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最終章 帰る場所
35わたしと
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「……メルティア様、また街に行かれるのですか?」
「うんっ。ジークもはやく!」
「今日は天気が優れなそうですが」
「いいの。はやく!」
早々に土いじりを終えたメルティアは、「はやくはやく」とジークを急かす。
ジークは嫌そうに顔をしかめつつも、主人であるメルティアには逆らえない。
けっきょく、いつものように馬車に乗り込み、街へと向かっていた。
「ここのところ毎日ですよ。毎回毎回、今日はこれが欲しい、あれが欲しいと、まとめて買えばいいでしょう」
ゴトゴト揺れる馬車の中でジークの小言が飛ぶ。
「突然欲しくなっちゃうんだもん」
「本当に、どうされたのですか」
ジークの追及するような小言もメルティアは無視した。
ふんふん鼻唄を歌いながら窓の外を見る。
「あなたが楽しいならいいですが……」
わがままな娘を愛でるようにジークは苦笑をした。
街について、メルティアはいくつかの店を見たあと、すでに常連になったあの花屋に行く。
最初は渋っていたジークも、あまりにも毎回行くものだから諦めたようだ。
今は何も言わずに着いてくる。
お店の扉を開けると、「いらっしゃいませー!」と元気な声が飛んでくる。
そして、カウンターでラッピング作業をしていたらしいあの女の人は、顔を上げてメルティアを確認するとぱあッと瞳を輝かせた。
「今日もいらしてくださったんですね!」
「こんにちは」
「どうぞどうぞ。新しいお花も入荷してますよ。メルティア様がお好きそうなのは……」
常連になったおかげで、すっかり仲良くなってしまった。
人見知りのメルティアがあまり話すのが上手ではないのもちゃんと汲み取って、話すのを待ってくれたり、にこにこ聞いてくれたり、これですか? と提案してくれたりする。
ジークが好きになった理由もすぐにわかった。
気遣いを自然にできて、その場を明るくしてくれる。
話していて楽しいのだ。
「このお花の色違いはありますか?」
「ありますよ。何色がいいですか?
「うーん。ピンクと青がいいです」
「わかりました。鉢植えでいいですか?」
コクコクうなずくと「ちょっと待っててくださいねー」と言って裏へ引っ込んでしまった。
メルティアは並べられているたくさんの花を見る。店員は愛想が良くて可愛くて、花は生き生きと咲いている。
通わない理由を探すほうが難しい。
しばらくすると、女の人かポニーテールを揺らしながら二つの鉢植えを持って戻ってきた。
「このお二つはどうですか?」
「わぁ! 可愛い!」
差し出された花を可愛い可愛いと小さく手を叩いて褒めていると、ふと、女の人の指に指輪があることに気づいた。
前からあったかもしれないが、いつもは話すのに緊張していて見ていなかった。
細くて長い指に、キラキラ光る花の形をした石付きの指輪が嵌められている。
「その指輪、綺麗ですね」
「え? ああ、これですか? ふふ。ありがとうございます。婚約指輪なんです」
「…………え?」
女の人が照れ臭そうに、でも大事そうに指輪の嵌まっている手を抱きしめる。
「……結婚、されるんですか?」
「はい! 幼なじみなんです」
メルティアはゴォン! と浴びせられた力強い言葉の太刀に吐血しそうになる。
「お、おめでとうございます! いつ決まったんですか?」
「ありがとうございます。プロポーズはそうですね……たしか三か月くらい前だったかと」
ジークが結婚を考え出した時期とぴったり重なった。
「式は一か月後なんです。メルティア様にも来ていただけたら嬉しいですが、さすがに恐れ多いですね」
クスクスと可愛らしく女の人は笑う。
メルティアは「行けたら行きます……」なんて、行く気のない人の返事をしてしまった。
それどころじゃなかったのだ。
小さな頭がフル回転していた。
ジークが、好きな人がいるのに諦めている理由。
幸せを願って諦めたという意味。
急に結婚を進めている謎も、全部、全部、メルティアはわかってしまったのだ。
好きな人には好きな人がいた。
そして、両想いで、結婚することが決まっていたのだ。
ジークは、失恋をしていたらしい。
足りなかった最後のピースが、ピタッと嵌まってしまった。
それから、女の人と何を話したのかもメルティアはよく覚えていない。
頭の中でいろんなことを考えていた。
「もう帰りますか?」
店を出ると、ジークが話しかけてくる。
ジーク、さっきの話聞いていただろうか。聞きたくないことを聞かせてしまったかもしれない。
「あ、あの。ジーク……」
「はい。他にも見ていきますか?」
「う、ううん……帰ろっか……」
メルティアは鉢植えを抱えたままとぼとぼと歩く。
歩みの遅いメルティアを気にしているのか、ジークが何度も振り返る。
「この短時間に何があった?」と言いたげな顔だ。
チラリとジークの顔を見て、メルティアはため息をつく。
ジークの恋は、絶対に叶わないものだった。
あんなに幸せそうに笑う女の人に、「ジークと結婚して!」なんて言えるはずもない。
じゃあ、どうしたらいいと言うのか。
とぼとぼ歩いていると、空から雨粒が降り出した。
ジークがさっと上着を脱いで、メルティアの頭にかぶせてくれる。
「急ぎましょう、メルティア様」
「う、うん」
足を速めながら、だんだん強くなっている雨風を見て、メルティアは涙みたいだと思った。
泣けないジークの代わりに、空が泣いているみたいだ。
ポタポタと連続的に振り始めて、ジークは近くの裏道に入り、メルティアを屋根のある場所へと誘導する。
「通り雨のようですし、しばらく雨宿りしましょう」
「うん……」
「少し濡れてしまっていますね」
メルティアの濡れた肩を簡単に払ってくれる。
メルティアは買ったばかりの花を抱きしめた。
ジークは、叶わない恋をしている。
だから、諦めるために結婚をしようとしている。
だったら。
もしそうなら。
相手はメルティアでもいいんじゃないか。
それに、なによりも。
「……わたしだったらジークを悲しませないのに」
「……メルティア様?」
メルティアはしばらく黙り込んで、険しい顔をしたまま顔を上げる。
「じ、ジーク!」
「はい。寒いですか? もう少しこちらへ」
「あ、あのね!」
メルティアはジークに一歩近づいた。
「わ、わたしじゃ、だめかな」
何の話だと言いたげにジークが頭に疑問符を浮かべる。
しぼみそうになる勇気を振り絞って、メルティアは小さな唇を開く。
「わ、わたし……」
「……」
「わたしは、その」
ありったけの想いをぶつけるように、メルティアはぎゅっと目をつぶった。
「わ、わたしは、ジークが好き!」
小さく息をのむ音がする。
伝わっただろうか?
大事に大事に、ずっと大事にしてきた幼いころからの恋心。
誰でもいいなら、わたしだって。
そんな思いを込めて、メルティアはジークの言葉を待つ。
しばらくの沈黙のあと、ジークが静かに礼をした気配がした。
「光栄です。あなたにそう言っていただけて」
これは主人に対する言葉だ。
感情が欠片もこもっていない。
機械的な礼節。
これっぽちも想いが伝わっていないと思ったメルティアは、慌てて目を開けて首を振る。
「ち、違うの! そうじゃなくて」
視線を彷徨わせて、緊張にゆっくりとジークを見上げながら、メルティアはこの言葉しかないと思って、小さく口を動かした。
「わ、わたしと、結婚、しない?」
ざあっと、雨の音が強く響いた。
「うんっ。ジークもはやく!」
「今日は天気が優れなそうですが」
「いいの。はやく!」
早々に土いじりを終えたメルティアは、「はやくはやく」とジークを急かす。
ジークは嫌そうに顔をしかめつつも、主人であるメルティアには逆らえない。
けっきょく、いつものように馬車に乗り込み、街へと向かっていた。
「ここのところ毎日ですよ。毎回毎回、今日はこれが欲しい、あれが欲しいと、まとめて買えばいいでしょう」
ゴトゴト揺れる馬車の中でジークの小言が飛ぶ。
「突然欲しくなっちゃうんだもん」
「本当に、どうされたのですか」
ジークの追及するような小言もメルティアは無視した。
ふんふん鼻唄を歌いながら窓の外を見る。
「あなたが楽しいならいいですが……」
わがままな娘を愛でるようにジークは苦笑をした。
街について、メルティアはいくつかの店を見たあと、すでに常連になったあの花屋に行く。
最初は渋っていたジークも、あまりにも毎回行くものだから諦めたようだ。
今は何も言わずに着いてくる。
お店の扉を開けると、「いらっしゃいませー!」と元気な声が飛んでくる。
そして、カウンターでラッピング作業をしていたらしいあの女の人は、顔を上げてメルティアを確認するとぱあッと瞳を輝かせた。
「今日もいらしてくださったんですね!」
「こんにちは」
「どうぞどうぞ。新しいお花も入荷してますよ。メルティア様がお好きそうなのは……」
常連になったおかげで、すっかり仲良くなってしまった。
人見知りのメルティアがあまり話すのが上手ではないのもちゃんと汲み取って、話すのを待ってくれたり、にこにこ聞いてくれたり、これですか? と提案してくれたりする。
ジークが好きになった理由もすぐにわかった。
気遣いを自然にできて、その場を明るくしてくれる。
話していて楽しいのだ。
「このお花の色違いはありますか?」
「ありますよ。何色がいいですか?
