【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい

冬月光輝

文字の大きさ
51 / 87
第ニ章:新たな侵略者、【魔界貴族】編

第48話:【魔界貴族】との最終戦。【ベルゼブブ大公】と戦う話

しおりを挟む
 第三部隊は陣地内の敵をほぼ殲滅させ、他の部隊の援護に向かおうとした。
 しかし、瀕死で状況を伝えに来たティアナ達によると他の部隊は一体の化物により壊滅させられたという。

「やはり【ベルゼブブ大公】ですか? しかし、第一部隊と第二部隊を単独で壊滅させるような化物を相手にどうすれば……」
 私が質問をすると、フィーナはそれに答えようと口を開いた。

――ピューン、ピューン、ピューン

 それと同時にティアナ達が来た方向から、赤紫の光の線が無数に照射されてきた。
 
「がぁっ」
「ぎゃっ」
「ぐぅー」
「げぎゃぁぁ」
「ごぁぁぁぁぁ」

 無差別の攻撃で特に狙いはつけてないみたいだが、当たり所が悪ければ即死だぞ。
 ラミアにかけたバリアを咄嗟に周りの仲間にかけ続けたが、速度が追い付かない。

 しばらくして、赤紫色の光の照射は収まった。
 私の近くにいたダルバートのメンバーや、ティアナ達。
 そして、うまく避けていた、レオンとフィーナは無傷で済んだ。しかし守りきれなかった人数も多く、死傷者がかなり出てしまった。

 くっ、ここに来て想像以上の化物を相手にせねばならんのか……。仲間が多く死んでしまった……。仇を討たなくては……。
 しかし、パワーアップしたとはいえ、私は勝てるのか?

――ズドォォォォォン

 爆発音と共に、5メートル程の大きさの巨大な悪魔が空中から舞い降りた。
 巨大な蝿を彷彿させる羽と顔つき、威圧感たっぷりのオーラ。
 体は黒光りしていて、丈夫そうだ。

「ぶはぁっ! 人間っていうのは、貧弱な生物じゃと思っとったが、存外やりおるのぉ。いやいや、ワシの部下どもが貧弱過ぎたな。まさか全滅とは……情けないのぉ。まぁ、よかろう……。地上の人間共を絶滅させるぐらい、このベルゼブブ様一人で事足りるわい」
 ベルゼブブと名乗った蝿男は目を見開いた。

――グゴォォォォン

 大地が震えながら、地割れが起きて、大気まで震えた。
 禍々しい熱気が辺りを包み込む。
 こっこいつ、【ウェパル女公爵】や【べリアル公爵】が子供に見えるぐらいの威圧感と魔力を感じるぞ。
 まずい、本当に逃げるしか……。

‘’お前、マジでいい加減にしろよ! まーだ、オレの力を見くびってやがんな。いいか? 所詮ベルゼなんて魔王になれなかった敗北者なんだぜ。そーだ、良い作戦を考えた! お前さん、面白ぇ技使えるだろ、だからさ、ゴニョゴニョ……‘’
 頭の中でまた声が響いた……。
 本当にそんなんで上手くいくのか……。
 
 全力かぁ、べリアルとの戦いの時より力が馴染んで来たから、出来るだけ出力を上げてみよう。

ルシア
【魔王スキル発動】

 闇系闘気極大(ダークオーラアップ)

――ゴォォォォォォォォォッ

 私の体から、どす黒い闘気が天にも届く勢いで噴出される。
 足元の地面はバリバリと音を立ててへこんでいき、周りの小石や砂が舞い上がり、突風が吹き荒れた。

「ちょっと、ルシアっ。それって……」
 エリスが不安な顔をしていた。
 大丈夫、ヤツは私が倒してくるよ。

「妾とレオン以外は、出来るだけ遠くに逃げなさい。巻き添えで死ぬなんて馬鹿らしいったらありゃしないわ」
 フィーナは第三部隊の全員に避難を促した。

「ふむ、ルシアがこれほどの領域まで行ってしまうとは……。人の限界を軽く超えている」
 レオンは私を見つめながら呟いた。

「ぶはっぶはっ、少しはできるヤツが人間にもいるみたいじゃな! 【勇者】とかいう、イキリ散らした愚か者共が虫けらレベルに弱かったもんじゃから拍子抜けしとったのじゃ。貧弱な種族でちょっと強いからって、自信満々な顔をしとるのを捻るのは快感じゃよ。力自慢ほど絶望した表情は傑作じゃからなぁ! ぶぁっはっはっはっ!」
 ベルゼブブは上機嫌そうに笑いながら、赤紫色のオーラを充実させていく。
 まだ力が上がるのか、だが……。

「絶望した表情を見せるのは、お前の方だ……」
 
――フッ

 私は一瞬でベルゼブブの蝿顔に接近して、両手をかざした。

ルシア→【ベルゼブブ大公】
【魔王スキル発動】
 
 魔闘気漆黒弾(ダークマター)

 闇系の闘気を超圧縮させた塊を至近距離からベルゼブブの顔面に直撃させた。

――ドバァガァァァァァン

 ベルゼブブの顔面は大爆発して、50メートルほど吹き飛ばされた。
 
「ぶはっ、ブァカナァァァッ! あれは、バハムティアの奴の……、なぜぇぇぇ人間がぁぁぁぁっ!」
 ベルゼブブは動揺して、声が震えていた。
 あー、本当にベルゼブブは昔この技で瀕死にまで追い込まれて、魔王の座に付けなかったんだな。

“なっ、言ったとおりだろ? とっとと決めちまえ!”

「おのれぇぇぇ! 叩き斬ってくれるぅぅぅ!」
 ベルゼブブは口から赤黒い髑髏の装飾がされた大剣を吐き出して、構えた。

【ベルゼブブ大公】→ルシア
【最上位悪魔スキル発動】

 暗黒剣技・冥国崩

 ベルゼブブの大剣が私の頭上を捉える。
 なんだ、焦って攻撃したからなのか動きが単調すぎるな……。避けるまでもない。

ルシア
【侍スキル発動】

 片手白羽取り

――パシッ

 私はベルゼブブの大剣を片手で摘んだ。
 
「ぐぎぎぃぃぃ、ワシの剣を摘みおっただとぉぉぉぉぉ!」
 ベルゼブブは驚愕した。
 驚いてるところすまないが、攻撃させてもらうぞ。

ルシア→【ベルゼブブ大公】
【魔王、仙人スキル同時発動】

 闇系闘気増大+流水乱舞=漆黒流魔乱舞

 私は闇系の闘気を両手に集中させて、連打をベルゼブブに浴びせた。
 今までにない力とスピードが体に宿っている……。

――ズドォォォン、バゴォォォォン

 連打の一撃がベルゼブブの体にめり込む度に、巨大な破裂音がしてベルゼブブは血を吐き出した。
 お前は、たくさんの仲間たちを殺した。
 まぁ、それはお互い様かもしれないが……。

 死んでいった仲間を侮辱したことは、絶対に許さないぞ!

 私の怒りを込めた拳は確実にベルゼブブを弱らせた。
 しかし、さすがは【魔界貴族】の頂点といったところか、見た目ほどダメージは通ってない様子だった。
 
「ぶはぁぶはぁ……、バハムティアの技を使うから面食らったが、よう考えたらお前はヤツじゃあない……。ぶはぁぶはぁ……落ち着いてきたわい……」
 ベルゼブブは落ち着きを取り戻して来たようだった。
 遅かったな、この攻撃が当たる前なら長引いたかもしれないが……。

【魔王スキル発動】

 魔刃闇烏(マジンヤミガラス)

――スパンッ

 ベリアルを倒した時よりも闇の闘気を込めた剣はまるでカステラを切るように軽くベルゼブブの四枚の羽根を斬り裂いた。

「げぎゃぁっはぁぁぁぁぁ! ワシの鋼よりも硬い羽根がぁぁぁぁっ! 化物めぇぇぇぇ!」
 ベルゼブブは羽根が切り落とされて、恐怖に顔を歪めた。
 ふーん、宣言どおりお前の絶望した顔を見たけど、あんまり面白いもんじゃなかったな。
 もう、終わりにしていいや。

「ぐぞぉぉぉぉ! ぞんな目でワジを見るなぁぁぁぁぉ!」

【ベルゼブブ大公】→ルシア
【最上位悪魔スキル発動】

 冥王大魔殺閃

 ベルゼブブは血走った複眼で私を睨んで、口を開けて赤紫色の巨大な光線を照射した。

「私の全魔力を使ってお前の全てを消し去ってやる!」

ルシア→【ベルゼブブ大公】
【勇者スキル発動】

 中級無属性消滅魔法

 私は右手でベルゼブブに向かって、銀色の光を照射した。
 
――ズドォォォォォォォン

 銀色の光はベルゼブブの放った光線を消し去り、大地を削り取り、ベルゼブブ本体を飲み込んだ……。

――カッ

 ベルゼブブを包んだ、銀色の光は太陽のように眩く輝き、ベルゼブブは断末魔を上げることもなくこの世から消滅した。

 この瞬間、我々は【魔界貴族】との死闘に勝利したのである。



しおりを挟む
感想 57

あなたにおすすめの小説

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

収納魔法を極めた魔術師ですが、勇者パーティを追放されました。ところで俺の追放理由って “どれ” ですか?

