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春になって心機一転するかどうかはまた別の話し 1
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男四人の食事はそれなりに大変だった。
朝はご飯にみそ汁、ベーコンエッグ。オムレツだったりなんかだったり。
金曜日のカレーじゃないけど日曜日の朝はパンにさせてもらっている。
基本俺は朝はパン食派だったからパンが恋しい。
だけど三人の朝はお婆ちゃんのおかげでしっかり和食に胃袋がしつけられていた。
さらに二時間目、三時間目からの授業でも朝食は必ず7時から8時以内と決められていたという。
お婆ちゃん時間に厳しかったからな。
おかげでこの三人は実家を出ても実家にいる時以上にしっかり規則正しい生活を身に着けていたのは俺の方がびっくりで、この緑風荘のルールに慣れるのが一番の苦痛だ。
とは言え大家がそんな事を言ってはいられず……
「おはようございます」
「よし来たな瑞己!ご飯とみそ汁はセルフだ!」
「よっしゃー!一番乗りの特権発動っ!!」
なんて瑞己の歓喜の悲鳴。
そして戦前からの建物では声なんてほとんど筒抜けで
どどどどどど……
「うわっ……」
なんて逃げ出したくなるくらいの勢い。
その足音はどんどん近づいてきて
「瑞己全部食べるなよっ!」
「早い者勝ちだ颯也」
「あー!みそ汁の具が少ねえ!」
「準備が遅いのが悪いんだよ陽人!」
「くそっ!せめてご飯はしっかり食べる!」
そんな賑やかな朝食の風景。
みんなよく食べられるなと事前に自分の分はキープしてある分はお茶碗一杯のご飯とお椀いっぱいのみそ汁。あとは目玉焼き。みんなにはベーコンを追加してあるけど、俺はいらない。
朝からベーコンって胃もたれするんだけどみんな元気だなとその鉄の胃袋を尊敬してしまう。
「って、ほんとお前らよく食べるな」
自主的にご飯のお替りをする三人組にとってご飯は飲み物ですと言うくらい気持ちいいくらい口から吸いこまれていくのを毎朝眺める事になったが
「修司さんが少食なんですよ」
野田さんの所以外でも単発バイトを入れて生活費を稼いでいる陽人の食欲はほんと素晴らしいものがあるが
「俺は世間一般的標準規格だ」
「や、俺と三歳差でそれはないって」
颯也に突っ込まれて頬を引きつらせてしまう。
たった三歳、されど三歳。
いつの間にか大きな溝が出来てしまったなと心の中で涙を流していれば
「修司さんの自業自得ですよ。ここ数か月ニートしてたんだから胃袋がちっちゃくなったんじゃね?」
「女子より食べないよね」
瑞己と颯也の突っ込みに反論が出来なかった。
朝は昼近くまで寝て夜は遅くまで起きていて、食事は一日二回。あとはビールとおつまみの怠惰な生活。
いや、ちゃんと親父が押し付けてきた仕事もしてたよ?
だけどそれで規則正しい生活が出来たわけじゃないんだけどね。
むしろ悪化した。
夜帰ってきて朝までに仕上げてくれなんてなんて鬼社長だと罵りつつもしっかり仕事をする俺。だから親父がつけあがる。
そんな事もあっておれは親父が帰ってくる頃に合わせて体調を整える完全夜型人間になってしまった。
どうせお袋辺りがその辺を端折ってお婆ちゃんに話したのだろう。
だから外部に依頼して管理を任せてしまえばいい物を俺に託すだなんて病の床についていても考えてくれたのだろう。
甘いのと厳しいのが同居しすぎだ。むしろもう二度と会えなくなってから厳しくなるの止めて欲しい。
俺に甘々で優しいお婆ちゃんのままでいさせてくれよと一升炊いたはずのご飯が空っぽになり、業務用向けスーパーで買って来た漬物もからっぽになっていた。
いや、お前らほぼご飯を漬物で食べやがって……
さすがにびっくりだ。
「で、今日の予定は?」
「まだ学校開始前だからバイト行ってきます」
「同じく」
「右に同じ」
なんて仲良しだと感心しながら
「その帰り道に野田さんの所行ってから帰ってくるので帰りは10時ごろになるかな」
「しっかり稼いでくるので晩御飯お願いします」
「お肉よろしくお願いします」
なんてお肉の辺りですごく真剣な顔で頭を下げるあたり本当にお肉に飢えてるんだなと思うも
「ああ、悪いけど今日しのさんが来るから。
お前らの部屋のドアと窓の所触るから触られたくないものは片付けておけ……」
「ええっ?!しのさんが来るの?!」
「じゃあ、今夜は中華だ!なるはやで帰らないと」
「長風呂はできないな!」
なんて陽人、颯也、瑞己のテンションはMAXだ。
いや、料理を作る俺としてはそんなにも期待を込められると引くんだけど。
だけどそうだな……
「酢豚にしようか。黒酢炒めの奴」
朝食を見ればわかる通り肉多めとしたらあっという間に予算はオーバーする。
お婆ちゃんが野菜たっぷりの和食派だったのもなんか納得。
だってあの人去年の誕生日にはステーキをぺろりと食べたんだぞ。
絶対瑞己たちが言うお婆ちゃんのご飯はコスパメシだと嫌でも納得。
だからそこは俺も見習う様にして
「黒酢炒めにすると地味だからパプリカとかいっぱい入れて派手にしようか」
途端になんで野菜いれるの?とそんな顔に俺は笑い
「しのさんが好きなんだ。だから今日はしのさんに合わせてもらうぞ」
「「「はーい」」」
そんなしょぼんとした声に俺は少しだけ遠回しに自重しろという言葉が伝わればとお茶をすするっていた。
朝はご飯にみそ汁、ベーコンエッグ。オムレツだったりなんかだったり。
金曜日のカレーじゃないけど日曜日の朝はパンにさせてもらっている。
基本俺は朝はパン食派だったからパンが恋しい。
だけど三人の朝はお婆ちゃんのおかげでしっかり和食に胃袋がしつけられていた。
さらに二時間目、三時間目からの授業でも朝食は必ず7時から8時以内と決められていたという。
お婆ちゃん時間に厳しかったからな。
おかげでこの三人は実家を出ても実家にいる時以上にしっかり規則正しい生活を身に着けていたのは俺の方がびっくりで、この緑風荘のルールに慣れるのが一番の苦痛だ。
とは言え大家がそんな事を言ってはいられず……
「おはようございます」
「よし来たな瑞己!ご飯とみそ汁はセルフだ!」
「よっしゃー!一番乗りの特権発動っ!!」
なんて瑞己の歓喜の悲鳴。
そして戦前からの建物では声なんてほとんど筒抜けで
どどどどどど……
「うわっ……」
なんて逃げ出したくなるくらいの勢い。
その足音はどんどん近づいてきて
「瑞己全部食べるなよっ!」
「早い者勝ちだ颯也」
「あー!みそ汁の具が少ねえ!」
「準備が遅いのが悪いんだよ陽人!」
「くそっ!せめてご飯はしっかり食べる!」
そんな賑やかな朝食の風景。
みんなよく食べられるなと事前に自分の分はキープしてある分はお茶碗一杯のご飯とお椀いっぱいのみそ汁。あとは目玉焼き。みんなにはベーコンを追加してあるけど、俺はいらない。
朝からベーコンって胃もたれするんだけどみんな元気だなとその鉄の胃袋を尊敬してしまう。
「って、ほんとお前らよく食べるな」
自主的にご飯のお替りをする三人組にとってご飯は飲み物ですと言うくらい気持ちいいくらい口から吸いこまれていくのを毎朝眺める事になったが
「修司さんが少食なんですよ」
野田さんの所以外でも単発バイトを入れて生活費を稼いでいる陽人の食欲はほんと素晴らしいものがあるが
「俺は世間一般的標準規格だ」
「や、俺と三歳差でそれはないって」
颯也に突っ込まれて頬を引きつらせてしまう。
たった三歳、されど三歳。
いつの間にか大きな溝が出来てしまったなと心の中で涙を流していれば
「修司さんの自業自得ですよ。ここ数か月ニートしてたんだから胃袋がちっちゃくなったんじゃね?」
「女子より食べないよね」
瑞己と颯也の突っ込みに反論が出来なかった。
朝は昼近くまで寝て夜は遅くまで起きていて、食事は一日二回。あとはビールとおつまみの怠惰な生活。
いや、ちゃんと親父が押し付けてきた仕事もしてたよ?
だけどそれで規則正しい生活が出来たわけじゃないんだけどね。
むしろ悪化した。
夜帰ってきて朝までに仕上げてくれなんてなんて鬼社長だと罵りつつもしっかり仕事をする俺。だから親父がつけあがる。
そんな事もあっておれは親父が帰ってくる頃に合わせて体調を整える完全夜型人間になってしまった。
どうせお袋辺りがその辺を端折ってお婆ちゃんに話したのだろう。
だから外部に依頼して管理を任せてしまえばいい物を俺に託すだなんて病の床についていても考えてくれたのだろう。
甘いのと厳しいのが同居しすぎだ。むしろもう二度と会えなくなってから厳しくなるの止めて欲しい。
俺に甘々で優しいお婆ちゃんのままでいさせてくれよと一升炊いたはずのご飯が空っぽになり、業務用向けスーパーで買って来た漬物もからっぽになっていた。
いや、お前らほぼご飯を漬物で食べやがって……
さすがにびっくりだ。
「で、今日の予定は?」
「まだ学校開始前だからバイト行ってきます」
「同じく」
「右に同じ」
なんて仲良しだと感心しながら
「その帰り道に野田さんの所行ってから帰ってくるので帰りは10時ごろになるかな」
「しっかり稼いでくるので晩御飯お願いします」
「お肉よろしくお願いします」
なんてお肉の辺りですごく真剣な顔で頭を下げるあたり本当にお肉に飢えてるんだなと思うも
「ああ、悪いけど今日しのさんが来るから。
お前らの部屋のドアと窓の所触るから触られたくないものは片付けておけ……」
「ええっ?!しのさんが来るの?!」
「じゃあ、今夜は中華だ!なるはやで帰らないと」
「長風呂はできないな!」
なんて陽人、颯也、瑞己のテンションはMAXだ。
いや、料理を作る俺としてはそんなにも期待を込められると引くんだけど。
だけどそうだな……
「酢豚にしようか。黒酢炒めの奴」
朝食を見ればわかる通り肉多めとしたらあっという間に予算はオーバーする。
お婆ちゃんが野菜たっぷりの和食派だったのもなんか納得。
だってあの人去年の誕生日にはステーキをぺろりと食べたんだぞ。
絶対瑞己たちが言うお婆ちゃんのご飯はコスパメシだと嫌でも納得。
だからそこは俺も見習う様にして
「黒酢炒めにすると地味だからパプリカとかいっぱい入れて派手にしようか」
途端になんで野菜いれるの?とそんな顔に俺は笑い
「しのさんが好きなんだ。だから今日はしのさんに合わせてもらうぞ」
「「「はーい」」」
そんなしょぼんとした声に俺は少しだけ遠回しに自重しろという言葉が伝わればとお茶をすするっていた。
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