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第192話 復活の悪意
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(新星歴4819年7月11日)
ファルスーノルン星から遠く離れた小さな小惑星のクレパスの奥に、ひっそりと悪意をはらんだ漆黒の鉱石が瞬いていた。
かつて星から逃れた怪しいレイスが持ち込んでいたものだ。
ルースミールの計略により閉じ込められたあのレイスは、彼女の言った通り本体ではなかった。
だがそのダメージは計り知れないほど大きく、本体の靄のごく一部のみがこの鉱石の表面に付着していた。
………あ……
……な、んだ……
くそ……
まさか……
この俺が、一杯食わされるとはな……
……まあいい
計画に問題はない。
少し休んだだけだ。
………やはり吸収量は少ししか増えていない。
まあ、地球の悪意が来るんだ。
濃度だけが濃くなってくる。
くくっ、これだけは対策できまい?
ハハハ、せいぜい楽しむがいいさ。
ああ、お前の慌てふためく顔がもうすぐみられるな。
何せ今度はこの星の悪意だ。
種をばら撒いた効果がここまで出るとはな……
自由を与えた代償に、慄くがいい。
っ!?……勤勉な奴だ……
女が増えている…
ははっ、ご苦労なことだ、餌を増やすなんてな。
ああ、久しぶりに会いたいな……
……喜んでくれるかな?
なあ、本体様よ……
※※※※※
「っ!?……あいつ……やっぱり」
ルースミールは悪意の胎動に気が付いた。
彼女の真核に刻まれた悪意の種は、あの怪しいレイスが埋め込んだもの。
同じ存在であるノアーナよりも、ルースミールとレイスは数段深く繋がっていた。
ルースミールの胸の中で、悪意に対する黒いものがどんどん湧き出してきていた。
本来狂うほどの濃厚なそれは、人格を分けているルースミールだからこそ耐えられていたが、逆に耐えられずおかしくなっていた方が、きっとアルテミリスやノアーナに認識され対策ができていたのだが…
運命は簡単には幕を引かせてはくれないようだ。
※※※※※
「ルーミー、次は大聖堂のお掃除だよ」
一緒に修行している眷属第25席のナタリアがニコニコしながら声をかけてきた。
「うん、ナタリアちゃん」
「アハハ、なんか変な感じだね」
「ん?何が?」
「えと、だって、ねえ。あなたどう見ても大人に見えるのに、まだ11歳なんて、はあ、めっちゃ美人だし……今まで最年少だった私よりの小さいなんてね」
「もう、いつも言わないでよ。恥ずかしいじゃん」
ナタリアは聖魔法の才能を認められ、異例の速さで眷属へと召されたいわゆる天才の女の子だった。
天使族とヒューマンのハーフの彼女は現在14歳。
身長は140cmくらいと小柄で、これからの成長に期待を抱いているツルペタ体形だ。
キレイな茶色い髪を後ろで縛り、同じ色の細い眉毛の下には水色の瞳が瞬いている。
小さな鼻と、可愛らしい唇がチャーミングな、可愛らしい女の子だ。
まあ、まだ色香はあまり纏ってはいない。
修道院の服の様なモノに身を包んでいるため、凹凸のないナタリアは、棒のように見えてしまう。
「はあ、……ずるいよね」
「ん?」
「……なんでもない」
ナタリアは凹凸のあるルースミールの胸部を見つめ、ため息をついてしまう。
「ねえ、最近アルテミリス様忙しいのかな。……はあ、お美しいよね。またお会いしたいなあ」
目を輝かせ、うっとりとするナタリア。
普段あまり会えないアルテミリスは眷族にとってまさにあこがれの存在だ。
「うん。あっ、でも3日前に私会ったよ。ディスペルの発動訓練の時に」
「あー、いいなあ、私もう覚えちゃったからなあ。もう、なんかズルい。存在値だってもう1000超えたんでしょ?」
ふくれっ面をするナタリア。
「うん。この前測ってもらったら1005だった」
「むう、わたしも400もあるっ!て、驚かれてたのに」
「えー、でもナタリアちゃん、たまに巡礼にもいくじゃん。そっちの方がずるいよ」
そして笑いあう二人。
年が近い事もあり二人はすぐに仲良くなっていた。
「おーい、くっちゃべってないで手を動かせよ」
通りかかった先輩の、第14席セラノアが声をかける。
「「はーい」」
やっぱり仲が良い。
ハモリつつ返事をし次の仕事に向かう二人だった。
※※※※※
執務室ではネルが大変に興奮し、目を輝かせていた。
とても可愛く尊いが、俺は嫌な予感しかしないのはなぜだろうか。
