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がしゃがみシリーズ
がしゃがみ-次
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居場所はすぐにわかった。うっそうとした森の木々の中、和夫が低山の中腹に作っていた秘密基地の中だ。
その中で和夫は、一人事切れていた。
その当時山狩りに駆り出された父の話を盗み聞きし、遺体は損傷が激しく、顔を食い破られていたため、クマか何かの大型の動物に食べられたのではなかろうかということと、現場に、毛髪が散乱していたことから、犯人が動物ではなく、人間である可能性も捨てきれないことなどが分かった。
結局和夫が自分の秘密基地を誰にも教えていなかったことから犯人を絞り切ることができず、気味の悪い事件は野生動物が起こした悲惨な事故で片づけられた。
なぜ、雨が降りしきる夜の森に、和夫が秘密基地に行ったのかは、誰にもわからなかった。
俺は勿論悲しんだが、心のどこかでもう和夫と会わなくて済むといった、不謹慎な安堵が脳裏をかすめていた。
その後、夏真っ盛りの農村では子供の外出自粛の呼びかけがなされ、彼らが元気に走り回る姿はどこもかしこも鳴りを潜めていた。
そんなある日、扇風機を吹かしながら宿題を片付けていた俺のもとに、尋ね人が現れた。二人の取り巻き、則夫に米二を連れた菊也だ。その顔は心なしか青ざめていた。
「お前ら何しに来たんだよ」
三人を自室に挙げた俺は怪訝な顔でそう尋ねた。
「仲直りしたくてよ…」
菊也は正座した膝の上で握りしめた拳を見つめながらぼそっと呟いた。
他二人は何故かずっと黙って菊也の後姿を見つめていた。
俺は半ばいらいらしながら、
「何を言われようが、人をいじめるような奴ともう一度友達になるつもりはない」
そうぴしゃりといい放つと、菊也は少し困ったような調子でうつむいたまま呟いた。
「違うんだよ…あれは理由があって」
「理由があったらいじめていいのか?」
そう、間髪入れずに俺が返すと
「いいから聞けよ」と、なぜかドスの利いた声で菊也が言い放った。
ここで初めて、うつむいていた菊也が顔を上げた。必死な顔は目が血走り、顔は青ざめている。その様子に俺も渋々話を聞く気になった。
「…わかったよ」
それから菊也は、和夫との仲たがいの原因をぽつりぽつりと話し始めた。
俺がこの村にくる以前の話。
「和夫のやつ、俺とは一年からの親友でさ」
「は?お前と和夫が?」
「嘘じゃねえよ、お前が来るちょっと前まで、きくちゃんと仲良かったのは和夫だもん」
そう、則夫が口を挟んだ。
「じゃあ、なんであんなこと…」
菊也は苦虫をかみつぶすような表情で話し始めた。
「お前が来るちょっと前にさ…あいつだんだんおかしくなってったんだ…信じられないだろうけど、あいつ野球好きだったんだぜ?まあへたくそだったけど。いっつも俺らでやってたのに、急に虫取りしようなんていいだして。そりゃ俺も虫取りは嫌いじゃないけどあいつの虫取りはなんか違うんだよ。お前も見ただろ、なんていうか…」
俺は震えた声で伝わってくる内容に、心当たりがあった。目の端に動くものがあれば、それが虫でも、蛇でも、トカゲでも。
ギラついた目で薄気味悪い笑みを浮かべながら手掴みでぶんどる和夫の姿が、俺の脳裏にまざまざと蘇る。
それはまるで。
「狩りみたいだった」
「そう、ほんとそんな感じだった。いっつも目光らせて虫かごパンパンに詰めて。それがなんつーか、不気味でさ…だからちょっと距離置こうと起こって遊ぶのやめたんだよ。そしたらさ。ちょっとして俺が飼ってたトカゲのアトムと、クワガタのエイティーがさ…」
