7 / 17
第七話
しおりを挟む
アルフォンス殿下に元婚約者であるヨシュア様が私を呼び出したことを伝えると、自らの護衛を私につけてくれました。
「その日は都合がつかないから、同行出来なくてごめん。でも、僕の護衛は優秀だから君を必ず守るよ」
彼はそう告げて、ヨシュア様の元に向かうことを許してくれたのです。
妹が不穏なことを口にしていましたから、どうしてもそれが気になった私はアルフォンス殿下に感謝して、侯爵家に向かいました。
どうやら、ヨシュア様の父である侯爵様はいらっしゃらないみたいです。
あえて、この日を指定したのは侯爵様に聞かれたくない話があるからでしょうか?
「やっと来たか! 待たせやがって! この不義理者が!」
「不義理者……?」
テーブルに足を置いて、怒りの形相を見せながらヨシュア様は私を睨みつけます。
不義理者という言い回しは気になりますね……。
婚約者を簡単に乗り換えたヨシュア様こそ不義理者なのではありませんか……?
「なんだ、エラソーに護衛なんか連れてきて。たかが伯爵家の護衛がこの俺に手出し出来ると思っているのか!? 気に入らない……!」
そして、私の背後にいるアルフォンス殿下の護衛を一瞥して、ヨシュア様は更に暴言を吐きます。
一体、何がここまで彼を怒らせているのでしょう。
やはり、妹が何かしたのでしょうか……。
「あの、ヨシュア様。今日、私を呼んだ用件というのは?」
「お前の妹のことに決まっているだろ!? よくも、あんな性悪な最低女を紹介しやがったな! あいつのせいで俺は父上にどれだけ叱られたか――」
ここからヨシュア様は妹のエレナが馬車で自分の悪口を言っていた事から始まって、それを追求すると彼女が開き直ったことや自分の父である侯爵様に泣きついた事などを話しました。
そして、最終的にエレナの挑発的な態度に怒って、彼女を打ったらしいです。
「あんな女だと知っていたら婚約などしなかったのに! お前、なんであのとき教えてくれなかったんだ!? 話すチャンスは沢山あっただろう!?」
どうやらヨシュア様の中で私は悪者に仕立て上げられているようでした。
エレナと婚約する前に彼女の本性を話していれば――と言われていますが、それを言おうとしたとき彼が自分で遮ったことを覚えていないらしいです。
「知りませんよ。あなたが勝手に私を捨ててエレナを婚約者にしたのではないですか」
私は自分勝手なヨシュア様に怒りを覚えましたが、どうにか堪えてそれだけ伝えました。
今さら、私に出来ることもありませんし……。
「なんだと! お前もクソ女かよ! うぐっ……!」
血走った目で私を見たヨシュア様は、立ち上がって私を殴ろうとします。
しかし、目にも止まらぬスピードで前に出てこられた護衛たちによって彼の腕は止まります。
「退け! 俺を誰だと心得る!?」
「貴様こそ、アリシア様に無礼は許さん! 何としても彼女を守れ……! これはアルフォンス殿下より授かった私たちの使命だ!」
「あ、あ、アルフォンス殿下ぁ……?」
殿下の名前を聞いたヨシュア様はへなへなと力の抜けた声をだしました――。
「その日は都合がつかないから、同行出来なくてごめん。でも、僕の護衛は優秀だから君を必ず守るよ」
彼はそう告げて、ヨシュア様の元に向かうことを許してくれたのです。
妹が不穏なことを口にしていましたから、どうしてもそれが気になった私はアルフォンス殿下に感謝して、侯爵家に向かいました。
どうやら、ヨシュア様の父である侯爵様はいらっしゃらないみたいです。
あえて、この日を指定したのは侯爵様に聞かれたくない話があるからでしょうか?
「やっと来たか! 待たせやがって! この不義理者が!」
「不義理者……?」
テーブルに足を置いて、怒りの形相を見せながらヨシュア様は私を睨みつけます。
不義理者という言い回しは気になりますね……。
婚約者を簡単に乗り換えたヨシュア様こそ不義理者なのではありませんか……?
