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第159話 魔物との死闘1
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ナハムザートを先頭に、ドラゴニュート隊は森の中を突き進んでいた。
彼らは元々戦闘に長けた種族だ。
種族特性でほとんどのものがブレスを扱え、わずかではあるが自動回復が常時発動している。
つまり魔素を吸収し、小さい怪我なら回復する。
そして厚い鱗に包まれた屈強な体は、下位の呪文や程度の低い物理攻撃も弾く天然の鎧だ。
そして特にオスは女を守るため、闘争本能が高い。
生まれた時に既にほとんどの個体が存在値100を超えている。
グースワースのドラゴニュート隊で一番弱かったダグラスでさえ、訓練のおかげで今は400を超えていた。
この世界の強さの基準において、300がボーダーラインとなっている。
300を超えれば一応英雄クラスと呼べるのだ。
もちろん種族によっても捉え方は色々ある。
竜種などは1000越えが当たり前。
大魔族も5000に届く猛者もいる。
古龍に至っては5000クラスがゴロゴロいるのだから。
だがまあ、300を超えれば普通はそれなりだ。
ただ、グースワースが特別なのだ。
※※※※※
先頭を進んでいたナハムザートの足が止まる。
5人もそれぞれ足を止め重心を落としそれぞれ武器を構えた。
「居やがるな……多いぞ。囲まれたな……おい、ルー」
「はい。…幻影魔法ですか?」
ガルナルーのフレイルを持つ手に力が入る。
「いや、最大火力の火の魔法を前方に打ち込め。他は着弾と同時に突撃だ」
瞬間ガルナルーは習得したばかりの炎の上位魔法を紡ぎだした。
「ヘルファイヤ!!!」
ガルナルーの上空に、直径5メートルはある中心が黒く周りを紅蓮の炎がまとう巨大な火の玉が出現し、そのまま前方20メートル地点に着弾する。
ドンッ!!!
…ゴウッ!!!!
衝撃音とともに目の前一面に顕現する灼熱地獄。
一斉に飛び出すドラゴニュート達。
炎に巻き込まれた魔物たちが慌てふためいている。
「おらっ!いただきい!!」
「くらえっ!!」
「はあああっ!!」
ジャイアントリザードの群れを端から切り捨てる。
「っ!?奥からまだ来ます!!」
魔法をたたき込み後方にいたガルナルーが大きな声で前線に伝え、次の魔法を詠唱、魔力をたぎらせ大声を上げた。
「アイスバレット!!!」
数十個の氷のつぶてが、きりもみ回転しながら奥から来たネオウルフの群れを蹂躙する。
「キャイン!!」
「ガフッ!」
「ワオ―――ン!!!」
あっという間に乱戦に包まれるドラゴニュート達。
そして5人は継戦体系へとその陣形を変えていた。
「ちっ、まだ浅い場所だっていうのに、やけに多いな……おい、ルーよ、アズガイヤに伝達しろ。まずいかもしれん」
「っ!?…了解です!!……『アズガイヤさん、8番です。はい。至急で。今北方500です』…伝達終了しました」
「おう、皆踏ん張れよ。ここを防衛線とする。気合い入れろ!!」
おもむろにナハムザートがブレスを吐き出し、目の前のジャイアントリザードとネオウルフを薙ぎ払う。
しかし魔物の後ろからはアルラウネ・シードが少なくとも10体以上、怪しく揺らめきながら近づいて来た。
「クルアアアアアア!!!」
そしてさらには上空からはワイバーンの群れ。
「はああ、食らえ!!」
イングリールが空に向かい、土属性のつぶてを含むブレスを吐き出す。
「ヘルファイア!!」
アルラウネ・シード達の中央に、炎の華がその猛威を振るう。
「フシャアアアアアアアアーーーー」
焼かれ悶えるアルラウネ・シードが一斉に幻惑の甘い息を吐き出す。
「このおっ!!!クハアアアアアアア!!!!」
ガルナローのブレスが相殺し、ドロスが突っ込みアルラウネ・シードを切り伏せる。
ドロスは保護の術式を組み、体液をレジストしていた。
「グギャアアアアア!!!!」
「クルアアアアア!!!」
上空では重力を無視したようにナハムザートが無双状態で次々ワイバーンを叩き落していく。
圧倒的な火力と鍛えられた物理。
瞬く間に魔物の群れは沈黙した。
「…ふう、取り敢えず落ち着いたな。…皆怪我はないか?」
「「「はい」」」
「問題ありやせん」
そして皆がお互いの背を預ける体制で集合し周囲に鋭い視線を投げる。
おびただしい数の魔物の死体と焼けこげる匂いが充満し、まさに地獄のような状況が出来上がっていた。
「……食材には……無理だな。ぐちゃぐちゃだ。おい、回復しておけよ。どうもおかしいからな」
皆が腰に巻いてあるポータブル式のマジックバックから特製ポーションを取り出し飲み干す。
全員の体が緑の魔力に包まれ、体中に力がいきわたる。
「よし、警戒して進むぞ」
※※※※※
俺は執務室で森の調査に赴いていたウルリラとニル・ドラーナから報告を聞き、腕を組み考えていた。
「ノアーナ様、どうもおかしいです。普段奥地から出てこないヒュドラまで確認できました」
ウルリラが追加の情報を俺に告げる。
「ノアーナ様、精霊が騒がしい。何かが起きています」
ニル・ドラーナも心配気に報告してくれた。
彼女は魔族の女性で精霊との親和性の高い魔法士だ。
薄い朱色の髪を肩口で切りそろえ、同じ色の形の良い眉毛の下には銀色の瞳が瞬いている。
かたちの良い鼻に薄い唇はピンクに色づき、可愛らしい女性だ。
身長は165cmくらい。
年齢は20歳くらいで、以前はラズたちとパーティーを組んでいた。
スタイルの良い胸のやや大き目な姿は、男の目を引いてしまう。
俺はちらと横にいるネルを見やり、声をかけた。
「ネル、どう思う」
「…ダンジョンブレイクでしょうか。奈落の大穴は生きているんですよね?」
「ああ、あれがないとモンスターが減るから放置していたが。今ナハムザートたちが調査に向かっていたな」
俺は答えながらムクに念話を飛ばす。
「……ああ、来てくれ」
空間が軋み魔力が弾ける。
相変わらずムクは優秀だ。
「お呼びでしょうかノアーナ様」
そして美しい礼をする。
「すまないな。森がおかしい。どの程度掴んでいる?」
「はっ。奈落の大穴に大物がいるようですな。排除しますか」
「特定はできているのか?」
「申し訳ありません。どうも『竜種では』と愚考いたします」
「ふむ……悪意は反応あるか」
「いえ、……ですが、可能性はあるかと」
俺は椅子の背もたれに体を預け天井を見上げた。
通常のダンジョンブレイクならナハムザートたちでも十分対処は可能だ。
だが万が一悪意は絡めば……最悪全滅するかもしれない。
存在値が1000を超えた魔物が悪意に囚われた場合琥珀石では弾かれる恐れがある。
そしてもし奈落の大穴の奥の魔物が溢れれば……
この大陸自体が危ない。
「よし、俺が出よう。ネル、一緒に行くか。お前の努力の成果も見たいしな」
ネルは目を輝かせ頬を上気させれを見つめる。
「はい。お供いたします。……不謹慎かもしれませんが……嬉しいです」
俺はネルの頭を撫でてやる。
目を細め気持ちよさそうにする姿に俺の胸が熱くなる。
「ああ、可愛い。ふう……ムク、おまえも来い。ヒューネレイに引き継いでグースワースを守れ。打ち漏らしがいるだろう」
ムクがにやりと笑う。
嬉しそうだ。
「ナハムザートたち以外のドラゴニュート隊とカンジーロウの戦闘部隊を呼び戻させろ。ドラゴニュート隊はナハムザートと合流させ前線の維持及び掃討だ。カンジーロウたちはグースワースの死守だ」
俺は次々に指示を飛ばす。
「承知しました」
