創造主である究極の魔王は自分が創造した異世界に再転生する~気付いた時にはハーレム状態?運命の人も勇者も神々も、俺の子を欲しがるのだが?~

たらふくごん

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第231話 ノアーナが消えた後のファルスーノルン星3

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(新星歴4823年8月30日)

 じりじりと残暑の太陽が照り付けるここアナデゴーラ大陸の森の中で、獲物を捕らえようと男性二人が手作りの槍を構え息をひそめていた。

 がさりと草が音を立て、そこから一匹のボアがのそりと現れた。
 まだ幼体であろうそれは、大きく欠伸をし辺りを見回す。

 どうやら群れではなく単体のようなそれに槍を構える二人に緊張が走る。

 「えいっ!……うまくいった!?お父さんっ、マサオさん、今だよっ!!」

 女の子の大声とともに上から落ちてきた網に絡まり藻掻くボア。
 慌てて飛び出してきて槍を突き刺す二人の男性。

 「プギイイイイイイイイイ―――――」

 どうにかとどめを刺し、今日の食料の確保に成功した。

※※※※※

 あの破壊が襲い掛かってきた恐ろしい日。

 いち早く知らせに来てくれたドラゴニュート隊によってネイル一家と隣の食堂の店主マサオはどうにか一命をとりとめていた。

 「森へ逃げろ」

 その一言に素早く反応できたのはまさに幸運だったのだろう。
 当然多くの町の人に彼らは訴えた。
 しかし実際に彼等と会ったことのなかった人々はその初動が遅れた。

 結果町は破壊され多くの人たちは悪意に飲まれその殆どが命を落としてしまっていた。

※※※※※

 「お父さん、大物だね。……お母さん少しは元気になるかな……」
 「ああ、マサオが上手においしくしてくれるさ。ナノルーノもきっと元気になる」
 「…うん」

 今ネイルたちはあの時逃げ延びた10名でテントを張りながら野営のような状況で暮らしていた。

 母であるナノルーノは皆を元気づけようと明るく振舞っていたが、森に現れた毒蛇に噛まれてしまい、一度生死をさまよった。
 ネイルをかばった結果だった。

 「そうだぞネイル。お前さんがそんなんじゃナノルーノさんが心配してしまうぞ?元気出せ」

 ボアを抱えながらマサオが明るく振舞う。
 本当にありがたい。
 ネイルはそう思っていた。

 「うん。マサオさん、美味しく料理してね。私がお母さんに食べさせてあげるから」
 「ははっ、任せろ」

 明るく前向きなマサオは皆のムードメーカーだ。
 流石人気の料理店の店主なだけはある。

 その様子を見ていたネイルの父イザラドは思い出すように先日周辺を見に行っていた漁師仲間のルアイルが聞いて来た噂を話し始めた。

 「そうだぞ、元気を出そう。もしかしたらルルネイア様達が俺達を見つけてくれるかもしれないしな。そうすればきっと何とかなるさ」

 「ルルネイア様……そうだよね。あの方は生きておられたんだもん。きっと私たちも頑張っていればいつかは」

 国は滅びてしまった。
 多くの人は死に、かつて街だった場所はとても人の住める状態ではなくなっていた。

 逃げ延びたネイルたち10人も実は生活はぎりぎりだった。
 むしろこの5か月、よく一人の死者も出さずに来れたものだ。

 だが最近になって女王が立ったとの噂が、残された人々の希望になっていた。

 「きっと俺たちは大丈夫だ。猶更今日はうまい飯にしよう。前祝いだ」
 「ああ」
 「うん」

※※※※※

 「ダリル様、行かれるのですね」
 「ああ、クラリス。今この国には俺たちの助けが必要な人たちが大勢いる。せっかくノアーナ様達に鍛えられた俺の力が役に立つんだ。じっとなどしていられないよ」