「なんだ、エラソーに護衛なんか連れてきて。たかが伯爵家の護衛がこの俺に手出し出来ると思っているのか!? 気に入らない……!」
そして、私の背後にいるアルフォンス殿下の護衛を一瞥して、ヨシュア様は更に暴言を吐きます。
一体、何がここまで彼を怒らせているのでしょう。
やはり、妹が何かしたのでしょうか……。
「あの、ヨシュア様。今日、私を呼んだ用件というのは?」
「お前の妹のことに決まっているだろ!? よくも、あんな性悪な最低女を紹介しやがったな! あいつのせいで俺は父上にどれだけ叱られたか――」
ここからヨシュア様は妹のエレナが馬車で自分の悪口を言っていた事から始まって、それを追求すると彼女が開き直ったことや自分の父である侯爵様に泣きついた事などを話しました。
そして、最終的にエレナの挑発的な態度に怒って、彼女を打ったらしいです。
「あんな女だと知っていたら婚約などしなかったのに! お前、なんであのとき教えてくれなかったんだ!? 話すチャンスは沢山あっただろう!?」
どうやらヨシュア様の中で私は悪者に仕立て上げられているようでした。
エレナと婚約する前に彼女の本性を話していれば――と言われていますが、それを言おうとしたとき彼が自分で遮ったことを覚えていないらしいです。
「知りませんよ。あなたが勝手に私を捨ててエレナを婚約者にしたのではないですか」
私は自分勝手なヨシュア様に怒りを覚えましたが、どうにか堪えてそれだけ伝えました。
今さら、私に出来ることもありませんし……。
「なんだと! お前もクソ女かよ! うぐっ……!」
血走った目で私を見たヨシュア様は、立ち上がって私を殴ろうとします。
しかし、目にも止まらぬスピードで前に出てこられた護衛たちによって彼の腕は止まります。
「退け! 俺を誰だと心得る!?」
「貴様こそ、アリシア様に無礼は許さん! 何としても彼女を守れ……! これはアルフォンス殿下より授かった私たちの使命だ!」
「あ、あ、アルフォンス殿下ぁ……?」
殿下の名前を聞いたヨシュア様はへなへなと力の抜けた声をだしました――。
110
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたので、もう誰の役にも立たないことにしました 〜静かな公爵家で、何もしない私の本当の人生が始まります〜
ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、
完璧であることを求められ続けてきた令嬢エリシア。
だがある日、彼女は一方的に婚約を破棄される。
理由は簡単だった。
「君は役に立ちすぎた」から。
すべてを失ったはずの彼女が身を寄せたのは、
“静かな公爵”と呼ばれるアルトゥール・クロイツの屋敷。
そこで待っていたのは――
期待も、役割も、努力の強要もない日々だった。
前に出なくていい。
誰かのために壊れなくていい。
何もしなくても、ここにいていい。
「第二の人生……いえ、これからが本当の人生です」
婚約破棄ざまぁのその先で描かれる、
何者にもならなくていいヒロインの再生と、
放っておく優しさに満ちた静かな溺愛。
これは、
“役に立たなくなった”令嬢が、
ようやく自分として生き始める物語。
婚約者を取り替えて欲しいと妹に言われました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
ポーレット伯爵家の一人娘レティシア。レティシアの母が亡くなってすぐに父は後妻と娘ヘザーを屋敷に迎え入れた。
将来伯爵家を継ぐことになっているレティシアに、縁談が持ち上がる。相手は伯爵家の次男ジョナス。美しい青年ジョナスは顔合わせの日にヘザーを見て顔を赤くする。
レティシアとジョナスの縁談は一旦まとまったが、男爵との縁談を嫌がったヘザーのため義母が婚約者の交換を提案する……。
婚約破棄された人たらし悪役令嬢ですが、 最強で過保護な兄たちと義姉に溺愛されています
由香
ファンタジー
婚約破棄のその日、
悪役令嬢リリアーナは――弁明すら、しなかった。
王太子と“聖女”に断罪され、すべてを失った彼女。
だがその裏で、王国最強と名高い三人の兄と、
冷静沈着な義姉が、静かに動き始めていた。
再検証によって暴かれる“聖女の嘘”。
広場で語られる真実。
そして、無自覚に人を惹きつけてしまう
リリアーナの優しさが、次々と味方を増やしていく――。
これは、
悪役令嬢として断罪された少女が、
「誰かの物語の脇役」ではなく、
自分自身の人生を取り戻す物語。
過保護すぎる兄たちと義姉に溺愛されながら、
彼女は静かに、そして確実に幸せへ向かっていく。
【完結】いつも私をバカにしてくる彼女が恋をしたようです。〜お相手は私の旦那様のようですが間違いはございませんでしょうか?〜
珊瑚
恋愛
「ねぇセシル。私、好きな人が出来たの。」
「……え?」
幼い頃から何かにつけてセシリアを馬鹿にしていたモニカ。そんな彼女が一目惚れをしたようだ。
うっとりと相手について語るモニカ。
でもちょっと待って、それって私の旦那様じゃない……?
