創造主である究極の魔王は自分が創造した異世界に再転生する~気付いた時にはハーレム状態?運命の人も勇者も神々も、俺の子を欲しがるのだが?~

たらふくごん

文字の大きさ
68 / 260

第68話 爆誕!?魔法少女キラリン茜

しおりを挟む
 『観覧の儀式』が始まる直前―――

 ダラスリニアは眷族けんぞくを従えここウッドモノルードに来ていた。

 「……くさい…いる…いっぱい」
 「ダラスリニアお嬢様、何か不穏な気配がありますな。先ほどから多くの木偶でくどもから例の魔力反応があります…消しますか?」

 眷族第1席の魔国軍東方総司令官で大公爵家当主のギルアデス・バランディアが胸に手を当て片膝をつきダラスリニアに問いかけた。

 ギルアデスは5000年以上生きている大魔族でダラスリニアの叔父だ。

 銀色に輝く髪を短くそろえ、頭には金で縁取られた黒いサークレットを装着している。
 やや吊り上がり気味の太い眉に金色の鋭い瞳、高く大きな鼻の下には奇麗に揃えられた髭を蓄え、歴戦の猛者の覇気を放つイケオジだ。

 堂々とした立派な体躯に黒を基調とした赤い幾つもの刺繍が施された執事服に身を包み、上品さの中に隠しきれない強者のオーラを纏っている。
 右目には細かい細工を施した眼帯をしている。
 魔眼持ちだ。

 存在値は5000を超えており、神々や茜以外では最強の一人だ。

 「…殺すのはダメ……除去…できない?」
 「お任せくださいませ。このギル、お嬢様の為なら出来ぬことなどございません」
 「…ありがと……おじさま」

 突然の叔父様呼びにギルアデスは悶絶した。
 表情には出さずに。

 「ダラスリニア様―、大変です!」

 そんな中、眷族第8席のマルガシュ・マナジが大声を出しながら走ってきた。
 なぜかギルアデスに睨まれるマルガシュ。

 「???…あっ、人がたくさん集まっている、えっと、武舞台で、反応が爆発的に増えてます。なんかやばそうですよ!消去が全然間に合わない」

 マルガシュが用件を伝え、ダラスリニアが難しそうな顔をしていると、不意に空間にきしむように魔力があふれ出した。

 「っ!!!?」

 転移してきた魔王ノアーナと茜。
 突然の圧倒的魔力に、茫然とする眷族の二人。

 二人一緒に来たことに、ダラスリニアは複雑な顔をしてしまう。

 「ああ、すまない。驚かせたようだ。…っ!?話は後だ。ダニー」

 ノアーナはそういってダラスリニアをまるで抱くように優しく包み込むとそのまま転移した。

 「……どこが…力を失った…だと?」
 「…やばいっすね…あの女の子も」

 雑踏の中、魔族の二人はしばらく立ち尽くした。

※※※※※

 「ダニー権能だ」

 ノアーナの中から、かつてを凌駕するほどの不思議な魔力が吹き上がった。

 「っ!…静!!!!」

 止まる世界。

 そこには雪崩のように押し寄せる欲望に目を汚した群衆が、一人の少女に向けたおぞましい悪意の意思が渦巻いていた。

 止まる世界の中で、なぜか権能をはじいた少女。
 髪を引きちぎられ、衣服はボロボロで体中にはひどい痣があり、左足は切り裂かれたように激しく出血して、茫然としながら涙を流しながら絶望していた。

 ノアーナは心に激しい怒りを覚えながら、怖がらせないように精一杯優しく語りかけた。
 同時に回復魔法を発動させながら。

 「お嬢さん、もう大丈夫だ。とりあえず飛ぶよ。つかまって」

 混乱しているのだろう。
 のろのろとした動きでゆっくりと少女はノアーナの手を取る。
 …刹那ノアーナに体中をすさまじい勢いで駆け巡る激痛のようなものが走った。

 「っ!?くああっっ!?…っ飛ぶっ…転移!!」

 意識をぶつ切りにされるような激しい痛みに耐えながらも、その場から消えるノアーナたち。
 権能が切れた群衆は少女が居なくなったことにも気づかずに、対象を変え暴虐の限りを加速させた。
 長老だったモノや薙ぎ倒されたもの、一瞬躊躇ちゅうちょしたものなど、弱いものから蹂躙されていった。

