創造主である究極の魔王は自分が創造した異世界に再転生する~気付いた時にはハーレム状態?運命の人も勇者も神々も、俺の子を欲しがるのだが?~

たらふくごん

文字の大きさ
224 / 260

第224話 ノアーナが消えた後のファルスーノルン星2

しおりを挟む
(新星歴4823年8月21日)

 2度滅ぼされた国、かつてはドルグ帝国だった「クリートホープ」
 現在その跡地は廃墟となっており、生き物の気配はなかった。

 一番安全であろうと思われた魔王のお膝元。
 しかしそこに破壊は集中した。

 度重なる悪意の軍勢による蹂躙と漆黒病の蔓延。
 感染者と降魔教団による自爆テロで多くの人民がその命を落とし、最終決戦に選ばれたこの土地は勇者の渾身の一撃と禁呪である死国隆盛により再生はほぼ不可能な状況になっていた。

 しかし弱いはずの人族たちは、諦めなかった。

 「ステファン伯爵、ハートルイス宰相、わたくしは諦めませんわ。力を貸していただけるかしら」

 女王ルルネイア・ホープ・オズワイヤの目に力がともる。
 恭しく臣下の礼をとる二人の重鎮。

 「ふふっ、何にもなくなってしまいました。国も、建物も、人々も。……でも、まだ幾人かの人々が生きている。……ノアーナ様達の犠牲を無駄にはできないのです」

 最後の希望だったグースワースもほぼ壊滅していた。
 しかしグースワースの住人たちの必死の抵抗は無駄ではなかった。

 多くの人民の命と希望をつないでいた。

 「ドロス様、レイルーナ様、どうか我々にお力を貸してくださいませ」

 2人の赤子を抱えるレイルーナはまるで聖母のような表情を浮かべる。
 寄り添うドロス。
 二人の赤子が幸せそうに微笑んでいた。

 「ああ、俺たちは力なんてない。でもこの子たちの未来を俺達は作る義務がある」

 ドロスとレイルーナの子供、そして……死んでしまったアズガイヤとライナルーヤの忘れ形見。

 あの時最後の力を振り絞り転移してきたアズガイヤからドロスに託された小さな命。
 ドロスは誓った。

 絶対に取り戻すと。
 この子たちが安心して暮らせる世界を。

※※※※※

 「おい、そうじゃない。何度言ったら分かるんだこのポンコツめ」
 「ぐうっ、だけど、僕は……ぷわっ」

 ラミンデは新たに弟子としたエルフの少年、サーズルイの顔に癒しのポーションをぶちまけた。

※※※※※

 ノアーナが敗れ、最終決戦を決意させたミユルの町攻防戦の時……
 ラズ・ロックが最後の瞬間に、ずっと隠し持っていた母から受け継いでいたアーティーファクト『身代わり石』の欠片を使用していた。

 欠片はその力が中途半端だった。
 本来は4人くらいの身代わりができる程度にはその力を蓄えていたのだが……
 余りにも雑な保管のため劣化しており、3名のみが命を繋いでいた。

 残念ながら使用したラズと、それを守ったゴドロナの命は助からなかった。

 何とか生き延びたサーズルイは瀕死、マラライナははじめ死んでいるかと思うほど重篤な状態だった。

 同時に使用した簡易の転移石により、アルカーハイン大陸のサルスノットの町の近くの森に飛ばされていたのだった。

 ざわつく精霊に訝しんだラミンデに拾われたことは幸運だったのだろう。

※※※※※

 「ちょっと、師匠、僕は攻撃特化なんだよっ!回復は苦手なんだ」
 「馬鹿かお前は?……攻撃も回復も同じ魔力操作だ。治したけりゃ覚えろ」
 「くそっ、鬼っ、悪魔っ」
 「ああ!?」

 元々ハイエルフのラミンデは、才能あるものしか弟子にはしない。
 だが今回はノアーナに頼られていた。
 仕方なく拾ったが実はラミンデは後悔していた。

 ……どうして私はつまらない線引きをしていたのだろうか……

 この少年はただのエルフだ。
 そしてむしろ才にも乏しい。
 だが。

 可能性を秘めていた。
 真核の形状が普通ではない。

 グースワースの住人たちはその異常な環境ゆえそれぞれがあり得ない覚醒をすでに果たしていたのだった。

 「ふふ、面白いな」

 にやりと笑うラミンデ。
 そこにやさしい声がかかる。

 「あらあら、ラミンデ様?いい顔をされてますね。……良い事ありましたか?」

 お茶を用意してきた女性。
 いい匂いの焼き菓子の香りが食欲をそそる。

 「もうそんな時間か。ふふっ、リアが来れなくなったからな。助かっている。……カナリア」

 「ふふっ、マラライナもようやく落ち着きましたわね。そろそろ目を覚ますかもしれませんね」
 「ああ、なんだかんだでサーズは優秀だ。もう時間の問題だろうよ」
 「そう言って差し上げればよろしいのに」
 「ふん。あいつはすぐつけあがる。これで良いのさ」