菊也の目が瞬く間に潤んでいった。その様子に、俺もただ事ではないと悟り、姿勢を正して、震える声を必死に抑えつつ話す菊也の語り口に耳を傾けた。
「どうしたんだよ…?なんで泣いてんの…」
「和夫にさ、捕られてさ…」
「捕られた…?どうやって」
「庭先の虫かごに入ってたのに気づいたらいなくなってて…そん時外に出てたじいちゃんに訊いたら虫かご首からぶら下げたちっこい男の子が、俺んちからまっすぐ山に走っていったって…」
俺の脳裏に、暗闇のあぜ道を虫かごを首からぶら下げて、気味の悪い笑みを浮かべながら山の中へ走り去る和夫の姿が浮かんだ。
「…でさ、あいつの秘密基地の話は聞いてたから、もしあいつが俺のアトムとエイティーを取ってたらそこで飼われてるんじゃないかと思って、あいつが秘密基地に行くときにこいつらと付けてみたんだよ。山道の中のところでわきのけもの道に入っていったから、あいつがいないときに秘密基地に行ってみたんだ。多分結構歩いたと思うけど、ぼろきれみたいなのが木の枠にかかってるだけの適当な秘密基地でさ。そこに何個か虫かごが落ちてたから間違いないと思うんだけど」
「いたのか?その、アトムとエイティー」
「ううん…いなかった。何も。虫も、あいつが飼ってたはずのトカゲも、ヤモリも。あいつが捕まえてたもの全部なかった。けど、あたりにそういう小動物の死体のかけらみたいなのがめちゃくちゃに落ちてた。蛇のしっぽのとことか、虫の触覚とか…そん中に。」
ひゅっと、小さな音が菊也の口腔から漏れた。
「アトムとエイティーのもあってよ…」
感極まったのか、そうを言うなり暫く菊也はしゃくりあげていた。
「そうなのか…」
俺はどういっていいかわからず、とりあえずの相槌を打った。菊也はその様子を見ると、鼻水を啜り上げて一言「ごめん」と、
「だからちょっと怒りに任せて嫌がらせとか、悪口言っちまって」
そう続けた。
「そっか…」
俺はこの時一つ気になることができていた
「菊也あのさ…なんで急に俺のとこに来たの?仲直りだけならいつでもできるだろ」
外出厳禁は小学校に村の駐在がわざわざ数人で駆けつけて、かなり厳しい口調で念を押されたものだった。だから、誰に言われるでもなく子供たちは四六時中家にいたものだが、なぜかそのタイミングで菊也が家まで押し掛けたことに、俺は少なからず違和感を覚えていた。
それを聞いた菊也は、しゃくりあげる声をぴたりと止め、少し引き攣ったような表情を見せた。
「和夫がさ…」
菊也の声の震えは先ほどのものと、性質を異にするものだった。
その震えた声のままで、菊也は嫌なものを吐き出すようにゆっくりと口を開く。
「和夫が…夢に出てくるんだ…」
「え…?」
「和夫が死んでからさ…和夫とあと一人が夢に出てくるんだよ…」
「あと一人って、誰だよ」
「わかんない…多分村の中の誰でもない、めちゃくちゃ背が高くてやせっぽちで…」
「どんな夢…?」
「家の中にいる夢…玄関の外で、和夫ともう一人わけわかんねえ奴が話しかけてくる」
「なんて…?」
「おいでって…。あと、たべようも…」
ぞっとした。話の内容もそうだが、さっきまで泣きじゃくっていて真っ赤だった菊也の顔が真っ青になっていたのもある。
すると、さっきから険しい顔で畳を睨んでいた米二が、不意に口を開いた。
「お前最近和夫と仲良かったろ、しかも菊ちゃんにいじめられてたし」
「なにそれ、お前菊の夢が俺らのせいだって言いたいの?」
事態の顛末をようやく悟った俺はさすがに呆気に取られて、半ば呆れたような口調で冷たく言い放った。それが気に入らなかったのだろう、短気な則夫はむっとした顔で怒鳴りだした。
「そうだよ。ちげえのかよ!」
「くだらねえ、他人の夢に出るとかできるわけないじゃん」
「お前ら呪いかけてたんだろきくちゃんに!」
「そんなわけねえじゃん、いい加減にしろよ」
興奮した二人はかなりの音量で言い合っていたらしい。扉をノックする音が聞こえて、母の「大丈夫?」という声にようやくどちらとも我に返った。
「ノリ、ちょっと黙ってろ」
菊也が一蹴すると、則夫はしょぼくれた目つきでうつむいた。菊也は短いため息を吐くと、改めて俺に向き直り言った。
「別にお前のせいだなんて思ってないよ。俺が気に入らなけりゃ、直接殴るような奴がわざわざそんなことするはずないって。俺もこいつらもわかってるから。ただ、何か知らねえかなって。和夫は俺の事よく思ってなかったのは知ってるけど、それ以外になんか知らないか?」
俺は菊也の様子にただならぬ事態を察して、和夫と遊ぶ際に抱いていた違和感をすべて話した。その異常とも言える収集癖に、歪に見えた親子関係。すべて話し終えると青い顔の菊也は、鼻水と涙と、涎でぐちゃぐちゃになった顔を手で乱暴にふき取ると一言、「ありがとう」とだけ言って、取り巻きを連れて帰ってしまった。
******************
翌日、俺は遠くから聞こえてくる甲高い叫び声で目が覚めた。
何事かと一家そろって外へ出てみると、髪を振り乱した女性が家の前のあぜ道をまっすぐに走り過ぎて、学校やら病院やらがある通りの方へ無我夢中で去っていく。
黒髪をはねるように揺らす後ろ姿が小さく、叫び声が遠くなってから、後ろにいた母が
「あの人…ヨネさんじゃないかね…菊ちゃんのお母さんじゃ…」と、小さく呟いた。
俺の胸の内に、不穏な予感が渦巻き始めた。そしてそれが的中してしまうのは、その日の昼頃だった。
村の寄り合いで集合をかけられた親父が、昼頃青い顔で飛び込んできた。
「忠。しばらくは外に出るな」
親父が俺に言ったのはそれだけだった。けれど、菊也に何かが起きたことはなんとなくわかっていた。
菊也は、明け方自室で死んでいた。
酷い乱杭歯の何かに、体の大半をむしり取られるように食い漁られて。
******************
その中で和夫は、一人事切れていた。
その当時山狩りに駆り出された父の話を盗み聞きし、遺体は損傷が激しく、顔を食い破られていたため、クマか何かの大型の動物に食べられたのではなかろうかということと、現場に、毛髪が散乱していたことから、犯人が動物ではなく、人間である可能性も捨てきれないことなどが分かった。
結局和夫が自分の秘密基地を誰にも教えていなかったことから犯人を絞り切ることができず、気味の悪い事件は野生動物が起こした悲惨な事故で片づけられた。
なぜ、雨が降りしきる夜の森に、和夫が秘密基地に行ったのかは、誰にもわからなかった。
俺は勿論悲しんだが、心のどこかでもう和夫と会わなくて済むといった、不謹慎な安堵が脳裏をかすめていた。
その後、夏真っ盛りの農村では子供の外出自粛の呼びかけがなされ、彼らが元気に走り回る姿はどこもかしこも鳴りを潜めていた。
そんなある日、扇風機を吹かしながら宿題を片付けていた俺のもとに、尋ね人が現れた。二人の取り巻き、則夫に米二を連れた菊也だ。その顔は心なしか青ざめていた。
「お前ら何しに来たんだよ」
三人を自室に挙げた俺は怪訝な顔でそう尋ねた。
「仲直りしたくてよ…」
菊也は正座した膝の上で握りしめた拳を見つめながらぼそっと呟いた。
他二人は何故かずっと黙って菊也の後姿を見つめていた。
俺は半ばいらいらしながら、
「何を言われようが、人をいじめるような奴ともう一度友達になるつもりはない」
そうぴしゃりといい放つと、菊也は少し困ったような調子でうつむいたまま呟いた。
「違うんだよ…あれは理由があって」
「理由があったらいじめていいのか?」
そう、間髪入れずに俺が返すと
