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穏やかな愛情
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「私を犠牲に生まれておいていい気なものね!」
夢の中で責める少女はリンと瓜二つだった。
「母上……?」
「貴方なんて産みたくなかった!」
そう吐き捨てられるのは当然だとリンは納得していたのだ。
望まない子を妊娠して死んでしまった母上は無念だっただろう。
自分の命を奪った子供が貴族として育ち、結婚もしてのうのうと暮らしている。
「母上……ごめんなさい。私のせいで…」
許してもらえないと理解していてもリンは夢の中で少女に謝り続けた。
「母上……」
昨日から高熱を出して寝込んでいるリンは何度もうわごとを言っている。
悪い夢にうなされているリンを看病しながらユーリはため息を吐いた。
「リン……実の母上の夢を見てるのか?」
うなされている表情からして優しい夢ではないのは容易にわかる。
リンは実母のことを多く語らないが高熱を出す前にポツリと言っていた。
「私が幸せなのを見て母上は喜ぶのかな?」
天国で私のことをどう思っているのかわからない。
そんなことを憂いある表情で呟いていたのだ。
少し様子が変だとユーリが心配していたら熱を出してしまったのだ。
医者を呼んで診てもらい、熱冷ましの薬を飲ませたがリンの高熱は続いている。
「熱が続くようなら、また医者を呼ばないとだな」
苦しそうにうめいているリンの汗をユーリが拭こうとしたら部屋のドアが開いてエドガーが入ってきた。
「リンの熱は下がらないままか?ユーリ殿」
高熱を発している弟のことが心配らしいエドガーは普段よりオロオロした様子だった。
ユーリはリンのひたいの汗を拭きながら答えた。
「快方に向かってる兆しはないです。何度もうなされて……母上と言ってます」
「母上……実の母に会っているのか」
それだけ呟くとエドガーは黙ってしまった。
ユーリは気になっていたがこれまで遠慮していた質問をエドガーに投げかけた。
「リンの母上……その産みの親はどんな方でしたか?差し支えなければ教えてください」
ユーリの頼みを聞いたエドガーは少し考えながら静かに口を開いた。
「リンを妊娠してからずっと寝込んでいた。心配ではあったが母上に厳命されていたのだ。ミシェル兄上と私は決して彼女の見舞いに行ってはならぬと」
恐らくシルバー家の子供……特に男児を見てしまうとリンの実母が恐怖するとローズ夫人は判断したのだ。
エドガーもそれは察していたらしく母であるローズ夫人の言いつけを守ったという。
「ミシェル兄上と2人で見舞いの花を部屋の前に何度も置いたが実際に話したことはない。母上ならば詳しいことを知っていると思うが……」
「そうでしたか。リンは熱を出す直前に自分の幸せを母上は喜ぶのかと言っていたので……」
見舞いを禁止されていたならエドガーがリンの実母の想いを知る術はないとユーリは諦めていたが予想外な発言が返ってきた。
「少なくともリンを恨むような娘ではなかった。覗き見した限りでは」
「え?覗き見?」
「左様。見舞いは禁止だったが覗くなとは言われていない。母上や兄上の目を盗んで姿を見ていた」
禁止されてもタダでは起きないエドガーは何度かリンの実母の部屋を覗いていたらしい。
リンの実母は寝たきり同然であったが、エドガーが部屋を覗くと目が合ったことがあるという。
「私が記憶している彼女の顔は笑顔だ。リンと面差しがよく似ていた」
お腹の子供を恨んでいるような顔ではなかったとエドガーは断言する。
それをリンは知らないから実母に恨まれていると思い込んでいるのだろう。
ユーリは心からエドガーの記憶が間違いでなければいいと祈った。
「リン……お前の母上は夢でリンを苦しめるような人じゃない!だから……気に病むことなんてないんだ!リン!起きてくれ!悪夢から醒めてくれ!」
呼びかけてもリンの瞳が開かないのでユーリは徐々に焦ってきていた。
このまま目を覚まさずリンは自責の念で発した高熱で死ぬのではないかという恐怖でユーリが泣きそうになると不意にエドガーの拳が頭に炸裂した。
「痛い!?エドガー義兄上!?」
ユーリが驚くとエドガーは毅然とした表情で厳しく叱咤した。
「メソメソ泣くな!苦しんでいるのはユーリ殿ではなくてリンだ。リン……どんな悪魔が夢に現れてもそれは幻だ。そんな者の声に耳を貸すな!リン!お前の母上は優しい娘だった!兄様が言うのだから間違いはない!」
夢から醒めないとユーリ殿がギャン泣きする!
だから、起きろ!
高熱のなか悪夢をさ迷っていたリンにもエドガーの呼びかける声が届いた。
「今の声……?エドガー兄様?ユーリは泣いているのですか?」
自分を睨み付ける少女から目をそらした瞬間、リンは意識を取り戻したのだ。
母上……ユーリが泣いていて、エドガー兄様が呼んでいるので私は戻ります……本当にごめんなさい。
まだ熱で朦朧としているが視界にユーリの顔が見えてきた。
「ユーリ……?泣いてますか?」
瞳を開いたリンを見ているユーリは泣いていたらしく目が真っ赤だ。
「リン……よかった!意識が戻って!昨日から高熱が下がらなくて心配してたんだ!」
永遠のように苛んでいた悪夢から解放されたリンは少し微笑むと言った。
「怖い夢を見ていたようです。エドガー兄様の声がしたと思ったら目が覚めました」
こういう時って相場は恋愛対象者の声で意識回復が順当だと思うが定番を越えてくるのがエドガーという男だ。
リンの容態が落ち着いたのを見届けるとエドガーは静かにリンの頭を撫でながら優しく声をかけた。
「兄様の声が届いたならもう大丈夫だ。ユーリ殿がメソメソ泣くから早く回復しろ」
「はい……ありがとうございます。エドガー兄様」
今度はしっかりと笑みを浮かべたリンに安心したのかエドガーは席を立って部屋を出ていった。
果たしてエドガーが話したリンの実母の件は真実なのか?
実のところユーリには判然としないがリンは目を覚まして微笑んでいる。
「リン……次、怖い夢を見たらエドガー義兄上でなく俺が助けるから」
「ありがとうございます。約束ですよ?」
それだけ囁くとリンは再び眠ってしまった。
高熱も下がってきたのでユーリは安堵してリンの手を握りながら寄り添い続けた。
その様子を密かに覗いていたエドガーはユーリに話さなかった記憶に想いを馳せる。
エドガーはリンの実母と本当は会話をしていた。
部屋で眠っているリンの実母の寝顔をコッソリ眺めていたことがある。
するとエドガーの異様なオーラに睡眠を妨害されたリンの実母は瞳を開いてしまった。
眠りからさめたリンの実母はエドガーの顔を見るとたしかに微笑んで言ったのだ。
「いつもお花を届けてくださるのは貴方ね?」
愛らしい鈴の音色のような……可憐な薔薇のような優しい声だと当時10歳ほどだったエドガーは思った。
「うん。ミシェル兄上と私だ。貴女に元気になってほしくて」
エドガーが認めるとリンの実母は白い手でお腹を撫でながら圧し殺してきた不安を吐露したのだ。
「この子を産んだら私はきっと死んでしまう。そうしたらこの子はどうなるの?捨てられてしまうの?」
「それは絶対にあり得ぬ!ミシェル兄上と私がそんなことはさせない!母上が言っていた。その子は私の弟だと!」
まだ産まれていないから男児か女児かはわからないがエドガーは弟希望であった。
もちろん妹でも大歓迎だった。
「貴女の子は私とミシェル兄上が必ず守る!」
だから誰にも決して捨てさせない!