「半刻後に出立する。ウルリラとニルは引き続き調査だ。分かっていると思うが命を優先させろ。また皆でうまいものを食うんだからな」
「はっ」
「わかりました」
俺は頷き、談話室へと飛んだ。
※※※※※
「ミュー、ちょっといいか」
休憩しているミュールスに俺は声をかけた。
大分打ち解けたとはいえ、どうも俺が苦手のようだが緊急事態だ。
あてにさせてもらう。
「っ!…はい、な、なんでしょうか」
ビクッとしたが何とか俺の問いかけには答えてくれるようだ。
「ああ、すまないないきなり。どうやら森がおかしいんだ。お前の力を俺に貸してくれないか?」
「えっ?」
「もしグースワースが襲われたら、皆を守ってもらいたいんだ。頼めるか」
俺はミュールスの美しいローズ色の瞳を見つめる。
ミュールスの頬がうっすらと色づき始めた。
「…はい。この命に代えても」
力強くうなずく彼女。
「ありがとう。だが絶対に守る。約束だ」
俺は優しくハグをした。
控えめだがミュールスも俺を抱きしめてくれた。
「……はい。……嬉しいです。頼られて」
「ああ、頼んだ」
俺はミュールスの美しい髪を優しく撫でた。
カナリアが微笑ましいものを見るような目で見ているが…
悪いがお前の力も俺は欲している。
「カナリア、皆を談話室に集めておいてくれ。警戒態勢だ。指示を頼む。……『プランB』だ」
「!?……は、はい。承知いたしました」
カナリアが少し怪訝そうな顔をしたが俺は見なかったことにした。
そして俺はレーランの存在を捉え転移する。
レーランはコロンと一緒に図書館にいた。
「レーラン、森がおかしい。すまないがここを守ってくれ」
俺の様子に、コロンの顔に驚愕が浮かぶ。
流石にレーランは落ち着いているが。
「わかりました……もしかしてノアーナ様自ら出立ですか?」
「ああ。もしかしたら…だがな。俺にとってここは絶対に守りたい場所なんだよ」
「承知いたしました。わたしも行きたいところですが……お任せください」
「ああ、助かる。コロンも力を貸してくれ。…ではな」
「はい。行ってらっしゃいませ」
※※※※※
これで準備は整った。
さあ、俺たちの楽園を守ろうじゃないか。
彼らは元々戦闘に長けた種族だ。
種族特性でほとんどのものがブレスを扱え、わずかではあるが自動回復が常時発動している。
つまり魔素を吸収し、小さい怪我なら回復する。
そして厚い鱗に包まれた屈強な体は、下位の呪文や程度の低い物理攻撃も弾く天然の鎧だ。
そして特にオスは女を守るため、闘争本能が高い。
生まれた時に既にほとんどの個体が存在値100を超えている。
グースワースのドラゴニュート隊で一番弱かったダグラスでさえ、訓練のおかげで今は400を超えていた。
この世界の強さの基準において、300がボーダーラインとなっている。
300を超えれば一応英雄クラスと呼べるのだ。
もちろん種族によっても捉え方は色々ある。
竜種などは1000越えが当たり前。
大魔族も5000に届く猛者もいる。
古龍に至っては5000クラスがゴロゴロいるのだから。
だがまあ、300を超えれば普通はそれなりだ。
ただ、グースワースが特別なのだ。
※※※※※
先頭を進んでいたナハムザートの足が止まる。
5人もそれぞれ足を止め重心を落としそれぞれ武器を構えた。
「居やがるな……多いぞ。囲まれたな……おい、ルー」
「はい。…幻影魔法ですか?」
ガルナルーのフレイルを持つ手に力が入る。
「いや、最大火力の火の魔法を前方に打ち込め。他は着弾と同時に突撃だ」
瞬間ガルナルーは習得したばかりの炎の上位魔法を紡ぎだした。
「ヘルファイヤ!!!」
ガルナルーの上空に、直径5メートルはある中心が黒く周りを紅蓮の炎がまとう巨大な火の玉が出現し、そのまま前方20メートル地点に着弾する。
ドンッ!!!
…ゴウッ!!!!
