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第78話 ダラスリニアの恋の物語
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ダラスリニアは魔国王の弟である大公爵家の長女だ。
生まれた時より多くの能力に恵まれた魔国王の権利を有する姫だった。
小さいころから多くの人から大事にされ育った彼女だが、あまりの才能と地位に同年代の子供たちからは嫉妬され煙たがられた。
友達が欲しかったダラスリニアは何とかしようと藻掻いた。
しかし身分が邪魔をし受け入れてもらうことはできずに寂しい想いをしていた。
さらには彼女の政敵になりうる大人たちは彼女の才能に恐れをなし嫌がらせをした。
襲われ命の危険も1度や2度ではなかった。
元々内気な性格もあり、性根が優しかった彼女は一切を不問とした。
わだかまりを抱えつつも、誰よりも努力を続け、凄まじい速さで力をつけていった。
きっと報われると信じて。
そんなとき彼女に弟ができた。
ダラスリニアほどではないが才能に恵まれた弟は、すぐさまにダラスリニアの権利を奪っていった。
同時に彼女に対する親たちの興味が薄れるのをなぜか諦めた気持ちに支配され、徐々に感情を表に出すことが怖くなっていく。
『貴方はもう頑張らなくても良いの。嫁ぐのですから、その技術を磨きなさい』
そう言って笑う母親が、何か知らない生き物に思えた。
彼女の、欲しいものを我慢して嫌がらせに耐え、努力した数年間が無駄になった瞬間だった。
もちろん虐待を受けたり、冷遇されたりはしない。
むしろ他に比べれば十分すぎるほどの愛情を受けていたのだが。
そんな時、極帝の魔王ノアーナが魔国を訪れた。
彼は神の候補を探し、この国の才能ある人材を確保しにやってきていた。
はじめて彼を見たダラスリニアは思わず固まってしまった。
夢見がちな少女が陥る、白馬の王子様に見えた。
迸る魔力はあり得ないほど莫大で、その自信に満ちた姿は、正に自身に一番欠けているものだった。
彼女は一目見ただけで、ノアーナに恋に落ちた。
でも…
きっとこの気持ちはかなうことはない。
そう諦めていた。
魔国ではすでに前触れがあったようで、すでに数名の候補者が準備されていて、当時のダラスリニアは婚姻が決まっていたため選ばれることはなかった。
誰よりも才能があったにもかかわらず。
陰謀により政略結婚の駒にされてしまっていた。
選定の儀式が行われる日のパレードで、内気な少女は口をつぐみ、ただ観衆に紛れ見ることしかできずに諦めていた。
自分はいったいなんのために頑張ってきたんだろう。
そんな考えに支配されながら、歓喜する観衆の中で一人涙を流していた。
嫁ぎ先は辺境伯の長男で1500歳年上のいやらしい目つきでじろじろと私を胸ばかり見た気持ち悪い男だった。
叔父であるギルアデスは最後まで私の味方でいてくれたが、家長の父上の言うことは絶対だった。
「……帰ろう…ぐすっ…ひっく…」
観衆から離れ、とぼとぼと歩き出した時、奇跡が私を包み込んだ。
「お嬢さん?名前は?俺はノアーナという。どうか君の力を貸してくれないか」
わたしの時間が止まった。
※※※※※
そして始まる5000年の恋。
ノアーナ様はいつでも優しい。
もちろん特別扱いはしてくれない。
女としてみてはくれない。
ドロドロした欲望を向けても、彼は優しい笑顔でかわすのだ。
ある時彼は『クマのような』ぬいぐるみをプレゼントしてくれた。
『ダニーは寂しがり屋だからな。これを俺だと思って大事にしてくれ』
きっと軽い気持ちで彼は言ったのだろう。
でも、命より大事な宝物になったんだ。
ある時私は尋ねた。
どうして私を選んだのか。
あの時用意されていた女性たちは、間違いなく私より美しく力にあふれていた。
不思議だった。
『お前の努力した真核の輝きに惚れたんだ。どんなに辛くても挫けなかったお前の真核、見事だったぞ。俺はお前の努力を尊敬する』
心臓が止まるかと思った。
『あんなに美しい真核を俺は見たことがなかった。ダニー、照れくさいから一回しか言わないぞ。俺を選んでくれてありがとう。ずっと俺を助けてくれ』
そういってノアーナ様は私を抱きしめてくれた。
体が震え、魂が震え、流れ出る涙を止めることができなかった。
涙で彼の顔が滲んでいた。
いつまでも声をあげて泣き続ける私を、彼はまるで宝物を抱きしめるように優しくいつまでも大きな愛で包んでくれたんだ。
そして私は。
儀式とはいえ彼と結ばれた。
心が溶けてなくなる程の幸せに包まれ…
あり得ないほどの快感に。
わたしはこの数千年間の中で。
最高の幸せを手に入れることができた…
でも
きっと彼は居なくなる。
あの人を選ぶんだ。
わたしを捨てて。
あの優しい瞳を、
優しいまなざしを
温かい手を
違う人に捧げるため――
そして私はエリスラーナのブレスに飲み込まれた。
消えてしまいたかったのだろう。
……………
あの人…ネルさん。
凄い人だった。
ああ、理解してしまう。
勝てない。
でも、彼女の覚悟は美しかったんだ。
嫉妬してしまうほどに。
だから
