創造主である究極の魔王は自分が創造した異世界に再転生する~気付いた時にはハーレム状態?運命の人も勇者も神々も、俺の子を欲しがるのだが?~

たらふくごん

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第33話 転生者茜の大冒険2

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(新星歴4814年4月25日)

 しばらく泣き続けていたが、状況が変わるわけではない。
 茜はいつか読んだ『異世界転生ものの小説』を思い出しながら行動を開始した。

 「…うん、元気な体になったんだから、クヨクヨしてもしょうがないよね?…パパに会えないのは悲しいけれど、頑張らなくちゃ。よし、もう一度カバンを調べよう!」

 茜は再びカバンの中身を調べる。
 そこで異変に気付く。

 「あれ?さっき食べたのに、3個ある?…えっ!?……ん?石が光ってる!?」

 茜は光っている『漆黒の石』をおもむろにつかんだ。

 刹那。

 目の前には全身から膨大な『白銀をまとう漆黒の魔力』に包まれた、転生前何度も夢で見た、極帝の魔王ノアーナ、いや『光喜お兄ちゃん』がいた。

 「……誰だ?」

 漆黒の髪の毛が、魔力をまとって煌いて、とてもかっこいい。
 意志の強そうな眉毛はかっこいい形をしていて、銀色の瞳は全部見られそう。
 …高い鼻だなあ…背高いなあ…

 夢で見たより、ずっとずっとかっこいい!!

 茜は見とれてしまった。

 「…見ない顔だ…?!…闖入者!?…まさか?!」

 なぜか慌てたように、光喜お兄ちゃんは突然ぶつぶつ言いだした。

 『…理を築く那由他・あまねく聖雷・ガルニリアルより高き霊泉・いと久遠の気高き仙導師・従属せし涅槃………複合聖魔紋!』

 茜とノアーナを包むように、キラキラ輝く優しい色の『見えているのに見えないように見える』光の幕が構築され、すっぽりと覆ってきた。
 …そして消えた。

 「ん??????」

 茜は何が起きたのか全く分からなかった。
 少し垂れ気味のガーネットの様な瞳をパチパチと瞬かせ、立ち尽くしてしまう。

 「おまえは誰だ?どこから来た?…なぜ俺と同じ色を持っている?」

 茜、意味わからず思考回路ストップ。

 「……おい…」

 はあっ、とノアーナは大きなため息をついた。
 そして今度は優しく問いかける。

 「あーお嬢さん?名前、言えるかな?…俺は『ノアーナ』という」

 「はっ!…ごめんなさい。光喜お兄ちゃんがかっこよくて、見とれてました!」

 ノアーナが固まる。

 「っ!?いま、なんて言った!!?」

 魔力がほとばしる!!

 「っ!!き、!きゃああああああああ!!!!」

 魔力の圧に、茜はごろごろと転がってしりもちをついてしまった。

 「痛ったーい」

 あっちこっちすりむいてしまった。

 「!?っ、すまない…」

 ノアーナは茜の横に突然現れ、優しく茜を抱き起した。
 優しい手から、温かいものが茜の中に流れてくる。

 「…??あれ?…痛くない???」

 ノアーナはそのままお姫様抱っこをするように茜を抱き上げると、

 「同時転移を申請…許可……飛ぶぞ。目を瞑っていろ」

 そして瞬く間に、奇麗な部屋の中に立っていた。

 「?????????????????!!」

 茜、再度フリーズ。

※※※※※

 ギルガンギルの塔地上1000メートルに位置する、ノアーナの隠れ家。
 30畳くらいのスペースにセンス良く家具が配置されている。

 大きな窓の外には白く雪化粧した美しい山々や緑の森が広がり、ワイバーンみたいな大きな生物が飛んでいる様が見える。
 窓際には応接コーナーがあり、高級そうな大きなソファーが黒光りする高そうなローテーブルを囲むように配置されている。

 壁には大きなモニターと、多くの蔵書が納められたアンティーク調の本棚が鎮座しており、奥の方には冷蔵庫がある。

 ノアーナが再現した、日本の金持ちのイメージで作成した部屋だ。

 ギルガンギルの塔は創造した6柱の神々がたむろする場所でもあるが、この部屋にはノアーナの許可がなければ入れない。
 念話は届くが。

 ノアーナは茜をソファーに座らせ、指を二度三度動かした。

 突然目の前のローテーブルに、嗅いだこともないようなスッゴク良い匂いのする紅茶と、本でしか見たことがない『イチゴのショートケーキ』が現れる。

 「取り敢えずそれでも食べてくれ。さっきからお腹が鳴っているぞ。食べたら話がしたい」

 光喜お兄ちゃんはそういうと、こめかみに手を当てて話し始めた。

 「レアナ、聞こえるか?許可するから来い。ああ隠れ家だ」

 ケーキを前に、茜は固まってしまった。
 すっごく食べたい。
 でも食べ方が分からない。

 頭の中に光喜お兄ちゃんの声が聞こえてきた。

 (食べ方がわからなかったんだな。すまない。確かにこの世界にはないからな。これは…)
 (知ってるよ!…でも食べたことない。頑張って食べてみる)
 (…そうか…ふっ、ゆっくりお食べ)

 デッデレーデッデレーチャララララー♪

 茜とショートケーキの戦いの火ぶたが切って落とされた!
 手と口とほっぺたに、茜は10のダメージを受けた!
 茜の攻撃!!会心の一撃!!シュートケーキは倒された!!

 タラララッタッター♪

 茜は3ポイントの経験値を獲得した!!

 なんてね。

 「あら、まあまあまあまあ。可愛らしいお客様ですわねえ。ご紹介、いただけまして?」

 デッデレーデッデレーチャララララー♪

 スッゴク優しそうな奇麗なお姉さんが現れた!

 もういいわ!

※※※※※

 ケーキを食べて紅茶を飲んで、茜はとってもご機嫌だった。
 にこにこにこにこにこにこと、聞こえてくるようだ。

 なんと微笑ましい。

 「レアナ、俺と彼女に『安定』を頼む…彼女には『低級』俺には『特級』だ」
 「っ!?…かしこまりました…はい、大丈夫ですよ」

 光喜お兄ちゃんと奇麗な優しそうなお姉さんが何か話していて、そしたらなんか心が落ち着いてきた。
 …なんかとってもいい気持ち。

 それに光喜お兄ちゃんがさっきよりもっと優しく見えてきた??

 「お嬢さん、君を調べてもいいかい?痛かったり、苦しかったりはないからね。でもイヤだなって思われると、無理やり見なくちゃいけないんだ。そんなことしたくないから『許可』してもらいたいんだ」

 光喜お兄ちゃんは、スッゴク優しい顔と声で、私に聞いてきた。

 「うん。いいよ……痛いのは怖い…」

 ノアーナはふっと笑い、そして…

 「…茜、ちゃんか…日本人…西園寺??!!病死??………光喜!???…俺だな…タイムパラドックス?…」

 光喜お兄ちゃんはしかめっ面をして、大きなため息をつく。
 あれ?どうしよう。

 何かいけないことだったのかなあ?

 ノアーナの様子に、モンスレアナは激しく嫌な予感がしていた。
 彼のこんな表情は見たことがない。

 なにかとてつもない、恐ろしいことが起こる気がし、先ほどのほとばしるような膨大な魔力に包まれていたノアーナの様子を思い出し、身震いしてしまっていた。
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