衝撃音とともに目の前一面に顕現する灼熱地獄。
一斉に飛び出すドラゴニュート達。
炎に巻き込まれた魔物たちが慌てふためいている。
「おらっ!いただきい!!」
「くらえっ!!」
「はあああっ!!」
ジャイアントリザードの群れを端から切り捨てる。
「っ!?奥からまだ来ます!!」
魔法をたたき込み後方にいたガルナルーが大きな声で前線に伝え、次の魔法を詠唱、魔力をたぎらせ大声を上げた。
「アイスバレット!!!」
数十個の氷のつぶてが、きりもみ回転しながら奥から来たネオウルフの群れを蹂躙する。
「キャイン!!」
「ガフッ!」
「ワオ―――ン!!!」
あっという間に乱戦に包まれるドラゴニュート達。
そして5人は継戦体系へとその陣形を変えていた。
「ちっ、まだ浅い場所だっていうのに、やけに多いな……おい、ルーよ、アズガイヤに伝達しろ。まずいかもしれん」
「っ!?…了解です!!……『アズガイヤさん、8番です。はい。至急で。今北方500です』…伝達終了しました」
「おう、皆踏ん張れよ。ここを防衛線とする。気合い入れろ!!」
おもむろにナハムザートがブレスを吐き出し、目の前のジャイアントリザードとネオウルフを薙ぎ払う。
しかし魔物の後ろからはアルラウネ・シードが少なくとも10体以上、怪しく揺らめきながら近づいて来た。
「クルアアアアアア!!!」
そしてさらには上空からはワイバーンの群れ。
「はああ、食らえ!!」
イングリールが空に向かい、土属性のつぶてを含むブレスを吐き出す。
「ヘルファイア!!」
アルラウネ・シード達の中央に、炎の華がその猛威を振るう。
「フシャアアアアアアアアーーーー」
焼かれ悶えるアルラウネ・シードが一斉に幻惑の甘い息を吐き出す。
「このおっ!!!クハアアアアアアア!!!!」
ガルナローのブレスが相殺し、ドロスが突っ込みアルラウネ・シードを切り伏せる。
ドロスは保護の術式を組み、体液をレジストしていた。
「グギャアアアアア!!!!」
「クルアアアアア!!!」
上空では重力を無視したようにナハムザートが無双状態で次々ワイバーンを叩き落していく。
圧倒的な火力と鍛えられた物理。
瞬く間に魔物の群れは沈黙した。
「…ふう、取り敢えず落ち着いたな。…皆怪我はないか?」
「「「はい」」」
「問題ありやせん」
そして皆がお互いの背を預ける体制で集合し周囲に鋭い視線を投げる。
おびただしい数の魔物の死体と焼けこげる匂いが充満し、まさに地獄のような状況が出来上がっていた。
「……食材には……無理だな。ぐちゃぐちゃだ。おい、回復しておけよ。どうもおかしいからな」
皆が腰に巻いてあるポータブル式のマジックバックから特製ポーションを取り出し飲み干す。
全員の体が緑の魔力に包まれ、体中に力がいきわたる。
「よし、警戒して進むぞ」
※※※※※
俺は執務室で森の調査に赴いていたウルリラとニル・ドラーナから報告を聞き、腕を組み考えていた。
「ノアーナ様、どうもおかしいです。普段奥地から出てこないヒュドラまで確認できました」
ウルリラが追加の情報を俺に告げる。
「ノアーナ様、精霊が騒がしい。何かが起きています」
ニル・ドラーナも心配気に報告してくれた。
彼女は魔族の女性で精霊との親和性の高い魔法士だ。
薄い朱色の髪を肩口で切りそろえ、同じ色の形の良い眉毛の下には銀色の瞳が瞬いている。
かたちの良い鼻に薄い唇はピンクに色づき、可愛らしい女性だ。
身長は165cmくらい。
年齢は20歳くらいで、以前はラズたちとパーティーを組んでいた。
スタイルの良い胸のやや大き目な姿は、男の目を引いてしまう。
俺はちらと横にいるネルを見やり、声をかけた。
「ネル、どう思う」
「…ダンジョンブレイクでしょうか。奈落の大穴は生きているんですよね?」
「ああ、あれがないとモンスターが減るから放置していたが。今ナハムザートたちが調査に向かっていたな」
俺は答えながらムクに念話を飛ばす。
「……ああ、来てくれ」