 あの破壊から難を逃れていたかつてのグースワースの住人、ダール・ステファン伯爵はその瞳に決意の光を宿していた。
 あの時、町を襲ってきた猛威に対し、逃げることしかできなかったダール。
 何とか愛するクラリスの無事を確保することが精いっぱいだった。

 伯爵という立場なのに人民を見捨ててしまった罪悪感が、ダールの心に影を落としていた。

 「ダリル様、わたくしは止めません。ですが忘れないでくださいませ。わたくしはあなた様を愛しております。どうか、ご自分を必要以上に責めないでください」
 「っ!?……そうだな。ありがとうクラリス。必ず無事に帰ってくる」

 俺には過ぎた女性だ。
 ダールは思った。
 でもクラリスの一言で彼の心は大きく救われていた。

 「はは、君はいつでもこんな俺を愛してくれる……クラリス大丈夫だよ。俺はもう間違えない。……行ってくる」

 ルルネイアが立った。

 兄でもあり伯爵として任命されたダールは一人でも多くの人民を救うため自分の命を顧みずその使命を果たそうとしていた。
 しかしもう間違えてはいけない。

 自分もルルネイアが愛する国民の一人だという事を思い出せていた。

 (俺は弱い。強さがいるかもしれない。……ドロスさんを頼ろう)

 ダールは覚醒したとはいえその力は常識の範疇だ。
 魔力に目覚め同時転移は出来るものの存在値は今だ300程度。

 グースワースに属していた猛者であるドロスは存在値900に届くくらいだが今のこの国では圧倒的強者だった。

 「必ず救おう。ひとりでも多く」

 ダールは独り言ち、女王ルルネイアとドロスが待つ海沿いの唯一残された建物へと転移していった。

※※※※※

 女王となったルルネイアはあの時『投影』のスキルのほかに、寿命を対価としてもう一つ新たなスキルを得ていた。

 『真実の眼』

 人の身でありながら唯一神の権能である虚実を見破るスキルだった。
 そのスキルでルルネイアは今この星に流れている事実が違う物であると確信していた。

 「違う。ノアーナ様は錯乱したのではない。……負けたんだ。そして力を蓄えるため、世界から悪意と漆黒を封印した。自らを滅ぼして」

 ルルネイアは思う。

 自分たちは守られてばかりだと。
 破壊に包まれた今のファルスーノルン星には神と聖域を利用した渾身の虚実に包まれている。

 『魔王の呪い』

 まことしやかにささやかれるそれは、多くの住人に不安の影を落としていた。

 かつてクリートホープと同じ大陸にあり、全てを守るべく正に人外の活躍を見せていた超越者たち。
 グースワースの住人があの事件以降誰一人としてその姿を見せる事はなかった。

 「きっと皆死んでしまった」
 「魔王様とともに滅びたに違いない。ああ、魔王様の呪いだ」

 魔王は錯乱し、世界を滅ぼそうとした。
 そこで立ち上がった光神ルースミールと勇者シルビー・レアンによって打ち取られた。

 そして世界を包む恐ろしい魔物や理不尽なおかしい人族などが一斉に消さっていたのだ。
 事情を知らない人々がそう思う事は仕方がない事なのだろう。

 「あの方は必ず戻られる」

 ルルネイアはその目に力をともす。

 「ふふっ、ちょうどお兄様がいらしたようですわね。さあ、微力ではありますが反撃と行きましょう。まずは必ず国を立て直します。あの方が帰ってきたときに笑われないように」

 空間が軋み魔力があふれ出す。
 ダールが女王の前に転移してきた。

 「まずは人を集めましょう。お兄様、いえステファン伯爵。力を貸してください」
 「はっ、仰せのままに」

 翌日ネイルたち10名はダールとドロスにより保護された。
 徐々に集まる生き残った住人達。

 ルルネイアの挑戦は、やがて帰還するノアーナを喜ばせることになる。
 クリートホープは、まさに人民の希望の国となったのだった。
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