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第一章 新たな問題はハーレムの増員?
第十話 女の子はたくましい(10)
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「ホントなーんもない山中だよ?」鈴音が苦笑するほどの僻地。
出身を紹介する説明に悩む鈴音だ。山間の温泉と自然は誇れる。
関西と名古屋を結ぶ近鉄線。奈良山中の終着地になる吉野だ。
県道を南下して宿泊地黒滝村。観光地とされる面不動鍾乳洞だ。
さらに南下。みたらい渓谷でも秘境と呼ばれるのが天川村だ。
奈良県。和歌山県。三重県。三県それぞれの境界になる土地。
世界遺産大峰山寺は重要文化財だ。いまも女人禁制の山上ケ岳。
飛鳥時代鬼神を使役した呪術者は……役小角だ。その修行地。
伝承の残る龍泉寺は天川村洞川温泉外れ。現存する滝行地だ。
滝行管理を名目にした木造家屋。建屋に各年代の美女が集まる。
十三世紀も経過した現代。山間に潜む山伏一族の末裔だった。
「ふむ純白の全身スーツ。間違いなく鈴音。投げナイフじゃな」
右の差し指。鼻口から細顎を押さえて悩む姿は妙齢の美女だ。
「ピンク髪は極真空手の達人。ウサギ少女も赤手空拳の理想だ」
「補助の赤スーツは丹波篠山。一般に紛れた天道の薙刀術だの。
それよりもじゃが……戦時大陸で救われた魔法使い? まさか」
部屋の片隅で遊ぶ子供たち。声が聴こえた数人近づいてくる。
かなり幼い少女が先頭を走る。途中倒れながら視線だけは強い。
半泣きになり涙をこらえる幼女。あざといが可愛らしい姿だ。
「あれれ? ケージくんじゃんか。車いす……片脚。失くした」
モニタに視線が全集中。なかでも幼女の何気ない一言だった。
驚愕した表情で駆けよる大人。当事者は何も意識していない。
うなずいた高齢女性。画面を視聴する背後の女性に一言追加だ。
「車いすの若造じゃな。英田爺ぃの関係者だから……そうじゃ。
それも気になる。暗器の投擲術ホンモノを伝授してやろうかの」
ほぼ同一時刻だ……大阪から北西になる。兵庫と京都の境界。
いまの丹波篠山市だ。篠山城跡に再建した大書院から北の下町。
蔵通りをすぎた神社は医療施設や市民センターに近い街区だ。
いまでは宮司も特殊な祭事にしか訪れない神社。社務所だった。
普段は都内だ。すでに引退した高齢の女性がモニタを眺める。
「ほーん美里からお願いされた配信か。映像が……おもしろい」
天道流を発祥とする二刀剣術。左右の両腕に小太刀を二本だ。
四十八ヶ條天道流の上位「小太刀二刀」正しく継承された地域。
江戸丹波篠山藩に伝搬した。現代に継承された古武道になる。
蔵文化の残される兵庫山中に位置する。全周山間で囲まれる町。
通常武士なら大小二本を帯刀する。小太刀二本は特殊技法だ。
想定外とされる武術だろう。機敏な動作も必須とされる武道だ。
「ふむ白い全身スーツは大峰の山伏。投げナイフが間違いない」
黒革のソファ。両腕を預けながら悩む姿。妙齢の美女だった。
「ピンク髪の少女が実戦空手。ウサギ耳の少女も体術に特化だ。
サポート役の赤スーツが美里か。天道の薙刀術は劣化もないが」
わずか数分の映像だ。そのまま美女が双眸を閉じて長考する。
「最後の集合シーン。黒い魔法少女? 依頼者の若者が車いす。
自走するAI。初めて小太刀二本の剣術。学びたいバカか……」
「わからなくもないがバカだよな。高校時代に片脚を切断した。
ほぼ筋トレだけのひきこもり。ダンジョンを攻略したいのか?」
ハハハと乾いた笑いが空しく社務所に響いた。「おもしろい」
「身体は小柄。ほとんど筋肉もない。三十路でもアイドル顔……
そのうえジジィの関係者だ。その周囲は美女ばかりでハーレム」
ふーんと天井を見あげながら姑息な笑みだ。表情も変化した。
「危険しかないはずのダンジョン。あの若者の目的はなんだい?