「貴女は何も心配しないで元気になれば良いのだ!」
子供だったエドガーが凛とした声で言い切るとリンの実母は微笑みながら涙を流しだした。
そして泣きながら口にしたのだ。
「よかった……ありがとう……私…貴方の言葉を信じるわ」
瞳を潤ませながらも安堵したように微笑んでいるリンの実母の笑顔をエドガーはたしかに記憶していた。
これは嘘偽りではなくてエドガーが実際にリンの実母と会話をした最初で最後の日となった。
先ほどユーリに全部話してしまえばよかったとも思うが何故か話すことが出来なかった。
「いつかリンに直接話そう。リンの母上とのお約束を」
それだけ誓うとエドガーは覗き見をやめてリンが眠っている部屋をあとにしたのである。
end
夢の中で責める少女はリンと瓜二つだった。
「母上……?」
「貴方なんて産みたくなかった!」
そう吐き捨てられるのは当然だとリンは納得していたのだ。
望まない子を妊娠して死んでしまった母上は無念だっただろう。
自分の命を奪った子供が貴族として育ち、結婚もしてのうのうと暮らしている。
「母上……ごめんなさい。私のせいで…」
許してもらえないと理解していてもリンは夢の中で少女に謝り続けた。
「母上……」
昨日から高熱を出して寝込んでいるリンは何度もうわごとを言っている。
悪い夢にうなされているリンを看病しながらユーリはため息を吐いた。
「リン……実の母上の夢を見てるのか?」
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リンは実母のことを多く語らないが高熱を出す前にポツリと言っていた。
「私が幸せなのを見て母上は喜ぶのかな?」
天国で私のことをどう思っているのかわからない。
そんなことを憂いある表情で呟いていたのだ。
少し様子が変だとユーリが心配していたら熱を出してしまったのだ。
医者を呼んで診てもらい、熱冷ましの薬を飲ませたがリンの高熱は続いている。
「熱が続くようなら、また医者を呼ばないとだな」
苦しそうにうめいているリンの汗をユーリが拭こうとしたら部屋のドアが開いてエドガーが入ってきた。
「リンの熱は下がらないままか?ユーリ殿」
高熱を発している弟のことが心配らしいエドガーは普段よりオロオロした様子だった。
ユーリはリンのひたいの汗を拭きながら答えた。
「快方に向かってる兆しはないです。何度もうなされて……母上と言ってます」
「母上……実の母に会っているのか」
それだけ呟くとエドガーは黙ってしまった。
ユーリは気になっていたがこれまで遠慮していた質問をエドガーに投げかけた。
「リンの母上……その産みの親はどんな方でしたか?差し支えなければ教えてください」
ユーリの頼みを聞いたエドガーは少し考えながら静かに口を開いた。
「リンを妊娠してからずっと寝込んでいた。心配ではあったが母上に厳命されていたのだ。ミシェル兄上と私は決して彼女の見舞いに行ってはならぬと」
恐らくシルバー家の子供……特に男児を見てしまうとリンの実母が恐怖するとローズ夫人は判断したのだ。
エドガーもそれは察していたらしく母であるローズ夫人の言いつけを守ったという。
「ミシェル兄上と2人で見舞いの花を部屋の前に何度も置いたが実際に話したことはない。母上ならば詳しいことを知っていると思うが……」
「そうでしたか。リンは熱を出す直前に自分の幸せを母上は喜ぶのかと言っていたので……」
見舞いを禁止されていたならエドガーがリンの実母の想いを知る術はないとユーリは諦めていたが予想外な発言が返ってきた。
「少なくともリンを恨むような娘ではなかった。覗き見した限りでは」
「え?覗き見?」
「左様。見舞いは禁止だったが覗くなとは言われていない。母上や兄上の目を盗んで姿を見ていた」
禁止されてもタダでは起きないエドガーは何度かリンの実母の部屋を覗いていたらしい。
リンの実母は寝たきり同然であったが、エドガーが部屋を覗くと目が合ったことがあるという。
「私が記憶している彼女の顔は笑顔だ。リンと面差しがよく似ていた」
お腹の子供を恨んでいるような顔ではなかったとエドガーは断言する。
それをリンは知らないから実母に恨まれていると思い込んでいるのだろう。
ユーリは心からエドガーの記憶が間違いでなければいいと祈った。
「リン……お前の母上は夢でリンを苦しめるような人じゃない!だから……気に病むことなんてないんだ!リン!起きてくれ!悪夢から醒めてくれ!」
呼びかけてもリンの瞳が開かないのでユーリは徐々に焦ってきていた。
このまま目を覚まさずリンは自責の念で発した高熱で死ぬのではないかという恐怖でユーリが泣きそうになると不意にエドガーの拳が頭に炸裂した。
「痛い!?エドガー義兄上!?」
ユーリが驚くとエドガーは毅然とした表情で厳しく叱咤した。
「メソメソ泣くな!苦しんでいるのはユーリ殿ではなくてリンだ。リン……どんな悪魔が夢に現れてもそれは幻だ。そんな者の声に耳を貸すな!リン!お前の母上は優しい娘だった!兄様が言うのだから間違いはない!」
夢から醒めないとユーリ殿がギャン泣きする!