「うーん。ピンクと青がいいです」
「わかりました。鉢植えでいいですか?」
コクコクうなずくと「ちょっと待っててくださいねー」と言って裏へ引っ込んでしまった。
メルティアは並べられているたくさんの花を見る。店員は愛想が良くて可愛くて、花は生き生きと咲いている。
通わない理由を探すほうが難しい。
しばらくすると、女の人かポニーテールを揺らしながら二つの鉢植えを持って戻ってきた。
「このお二つはどうですか?」
「わぁ! 可愛い!」
差し出された花を可愛い可愛いと小さく手を叩いて褒めていると、ふと、女の人の指に指輪があることに気づいた。
前からあったかもしれないが、いつもは話すのに緊張していて見ていなかった。
細くて長い指に、キラキラ光る花の形をした石付きの指輪が嵌められている。
「その指輪、綺麗ですね」
「え? ああ、これですか? ふふ。ありがとうございます。婚約指輪なんです」
「…………え?」
女の人が照れ臭そうに、でも大事そうに指輪の嵌まっている手を抱きしめる。
「……結婚、されるんですか?」
「はい! 幼なじみなんです」
メルティアはゴォン! と浴びせられた力強い言葉の太刀に吐血しそうになる。
「お、おめでとうございます! いつ決まったんですか?」
「ありがとうございます。プロポーズはそうですね……たしか三か月くらい前だったかと」
ジークが結婚を考え出した時期とぴったり重なった。
「式は一か月後なんです。メルティア様にも来ていただけたら嬉しいですが、さすがに恐れ多いですね」
クスクスと可愛らしく女の人は笑う。
メルティアは「行けたら行きます……」なんて、行く気のない人の返事をしてしまった。
それどころじゃなかったのだ。
小さな頭がフル回転していた。
ジークが、好きな人がいるのに諦めている理由。
幸せを願って諦めたという意味。
急に結婚を進めている謎も、全部、全部、メルティアはわかってしまったのだ。
好きな人には好きな人がいた。
そして、両想いで、結婚することが決まっていたのだ。
ジークは、失恋をしていたらしい。
足りなかった最後のピースが、ピタッと嵌まってしまった。
それから、女の人と何を話したのかもメルティアはよく覚えていない。
頭の中でいろんなことを考えていた。
「もう帰りますか?」
店を出ると、ジークが話しかけてくる。
ジーク、さっきの話聞いていただろうか。聞きたくないことを聞かせてしまったかもしれない。
「あ、あの。ジーク……」
「はい。他にも見ていきますか?」
「う、ううん……帰ろっか……」
メルティアは鉢植えを抱えたままとぼとぼと歩く。
歩みの遅いメルティアを気にしているのか、ジークが何度も振り返る。
「この短時間に何があった?」と言いたげな顔だ。
チラリとジークの顔を見て、メルティアはため息をつく。
ジークの恋は、絶対に叶わないものだった。
あんなに幸せそうに笑う女の人に、「ジークと結婚して!」なんて言えるはずもない。
じゃあ、どうしたらいいと言うのか。
とぼとぼ歩いていると、空から雨粒が降り出した。
ジークがさっと上着を脱いで、メルティアの頭にかぶせてくれる。
「急ぎましょう、メルティア様」
「う、うん」
足を速めながら、だんだん強くなっている雨風を見て、メルティアは涙みたいだと思った。
泣けないジークの代わりに、空が泣いているみたいだ。
ポタポタと連続的に振り始めて、ジークは近くの裏道に入り、メルティアを屋根のある場所へと誘導する。
「通り雨のようですし、しばらく雨宿りしましょう」
「うん……」
「少し濡れてしまっていますね」
メルティアの濡れた肩を簡単に払ってくれる。
メルティアは買ったばかりの花を抱きしめた。
ジークは、叶わない恋をしている。
だから、諦めるために結婚をしようとしている。
だったら。
もしそうなら。
相手はメルティアでもいいんじゃないか。
それに、なによりも。
「……わたしだったらジークを悲しませないのに」
「……メルティア様?」
メルティアはしばらく黙り込んで、険しい顔をしたまま顔を上げる。
「じ、ジーク!」
「はい。寒いですか? もう少しこちらへ」
「あ、あのね!」
メルティアはジークに一歩近づいた。
「わ、わたしじゃ、だめかな」
何の話だと言いたげにジークが頭に疑問符を浮かべる。
しぼみそうになる勇気を振り絞って、メルティアは小さな唇を開く。
「わ、わたし……」
「……」
「わたしは、その」
ありったけの想いをぶつけるように、メルティアはぎゅっと目をつぶった。
「わ、わたしは、ジークが好き!」
小さく息をのむ音がする。
伝わっただろうか?
大事に大事に、ずっと大事にしてきた幼いころからの恋心。
誰でもいいなら、わたしだって。
そんな思いを込めて、メルティアはジークの言葉を待つ。
しばらくの沈黙のあと、ジークが静かに礼をした気配がした。
「光栄です。あなたにそう言っていただけて」
これは主人に対する言葉だ。
感情が欠片もこもっていない。
機械的な礼節。
これっぽちも想いが伝わっていないと思ったメルティアは、慌てて目を開けて首を振る。
「ち、違うの! そうじゃなくて」
視線を彷徨わせて、緊張にゆっくりとジークを見上げながら、メルティアはこの言葉しかないと思って、小さく口を動かした。
「わ、わたしと、結婚、しない?」
ざあっと、雨の音が強く響いた。
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