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集まれ緑風荘 8
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瑞己が言ったようにこのアパートの住人が次々と戻って来た。
「修司さん大家さん引き継いでくれてありがとうございます!」
なんて俺にしがみついてきたのは陽人。
学費も自分で学生ローンを組んで、ここには自分のバイト代で借りている苦労人の学生さんだ。
名前のように明るい性格で、親の事業が失敗して借金がある家庭環境なのにその年で独立して親に迷惑をかけないように、そして負担をかけないように腐らずに頑張っている陽人をお婆ちゃんが嫌うわけないと納得の理由にここを引き継いでほしいという意味は俺へのはっぱでもある事は十分に理解できた。
とはいえ
「野田さんの所に挨拶は?」
「してきました!今日からバイトに復帰です!」
「俺もです!」
「で、颯也もお帰り。今年は進級できそうか?」
「とりあえず将来的には……」
言いながら俺も野田さんの所に挨拶に行ってきたとふてくされる理由は普通に単位が取れなくて四年生になれなく留年しただけの話。
ご実家は農業をしていて颯也は後継ぎらしい。
らしいって言うのは長男で大学に通わせてもらっているのに実家に帰る気がなく、弟が高校三年生で進学したいという思いを両親が諦めろと言っている家庭環境だから。
みんな複雑な家庭環境だけどそれなりに優秀な颯也がすんなり大学を卒業して家に戻ったら弟の居場所が本当になくなるという事を心配しての自分の履歴を代償に親への抗議。
体張ってるなと思いつつ
「まあ、俺が何年も留年しているのを見て弟が有能と気付けば親も手のひらを返して弟をちやほやするだろうさ」
それはどうだろうか。
なんて仮定は口にせず
「とりあえず弟を支援しろ。弟に家を脱出できるように陽人から学生ローンの借り方とか教えておけ。陽人も教えろよ」
「りー」
そんな両親に認められる価値はあるのか。
いや、冷遇されたらこそ見てもらいたいという欲求があるのだろうかと思うもそこは口に出さずに颯也の判断を任す。
「って言うか、さっさと卒業して弟の受け入れ先になれ。
親には少し世間を勉強してからとか言ってのらりくらりかわせ。
そのあと弟を逃がすなりお前が実家に戻るなりして親を支配下に置けばいいだけだろ」
なんて呆れて言えば
「修司さんそういう事をどうでもいい顔で言われると怖いんだけどwww」
なんて笑っている瑞己と陽人と颯也だけどその目はどこか真剣で、そういう考え方もあるという事に気付いたように取り出したスマホで何かを調べだした。
だけどその前に
「みんな揃った所で許可をもらいたいんだけど……」
「そういや隣の部屋がなんかドアがレバーになってたんだけど?」
陽人の疑問に俺は頷いて
「いない間に空き部屋をしのさんに修繕してもらったんだ」
なんてどや顔で言えば
「うそっ!しのさん来てたの?!」
「帰ってくるのが遅かったか……」
「しのさんが来てたなんて……」
三人はなぜか悔しそうな顔で
「絶対美味しいご飯だったに決まってる!」
「美味しいって、普通の中華だよ」
俺の手料理に何涙を流してると聞きたかったが
「だって修司さんの中華風唐揚げ絶品だし!」
「パラパラの炒飯も俺大好物だし!」
「修司さんの料理美味しいのにしのさんが来ないと作ってくれないから楽しみにしていたんです!」
なんて陽人達の全力の叫び。
素人料理がそんなにも好きだなんてどれだけお前庶民派なんだよと思うも
「ほら、前の大家さんのご飯、清く正しい和食派だったから。
この格安賃貸料でご飯付きだから俺達絶対文句言わなかったけど、やっぱりお肉、美味しいんだよ……」
陽人の言葉に全員が頷く。
「俺としてはお袋の料理は肉ばかりだからお婆ちゃんのご飯ですごくほっとしたし……」
「それはたまに食べるからだ。一日三食精進料理だからね」
「だし巻き卵とか目玉焼きはあったよ。
だけど贅沢じゃないけどちゃんとしたお肉をがっつり食べたかったんだよ!」
「ファ〇チキがどれだけ俺達の心の支えになった事だろうかっ!!!」
「いや、肉ぐらい自分で焼けよ」
そのための自炊スペースがあるだろうというも
「大家さんにそのご飯じゃ満足できないって言っているみたいでできなくって……」
何とも言えない切ない心遣い。
どういう優しさなのだろうかと思わず両手で顔を覆いながら
「ありがとうと言うべきか、お前ら馬鹿かと言うべきか。
とりあえずこれからはちゃんとした肉ぐらい食わせてやるから」
そんな俺の決意。
「とりあえず今日の晩御飯は唐揚げだ。だからバイト終わったらまっすぐ帰ってこい」
と涙ながらに伝えるのだった。
「修司さん大家さん引き継いでくれてありがとうございます!」
なんて俺にしがみついてきたのは陽人。
学費も自分で学生ローンを組んで、ここには自分のバイト代で借りている苦労人の学生さんだ。
名前のように明るい性格で、親の事業が失敗して借金がある家庭環境なのにその年で独立して親に迷惑をかけないように、そして負担をかけないように腐らずに頑張っている陽人をお婆ちゃんが嫌うわけないと納得の理由にここを引き継いでほしいという意味は俺へのはっぱでもある事は十分に理解できた。
とはいえ
「野田さんの所に挨拶は?」
「してきました!今日からバイトに復帰です!」
「俺もです!」
「で、颯也もお帰り。今年は進級できそうか?」
「とりあえず将来的には……」
言いながら俺も野田さんの所に挨拶に行ってきたとふてくされる理由は普通に単位が取れなくて四年生になれなく留年しただけの話。
ご実家は農業をしていて颯也は後継ぎらしい。
らしいって言うのは長男で大学に通わせてもらっているのに実家に帰る気がなく、弟が高校三年生で進学したいという思いを両親が諦めろと言っている家庭環境だから。
みんな複雑な家庭環境だけどそれなりに優秀な颯也がすんなり大学を卒業して家に戻ったら弟の居場所が本当になくなるという事を心配しての自分の履歴を代償に親への抗議。
体張ってるなと思いつつ
「まあ、俺が何年も留年しているのを見て弟が有能と気付けば親も手のひらを返して弟をちやほやするだろうさ」
それはどうだろうか。
なんて仮定は口にせず
「とりあえず弟を支援しろ。弟に家を脱出できるように陽人から学生ローンの借り方とか教えておけ。陽人も教えろよ」
「りー」
そんな両親に認められる価値はあるのか。
いや、冷遇されたらこそ見てもらいたいという欲求があるのだろうかと思うもそこは口に出さずに颯也の判断を任す。
「って言うか、さっさと卒業して弟の受け入れ先になれ。
親には少し世間を勉強してからとか言ってのらりくらりかわせ。
そのあと弟を逃がすなりお前が実家に戻るなりして親を支配下に置けばいいだけだろ」
なんて呆れて言えば
「修司さんそういう事をどうでもいい顔で言われると怖いんだけどwww」
なんて笑っている瑞己と陽人と颯也だけどその目はどこか真剣で、そういう考え方もあるという事に気付いたように取り出したスマホで何かを調べだした。
だけどその前に
「みんな揃った所で許可をもらいたいんだけど……」
「そういや隣の部屋がなんかドアがレバーになってたんだけど?」
陽人の疑問に俺は頷いて
「いない間に空き部屋をしのさんに修繕してもらったんだ」
なんてどや顔で言えば
「うそっ!しのさん来てたの?!」
「帰ってくるのが遅かったか……」
「しのさんが来てたなんて……」
三人はなぜか悔しそうな顔で
「絶対美味しいご飯だったに決まってる!」
「美味しいって、普通の中華だよ」
俺の手料理に何涙を流してると聞きたかったが
「だって修司さんの中華風唐揚げ絶品だし!」
「パラパラの炒飯も俺大好物だし!」
「修司さんの料理美味しいのにしのさんが来ないと作ってくれないから楽しみにしていたんです!」
なんて陽人達の全力の叫び。
素人料理がそんなにも好きだなんてどれだけお前庶民派なんだよと思うも
「ほら、前の大家さんのご飯、清く正しい和食派だったから。
この格安賃貸料でご飯付きだから俺達絶対文句言わなかったけど、やっぱりお肉、美味しいんだよ……」
陽人の言葉に全員が頷く。
「俺としてはお袋の料理は肉ばかりだからお婆ちゃんのご飯ですごくほっとしたし……」
「それはたまに食べるからだ。一日三食精進料理だからね」
「だし巻き卵とか目玉焼きはあったよ。
だけど贅沢じゃないけどちゃんとしたお肉をがっつり食べたかったんだよ!」
「ファ〇チキがどれだけ俺達の心の支えになった事だろうかっ!!!」
「いや、肉ぐらい自分で焼けよ」
そのための自炊スペースがあるだろうというも
「大家さんにそのご飯じゃ満足できないって言っているみたいでできなくって……」
何とも言えない切ない心遣い。
どういう優しさなのだろうかと思わず両手で顔を覆いながら
「ありがとうと言うべきか、お前ら馬鹿かと言うべきか。
とりあえずこれからはちゃんとした肉ぐらい食わせてやるから」
そんな俺の決意。
「とりあえず今日の晩御飯は唐揚げだ。だからバイト終わったらまっすぐ帰ってこい」
と涙ながらに伝えるのだった。
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