だから、起きろ!
高熱のなか悪夢をさ迷っていたリンにもエドガーの呼びかける声が届いた。
「今の声……?エドガー兄様?ユーリは泣いているのですか?」
自分を睨み付ける少女から目をそらした瞬間、リンは意識を取り戻したのだ。
母上……ユーリが泣いていて、エドガー兄様が呼んでいるので私は戻ります……本当にごめんなさい。
まだ熱で朦朧としているが視界にユーリの顔が見えてきた。
「ユーリ……?泣いてますか?」
瞳を開いたリンを見ているユーリは泣いていたらしく目が真っ赤だ。
「リン……よかった!意識が戻って!昨日から高熱が下がらなくて心配してたんだ!」
永遠のように苛んでいた悪夢から解放されたリンは少し微笑むと言った。
「怖い夢を見ていたようです。エドガー兄様の声がしたと思ったら目が覚めました」
こういう時って相場は恋愛対象者の声で意識回復が順当だと思うが定番を越えてくるのがエドガーという男だ。
リンの容態が落ち着いたのを見届けるとエドガーは静かにリンの頭を撫でながら優しく声をかけた。
「兄様の声が届いたならもう大丈夫だ。ユーリ殿がメソメソ泣くから早く回復しろ」
「はい……ありがとうございます。エドガー兄様」
今度はしっかりと笑みを浮かべたリンに安心したのかエドガーは席を立って部屋を出ていった。
果たしてエドガーが話したリンの実母の件は真実なのか?
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「リン……次、怖い夢を見たらエドガー義兄上でなく俺が助けるから」
「ありがとうございます。約束ですよ?」
それだけ囁くとリンは再び眠ってしまった。
高熱も下がってきたのでユーリは安堵してリンの手を握りながら寄り添い続けた。
その様子を密かに覗いていたエドガーはユーリに話さなかった記憶に想いを馳せる。
エドガーはリンの実母と本当は会話をしていた。
部屋で眠っているリンの実母の寝顔をコッソリ眺めていたことがある。
するとエドガーの異様なオーラに睡眠を妨害されたリンの実母は瞳を開いてしまった。
眠りからさめたリンの実母はエドガーの顔を見るとたしかに微笑んで言ったのだ。
「いつもお花を届けてくださるのは貴方ね?」
愛らしい鈴の音色のような……可憐な薔薇のような優しい声だと当時10歳ほどだったエドガーは思った。
「うん。ミシェル兄上と私だ。貴女に元気になってほしくて」
エドガーが認めるとリンの実母は白い手でお腹を撫でながら圧し殺してきた不安を吐露したのだ。
「この子を産んだら私はきっと死んでしまう。そうしたらこの子はどうなるの?捨てられてしまうの?」
「それは絶対にあり得ぬ!ミシェル兄上と私がそんなことはさせない!母上が言っていた。その子は私の弟だと!」
まだ産まれていないから男児か女児かはわからないがエドガーは弟希望であった。
もちろん妹でも大歓迎だった。
「貴女の子は私とミシェル兄上が必ず守る!」
だから誰にも決して捨てさせない!
「貴女は何も心配しないで元気になれば良いのだ!」
子供だったエドガーが凛とした声で言い切るとリンの実母は微笑みながら涙を流しだした。
そして泣きながら口にしたのだ。
「よかった……ありがとう……私…貴方の言葉を信じるわ」
瞳を潤ませながらも安堵したように微笑んでいるリンの実母の笑顔をエドガーはたしかに記憶していた。
これは嘘偽りではなくてエドガーが実際にリンの実母と会話をした最初で最後の日となった。
先ほどユーリに全部話してしまえばよかったとも思うが何故か話すことが出来なかった。
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