ざまぁというか、微ざまぁくらいかもしれないです
虐げられたアンネマリーは逆転勝利する ~ 罪には罰を
柚屋志宇
恋愛
侯爵令嬢だったアンネマリーは、母の死後、後妻の命令で屋根裏部屋に押し込められ使用人より酷い生活をすることになった。
みすぼらしくなったアンネマリーは頼りにしていた婚約者クリストフに婚約破棄を宣言され、義妹イルザに婚約者までも奪われて絶望する。
虐げられ何もかも奪われたアンネマリーだが屋敷を脱出して立場を逆転させる。
※小説家になろう、カクヨムにも掲載しています。
(完)親友なんて大嫌い!ーあなたは敵なの? 味方なの? (全5話)
青空一夏
恋愛
私はセント・マーガレット学園に通うアニエス・フィルム公爵令嬢。私の悩みは親友のベル・シクラメル公爵令嬢のこと。
普段はとても仲が良くて優しいのに、私のボーイフレンドをいつも横取りするわ。両親に言っても、ベルの味方ばかりする。だから私は修道院に入ってやった。これでもうベルなんかと関わらないで済むもんね。
そしたら・・・・・・
異世界中世ヨーロッパ風の残酷なしの恋愛物語。貴族社会でもある程度自由恋愛の許される世界です。幼い頃から婚約者を取り決める風習のない国です。
とある侯爵令息の婚約と結婚
ふじよし
恋愛
ノーリッシュ侯爵の令息ダニエルはリグリー伯爵の令嬢アイリスと婚約していた。けれど彼は婚約から半年、アイリスの義妹カレンと婚約することに。社交界では格好の噂になっている。
今回のノーリッシュ侯爵とリグリー伯爵の縁を結ぶための結婚だった。政略としては婚約者が姉妹で入れ替わることに問題はないだろうけれど……
【完結】真実の愛とやらに負けて悪役にされてポイ捨てまでされましたので
Rohdea
恋愛
最近のこの国の社交界では、
叙爵されたばかりの男爵家の双子の姉弟が、珍しい髪色と整った容姿で有名となっていた。
そんな双子の姉弟は、何故かこの国の王子、王女とあっという間に身分差を超えて親しくなっていて、
その様子は社交界を震撼させていた。
そんなある日、とあるパーティーで公爵令嬢のシャルロッテは婚約者の王子から、
「真実の愛を見つけた」「貴様は悪役のような女だ」と言われて婚約破棄を告げられ捨てられてしまう。
一方、その場にはシャルロッテと同じ様に、
「真実の愛を見つけましたの」「貴方は悪役のような男性ね」と、
婚約者の王女に婚約破棄されている公爵令息、ディライトの姿があり、
そんな公衆の面前でまさかの婚約破棄をやらかした王子と王女の傍らには有名となっていた男爵家の双子の姉弟が……
“悪役令嬢”と“悪役令息”にされたシャルロッテとディライトの二人は、
この突然の婚約破棄に納得がいかず、
許せなくて手を組んで復讐する事を企んだ。
けれど───……あれ? ディライト様の様子がおかしい!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる