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幼馴染は若手実業家になっていました
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(ば、場違い……かも)
あかりは指定された店に入るやいなや、自分がここに相応しくないことに気付かされる。
「会ってくれない? 相談があるんだ」
弟の幸人を通じて、三歳年下の幼馴染の理貴から連絡があったのは三日前。
カジュアルな店だから、と事前に言われていたのもあって仕事終わりのままの服装で訪れた店は、あかりの想像するランクより一回りも二回りも上だった。
「福田様ですね。藤井様よりご予約を承っております。どうぞこちらへ」
引き返そうとするあかりより早く、ホールスタッフが声をかけて案内をする。
パンツスーツに歩きやすいようにローヒールな自分の姿が場違いなのはわかっていたが、あかりはスタッフのあとについていくしかなかった。
理貴の言い分を丸っと鵜呑みにして事前に調べなかった自分を呪う。そして、公務員の自分との違いをヒシヒシと思い知る。
(理貴、社長だもんな)
昔は幸人と共にあかりの後をついてきていたのに。
理貴は学生時代に起業して、今では知る人ぞ知る若手実業家としてバリバリ活躍しているのだ。
「どうぞ」
個室に通されたあかりは、先に着いていた理貴に促され、上座に座った。
自分より圧倒的に稼いでいるであろう社長を差し置いて上座に座るのは気が引けるが、ここは年長者を敬ってくれているのだと、自身を納得させる。
「あかりちゃん、久しぶりだね」
呼び方は昔のままなのに、記憶より低い声。
正確にはわからないが、座っていても上背がそこそこあるということは、背も高いだろう。
あんなに小さかったのに、と感傷に浸るのは自分が年を取った証拠だ。
苦笑したあかりは、「久しぶり」と理貴と同じ言葉を返した。
「ごめんね、呼び出して。びっくりした……よね?」
話し方も変わらない。兄二人と弟一人の男兄弟で揉まれて、今でも男所帯の仕事に就いているあかりよりよっぽど丁寧な言葉遣い。
自分のことをちゃん付けで呼ぶのは今も昔も理貴くらいだ。
弟の幸人すら、「あかり」と呼び捨てするから。
あかりちゃんと呼ばれるのはどこか照れくさくて、尻の座りが悪い。
一方理貴はあかりの照れなど気にしていないかのように見つめてくる。
真剣に自分を見てくる理貴の顔からは、どんな気持ちなのか、読み取ることは難しかった。
(そうだった。理貴って顔に出ないんだった)
「あかりちゃん、好き嫌いなかったよね? 適当に頼んでいいかな?」
あかりがうなずくのを確認すると、ボーイを呼び寄せ、メニューを開きながら小声でやり取りをする。
大人の男性らしくスマートな姿。
尤も、あかりの周りにはこんな所に招待してくれるような男はいないから、ドラマで得た知識であるけれど。
(昔の理貴では考えられな……いことはない、か)
あかりが鮮明に覚えているのは、理貴が小学生の頃までの姿だ。
あかりの家から五分の賃貸マンションに住んでいて、祖父がしている剣道場に通ってきていた頃。
その頃から理貴は、どこか洗練されていた。
整った顔立ち。いかにも都心の一等地から引っ越してきました、といわんばかりのキレイな言葉遣い。
異性を意識しだす三年生の頃に転校してきた理貴は、同級生の男子が幼く見えるほど大人びていた。
女の子とも臆せず話すし、誰にでも丁寧に接するし、頭もいい。
極めつけは、当たり前のようにポケットに洗濯したてのハンカチが入っていた。
男子にありがちなポケットの奥でクシャクシャに丸められたやつではなく、アイロンがかけられ柔軟剤のいい匂いがするハンカチだ。
それだけで周りの男子とは一線を画していた理貴は、大多数の女の子からは憧れの目で見られ、一部の男子からは徹底的に嫌われた。
トカイナカな地元は、あかりのようにずっと住んでいる者にとっては居心地は良かったけれど、理貴のような転入組には楽しい思い出ばかりではなかったのだろう。
