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第五話
しおりを挟む「リゼ!リゼ!」
突然、入口の方が何やら騒がしくなりました。
番兵に止められながら私の名前を呼ぶのは、私の両親と、親戚たちです。
「酷いじゃないか!なぜ披露宴に私たちを呼ばないんだい!」
ライル様が私の手を離し、厳しい顔つきでそちらに向かいます。
「それは、あなた方がリゼを勘当なさったからですよ。手紙はまわりまわって私の家まで、しっかり届きました。あなた方とリゼは、もう無関係のはずです」
「そんな......。王子様とご結婚なさるのなら、私たちは......」
はぁ、とライル様は頭を抱えます。
「追い出せ。リゼの価値を誰と結婚したかでしか測れない人たちは、二度と王城に入れるな」
「はっ」
そ、そんなぁ、と言いながら、彼らは番兵に連れ去られていきます。
私の顔は真っ青でした。私のせいで、高貴な城でこんな騒ぎを起こしてしまった。
恐る恐る王様を見やると、なんと大爆笑しているではありませんか。
彼は笑ったまま、こちらに来るよう手振りで指示します。
「......ライルと結婚してくれて、ありがとうな」
私が彼の隣に座ると、王様は突然そう言い出しました。
「いえいえ。本当に、私でいいのかどうか......」
「何を言っている。君じゃなきゃ、きっと駄目だったろうさ」
「えっ?」
王様は、遠い目をして言いました。
「君が昔教えた、あの隠れ場所。我々が気付かないわけなかろうが。この国はわしの国だぞ」
「じゃあ、どうして」
「どうして、見逃したのか?そりゃあな、城の中で勉強しているときは、あんなに覇気のなかったあいつの眼が、君といるときは見たことがないほどきらきら輝くもんだからな」
驚く私をよそに、王様は、ふふふ、と笑って続けます。
「あいつは、普段はどうしようもないバカ息子だ。でも、君のことになると、途端にやる気を出して、頼もしくなる。君と一緒にいたら、あいつも何とかモノになるだろう」
「そんな、私を買いかぶりすぎでは......」
そこで、ライル様が戻ってきました。
王様は小声で、
「期待しとるよ」
と呟きます。
「何の話をしてたんですか?」
「いや、孫の顔はいつか、とな」
「嘘ですね。パパは孫なんてどうでもいい、ってタイプでしょう」
はっはっは、と王様の笑い声が会場に響きます。
「笑ってごまかさないでください!リゼに変なこと吹き込んだんじゃないでしょうね!」
賑やかな家族。
些細なことでも、私のことを気にかけてくれる夫。
私は、本来なら決して得られなかったような幸せを得ることができ、それから末永く、幸せに暮らしました。
fin.
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