「いいから聞けよ」と、なぜかドスの利いた声で菊也が言い放った。
ここで初めて、うつむいていた菊也が顔を上げた。必死な顔は目が血走り、顔は青ざめている。その様子に俺も渋々話を聞く気になった。
「…わかったよ」
それから菊也は、和夫との仲たがいの原因をぽつりぽつりと話し始めた。
俺がこの村にくる以前の話。
「和夫のやつ、俺とは一年からの親友でさ」
「は?お前と和夫が?」
「嘘じゃねえよ、お前が来るちょっと前まで、きくちゃんと仲良かったのは和夫だもん」
そう、則夫が口を挟んだ。
「じゃあ、なんであんなこと…」
菊也は苦虫をかみつぶすような表情で話し始めた。
「お前が来るちょっと前にさ…あいつだんだんおかしくなってったんだ…信じられないだろうけど、あいつ野球好きだったんだぜ?まあへたくそだったけど。いっつも俺らでやってたのに、急に虫取りしようなんていいだして。そりゃ俺も虫取りは嫌いじゃないけどあいつの虫取りはなんか違うんだよ。お前も見ただろ、なんていうか…」
俺は震えた声で伝わってくる内容に、心当たりがあった。目の端に動くものがあれば、それが虫でも、蛇でも、トカゲでも。
ギラついた目で薄気味悪い笑みを浮かべながら手掴みでぶんどる和夫の姿が、俺の脳裏にまざまざと蘇る。
それはまるで。
「狩りみたいだった」
「そう、ほんとそんな感じだった。いっつも目光らせて虫かごパンパンに詰めて。それがなんつーか、不気味でさ…だからちょっと距離置こうと起こって遊ぶのやめたんだよ。そしたらさ。ちょっとして俺が飼ってたトカゲのアトムと、クワガタのエイティーがさ…」
菊也の目が瞬く間に潤んでいった。その様子に、俺もただ事ではないと悟り、姿勢を正して、震える声を必死に抑えつつ話す菊也の語り口に耳を傾けた。
「どうしたんだよ…?なんで泣いてんの…」
「和夫にさ、捕られてさ…」
「捕られた…?どうやって」
「庭先の虫かごに入ってたのに気づいたらいなくなってて…そん時外に出てたじいちゃんに訊いたら虫かご首からぶら下げたちっこい男の子が、俺んちからまっすぐ山に走っていったって…」
俺の脳裏に、暗闇のあぜ道を虫かごを首からぶら下げて、気味の悪い笑みを浮かべながら山の中へ走り去る和夫の姿が浮かんだ。
「…でさ、あいつの秘密基地の話は聞いてたから、もしあいつが俺のアトムとエイティーを取ってたらそこで飼われてるんじゃないかと思って、あいつが秘密基地に行くときにこいつらと付けてみたんだよ。山道の中のところでわきのけもの道に入っていったから、あいつがいないときに秘密基地に行ってみたんだ。多分結構歩いたと思うけど、ぼろきれみたいなのが木の枠にかかってるだけの適当な秘密基地でさ。そこに何個か虫かごが落ちてたから間違いないと思うんだけど」
「いたのか?その、アトムとエイティー」
「ううん…いなかった。何も。虫も、あいつが飼ってたはずのトカゲも、ヤモリも。あいつが捕まえてたもの全部なかった。けど、あたりにそういう小動物の死体のかけらみたいなのがめちゃくちゃに落ちてた。蛇のしっぽのとことか、虫の触覚とか…そん中に。」
ひゅっと、小さな音が菊也の口腔から漏れた。
「アトムとエイティーのもあってよ…」
感極まったのか、そうを言うなり暫く菊也はしゃくりあげていた。
「そうなのか…」
俺はどういっていいかわからず、とりあえずの相槌を打った。菊也はその様子を見ると、鼻水を啜り上げて一言「ごめん」と、
「だからちょっと怒りに任せて嫌がらせとか、悪口言っちまって」
そう続けた。
「そっか…」
俺はこの時一つ気になることができていた
「菊也あのさ…なんで急に俺のとこに来たの?仲直りだけならいつでもできるだろ」