わたしは『諦める事を諦める』決心をした。
もう泣かない。
わたしの5000年の想いは…
誰にも負けないから。
生まれた時より多くの能力に恵まれた魔国王の権利を有する姫だった。
小さいころから多くの人から大事にされ育った彼女だが、あまりの才能と地位に同年代の子供たちからは嫉妬され煙たがられた。
友達が欲しかったダラスリニアは何とかしようと藻掻いた。
しかし身分が邪魔をし受け入れてもらうことはできずに寂しい想いをしていた。
さらには彼女の政敵になりうる大人たちは彼女の才能に恐れをなし嫌がらせをした。
襲われ命の危険も1度や2度ではなかった。
元々内気な性格もあり、性根が優しかった彼女は一切を不問とした。
わだかまりを抱えつつも、誰よりも努力を続け、凄まじい速さで力をつけていった。
きっと報われると信じて。
そんなとき彼女に弟ができた。
ダラスリニアほどではないが才能に恵まれた弟は、すぐさまにダラスリニアの権利を奪っていった。
同時に彼女に対する親たちの興味が薄れるのをなぜか諦めた気持ちに支配され、徐々に感情を表に出すことが怖くなっていく。
『貴方はもう頑張らなくても良いの。嫁ぐのですから、その技術を磨きなさい』
そう言って笑う母親が、何か知らない生き物に思えた。
彼女の、欲しいものを我慢して嫌がらせに耐え、努力した数年間が無駄になった瞬間だった。
もちろん虐待を受けたり、冷遇されたりはしない。
むしろ他に比べれば十分すぎるほどの愛情を受けていたのだが。
そんな時、極帝の魔王ノアーナが魔国を訪れた。
彼は神の候補を探し、この国の才能ある人材を確保しにやってきていた。
はじめて彼を見たダラスリニアは思わず固まってしまった。
夢見がちな少女が陥る、白馬の王子様に見えた。
迸る魔力はあり得ないほど莫大で、その自信に満ちた姿は、正に自身に一番欠けているものだった。
彼女は一目見ただけで、ノアーナに恋に落ちた。
でも…
きっとこの気持ちはかなうことはない。
そう諦めていた。
魔国ではすでに前触れがあったようで、すでに数名の候補者が準備されていて、当時のダラスリニアは婚姻が決まっていたため選ばれることはなかった。
誰よりも才能があったにもかかわらず。
陰謀により政略結婚の駒にされてしまっていた。
選定の儀式が行われる日のパレードで、内気な少女は口をつぐみ、ただ観衆に紛れ見ることしかできずに諦めていた。
自分はいったいなんのために頑張ってきたんだろう。
そんな考えに支配されながら、歓喜する観衆の中で一人涙を流していた。
嫁ぎ先は辺境伯の長男で1500歳年上のいやらしい目つきでじろじろと私を胸ばかり見た気持ち悪い男だった。
叔父であるギルアデスは最後まで私の味方でいてくれたが、家長の父上の言うことは絶対だった。
「……帰ろう…ぐすっ…ひっく…」
観衆から離れ、とぼとぼと歩き出した時、奇跡が私を包み込んだ。
「お嬢さん?名前は?俺はノアーナという。どうか君の力を貸してくれないか」
わたしの時間が止まった。
※※※※※
そして始まる5000年の恋。
ノアーナ様はいつでも優しい。
もちろん特別扱いはしてくれない。
女としてみてはくれない。
ドロドロした欲望を向けても、彼は優しい笑顔でかわすのだ。
ある時彼は『クマのような』ぬいぐるみをプレゼントしてくれた。
『ダニーは寂しがり屋だからな。これを俺だと思って大事にしてくれ』
きっと軽い気持ちで彼は言ったのだろう。
でも、命より大事な宝物になったんだ。
ある時私は尋ねた。
どうして私を選んだのか。
あの時用意されていた女性たちは、間違いなく私より美しく力にあふれていた。
不思議だった。
『お前の努力した真核の輝きに惚れたんだ。どんなに辛くても挫けなかったお前の真核、見事だったぞ。俺はお前の努力を尊敬する』
心臓が止まるかと思った。
『あんなに美しい真核を俺は見たことがなかった。ダニー、照れくさいから一回しか言わないぞ。俺を選んでくれてありがとう。ずっと俺を助けてくれ』
そういってノアーナ様は私を抱きしめてくれた。
体が震え、魂が震え、流れ出る涙を止めることができなかった。
涙で彼の顔が滲んでいた。
いつまでも声をあげて泣き続ける私を、彼はまるで宝物を抱きしめるように優しくいつまでも大きな愛で包んでくれたんだ。
そして私は。
儀式とはいえ彼と結ばれた。
心が溶けてなくなる程の幸せに包まれ…
あり得ないほどの快感に。
わたしはこの数千年間の中で。
最高の幸せを手に入れることができた…
でも
きっと彼は居なくなる。
あの人を選ぶんだ。
わたしを捨てて。
あの優しい瞳を、
優しいまなざしを
温かい手を
違う人に捧げるため――
そして私はエリスラーナのブレスに飲み込まれた。
消えてしまいたかったのだろう。
……………
あの人…ネルさん。
凄い人だった。
ああ、理解してしまう。
勝てない。
でも、彼女の覚悟は美しかったんだ。
嫉妬してしまうほどに。
だから
わたしは『諦める事を諦める』決心をした。
もう泣かない。
わたしの5000年の想いは…
誰にも負けないから。
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