 まさに地獄が広がっていく―――

※※※※※

 ウッドモノルードの北には通称『不帰かえらずの森』と呼ばれる魔物の生息する森がある。
 とにかく遠くへ!と、突然の体の中をぐちゃぐちゃにされそうな中、俺は不帰の森のごく浅い場所へどうにかたどり着いた。

「ぐっ?!!…ぐああっっ……ふー…ふー……くうっ?!」

 うずくまり苦しむ俺。
 その様子にダラスリニアと茜はオロオロとしてしまう。

 一方助け出した子も、気を失って倒れてしまった。

 「どっどっ、どうしよう?!ダニーちゃん。ああ、回復…って私出来ないよ!?」
 「…茜…落ち着いて……ノアーナ様?」

 何とか落ち着いてきた俺はおもむろに魔力を揺蕩らせ回復を試みる。
 痛みが引き、熱くなった頭が少し冷え二人に視線を投げた。

 「すまない。心配をかけた…ふう…大丈夫だ……少女は…?!」

 すぐ横で気を失っている少女。
 彼女の胸が呼吸とともに緩やかに上下していることが見えた。
 彼女も無事だ。

 思わず安堵の息を吐く俺に突然茜とダラスリニアが抱き着いてきた。

 「心配した…光喜さん…」
 「…怖かった…ノアーナ様」

 心配してくれる愛おしい二人。
 二人の頭を優しくなでながら俺は想いを馳せた。

 (先刻のは…彼女の、心?…なぜ…あんなに?)

 驚くほど、全く抵抗することなく流れ込んできた恐ろしい意識。
 今だ経験のないその現象。

 俺は無意識のうちに身震いするのだった。

 同時になにか心が訴えかけてくるもの…
 俺は漠然とした不安に駆られていた。

※※※※※

 やがてほぼ回復した俺。
 そしてこうしている時間にもあの街は大変なことになっているはずだった。

 「…そうだ、何とかしないとな。このままだとあの里は全滅するぞ…茜、どうやらお前の出番のようだな。あれをやるぞ」

 「えっ!?」

 何故か固まる茜。
 みるみる顔が赤くなっていく。

 「ダニー、すまないがウッドモノルードに戻って事態の収拾に向けて動いてくれ。眷属に必ず魔石とリンクしろと伝えてな。頼むぞ」

 そういってダラスリニアを見つめる。
 赤く染まる彼女の顔。

 「気を付けてな…絶対に死ぬな。皆で帰るぞ」
 「……大丈夫…がんばる」

 ダラスリニアが転移するのを見届け、すっかり赤くなった茜に向き合い俺は再度声をかけた。
 なぜか茜はビクッと体をこわばらせ、あきらめたように溜息をつく。

 そして呟き、叫ぶ。

 「……魔法少女キラリン茜……いや―――――!!」

 体をうねらせモジモジする茜。
 眼がぐるぐる回りフラフフラだ。

 「…アートのお墨付きなんだろ?まあ、ちょっと…うん。でも、この世界の皆は知らないから、きっと恥ずかしくは、ないんじゃないかな?ハハ、ハハハ…」

※※※※※

 今回の事態に備え、様々なサンプルを解析した結果。
 やはり『琥珀色に緑』が混じる茜の魔力が最大に効果を発揮することが確認されていた。

 そしてわれらが頭脳であるアースノート監修のもと、ついに決戦兵器となる茜の【必殺技】が開発されたのだ。

 恥じらう乙女の心の光ビーム『ラブストーム・極み♡』

 それが今回の正体だ。

 すなわち『魔法少女のようなコスプレをし恥ずかしいきめポーズと愛らしい表情から繰り出される、音波兵器』という結論に至っていた。

 茜はもちろん猛反対。
 しかし無情な実験データが、茜が恥ずかしければ恥ずかしがるほど効果が上がるとのデータがそろい、証明されてしまったのだ。

 まあ、な。
 うん。
 きっと可愛いぞ?

 頑張れ、茜!!
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた

ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。 遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。 「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。 「異世界転生に興味はありますか?」 こうして遊太は異世界転生を選択する。 異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。 「最弱なんだから努力は必要だよな!」 こうして雄太は修行を開始するのだが……

『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。  ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。  剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。  ――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。  面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。  そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。  「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。  昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。  ……だから、今度は俺が――。  現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。  少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。  引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。 ※こんな物も召喚して欲しいなって 言うのがあればリクエストして下さい。 出せるか分かりませんがやってみます。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

少し冷めた村人少年の冒険記

mizuno sei
ファンタジー
 辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。  トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。  優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。

処理中です...