外出厳禁は小学校に村の駐在がわざわざ数人で駆けつけて、かなり厳しい口調で念を押されたものだった。だから、誰に言われるでもなく子供たちは四六時中家にいたものだが、なぜかそのタイミングで菊也が家まで押し掛けたことに、俺は少なからず違和感を覚えていた。
それを聞いた菊也は、しゃくりあげる声をぴたりと止め、少し引き攣ったような表情を見せた。
「和夫がさ…」
菊也の声の震えは先ほどのものと、性質を異にするものだった。
その震えた声のままで、菊也は嫌なものを吐き出すようにゆっくりと口を開く。
「和夫が…夢に出てくるんだ…」
「え…?」
「和夫が死んでからさ…和夫とあと一人が夢に出てくるんだよ…」
「あと一人って、誰だよ」
「わかんない…多分村の中の誰でもない、めちゃくちゃ背が高くてやせっぽちで…」
「どんな夢…?」
「家の中にいる夢…玄関の外で、和夫ともう一人わけわかんねえ奴が話しかけてくる」
「なんて…?」
「おいでって…。あと、たべようも…」
ぞっとした。話の内容もそうだが、さっきまで泣きじゃくっていて真っ赤だった菊也の顔が真っ青になっていたのもある。
すると、さっきから険しい顔で畳を睨んでいた米二が、不意に口を開いた。
「お前最近和夫と仲良かったろ、しかも菊ちゃんにいじめられてたし」
「なにそれ、お前菊の夢が俺らのせいだって言いたいの?」
事態の顛末をようやく悟った俺はさすがに呆気に取られて、半ば呆れたような口調で冷たく言い放った。それが気に入らなかったのだろう、短気な則夫はむっとした顔で怒鳴りだした。
「そうだよ。ちげえのかよ!」
「くだらねえ、他人の夢に出るとかできるわけないじゃん」
「お前ら呪いかけてたんだろきくちゃんに!」
「そんなわけねえじゃん、いい加減にしろよ」
興奮した二人はかなりの音量で言い合っていたらしい。扉をノックする音が聞こえて、母の「大丈夫?」という声にようやくどちらとも我に返った。
「ノリ、ちょっと黙ってろ」
菊也が一蹴すると、則夫はしょぼくれた目つきでうつむいた。菊也は短いため息を吐くと、改めて俺に向き直り言った。
「別にお前のせいだなんて思ってないよ。俺が気に入らなけりゃ、直接殴るような奴がわざわざそんなことするはずないって。俺もこいつらもわかってるから。ただ、何か知らねえかなって。和夫は俺の事よく思ってなかったのは知ってるけど、それ以外になんか知らないか?」
俺は菊也の様子にただならぬ事態を察して、和夫と遊ぶ際に抱いていた違和感をすべて話した。その異常とも言える収集癖に、歪に見えた親子関係。すべて話し終えると青い顔の菊也は、鼻水と涙と、涎でぐちゃぐちゃになった顔を手で乱暴にふき取ると一言、「ありがとう」とだけ言って、取り巻きを連れて帰ってしまった。
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翌日、俺は遠くから聞こえてくる甲高い叫び声で目が覚めた。
何事かと一家そろって外へ出てみると、髪を振り乱した女性が家の前のあぜ道をまっすぐに走り過ぎて、学校やら病院やらがある通りの方へ無我夢中で去っていく。
黒髪をはねるように揺らす後ろ姿が小さく、叫び声が遠くなってから、後ろにいた母が
「あの人…ヨネさんじゃないかね…菊ちゃんのお母さんじゃ…」と、小さく呟いた。
俺の胸の内に、不穏な予感が渦巻き始めた。そしてそれが的中してしまうのは、その日の昼頃だった。
村の寄り合いで集合をかけられた親父が、昼頃青い顔で飛び込んできた。
「忠。しばらくは外に出るな」
親父が俺に言ったのはそれだけだった。けれど、菊也に何かが起きたことはなんとなくわかっていた。
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