「はあ、素敵。愛おしい人を訪ねて単身旅をして、そして巡り合う。ああ、いいですね」
目の前で赤くなり仲良く並んでいる二人を見て、ますますテンションを上げていくネル。
「おい、あまりからかわないでくれ。そんな大層なもんじゃねえよ」
ネルのあまりの美しさに、ミンはなぜか危機を感じそっとナハムザートに寄り添った。
「おう、ミ、ミン?どした?」
そしてうるんだ瞳を愛おしい人に向ける。
「お、おう、その、うあ」
湯気が出るほど顔が赤くなってしまう。
「ああ、素敵。ミンさん良かったですね。ナハムザートはそれはもう一途な人ですよ」
「は、はい。ありがとうございます」
可愛く顔を赤く染めるミン。
俺は思わずため息を吐き、ナハムザートに声をかけた。
「希望するなら家位プレゼントするぞ?二人で仲良く暮らすといい。悪いが役職上、退職というわけにはいかないが」
「な、なにを?ノアーナ様、冗談はやめてください。…俺はここを出るつもりはないですよ、大将。やめてください。心臓に悪い」
「そうか?まあ、あてにしているからな。んーじゃあ二人部屋で良いか?」
「っ!?……は、はい」
「はははっ、おまえ少年みたいだな。顔が真っ赤だ」
「うっ」
「ミン、だったな」
「は、はひ」
「……こいつは俺の大切な同士だ。仲良くしてやってくれ」
「……はい」
俺は優しい目になっていくのを感じていた。
「ふふっ、ノアーナ様?いい顔をしてらっしゃいます」
ネルがそっと俺に体を寄せる。
「よし分かった。取り敢えず案内をさせよう。しばらくミンはお客様だ。くつろぎながら慣れていってくれ」
「失礼します」
ちょうどそのタイミングでメイド服を纏ったサイリスが入室してきた。
「サリー、ミンだ。ナハムザートの恋人だ。案内してやってくれ」
「かしこまりました。……ノアーナ様」
「ん?」
「今夜、お待ちしております♡」
「ああ、俺も楽しみだ」
ネルの周囲の気温が急激に下がっていく。
だが俺は気づいてももう揺るがないと決めていた。
「紹介にあずかりましたサイリスと申します。ミン様、どうぞこちらへ」
「あ、はい。……えっと、『ミン』でお願いします。その…」
「ふふっ、可愛らしいお嬢さんですね。分かりました。ミン、いらっしゃい」
サイリスはちらりと色っぽい表情を浮かべ俺に流し目を向けてにっこり笑い、ミンとともに執務室を出ていった。
サリーは愛する人を目の前で失っている。
そして決意を込めおれを愛してくれている。
俺も愛すると決めた、俺の女だ。
俺は思わず思いをはせていた。
「コホン。ノアーナ様」
「ああ、ナハムザート、了解だ。これからも頼む」
「はっ」
ナハムザートが執務室を後にする。
俺はネルの手を取り、抱き寄せる。
涙を浮かべていた。
決意はしたのだろう。
だが普通に考えて目の前で心を奪われている様を見せつけられるのは辛いことだ。
だから俺はクズなりに出来ることをすると決めたんだ。
「ん♡……もう、ズルいです」
ネルの可愛らしい唇を俺は何度もついばんだ。
「んん♡……もう…」
何度も何度も。
「あ♡……んう♡…」
「ネル?俺はお前が愛おしくて仕方がない。でもサリーの事も愛している。でも今は、目の前にいてくれるお前を全力で愛したい」
さらに強く抱きしめ、俺はネルの体に顔をうずめる。
大好きな心震わせる香りが俺を包み込んだ。
「ネル、愛してる。……俺はお前の覚悟を尊敬している。だから全力だ」
「……はい。……可愛がってくださいませ」
「悲しませるが、それ以上の幸福を絶対に与える。俺を信じてほしい」
時間など気にしない。
周りの目など、俺の覚悟でねじ伏せて見せる。
俺は全力でネルを愛しぬく。
俺たちは二人、心を通い合わせた。
心から愛するネルを大切に思いながら。
ファルスーノルン星から遠く離れた小さな小惑星のクレパスの奥に、ひっそりと悪意をはらんだ漆黒の鉱石が瞬いていた。
かつて星から逃れた怪しいレイスが持ち込んでいたものだ。
ルースミールの計略により閉じ込められたあのレイスは、彼女の言った通り本体ではなかった。
だがそのダメージは計り知れないほど大きく、本体の靄のごく一部のみがこの鉱石の表面に付着していた。
………あ……
……な、んだ……
くそ……
まさか……
この俺が、一杯食わされるとはな……
……まあいい
計画に問題はない。
少し休んだだけだ。
………やはり吸収量は少ししか増えていない。
まあ、地球の悪意が来るんだ。
濃度だけが濃くなってくる。
くくっ、これだけは対策できまい?
