
結花もまた、この未来スコープの謎解きに、SFオタクとしての血が騒いでいるようだった。
「服装かぁ…逆光でよく見えなかったんだよね。でも、なんか、シャツだった気がする」
彩奈が曖昧な記憶を辿る。
結花は頷き、未来スコープを構えた。
「じゃあ、まずダイヤル機能で、私たちが着てる服の未来を見てみましょう。洗濯後のシワの寄り方とか、毛玉の具合とか、リアルに見えたら、スコープの解像度はかなり高いってことだから」
言われた通り、彩奈は自分の制服の袖にレンズを向け、ダイヤルをゆっくり回す。
数秒後、レンズの中には、確かに少し襟元がよれて、袖口にうっすらと汚れが付いた自分の制服が映し出された。
「うわっ、本当にリアルだ!私、帰ったらすぐ洗濯しなきゃ…」
彩奈が思わず苦笑すると、結花も満足そうに頷いた。
「うん、解像度は問題なさそうね。じゃあ、いよいよスイッチの出番よ、彩奈」
結花は未来スコープを彩奈に手渡した。彩奈はゴクリと喉を鳴らす。緊張と期待で胸がドキドキする。
「よし…いくよ!」
彩奈が意を決してスイッチを押した。
レンズが淡く光り、意識が吸い込まれるような感覚が彩奈を包み込む。
再び、あの屋上の夕焼けが目に飛び込んできた。
柔らかな風、熱を帯びた頬、そして近づく彼の顔。
今回は、もっとはっきりと見ようと、彩奈は瞬きもせずレンズの奥を凝視した。
「っ…!」
彼は、白いシャツを着ていた。
それだけは確かだ。
しかし、デザインや素材までは判別できない。
ただ、胸元に、何か小さなマークのような刺繍があるのが、かすかに見えた。
光の加減で詳細は分からないが、それはキラリと光り、彩奈の心に強く焼き付いた。
映像が消え、彩奈は大きく息を吐いた。
「見えた!白シャツ!あと、胸元に何か小さなマークの刺繍があった!」
興奮気味に彩奈が報告すると、結花はすかさずノートに書き留めた。
「白シャツに刺繍ね!ナイス、彩奈!さすが、運命の相手のことは、彩奈自身が一番よく観察できるってわけね。でも、刺繍の形は?」
彩奈は未来スコープを覗き込み直した。
光の加減は悪かったが、それでも見えた特徴を慎重に言葉にする。
「うーん、はっきりとは言えないけど、なんとなく盾形(たてがた)っぽい!端が少し尖ってて、下に向かって細くなってるような…」
彩奈がそう言うと、結花は目を見開いた。
「盾形!それはすごい収穫よ、彩奈!高校の制服で、盾形の刺繍って、結構特徴的だわ。かなり絞り込めるかもしれない!」
結花は興奮気味にノートに書き加え、ぱちんと指を鳴らした。
「それにしても、前回スイッチを押した時は何も見えなかったのに、今回は見えたわね」
彩奈が不思議そうに首を傾げると、結花は未来スコープを眺めながら頷いた。
「ええ、恐らく未来スコープは、彩奈の運命に深く関わる重要な出来事を、必要な時にだけ見せるようになっているんだと思うわ。
つまり、彩奈がその未来の相手について、具体的な情報を求めた時、あるいはその情報が必要になった時に、映像を見せてくれるんじゃないかしら。
SF的にも理にかなっているわね。
無闇に未来を見せて混乱させない、みたいな」
「なるほど…!それなら納得だね!」
「よし!明日はフレスコシティーモールに行ってみましょう!」
「フレスコシティーモール?なんで?」
彩奈が目を丸くすると、結花はニヤリと笑った。
「フレスコには、複数の高校の指定制服を扱ってるお店があるのよ。
もしかしたら、未来の彼が着ていた白シャツの、あの盾形の刺繍が、どこの学校の制服なのか分かるかもしれないわ」
「すごい!結花、やっぱり頼りになる!」
「焦ることはないわ、彩奈。こういうのは、地道な作業が大切なのよ。
それに、未来スコープは、未来を見せるだけで、未来の出来事を直接的に操作することはできないから。
もし未来の情報を安易に利用して、行動を大きく変えようとすると、かえって本来進むべき未来から逸脱してしまう、つまり未来がブレちゃう可能性もあるわ」
「未来がブレる?」
「そう。SF作品によくあるパターンよ。
タイムパラドックスとか、バタフライエフェクトとかね。