空間が軋み魔力が弾ける。
相変わらずムクは優秀だ。
「お呼びでしょうかノアーナ様」
そして美しい礼をする。
「すまないな。森がおかしい。どの程度掴んでいる?」
「はっ。奈落の大穴に大物がいるようですな。排除しますか」
「特定はできているのか?」
「申し訳ありません。どうも『竜種では』と愚考いたします」
「ふむ……悪意は反応あるか」
「いえ、……ですが、可能性はあるかと」
俺は椅子の背もたれに体を預け天井を見上げた。
通常のダンジョンブレイクならナハムザートたちでも十分対処は可能だ。
だが万が一悪意は絡めば……最悪全滅するかもしれない。
存在値が1000を超えた魔物が悪意に囚われた場合琥珀石では弾かれる恐れがある。
そしてもし奈落の大穴の奥の魔物が溢れれば……
この大陸自体が危ない。
「よし、俺が出よう。ネル、一緒に行くか。お前の努力の成果も見たいしな」
ネルは目を輝かせ頬を上気させれを見つめる。
「はい。お供いたします。……不謹慎かもしれませんが……嬉しいです」
俺はネルの頭を撫でてやる。
目を細め気持ちよさそうにする姿に俺の胸が熱くなる。
「ああ、可愛い。ふう……ムク、おまえも来い。ヒューネレイに引き継いでグースワースを守れ。打ち漏らしがいるだろう」
ムクがにやりと笑う。
嬉しそうだ。
「ナハムザートたち以外のドラゴニュート隊とカンジーロウの戦闘部隊を呼び戻させろ。ドラゴニュート隊はナハムザートと合流させ前線の維持及び掃討だ。カンジーロウたちはグースワースの死守だ」
俺は次々に指示を飛ばす。
「承知しました」
「半刻後に出立する。ウルリラとニルは引き続き調査だ。分かっていると思うが命を優先させろ。また皆でうまいものを食うんだからな」
「はっ」
「わかりました」
俺は頷き、談話室へと飛んだ。
※※※※※
「ミュー、ちょっといいか」
休憩しているミュールスに俺は声をかけた。
大分打ち解けたとはいえ、どうも俺が苦手のようだが緊急事態だ。
あてにさせてもらう。
「っ!…はい、な、なんでしょうか」
ビクッとしたが何とか俺の問いかけには答えてくれるようだ。
「ああ、すまないないきなり。どうやら森がおかしいんだ。お前の力を俺に貸してくれないか?」
「えっ?」
「もしグースワースが襲われたら、皆を守ってもらいたいんだ。頼めるか」
俺はミュールスの美しいローズ色の瞳を見つめる。
ミュールスの頬がうっすらと色づき始めた。
「…はい。この命に代えても」
力強くうなずく彼女。
「ありがとう。だが絶対に守る。約束だ」
俺は優しくハグをした。
控えめだがミュールスも俺を抱きしめてくれた。
「……はい。……嬉しいです。頼られて」
「ああ、頼んだ」
俺はミュールスの美しい髪を優しく撫でた。
カナリアが微笑ましいものを見るような目で見ているが…
悪いがお前の力も俺は欲している。
「カナリア、皆を談話室に集めておいてくれ。警戒態勢だ。指示を頼む。……『プランB』だ」
「!?……は、はい。承知いたしました」
カナリアが少し怪訝そうな顔をしたが俺は見なかったことにした。
そして俺はレーランの存在を捉え転移する。
レーランはコロンと一緒に図書館にいた。
「レーラン、森がおかしい。すまないがここを守ってくれ」
俺の様子に、コロンの顔に驚愕が浮かぶ。
流石にレーランは落ち着いているが。
「わかりました……もしかしてノアーナ様自ら出立ですか?」
「ああ。もしかしたら…だがな。俺にとってここは絶対に守りたい場所なんだよ」
「承知いたしました。わたしも行きたいところですが……お任せください」
「ああ、助かる。コロンも力を貸してくれ。…ではな」
「はい。行ってらっしゃいませ」
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これで準備は整った。
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