ハハハ、せいぜい楽しむがいいさ。
ああ、お前の慌てふためく顔がもうすぐみられるな。
何せ今度はこの星の悪意だ。
種をばら撒いた効果がここまで出るとはな……
自由を与えた代償に、慄くがいい。
っ!?……勤勉な奴だ……
女が増えている…
ははっ、ご苦労なことだ、餌を増やすなんてな。
ああ、久しぶりに会いたいな……
……喜んでくれるかな?
なあ、本体様よ……
※※※※※
「っ!?……あいつ……やっぱり」
ルースミールは悪意の胎動に気が付いた。
彼女の真核に刻まれた悪意の種は、あの怪しいレイスが埋め込んだもの。
同じ存在であるノアーナよりも、ルースミールとレイスは数段深く繋がっていた。
ルースミールの胸の中で、悪意に対する黒いものがどんどん湧き出してきていた。
本来狂うほどの濃厚なそれは、人格を分けているルースミールだからこそ耐えられていたが、逆に耐えられずおかしくなっていた方が、きっとアルテミリスやノアーナに認識され対策ができていたのだが…
運命は簡単には幕を引かせてはくれないようだ。
※※※※※
「ルーミー、次は大聖堂のお掃除だよ」
一緒に修行している眷属第25席のナタリアがニコニコしながら声をかけてきた。
「うん、ナタリアちゃん」
「アハハ、なんか変な感じだね」
「ん?何が?」
「えと、だって、ねえ。あなたどう見ても大人に見えるのに、まだ11歳なんて、はあ、めっちゃ美人だし……今まで最年少だった私よりの小さいなんてね」
「もう、いつも言わないでよ。恥ずかしいじゃん」
ナタリアは聖魔法の才能を認められ、異例の速さで眷属へと召されたいわゆる天才の女の子だった。
天使族とヒューマンのハーフの彼女は現在14歳。
身長は140cmくらいと小柄で、これからの成長に期待を抱いているツルペタ体形だ。
キレイな茶色い髪を後ろで縛り、同じ色の細い眉毛の下には水色の瞳が瞬いている。
小さな鼻と、可愛らしい唇がチャーミングな、可愛らしい女の子だ。
まあ、まだ色香はあまり纏ってはいない。
修道院の服の様なモノに身を包んでいるため、凹凸のないナタリアは、棒のように見えてしまう。
「はあ、……ずるいよね」
「ん?」
「……なんでもない」
ナタリアは凹凸のあるルースミールの胸部を見つめ、ため息をついてしまう。
「ねえ、最近アルテミリス様忙しいのかな。……はあ、お美しいよね。またお会いしたいなあ」
目を輝かせ、うっとりとするナタリア。
普段あまり会えないアルテミリスは眷族にとってまさにあこがれの存在だ。
「うん。あっ、でも3日前に私会ったよ。ディスペルの発動訓練の時に」
「あー、いいなあ、私もう覚えちゃったからなあ。もう、なんかズルい。存在値だってもう1000超えたんでしょ?」
ふくれっ面をするナタリア。
「うん。この前測ってもらったら1005だった」
「むう、わたしも400もあるっ!て、驚かれてたのに」
「えー、でもナタリアちゃん、たまに巡礼にもいくじゃん。そっちの方がずるいよ」
そして笑いあう二人。
年が近い事もあり二人はすぐに仲良くなっていた。
「おーい、くっちゃべってないで手を動かせよ」
通りかかった先輩の、第14席セラノアが声をかける。
「「はーい」」
やっぱり仲が良い。
ハモリつつ返事をし次の仕事に向かう二人だった。
※※※※※
執務室ではネルが大変に興奮し、目を輝かせていた。
とても可愛く尊いが、俺は嫌な予感しかしないのはなぜだろうか。
「はあ、素敵。愛おしい人を訪ねて単身旅をして、そして巡り合う。ああ、いいですね」
目の前で赤くなり仲良く並んでいる二人を見て、ますますテンションを上げていくネル。