私たちは未来の映像をヒントとして活用するべきであって、無闇に未来を操作しようとするべきじゃないの。
あくまで、未来が自然に進むのを観察するような姿勢で、彼を見つけることに集中するべきよ」
「わかった…地道に頑張る」
その日、二人は盾形の刺繍という大きな手がかりを得て、次の行動へと胸を膨らませていた。
翌日、放課後。
彩奈と結花は、約束通りフレスコシティーモールにいた。
夏休み前の週末とあって、モール内は学生たちで賑わっている。
二人は、結花があらかじめ調べておいた「スクールユニフォーム」と書かれた制服専門店へと向かった。
店内には、様々な高校の制服が並んでいる。
ブレザーにスカート、スラックス。
そして、彩奈たちが探す白シャツだ。
「よし、手分けして探しましょう。白シャツで、胸元に盾形の刺繍」
結花が指示を出すと、彩奈は真剣な顔でシャツの襟元やポケット部分に目を凝らし始めた。
紺色やグレーのブレザーの下に隠れる白いシャツ。
刺繍は地味なものが多い。
「あ、これ、ちょっと形は似てるけど、刺繍の色が違うかな…緑ヶ丘高校の制服みたい」
彩奈が指さしたシャツを確認し、結花がメモを取る。
「うん、惜しいわね。でも、きっとあるはずよ。もっとよく見てみましょう」
二人は店内の制服を片っ端からチェックしていく。
その時、彩奈の目に、棚の奥にかかっていた白いシャツが飛び込んできた。
胸元には、未来スコープで見た特徴と寸分違わない、シャープな盾形の刺繍が施されている。
光を反射する銀糸で縁取られたエンブレムは、彩奈の記憶の中のそれと見事に一致する。
「結花!これよ!これだわ!」
彩奈が興奮した声で叫ぶと、結花が駆け寄ってきた。
「どれどれ…!あ!これ、陽光学園の制服じゃないかしら!やっぱりこのあたりの私立で、盾形のエンブレムはここが一番特徴的だったのよね!」
結花も興奮を隠せない。
ついに、未来の彼の高校が特定できたかもしれない。
「よし、じゃあ、緑ヶ丘高校は候補から外して、陽光学園が有力候補ね!陽光学園学校に行ってみましょう!」
結花の言葉に、彩奈は力強く頷いた。
二人は希望を胸に、フレスコシティーモールを後にした。
夕暮れが迫り、モール前の広場は、家路を急ぐ人々でごった返していた。
その時だった。
「キャーーーーーッ!!」
広場の隅から、甲高い悲鳴が響き渡った。
彩奈と結花は、ハッとそちらを振り返る。
人だかりができており、ざわめきが大きくなっていく。
「な、なに…!?」
彩奈が戸惑いながら、人混みの向こうを窺う。
と、その時、彩奈の視界の端で、人混みからすっと抜け出す人影が見えた。
フードを深く被り、顔はよく見えないが、手には何か、光るものが握られている。
「あ、あれ…!」
彩奈が指をさそうとしたその瞬間、カバンに入れていた未来スコープが、スマートフォンが震えるような微かな振動を始めた。
「え…!?」
思わず未来スコープを握りしめる。
レンズが淡く明滅し、彩奈の意識が光の中に引き込まれていく。
暗闇の中、目の前に言葉が浮かび上がった。
視界いっぱいに広がる、緑色の文字。
『課題:犯人を逮捕せよ!』
「えっ!い、いったいどうゆうこと!?あわわわわ…ね、ねねね、結花!結花!課題が!」
彩奈は顔を青ざめ、半泣きになりながら、未来スコープを差し出すと、結花は驚いたようにそれを受け取った。
「えっ?なに?課題?ちょっと見せて…ふーむ。これは…」
結花は未来スコープのレンズを覗き込み、表示された文字をじっと見つめる。
「そーかー。これはあれだね…やっぱり未来スコープは、彩奈の運命に深く関わるような重要な出来事を、具体的な『課題』として提示してくるみたいだわ。
そして、その課題は、おそらく未来を変えるための、あるいは未来を確定させるためのステップなんじゃないかしら。
ひったくり、彩奈のすぐ近くで起きてるし、これは無視できないってことね」
「え~!そんなの出来ないよ!犯人逮捕なんて無理無理無理無理!私たち、ただの女子高生だよ!?どうしたらいいの!?」
彩奈は震える声で叫んだ。
「大丈夫よ、彩奈。パニックにならないで。ほら、落ち着いて。
未来スコープは、覗いた物の未来が見えるんでしょ?
前に、科学準備室で見つけたばかりの時、花を覗いて、ダイヤルを回した分だけ、覗いた物の時が進んで未来が見えたじゃない!
もしかしたら、この課題を解決するために使えるかもしれないわ。
未来スコープが犯人の情報とか、何か追加で見せてくれるかもしれない!」
「そ、そうか!ダイヤルを回した分だけ、覗いた物の時が進んで未来が見えた!あの時、ダイヤルを回して、花の成長から枯れるまでが見えた!」
清風学園高校の校舎は、まぶしい光を反射して、少しぼんやりとして見える。
あの日、科学室で未来スコープを見つけてから、彩奈と結花の日常は、すっかりその謎のアイテムに夢中になっていた。
放課後になると、二人は決まって校舎裏の、人目につかないベンチに集まった。
結花が大事そうにバッグから未来スコープを取り出す。
真鍮製の筒は、二人だけの秘密基地の宝物のように輝いていた。
「よし、今日のテーマは未来の彼の服装ね」
結花が、手元のノートにペンを走らせながら言った。
ノートには、既にびっしりと、これまでの実験結果や考察が書き込まれている。
キスの未来を見たあの日以来、彩奈はあの知らない男子のことが頭から離れない。
結花もまた、この未来スコープの謎解きに、SFオタクとしての血が騒いでいるようだった。
「服装かぁ…逆光でよく見えなかったんだよね。でも、なんか、シャツだった気がする」
彩奈が曖昧な記憶を辿る。
結花は頷き、未来スコープを構えた。
「じゃあ、まずダイヤル機能で、私たちが着てる服の未来を見てみましょう。洗濯後のシワの寄り方とか、毛玉の具合とか、リアルに見えたら、スコープの解像度はかなり高いってことだから」
言われた通り、彩奈は自分の制服の袖にレンズを向け、ダイヤルをゆっくり回す。
数秒後、レンズの中には、確かに少し襟元がよれて、袖口にうっすらと汚れが付いた自分の制服が映し出された。
「うわっ、本当にリアルだ!私、帰ったらすぐ洗濯しなきゃ…」
彩奈が思わず苦笑すると、結花も満足そうに頷いた。
「うん、解像度は問題なさそうね。じゃあ、いよいよスイッチの出番よ、彩奈」
結花は未来スコープを彩奈に手渡した。彩奈はゴクリと喉を鳴らす。緊張と期待で胸がドキドキする。
「よし…いくよ!」
彩奈が意を決してスイッチを押した。
レンズが淡く光り、意識が吸い込まれるような感覚が彩奈を包み込む。
再び、あの屋上の夕焼けが目に飛び込んできた。
柔らかな風、熱を帯びた頬、そして近づく彼の顔。
今回は、もっとはっきりと見ようと、彩奈は瞬きもせずレンズの奥を凝視した。
「っ…!」
彼は、白いシャツを着ていた。
それだけは確かだ。
しかし、デザインや素材までは判別できない。
ただ、胸元に、何か小さなマークのような刺繍があるのが、かすかに見えた。
光の加減で詳細は分からないが、それはキラリと光り、彩奈の心に強く焼き付いた。
映像が消え、彩奈は大きく息を吐いた。
「見えた!白シャツ!あと、胸元に何か小さなマークの刺繍があった!」
興奮気味に彩奈が報告すると、結花はすかさずノートに書き留めた。
「白シャツに刺繍ね!ナイス、彩奈!さすが、運命の相手のことは、彩奈自身が一番よく観察できるってわけね。でも、刺繍の形は?」
彩奈は未来スコープを覗き込み直した。
光の加減は悪かったが、それでも見えた特徴を慎重に言葉にする。
「うーん、はっきりとは言えないけど、なんとなく盾形(たてがた)っぽい!端が少し尖ってて、下に向かって細くなってるような…」
彩奈がそう言うと、結花は目を見開いた。
「盾形!それはすごい収穫よ、彩奈!高校の制服で、盾形の刺繍って、結構特徴的だわ。かなり絞り込めるかもしれない!」
結花は興奮気味にノートに書き加え、ぱちんと指を鳴らした。
「それにしても、前回スイッチを押した時は何も見えなかったのに、今回は見えたわね」
彩奈が不思議そうに首を傾げると、結花は未来スコープを眺めながら頷いた。
「ええ、恐らく未来スコープは、彩奈の運命に深く関わる重要な出来事を、必要な時にだけ見せるようになっているんだと思うわ。
つまり、彩奈がその未来の相手について、具体的な情報を求めた時、あるいはその情報が必要になった時に、映像を見せてくれるんじゃないかしら。
SF的にも理にかなっているわね。
無闇に未来を見せて混乱させない、みたいな」
「なるほど…!それなら納得だね!」
「よし!明日はフレスコシティーモールに行ってみましょう!」
「フレスコシティーモール?なんで?」
彩奈が目を丸くすると、結花はニヤリと笑った。
「フレスコには、複数の高校の指定制服を扱ってるお店があるのよ。
もしかしたら、未来の彼が着ていた白シャツの、あの盾形の刺繍が、どこの学校の制服なのか分かるかもしれないわ」
「すごい!結花、やっぱり頼りになる!」
「焦ることはないわ、彩奈。こういうのは、地道な作業が大切なのよ。
それに、未来スコープは、未来を見せるだけで、未来の出来事を直接的に操作することはできないから。
もし未来の情報を安易に利用して、行動を大きく変えようとすると、かえって本来進むべき未来から逸脱してしまう、つまり未来がブレちゃう可能性もあるわ」
「未来がブレる?」
「そう。SF作品によくあるパターンよ。
タイムパラドックスとか、バタフライエフェクトとかね。
私たちは未来の映像をヒントとして活用するべきであって、無闇に未来を操作しようとするべきじゃないの。
あくまで、未来が自然に進むのを観察するような姿勢で、彼を見つけることに集中するべきよ」
「わかった…地道に頑張る」
その日、二人は盾形の刺繍という大きな手がかりを得て、次の行動へと胸を膨らませていた。
翌日、放課後。
彩奈と結花は、約束通りフレスコシティーモールにいた。
夏休み前の週末とあって、モール内は学生たちで賑わっている。
二人は、結花があらかじめ調べておいた「スクールユニフォーム」と書かれた制服専門店へと向かった。
店内には、様々な高校の制服が並んでいる。
ブレザーにスカート、スラックス。
そして、彩奈たちが探す白シャツだ。
「よし、手分けして探しましょう。白シャツで、胸元に盾形の刺繍」
結花が指示を出すと、彩奈は真剣な顔でシャツの襟元やポケット部分に目を凝らし始めた。
紺色やグレーのブレザーの下に隠れる白いシャツ。
刺繍は地味なものが多い。
「あ、これ、ちょっと形は似てるけど、刺繍の色が違うかな…緑ヶ丘高校の制服みたい」
彩奈が指さしたシャツを確認し、結花がメモを取る。
「うん、惜しいわね。でも、きっとあるはずよ。もっとよく見てみましょう」
二人は店内の制服を片っ端からチェックしていく。
その時、彩奈の目に、棚の奥にかかっていた白いシャツが飛び込んできた。
胸元には、未来スコープで見た特徴と寸分違わない、シャープな盾形の刺繍が施されている。
光を反射する銀糸で縁取られたエンブレムは、彩奈の記憶の中のそれと見事に一致する。
「結花!これよ!これだわ!」
彩奈が興奮した声で叫ぶと、結花が駆け寄ってきた。
「どれどれ…!あ!これ、陽光学園の制服じゃないかしら!やっぱりこのあたりの私立で、盾形のエンブレムはここが一番特徴的だったのよね!」
結花も興奮を隠せない。
ついに、未来の彼の高校が特定できたかもしれない。
「よし、じゃあ、緑ヶ丘高校は候補から外して、陽光学園が有力候補ね!陽光学園学校に行ってみましょう!」
結花の言葉に、彩奈は力強く頷いた。
二人は希望を胸に、フレスコシティーモールを後にした。
夕暮れが迫り、モール前の広場は、家路を急ぐ人々でごった返していた。
その時だった。
「キャーーーーーッ!!」
広場の隅から、甲高い悲鳴が響き渡った。
彩奈と結花は、ハッとそちらを振り返る。
人だかりができており、ざわめきが大きくなっていく。
「な、なに…!?」
彩奈が戸惑いながら、人混みの向こうを窺う。
と、その時、彩奈の視界の端で、人混みからすっと抜け出す人影が見えた。
フードを深く被り、顔はよく見えないが、手には何か、光るものが握られている。
「あ、あれ…!」
彩奈が指をさそうとしたその瞬間、カバンに入れていた未来スコープが、スマートフォンが震えるような微かな振動を始めた。
「え…!?」
思わず未来スコープを握りしめる。
レンズが淡く明滅し、彩奈の意識が光の中に引き込まれていく。
暗闇の中、目の前に言葉が浮かび上がった。
視界いっぱいに広がる、緑色の文字。
『課題:犯人を逮捕せよ!』
「えっ!い、いったいどうゆうこと!?あわわわわ…ね、ねねね、結花!結花!課題が!」
彩奈は顔を青ざめ、半泣きになりながら、未来スコープを差し出すと、結花は驚いたようにそれを受け取った。
「えっ?なに?課題?ちょっと見せて…ふーむ。これは…」
結花は未来スコープのレンズを覗き込み、表示された文字をじっと見つめる。
「そーかー。これはあれだね…やっぱり未来スコープは、彩奈の運命に深く関わるような重要な出来事を、具体的な『課題』として提示してくるみたいだわ。
そして、その課題は、おそらく未来を変えるための、あるいは未来を確定させるためのステップなんじゃないかしら。
ひったくり、彩奈のすぐ近くで起きてるし、これは無視できないってことね」
「え~!そんなの出来ないよ!犯人逮捕なんて無理無理無理無理!私たち、ただの女子高生だよ!?どうしたらいいの!?」
彩奈は震える声で叫んだ。
「大丈夫よ、彩奈。パニックにならないで。ほら、落ち着いて。
未来スコープは、覗いた物の未来が見えるんでしょ?
前に、科学準備室で見つけたばかりの時、花を覗いて、ダイヤルを回した分だけ、覗いた物の時が進んで未来が見えたじゃない!
もしかしたら、この課題を解決するために使えるかもしれないわ。
未来スコープが犯人の情報とか、何か追加で見せてくれるかもしれない!」
「そ、そうか!ダイヤルを回した分だけ、覗いた物の時が進んで未来が見えた!あの時、ダイヤルを回して、花の成長から枯れるまでが見えた!」
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