木塚麻弥
ファンタジー
収納魔法を活かして勇者パーティーの荷物持ちをしていたケイトはある日、パーティーを追放されてしまった。 追放される理由はよく分からなかった。 彼はパーティーを追放されても文句の言えない理由を無数に抱えていたからだ。 結局どれが本当の追放理由なのかはよく分からなかったが、勇者から追放すると強く言われたのでケイトはそれに従う。 しかし彼は、追放されてもなお仲間たちのことが好きだった。 たった四人で強大な魔王軍に立ち向かおうとするかつての仲間たち。 ケイトは彼らを失いたくなかった。 勇者たちとまた一緒に食事がしたかった。 しばらくひとりで悩んでいたケイトは気づいてしまう。 「追放されたってことは、俺の行動を制限する奴もいないってことだよな?」 これは収納魔法しか使えない魔術師が、仲間のために陰で奮闘する物語。

出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~

TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ! 東京五輪応援します! 色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!

神眼の鑑定師~女勇者に追放されてからの成り上がり~大地の精霊に気に入られてアイテム作りで無双します

すもも太郎
ファンタジー
 伝説級勇者パーティーを首になったニースは、ギルドからも放逐されて傷心の旅に出る。  その途中で大地の精霊と運命の邂逅を果たし、精霊に認められて加護を得る。  出会った友人たちと共に成り上がり、いつの日にか国家の運命を変えるほどの傑物となって行く。  そんなニースの大活躍を知った元のパーティーが追いかけてくるが、彼らはみじめに落ちぶれて行きあっという間に立場が逆転してしまう。  大精霊の力を得た鑑定師の神眼で、透視してモンスター軍団や敵国を翻弄したり、創り出した究極のアイテムで一般兵が超人化したりします。  今にも踏み潰されそうな弱小国が超大国に打ち勝っていくサクセスストーリーです。  ※ハッピーエンドです

コストカットだ!と追放された王宮道化師は、無数のスキルで冒険者として成り上がる。

あけちともあき
ファンタジー
「宮廷道化師オーギュスト、お前はクビだ」  長い間、マールイ王国に仕え、平和を維持するために尽力してきた道化師オーギュスト。  だが、彼はその活躍を妬んだ大臣ガルフスの陰謀によって職を解かれ、追放されてしまう。  困ったオーギュストは、手っ取り早く金を手に入れて生活を安定させるべく、冒険者になろうとする。  長い道化師生活で身につけた、数々の技術系スキル、知識系スキル、そしてコネクション。  それはどんな難関も突破し、どんな謎も明らかにする。  その活躍は、まさに万能!  死神と呼ばれた凄腕の女戦士を相棒に、オーギュストはあっという間に、冒険者たちの中から頭角を現し、成り上がっていく。  一方、国の要であったオーギュストを失ったマールイ王国。  大臣一派は次々と問題を起こし、あるいは起こる事態に対応ができない。  その方法も、人脈も、全てオーギュストが担当していたのだ。  かくしてマールイ王国は傾き、転げ落ちていく。 目次 連載中 全21話 2021年2月17日 23:39 更新

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

レベルが上がらずパーティから捨てられましたが、実は成長曲線が「勇者」でした

桐山じゃろ
ファンタジー
同い年の幼馴染で作ったパーティの中で、ラウトだけがレベル10から上がらなくなってしまった。パーティリーダーのセルパンはラウトに頼り切っている現状に気づかないまま、レベルが低いという理由だけでラウトをパーティから追放する。しかしその後、仲間のひとりはラウトについてきてくれたし、弱い魔物を倒しただけでレベルが上がり始めた。やがてラウトは精霊に寵愛されし最強の勇者となる。一方でラウトを捨てた元仲間たちは自業自得によるざまぁに遭ったりします。※小説家になろう、カクヨムにも同じものを公開しています。

外れスキル【削除&復元】が実は最強でした~色んなものを消して相手に押し付けたり自分のものにしたりする能力を得た少年の成り上がり~

名無し
ファンタジー
 突如パーティーから追放されてしまった主人公のカイン。彼のスキルは【削除&復元】といって、荷物係しかできない無能だと思われていたのだ。独りぼっちとなったカインは、ギルドで仲間を募るも意地悪な男にバカにされてしまうが、それがきっかけで頭痛や相手のスキルさえも削除できる力があると知る。カインは一流冒険者として名を馳せるという夢をかなえるべく、色んなものを削除、復元して自分ものにしていき、またたく間に最強の冒険者へと駆け上がっていくのだった……。

処理中です...