新参者として度の過ぎたいじりと婉曲な表現をしたいじめがあったのだ。
教師の目をかい潜って起きていた出来事。
傍にいた幸人やあかりは、出来るだけ理貴を一人にしないこと、現場を見たらワルガキ共を追い払うことくらいしか出来なかった。
目の敵にしていたのが地元有権者の息子だったから、たとえ学校に訴えたとしても理貴を守ったか分からないが――理貴は中学受験をして引っ越していった。
守りきれなかった苦い思い出が蘇る。一瞬で温度が下がった体をアルコールで温めるように、ソムリエが注いでくれた赤のイタリアンワインを口に含む。
飲みの場ではもっぱらビールか焼酎の水割りのあかりには、ワインの度数は高かったようだ。
喉に引っかかることなく、スルッと胃に落ちたワインがボッと熱を持つ。
(飲み過ぎたら、酔うな……)
赤にしては口当たりのいい飲みやすいワインだ。普段飲んでいる酒のように煽っていたらあっという間に酔いが回る。
それにそんな居酒屋のような飲み方は、高級店相応しくないだろう。
(それに……)
すでに退社しているとはいえ立場上、いつ緊急の呼び出しがあるかわからないのだ。
次の日に残るような飲み方はするべきではない。
それにだいぶ鍛えられたといえども、あかりはあまり酒に強い方ではないのだ。
三分の二ほどワインが残ったグラスを置いたあかりに、ウエイターがそっと近づいてきて水のグラスを運んでくる。
店の気遣いか、それとも理貴か。
どちらかわからないが有り難くテーブルに運ばれたばかりのチェイサーを口に含んだ。
冷えた水が火照った体をスッと冷ましてくれる。
と、同時に思考も落ち着きを取り戻したようだ。
気を取り直してあかりは生ハムのサラダを口に運んでいた理貴に話しかけた。
「会うの、どれくらいぶりだっけ?」
「きちんと会ったのはあかりちゃんが就職するちょっと前に会ったきりだよ」
間髪容れずに理貴が答える。
少しだけ含みがあるように聞こえたが、あかりはサラリと聞き流した。
あかりとの関係は理貴の引っ越しで途切れたけれど、同級生の幸人とは変わらずに交流があったから近況は聞かずとも知っていた。
逆にあかりのことも理貴は聞いているだろう。
あかりが就職した頃といえば、もう十年も前だ。
それだけ付き合いがなかったあかりを呼び出したのは……。
「そっかぁ。ずいぶん前になるんだね。……今更どうして連絡くれたの?」
職業柄、どうしても探ってしまう。理貴相手にまどろっこしい聞き方をしても仕方ないから、直球で尋ねる。
理貴は驚いた――心の底から驚いた様子であかりを見つめる。
見知っている理貴といえど、穴が空くほど見つめられると流石に変な気持ちになる。
一般的に見ると理貴は、イケメンに分類されるのだ。
あかりの好みからはズレるといえども、いい男に見つめられるのは悪い気はしない。しないけれど、ここまで熱心に見つめられると勘違いするぞ、普通の女は、というのは心の中だけで呟いておく。
「……あかりちゃんだもんな。忘れてる、か……」
ため息と共に呆れたような呟きが理貴から漏れる。
あかりが何を、と尋ねる前に理貴が口を開いた。
「昔言ってたでしょ。結婚するなら金持ちがいいって」
「言った……かな?」
「うん、言った。あかりちゃんが警察学校に行く前に話したんだけど、覚えてない?」
過去の記憶を遡ってみるが全く覚えがない。
警察学校に行く前といえば、既に自由登校になっていた時か春休みだろう。
その時期は、早々に推薦で合格した友達と遊んだり、就職してから必要になる車の免許を取りに行ったりとバタバタしていた頃だ。
それも十年も前のこと。その後警察学校で色々しごかれて記憶が吹っ飛んでいることもあり、あかりは理貴と会ったことなど欠片も覚えていなかった。
だけど理貴はこんなくだらない嘘をつく人ではないから、あかりが単純に忘れているだけだろう。
「ごめん、全く覚えてない」
あかりの正直な詫びに、まぁいいよ、と理貴は苦笑する。
「で、どうかな?」
「ん? 何が?」
急に切り出した理貴の言葉の意味がうまく読み取れなくてあかりは聞き返す。
理貴は背筋を正すと、一息に言った。
「僕と結婚するのはどうかな?」
