84 / 260
第84話 一人のグースワースと犬も食わないもの
しおりを挟む
その後ネルが3人分の紅茶をいれてくれ茜の報告を聞いた。
アースノート謹製の装備一式は、あり得ないほどの高性能で存在値をとことん上げた茜にとってまさに鬼に金棒だった。
「すごいな。今の茜は多分世界最強だぞ。まさか茜が勇者とはな。ていうか亜神になってるし。その装備は俺も殺せるほどの力がある」
俺の言葉にネルがビクッと体を震わす。
「まあそんなことあり得ないけどね。でも相手はノアーナ様の力持っているんだからこれは必要なんだよね……やっと恩返しができそう。良かったよ」
茜がすがすがしい表情で話を続ける。
そして目に怪しい光がともる。
「一ついいかな?…この装備ね(嘘だけど)燃費悪いんだよね。ノアーナ様に補給してもらいたいんだけど。良いかな」
「っ!?…なにを……その…」
俺は気まずくなり視線をさまよわせる。
茜が突然馬鹿にしたような口ぶりで、大きい声で言葉を吐いた。
「あれあれー?なに?ノアーナ様?ネルさんに言ってないの?私たちを抱いている事?えっ、噓でしょ?あり得なーい。運命のヒトなんでしょ?まじで?隠し事はダメだよー。いつもあんなに激しく抱いてくれるのに。愛してるっていつも言うのに」
俺は顔を真っ赤にして思わず叫んでしまった。
「馬鹿!そんなこと今言わなくてもいいだろ!何考えてるんだ!!」
茜の目から涙があふれる。
俺を睨み付けて言葉を続けた。
「そんなこと?…そんなことって言った?…酷いよ…あんまりだよ…ねえ、今のノアーナ様、凄く格好悪いよ。酷すぎるよっ!!」
茜は転移していった。
テーブルの上で3つのティーカップから湯気が立ち上っていた。
静寂が隠れ家を包む。
俺は思わず頭を抱え込んでしまった。
自分がなあなあにしていたことを、茜に指摘されて激昂してしまった。
俺は最低だ…
ネルに出会えて浮かれていた。
皆のことをないがしろにしていた。
酷い事を言ってしまった。
何より、ネルを傷つけた。
沈黙を続けていたネルがゆっくりと口を開く。
「…ノアーナ様。なんで彼女が泣いたかお分かりになりますか?」
「え?……ああ…俺が酷い…言葉を……」
初めて見る、心が凍えそうになる表情で、ネルは大きくため息をついた。
「まったく。…どうせわたくしが傷ついたー、とか思っていらっしゃるんでしょうけど……呆れているのですよ」
「…えっ?…」
「ああ、皆さまが苦労なさるのがよくわかります」
「……あの…え?…」
ネルは突然立ち上がり、俺を見下ろしながら強めの口調で言い放った。
「余りわたくしを舐めないでいただけますか?他の皆さまもです」
「きっと皆さまはわたくしのことをよくは思っていないでしょう。当然です。愛するあなたを奪うのですから」
「っ!そんなこと…」
「あるのですよ。わたくしだって茜さんに嫉妬しています」
「っ!!?」
「まったくあなたはどこまでも不器用で誠実な方なのですね。愛は奪い合いですよ?」
ネルから覚悟の籠った魔力が吹き上がる。
「もう一度言います。舐めないでください。わたくしはどんなことがあってもあなたを愛し続けます。わたくしが信念において、わたくし自身で決めたのです。この気持ちはたとえあなた様でも汚させることは許しません。…そして、皆さまもわたくしと同じ気持ちです。目を見ればわかります。女ですから」
「……」
「貴方様は全部を愛すると決めたのでしょう?そうしてください。嫉妬の炎は燃やしますけれど」
「…俺は君を傷つけたくない」
「それが馬鹿にしていると、舐めているという事に気がついてください。わたしはあなたの所有物ではありません。心がある一人の女性です。私の心をあなた様に決める権利はございません」
「……どうすれば…」
「ふふっ、お可愛い事。悩んでくださいませ。しばらくわたくしはこちらで生活いたします。グースワースでゆっくり考えるのもよろしいかと存じます。ではごきげんよう」
ネルは部屋を出ていった。
※※※※※
どうしよう。
彼女の言っていることが全く理解できない。
……俺が悪いのか?