「おい、あまりからかわないでくれ。そんな大層なもんじゃねえよ」
ネルのあまりの美しさに、ミンはなぜか危機を感じそっとナハムザートに寄り添った。
「おう、ミ、ミン?どした?」
そしてうるんだ瞳を愛おしい人に向ける。
「お、おう、その、うあ」
湯気が出るほど顔が赤くなってしまう。
「ああ、素敵。ミンさん良かったですね。ナハムザートはそれはもう一途な人ですよ」
「は、はい。ありがとうございます」
可愛く顔を赤く染めるミン。
俺は思わずため息を吐き、ナハムザートに声をかけた。
「希望するなら家位プレゼントするぞ?二人で仲良く暮らすといい。悪いが役職上、退職というわけにはいかないが」
「な、なにを?ノアーナ様、冗談はやめてください。…俺はここを出るつもりはないですよ、大将。やめてください。心臓に悪い」
「そうか?まあ、あてにしているからな。んーじゃあ二人部屋で良いか?」
「っ!?……は、はい」
「はははっ、おまえ少年みたいだな。顔が真っ赤だ」
「うっ」
「ミン、だったな」
「は、はひ」
「……こいつは俺の大切な同士だ。仲良くしてやってくれ」
「……はい」
俺は優しい目になっていくのを感じていた。
「ふふっ、ノアーナ様?いい顔をしてらっしゃいます」
ネルがそっと俺に体を寄せる。
「よし分かった。取り敢えず案内をさせよう。しばらくミンはお客様だ。くつろぎながら慣れていってくれ」
「失礼します」
ちょうどそのタイミングでメイド服を纏ったサイリスが入室してきた。
「サリー、ミンだ。ナハムザートの恋人だ。案内してやってくれ」
「かしこまりました。……ノアーナ様」
「ん?」
「今夜、お待ちしております♡」
「ああ、俺も楽しみだ」
ネルの周囲の気温が急激に下がっていく。
だが俺は気づいてももう揺るがないと決めていた。
「紹介にあずかりましたサイリスと申します。ミン様、どうぞこちらへ」
「あ、はい。……えっと、『ミン』でお願いします。その…」
「ふふっ、可愛らしいお嬢さんですね。分かりました。ミン、いらっしゃい」
サイリスはちらりと色っぽい表情を浮かべ俺に流し目を向けてにっこり笑い、ミンとともに執務室を出ていった。
サリーは愛する人を目の前で失っている。
そして決意を込めおれを愛してくれている。
俺も愛すると決めた、俺の女だ。
俺は思わず思いをはせていた。
「コホン。ノアーナ様」
「ああ、ナハムザート、了解だ。これからも頼む」
「はっ」
ナハムザートが執務室を後にする。
俺はネルの手を取り、抱き寄せる。
涙を浮かべていた。
決意はしたのだろう。
だが普通に考えて目の前で心を奪われている様を見せつけられるのは辛いことだ。
だから俺はクズなりに出来ることをすると決めたんだ。
「ん♡……もう、ズルいです」
ネルの可愛らしい唇を俺は何度もついばんだ。
「んん♡……もう…」
何度も何度も。
「あ♡……んう♡…」
「ネル?俺はお前が愛おしくて仕方がない。でもサリーの事も愛している。でも今は、目の前にいてくれるお前を全力で愛したい」
さらに強く抱きしめ、俺はネルの体に顔をうずめる。
大好きな心震わせる香りが俺を包み込んだ。
「ネル、愛してる。……俺はお前の覚悟を尊敬している。だから全力だ」
「……はい。……可愛がってくださいませ」
「悲しませるが、それ以上の幸福を絶対に与える。俺を信じてほしい」
時間など気にしない。
周りの目など、俺の覚悟でねじ伏せて見せる。
俺は全力でネルを愛しぬく。
俺たちは二人、心を通い合わせた。
心から愛するネルを大切に思いながら。
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