 いい香りが部屋を包む。
 カナリアの淹れてくれる紅茶がラミンデの最近の楽しみだった。

 「……なあカナリア。お前その顔の傷……本当に治さないつもりか?せっかくの美しい顔なのに……」

 思わず動きを止めるカナリア。
 何とか目は見えるが左目から頬まで大きな傷が残っていた。

 「ふふっ、矜持のような物ですわ。……多くの仲間が殺されました。ノアーナ様まで滅ぼされた……私は自分が許せないのです」
 「お前のせいではあるまいに……それにおそらくノアーナ様は復活するぞ?その時にお前がその顔では……」
 「ええ。でもおそらく私はもう会えませんよ?多分あの方は数百年は戻れないでしょうからね……」

 ラミンデは詳しくは知らない。
 あの後一度ルミナラスが訪れてきた。
 だがあの娘も詳しい事は分からなくなっていた。

 おそらくは神のスキル、何かしらの権能に囚われている。

 リナーリアの無事は確認できたが、彼女もまた記憶と名前が違っていた。

 「ノアーナ様、恨むぞ。……どうして私を頼らなかったのだ……そんなに私は頼りないのか」

 つい独り言ちてしまうラミンデ。
 そんな様子をカナリアは優しい顔で見つめる。

 「きっと逆ですよ?」
 「ん?」
 「信用しているからこそ、声をかけなかったんだと思いますわ」

 あの時ノアーナには全く余裕がなかった。
 確かに一度だけ訪れ『悪いが頼む』とだけ言われていた。

 細かい事は何一つ言わないままで。

 確かに思い起こせばあの男はそういう男だった。
 結局抱いてもくれなかったし。

 ついそういうことを考えてしまい顔を赤らめてしまう。

 「ふふっ、ラミンデ様……可愛い♡」
 「うぐっ、……くっ、カナリア、年配者をからかう物ではないぞ?」

※※※※※

 確かに世界は破壊に包まれ絶望が広がった。
 しかしノアーナの想いは、この世界は。

 確実に再生への歩みを始めていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

異世界に召喚されたが勇者ではなかったために放り出された夫婦は拾った赤ちゃんを守り育てる。そして3人の孤児を弟子にする。

お小遣い月3万
ファンタジー
 異世界に召喚された夫婦。だけど2人は勇者の資質を持っていなかった。ステータス画面を出現させることはできなかったのだ。ステータス画面が出現できない2人はレベルが上がらなかった。  夫の淳は初級魔法は使えるけど、それ以上の魔法は使えなかった。  妻の美子は魔法すら使えなかった。だけど、のちにユニークスキルを持っていることがわかる。彼女が作った料理を食べるとHPが回復するというユニークスキルである。  勇者になれなかった夫婦は城から放り出され、見知らぬ土地である異世界で暮らし始めた。  ある日、妻は川に洗濯に、夫はゴブリンの討伐に森に出かけた。  夫は竹のような植物が光っているのを見つける。光の正体を確認するために植物を切ると、そこに現れたのは赤ちゃんだった。  夫婦は赤ちゃんを育てることになった。赤ちゃんは女の子だった。  その子を大切に育てる。  女の子が5歳の時に、彼女がステータス画面を発現させることができるのに気づいてしまう。  2人は王様に子どもが奪われないようにステータス画面が発現することを隠した。  だけど子どもはどんどんと強くなって行く。    大切な我が子が魔王討伐に向かうまでの物語。世界で一番大切なモノを守るために夫婦は奮闘する。世界で一番愛しているモノの幸せのために夫婦は奮闘する。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

『召喚ニートの異世界草原記』

KAORUwithAI
ファンタジー
ゲーム三昧の毎日を送る元ニート、佐々木二郎。  ある夜、三度目のゲームオーバーで眠りに落ちた彼が目を覚ますと、そこは見たこともない広大な草原だった。  剣と魔法が当たり前に存在する世界。だが二郎には、そのどちらの才能もない。  ――代わりに与えられていたのは、**「自分が見た・聞いた・触れたことのあるものなら“召喚”できる」**という不思議な能力だった。  面倒なことはしたくない、楽をして生きたい。  そんな彼が、偶然出会ったのは――痩せた辺境・アセトン村でひとり生きる少女、レン。  「逃げて!」と叫ぶ彼女を前に、逃げようとした二郎の足は動かなかった。  昔の記憶が疼く。いじめられていたあの日、助けを求める自分を誰も救ってくれなかったあの光景。  ……だから、今度は俺が――。  現代の知恵と召喚の力を武器に、ただの元ニートが異世界を駆け抜ける。  少女との出会いが、二郎を“召喚者”へと変えていく。  引きこもりの俺が、異世界で誰かを救う物語が始まる。 ※こんな物も召喚して欲しいなって 言うのがあればリクエストして下さい。 出せるか分かりませんがやってみます。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

転生したら遊び人だったが遊ばず修行をしていたら何故か最強の遊び人になっていた

ぐうのすけ
ファンタジー
カクヨムで先行投稿中。 遊戯遊太(25)は会社帰りにふらっとゲームセンターに入った。昔遊んだユーフォーキャッチャーを見つめながらつぶやく。 「遊んで暮らしたい」その瞬間に頭に声が響き時間が止まる。 「異世界転生に興味はありますか?」 こうして遊太は異世界転生を選択する。 異世界に転生すると最弱と言われるジョブ、遊び人に転生していた。 「最弱なんだから努力は必要だよな!」 こうして雄太は修行を開始するのだが……

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...