創造主である究極の魔王は自分が創造した異世界に再転生する~気付いた時にはハーレム状態?運命の人も勇者も神々も、俺の子を欲しがるのだが?~

たらふくごん

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第66話 移動する猫族旅団イミト

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(新星歴4816年7月25日)

 アルカーハイン大陸の最南端に位置するエルフの隠里の一つであるウッドモノルードでは『武幻の儀式』が、いよいよ佳境を迎えていた。

 武幻の儀式は里の適齢期を迎えた女性に対し、婚姻候補者選定の為の武術大会だ。
 参加希望者に種族の制限はない。

 勝ち抜いた男性がその女性に対し交渉権を獲得できる、いわばお見合いの権利を獲得できる事になっていた。

 情に厚く自尊心の強い種族であるハイエルフは、本人が納得せずにそのまま結んでしまえば絶対に破局することは目に見えている。

 かといって種族寿命が長く世の中に関心の低い彼らはいわゆる仙人のような生活をしてしまい、新たな命が生まれることは非常に稀なため、種族維持のための苦肉の策であった。

 この数十年、儀式を経由して夫婦になったのはわずか3組。

 そんな事情から例年あまり盛り上がらない。
 申し込む候補者も、どちらかといえば婚姻より強さを求めている者が主だった。
 いわゆるただのお祭りになってしまっているのだが、今年はその様相を大きく変えていた。

 今回の適齢期の女性として『ネリファルース・ツワッド』嬢の名が挙がったからだ。

 吟遊詩人曰く―――

 天から降り注ぐ星々のような煌めきを宿す藍色のなびく髪
 翡翠の瞳は心を奪う
 神をも魅了する唇から紡がれるは天上の讃美歌のよう
 創世の女神がうらやむ美しい肢体には
 全てを凌駕する神聖な魔力を纏う
 絶対の美を体現する
 神話ですら彼女の前にひれ伏すであろう

 と謳われるほどの美女がついに人前に、いや婚姻できる可能性すら出てきていた。

 例年3刻ほどで終わる大会は、ついに5日目を終える。
 翌日決勝がおこなわれる運びとなり、ウッドモノルードは興奮に包まれていた。

※※※※※

 「団長、笑いが止まりませんなあ。今回の商売、今までで一番じゃねえですかい」

 猫族の族長の息子であり、旅団の副団長ルニル・エルートンがエール片手にそんなことを口走った。

 盛り上がっている武幻の儀式を観戦している多くの人でにぎわう酒場で、ルニルは団長であるキニット・ガルシスと遅めの夕食と洒落込んでいた。

 ルニルは濃い茶色の髪をバンダナで無造作にまとめ、濃い眉毛が特徴の30歳くらいに見える体格のがっしりとした男性だ。

 目には意外にも美しい理知的な青い瞳が宿っている。

 残念ながら無精ひげを伸ばしチャラチャラと幾つもの光物をぶら下げ、とても族長の息子には見えない。
 頭の上にある種族特性の大き目な耳が、全く似合っていない。
 因みに存在値は235。

 「だから言っただろうが。情報が命ってな。今回あの嬢ちゃんが出るって聞いた時には目が飛び出るほど驚いたもんだ。拠点のお宝を根こそぎ持ち出した俺に心配して、お前をつけるくらいだからなあ…族長も年食ったもんだぜ」

 そういって一気にエールを飲み干す。

 「プハーッ…いい仕事した後のコイツは最高だな…ねーちゃん、おかわり2つ!あとこの魚焼いたやつも追加で!」

 「はーい」

 店員があわただしく厨房の方へと消えていった。

 キニットは族長の甥にあたる。
 つまりルニルとは従兄弟同士だ。

 普段はお互い立場的に、別々に行動している。
 今回が特別だった。

 何しろ商機とみて、慌てて拠点でため込んだ数十年分のお宝をキニットが大量に詰め込み始めたのを見て族長が慌てたからだ。

 キニットは肩まで伸びる黄色がかった茶色の髪を後ろで結い上げ、はっきりとした形の良い眉に優し気なやや縦に長い目に、水色の瞳を持つ優男風な印象を受ける顔立ちだ。
 種族特性の猫耳が似合うナイスガイだ。

 首から覗く首飾りには、薄黄色のチャームが覗いている。
 存在値は344。
 旅団では最強だ。

 「まあ、いろんな奴が来るからな。警戒だけはしとかないと…今誰が番をしている?後で差し入れしてやらねーと」
 「バナーダと取り巻き連中だよ……クソッ!!…」

 お替りで来たエールに手を付けながら、ルニルは少しイラついたように口にする。
 そして何か思い出したように、一気に飲み干しテーブルにダンッ!と乱暴にジョッキを叩きつける。

 「そうか…って!?おい壊すなよ?…まああれだけ注意したんだ。仕事はやるだろ…大丈夫だよな?…確かに様子がおかしかったが」

※※※※※

 4日目が終わった後、旅団の中でちょっとした揉め事が起こっていた。

 「バナーダ!売り上げはどうした?…さっきよりやけに少なくねーか」

 そろそろ夜も近づき、一度売り上げを確認しようとルニルが金庫の魔道具を確認すると、明らかに昼より少なくなっていた。

 問われたのはバナーダ・ロッテロ。
 族長の妻であるミリノアの弟だ。

 うすい灰色の髪を手入れもせず伸ばしっぱなしにし、センスの悪いカチューシャで取り敢えず顔が見えるようにはしている。

 さがった眉毛に糸のような細い目、刻まれたしわが年齢よりもずっと年寄りに見える。
 種族特性の耳は片方が根元からちぎれている。
 存在値は164、旅団の中では強い方だ。

 年齢的には今回の旅団では一番の年長者だが、旅団に年齢は関係ない。
 族長がかつて「そういう下らないこと」で、旅団が割れる直前までなった事態があったことから、絶対のルールとして徹底している。

 「何言ってんだよ。一部は飲み食いで使えって団長様が言っただろ?だから少しもらっただけだ」

 ちらと面倒くさそうにこちらを見て、ぶっきら棒に答える。

 「ちょっとだと?…てめえ金貨が数十枚なくなってんだ。普段なら数日でやっと稼げる額だぞ。ふざけたこと言うなよ」
 「うるせーな。偉そうに…所詮しょせん族長の息子様のくせに団長すらなれねーてめえには言われたくねえんだよ」

 ルニルの額に血管が浮かぶ。
 視界が怒りでだんだん赤く染まっていく。

 旅団の中では禁句になっている内容だった。

 旅団のルールは絶対だ。
 能力の高いものがトップを張る。
 皆承知している。

 だがそれでも血筋というものは無視できるものではない。
 こんなナリでもルニルは優秀だ。
 団長になるものと誰もが、いや本人が強く確信していた。

 しかし天才が現れた。
 自分より4歳も年下で、小さい頃よく付きまとわれていた可愛い弟分、キニットだ。

 ルニルは納得していた。
 しているはずだった。

 しかし…

 今回は激昂してしまった。
 抑えが利かなくなってしまった。

 結果出血を伴う大喧嘩となり、他の団員が慌てて団長と治療術師を呼びに飛び出す騒ぎとなっていた。

 そんな様子をまるであざ笑うかのように、積荷を入れる大きな箱の中で薄っすら怪しい光を放ちながらオーブがいくつか転がっていた。
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