「……。……。え……?」
これが、あかりと理貴の物語の始まりであった。
あかりは指定された店に入るやいなや、自分がここに相応しくないことに気付かされる。
「会ってくれない? 相談があるんだ」
弟の幸人を通じて、三歳年下の幼馴染の理貴から連絡があったのは三日前。
カジュアルな店だから、と事前に言われていたのもあって仕事終わりのままの服装で訪れた店は、あかりの想像するランクより一回りも二回りも上だった。
「福田様ですね。藤井様よりご予約を承っております。どうぞこちらへ」
引き返そうとするあかりより早く、ホールスタッフが声をかけて案内をする。
パンツスーツに歩きやすいようにローヒールな自分の姿が場違いなのはわかっていたが、あかりはスタッフのあとについていくしかなかった。
理貴の言い分を丸っと鵜呑みにして事前に調べなかった自分を呪う。そして、公務員の自分との違いをヒシヒシと思い知る。
(理貴、社長だもんな)
昔は幸人と共にあかりの後をついてきていたのに。
理貴は学生時代に起業して、今では知る人ぞ知る若手実業家としてバリバリ活躍しているのだ。
「どうぞ」
個室に通されたあかりは、先に着いていた理貴に促され、上座に座った。
自分より圧倒的に稼いでいるであろう社長を差し置いて上座に座るのは気が引けるが、ここは年長者を敬ってくれているのだと、自身を納得させる。
「あかりちゃん、久しぶりだね」
呼び方は昔のままなのに、記憶より低い声。
正確にはわからないが、座っていても上背がそこそこあるということは、背も高いだろう。
あんなに小さかったのに、と感傷に浸るのは自分が年を取った証拠だ。
苦笑したあかりは、「久しぶり」と理貴と同じ言葉を返した。
「ごめんね、呼び出して。びっくりした……よね?」
話し方も変わらない。兄二人と弟一人の男兄弟で揉まれて、今でも男所帯の仕事に就いているあかりよりよっぽど丁寧な言葉遣い。
自分のことをちゃん付けで呼ぶのは今も昔も理貴くらいだ。
弟の幸人すら、「あかり」と呼び捨てするから。
あかりちゃんと呼ばれるのはどこか照れくさくて、尻の座りが悪い。
一方理貴はあかりの照れなど気にしていないかのように見つめてくる。
真剣に自分を見てくる理貴の顔からは、どんな気持ちなのか、読み取ることは難しかった。
(そうだった。理貴って顔に出ないんだった)
「あかりちゃん、好き嫌いなかったよね? 適当に頼んでいいかな?」
あかりがうなずくのを確認すると、ボーイを呼び寄せ、メニューを開きながら小声でやり取りをする。
大人の男性らしくスマートな姿。
尤も、あかりの周りにはこんな所に招待してくれるような男はいないから、ドラマで得た知識であるけれど。
(昔の理貴では考えられな……いことはない、か)
あかりが鮮明に覚えているのは、理貴が小学生の頃までの姿だ。
あかりの家から五分の賃貸マンションに住んでいて、祖父がしている剣道場に通ってきていた頃。
その頃から理貴は、どこか洗練されていた。
整った顔立ち。いかにも都心の一等地から引っ越してきました、といわんばかりのキレイな言葉遣い。
異性を意識しだす三年生の頃に転校してきた理貴は、同級生の男子が幼く見えるほど大人びていた。
女の子とも臆せず話すし、誰にでも丁寧に接するし、頭もいい。
極めつけは、当たり前のようにポケットに洗濯したてのハンカチが入っていた。
男子にありがちなポケットの奥でクシャクシャに丸められたやつではなく、アイロンがかけられ柔軟剤のいい匂いがするハンカチだ。
それだけで周りの男子とは一線を画していた理貴は、大多数の女の子からは憧れの目で見られ、一部の男子からは徹底的に嫌われた。
トカイナカな地元は、あかりのようにずっと住んでいる者にとっては居心地は良かったけれど、理貴のような転入組には楽しい思い出ばかりではなかったのだろう。
新参者として度の過ぎたいじりと婉曲な表現をしたいじめがあったのだ。
教師の目をかい潜って起きていた出来事。
傍にいた幸人やあかりは、出来るだけ理貴を一人にしないこと、現場を見たらワルガキ共を追い払うことくらいしか出来なかった。
目の敵にしていたのが地元有権者の息子だったから、たとえ学校に訴えたとしても理貴を守ったか分からないが――理貴は中学受験をして引っ越していった。
守りきれなかった苦い思い出が蘇る。一瞬で温度が下がった体をアルコールで温めるように、ソムリエが注いでくれた赤のイタリアンワインを口に含む。
飲みの場ではもっぱらビールか焼酎の水割りのあかりには、ワインの度数は高かったようだ。
喉に引っかかることなく、スルッと胃に落ちたワインがボッと熱を持つ。
(飲み過ぎたら、酔うな……)
赤にしては口当たりのいい飲みやすいワインだ。普段飲んでいる酒のように煽っていたらあっという間に酔いが回る。
それにそんな居酒屋のような飲み方は、高級店相応しくないだろう。
(それに……)
すでに退社しているとはいえ立場上、いつ緊急の呼び出しがあるかわからないのだ。
次の日に残るような飲み方はするべきではない。
それにだいぶ鍛えられたといえども、あかりはあまり酒に強い方ではないのだ。
三分の二ほどワインが残ったグラスを置いたあかりに、ウエイターがそっと近づいてきて水のグラスを運んでくる。
店の気遣いか、それとも理貴か。
どちらかわからないが有り難くテーブルに運ばれたばかりのチェイサーを口に含んだ。
冷えた水が火照った体をスッと冷ましてくれる。
と、同時に思考も落ち着きを取り戻したようだ。
気を取り直してあかりは生ハムのサラダを口に運んでいた理貴に話しかけた。
「会うの、どれくらいぶりだっけ?」
「きちんと会ったのはあかりちゃんが就職するちょっと前に会ったきりだよ」
間髪容れずに理貴が答える。
少しだけ含みがあるように聞こえたが、あかりはサラリと聞き流した。
あかりとの関係は理貴の引っ越しで途切れたけれど、同級生の幸人とは変わらずに交流があったから近況は聞かずとも知っていた。
逆にあかりのことも理貴は聞いているだろう。
あかりが就職した頃といえば、もう十年も前だ。
それだけ付き合いがなかったあかりを呼び出したのは……。
「そっかぁ。ずいぶん前になるんだね。……今更どうして連絡くれたの?」
職業柄、どうしても探ってしまう。理貴相手にまどろっこしい聞き方をしても仕方ないから、直球で尋ねる。
理貴は驚いた――心の底から驚いた様子であかりを見つめる。
見知っている理貴といえど、穴が空くほど見つめられると流石に変な気持ちになる。
一般的に見ると理貴は、イケメンに分類されるのだ。
あかりの好みからはズレるといえども、いい男に見つめられるのは悪い気はしない。しないけれど、ここまで熱心に見つめられると勘違いするぞ、普通の女は、というのは心の中だけで呟いておく。
「……あかりちゃんだもんな。忘れてる、か……」
ため息と共に呆れたような呟きが理貴から漏れる。
あかりが何を、と尋ねる前に理貴が口を開いた。
「昔言ってたでしょ。結婚するなら金持ちがいいって」
「言った……かな?」
「うん、言った。あかりちゃんが警察学校に行く前に話したんだけど、覚えてない?」
過去の記憶を遡ってみるが全く覚えがない。
警察学校に行く前といえば、既に自由登校になっていた時か春休みだろう。
その時期は、早々に推薦で合格した友達と遊んだり、就職してから必要になる車の免許を取りに行ったりとバタバタしていた頃だ。
それも十年も前のこと。その後警察学校で色々しごかれて記憶が吹っ飛んでいることもあり、あかりは理貴と会ったことなど欠片も覚えていなかった。
だけど理貴はこんなくだらない嘘をつく人ではないから、あかりが単純に忘れているだけだろう。
「ごめん、全く覚えてない」
あかりの正直な詫びに、まぁいいよ、と理貴は苦笑する。
「で、どうかな?」
「ん? 何が?」
急に切り出した理貴の言葉の意味がうまく読み取れなくてあかりは聞き返す。
理貴は背筋を正すと、一息に言った。
「僕と結婚するのはどうかな?」
「……。……。え……?」
これが、あかりと理貴の物語の始まりであった。
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