頭を抱えたまま、俺は一人隠れ家で悩み続けた。
そして俺は一人でグースワースに転移していったのだ。
アースノート謹製の装備一式は、あり得ないほどの高性能で存在値をとことん上げた茜にとってまさに鬼に金棒だった。
「すごいな。今の茜は多分世界最強だぞ。まさか茜が勇者とはな。ていうか亜神になってるし。その装備は俺も殺せるほどの力がある」
俺の言葉にネルがビクッと体を震わす。
「まあそんなことあり得ないけどね。でも相手はノアーナ様の力持っているんだからこれは必要なんだよね……やっと恩返しができそう。良かったよ」
茜がすがすがしい表情で話を続ける。
そして目に怪しい光がともる。
「一ついいかな?…この装備ね(嘘だけど)燃費悪いんだよね。ノアーナ様に補給してもらいたいんだけど。良いかな」
「っ!?…なにを……その…」
俺は気まずくなり視線をさまよわせる。
茜が突然馬鹿にしたような口ぶりで、大きい声で言葉を吐いた。
「あれあれー?なに?ノアーナ様?ネルさんに言ってないの?私たちを抱いている事?えっ、噓でしょ?あり得なーい。運命のヒトなんでしょ?まじで?隠し事はダメだよー。いつもあんなに激しく抱いてくれるのに。愛してるっていつも言うのに」
俺は顔を真っ赤にして思わず叫んでしまった。
「馬鹿!そんなこと今言わなくてもいいだろ!何考えてるんだ!!」
茜の目から涙があふれる。
俺を睨み付けて言葉を続けた。
「そんなこと?…そんなことって言った?…酷いよ…あんまりだよ…ねえ、今のノアーナ様、凄く格好悪いよ。酷すぎるよっ!!」
茜は転移していった。
テーブルの上で3つのティーカップから湯気が立ち上っていた。
静寂が隠れ家を包む。
俺は思わず頭を抱え込んでしまった。
自分がなあなあにしていたことを、茜に指摘されて激昂してしまった。
俺は最低だ…
ネルに出会えて浮かれていた。
皆のことをないがしろにしていた。
酷い事を言ってしまった。
何より、ネルを傷つけた。
沈黙を続けていたネルがゆっくりと口を開く。
「…ノアーナ様。なんで彼女が泣いたかお分かりになりますか?」
「え?……ああ…俺が酷い…言葉を……」
初めて見る、心が凍えそうになる表情で、ネルは大きくため息をついた。
「まったく。…どうせわたくしが傷ついたー、とか思っていらっしゃるんでしょうけど……呆れているのですよ」
「…えっ?…」
「ああ、皆さまが苦労なさるのがよくわかります」
「……あの…え?…」
ネルは突然立ち上がり、俺を見下ろしながら強めの口調で言い放った。
「余りわたくしを舐めないでいただけますか?他の皆さまもです」
「きっと皆さまはわたくしのことをよくは思っていないでしょう。当然です。愛するあなたを奪うのですから」
「っ!そんなこと…」
「あるのですよ。わたくしだって茜さんに嫉妬しています」
「っ!!?」
「まったくあなたはどこまでも不器用で誠実な方なのですね。愛は奪い合いですよ?」
ネルから覚悟の籠った魔力が吹き上がる。
「もう一度言います。舐めないでください。わたくしはどんなことがあってもあなたを愛し続けます。わたくしが信念において、わたくし自身で決めたのです。この気持ちはたとえあなた様でも汚させることは許しません。…そして、皆さまもわたくしと同じ気持ちです。目を見ればわかります。女ですから」
「……」
「貴方様は全部を愛すると決めたのでしょう?そうしてください。嫉妬の炎は燃やしますけれど」
「…俺は君を傷つけたくない」
「それが馬鹿にしていると、舐めているという事に気がついてください。わたしはあなたの所有物ではありません。心がある一人の女性です。私の心をあなた様に決める権利はございません」
「……どうすれば…」
「ふふっ、お可愛い事。悩んでくださいませ。しばらくわたくしはこちらで生活いたします。グースワースでゆっくり考えるのもよろしいかと存じます。ではごきげんよう」
ネルは部屋を出ていった。
※※※※※
どうしよう。
彼女の言っていることが全く理解できない。
……俺が悪いのか?
頭を抱えたまま、俺は一人隠れ家で悩み続けた。
そして俺は一人でグースワースに転移していったのだ。
0
あなたにおすすめの小説
神様、ちょっとチートがすぎませんか?
ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】
未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。
本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!
おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!
僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。
しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。
自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。
へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/
---------------
※カクヨムとなろうにも投稿しています
異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。
お小遣い月3万
ファンタジー
異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。
夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。
妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。
勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。
ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。
夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。
夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。
その子を大切に育てる。
女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。
2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。
だけど子どもはどんどんと強くなって行く。
大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
『召喚ニートの異世界草原記』
KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。
ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。
剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。
――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。
面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。
そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。
「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。
昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。
……だから、今度は俺が――。
現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。
少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。
引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。
※こんな物も召喚して欲しいなって
言うのがあればリクエストして下さい。
出せるか分かりませんがやってみます。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた
ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。
遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。
「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。
「異世界転生に興味はありますか?」
こうして遊太は異世界転生を選択する。
異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。
「最弱なんだから努力は必要だよな!」
こうして雄太は修行を開始するのだが……
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる