創造主である究極の魔王は自分が創造した異世界に再転生する~気付いた時にはハーレム状態?運命の人も勇者も神々も、俺の子を欲しがるのだが?~

たらふくごん

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第49話 転生者茜の大冒険with魔王さま4

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 アルテミリスが去ったあと、俺はしばらくソファーで考えに浸っていた。
 数十万年、詳細は忘れたが、いや思い出せないが、欲しいものがあり歩んできたつもりだ。

 世界のこと、この星に住む皆のことを思いながら。
 だが…

 果たして俺は『個』に向き合っていたことがあっただろうか?
 創造主として、超越者として、ずっとそれでいて…

 何のために俺は、自らの存在を落としてまで、欲しいものを手に入れようとしているのか。

 ふうっと息をつき、俺は紅茶を飲む。
 旨い紅茶だ。

 そう『誰かが紅茶を飲むさまを見て旨いのだろう』と判断する事と、自身が経験し『旨い』と感じることは大きく違う。

 「…何十万年生きてきて、成長したつもりがこれか」

 不貞腐れたように溜息を吐く。

 「イヤというほど感情による営みを見てきたじゃないか。そして理解したと思い込んできた。ああ、そうか。自分が経験したことはなかった。ノアーナとして、佐山光喜として」

 「アルテには感謝だな……」

 俺の中の意識が変わった。

 大局的に見れば些細なことだ。
 だが知っているはずだ。

 紡がれる想いはすべてを覆えうる強い力だと。

 ならば、自らも飛び込めばいい。
 傍観するのではなく感じるために。
 
 結果誰かが傷つくかもしれない。
 でも悪い感情がなければそれは終わっている世界なんだと、確信しているはずだ。

 愛情の形はいろいろある。
 俺だって茜のことは異性としてではないが大切に思っているし、好きだ。

 だがこれは、上から与える感情に他ならない。
 対等ではない。

 「ありがとうアルテ。これからはできる限り対等に考えてみよう。立場ではなく、心の置き方を……上手くいくかは分からないがな」

※※※※※

 エンチャート大森林に行くためには陸路の場合ノーグルス村を経由する必要がある。

 ノーグルス村は林業と観光で成り立っている村だ。

 北にあるリグリス大森林にしか生息しない『カラムク草』が質の良い治療ポーションの原料となるため、多くの冒険者や薬師が訪れる。

 そのため村とは思えない規模で、露店や屋台、様々な店が居を構えている。

 初めての外出に、茜のテンションは凄い事になっていた。
 落ち着きなく走り回ったり、キョロキョロとしたり、感嘆の奇声を上げたり。

 「わあーすごい!ねえこう、じゃなくて、ノルっ!すごくいっぱいお店があるよ!」
 「おい、モミジ、恥ずかしいから大声出すな」
 「むう、いいじゃん。少しくらい」

 設定とはいえ、いい感じで、年相応の感じが出ている。
 アルテ、狙っていたな。

 「俺たち薬草を売りに来たんだ。先に売ってから。店は後にしろよ」
 「ちぇー。分かりましたよーだ。けち」

 ムッとしながらも、道具屋に足を向けた俺についてくる。
 なんだかんだで素直だ。

 「カララン…」

 道具屋のドアにある木で作った鈴の様なモノが小気味良い音を鳴らす。
 入った正面にはカウンターがあり、その奥にはドアと大小さまざまな容器が並べられている古ぼけた棚がある。
 両側にはちょっとした武器類や、布製品、携帯食料などが陳列されていた。
 数名の客が品物を眺めたり手に取ったりと品定めをしている様子が目に入った。

 天井から吊るされている乾燥した薬草の匂いだろうか。
 独特な匂いが立ち込めている。

 「いらっしゃい。見ない顔だな…冒険者か。何か必要なものがあるのかい?」

 正面のドアの中からやや小太りな浅黒い顔の男が出てきた。
 俺の顔を見て一瞬にやりとした。

 …ふうん。

 「ああ、買いに来たんじゃなくて、薬草を売りたいんだけど。見てくれる?」

 俺は背中の籠を下ろし、先ほど回収した『カラムク草』の束をいくつか取り出しカウンターに置く。
 早速店主がそれを持ち上げたりしながら声を発した。

 「状態がいいな。良い腕だ。そうだな…1束銅貨3枚でどうだ。5束あるから銀貨1枚と銅貨4枚だな」
 「なんで増えて安くなるんだよ?!…銀貨1枚と銅貨5枚だろ。てか話になんねー。違う店行くわ」

 俺はわざと少し大きな声でぶっきら棒に振舞って見せた。
 俺の横でモミジが口をはさむ。

 「えー、安すぎだよね。さっきの店は銀貨2枚以上って言っていたのに」

 カウンターに置いたカラムク草をしまおうと手を伸ばすと、店主につかまれる。

 「ちょっ、ちょっと待ってくれ…悪かった。勘違いしたんだ……銀貨2枚と銅貨3枚出す。それで売ってくれないか?」

 先ほどのおちょくったようなニヤついた表情から真面目な表情になり、手には力がこもっている。
 俺は分かりやすくため息をついてギロッと店主を睨み付け、吐き捨てた。

 「迷惑料込みで銀貨3枚。いやならほかに行く…ガキだからってバカにすんな!」

 店にいたほかの客から何故か拍手が上がった。

※※※※※

 「こ…モグモグ、ノルってすごいよね。わはひならゴックン。そのまま売っちゃってたよ…なんか得したね!」

 露店で買った大豚の串焼き肉にかぶりつきながらモミジが話しかけてくる。
 油で唇がテカテカだ。

 「食べながらしゃべんな!…まあな。年季が違うよ。何年生きてると思っているんだ」
 「んー15年?…そういう設定でしょ!」
 「そうだったな…悪い。まあ経験すればモミジだってできるようになるさ。だんだん馴れると良い。とりあえず宿を押さえるぞ」

 じゃれ合いながら『こういうのも悪くない』と思いながら宿屋へ向かった。

 宿でもモミジは大騒ぎだった。

 羊獣人の店主を見て「うわー羊さんだっ!!」とか大声で顰蹙ひんしゅくを買うし、銅級の冒険者らしく安い部屋を一部屋借りようとしたらいきなり顔を赤くしてフリーズするし、部屋についたら汚さに目をまわしへたり込むし。

 まあ、ギルガンギルは特別だからな。
 何なら日本より整ってるし。

 「モミジ、これが普通。この世界はこんな感じだ。慣れろ」
 「っ!?…ベッド1個しかないよ。えっ?お店の人間違えたのかな?聞いてくる」

 慌ててきびすを返し走り出そうとしたので、俺はモミジの腕をつかんで引き寄せた。
 はずみで俺の胸に抱き着く形になる。

 「っ!!?こっ、こっ、こう、じゃなくてノルっ!?」

 モミジの顔に真っ赤に染まる。
 慌てふためくモミジの様子に、ふいに『はるか昔の記憶』が刺激された気がした。

 「????…っと、騒ぐな。とりあえず中に入ろう。ドア閉めるぞ」

 中の小さなテーブルの横にあるぼろい椅子に腰かけ、ベッドに座らせたモミジに向かい合う。
 少し落ち着いたのかガーネットのような赤い瞳を向けてきて口を開いた。

 「ごめんなさい。あの、えっと…」
 「いいさ。初めてのことばかりなんだ。慌てなくていい…どうだ?楽しいか?」
 「!?…うん。びっくりの方が多いけど、何か改めて、転生したって実感が出てきたよ」

 わずか1日で、早くも言葉遣いに変化が出てきていた。
 俺はじっと目を細め、改めてモミジを見る。

 彼女を構成する魔力を纏う真核。
 二つの色を持つ彼女の漆黒から、白銀が噴き出し始めていた。
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