裏があるのかもしれない。美里の顔を確認するのも悪くないな」
小癪な笑みで最後につぶやいた。「関係者に連絡してからだ」
偶然かあるいは必然だったのかな。悲劇の再来かもしれない。
喜劇かもしれない忘れた過去だ。古から届けられたプレゼント。
出身を紹介する説明に悩む鈴音だ。山間の温泉と自然は誇れる。
関西と名古屋を結ぶ近鉄線。奈良山中の終着地になる吉野だ。
県道を南下して宿泊地黒滝村。観光地とされる面不動鍾乳洞だ。
さらに南下。みたらい渓谷でも秘境と呼ばれるのが天川村だ。
奈良県。和歌山県。三重県。三県それぞれの境界になる土地。
世界遺産大峰山寺は重要文化財だ。いまも女人禁制の山上ケ岳。
飛鳥時代鬼神を使役した呪術者は……役小角だ。その修行地。
伝承の残る龍泉寺は天川村洞川温泉外れ。現存する滝行地だ。
滝行管理を名目にした木造家屋。建屋に各年代の美女が集まる。
十三世紀も経過した現代。山間に潜む山伏一族の末裔だった。
「ふむ純白の全身スーツ。間違いなく鈴音。投げナイフじゃな」
右の差し指。鼻口から細顎を押さえて悩む姿は妙齢の美女だ。
「ピンク髪は極真空手の達人。ウサギ少女も赤手空拳の理想だ」
「補助の赤スーツは丹波篠山。一般に紛れた天道の薙刀術だの。
それよりもじゃが……戦時大陸で救われた魔法使い? まさか」
部屋の片隅で遊ぶ子供たち。声が聴こえた数人近づいてくる。
かなり幼い少女が先頭を走る。途中倒れながら視線だけは強い。
半泣きになり涙をこらえる幼女。あざといが可愛らしい姿だ。
「あれれ? ケージくんじゃんか。車いす……片脚。失くした」
モニタに視線が全集中。なかでも幼女の何気ない一言だった。
驚愕した表情で駆けよる大人。当事者は何も意識していない。
うなずいた高齢女性。画面を視聴する背後の女性に一言追加だ。
「車いすの若造じゃな。英田爺ぃの関係者だから……そうじゃ。
それも気になる。暗器の投擲術ホンモノを伝授してやろうかの」
ほぼ同一時刻だ……大阪から北西になる。兵庫と京都の境界。
いまの丹波篠山市だ。篠山城跡に再建した大書院から北の下町。
蔵通りをすぎた神社は医療施設や市民センターに近い街区だ。
いまでは宮司も特殊な祭事にしか訪れない神社。社務所だった。
普段は都内だ。すでに引退した高齢の女性がモニタを眺める。
「ほーん美里からお願いされた配信か。映像が……おもしろい」
天道流を発祥とする二刀剣術。左右の両腕に小太刀を二本だ。
四十八ヶ條天道流の上位「小太刀二刀」正しく継承された地域。
江戸丹波篠山藩に伝搬した。現代に継承された古武道になる。
蔵文化の残される兵庫山中に位置する。全周山間で囲まれる町。
通常武士なら大小二本を帯刀する。小太刀二本は特殊技法だ。
想定外とされる武術だろう。機敏な動作も必須とされる武道だ。
「ふむ白い全身スーツは大峰の山伏。投げナイフが間違いない」
黒革のソファ。両腕を預けながら悩む姿。妙齢の美女だった。
「ピンク髪の少女が実戦空手。ウサギ耳の少女も体術に特化だ。
サポート役の赤スーツが美里か。天道の薙刀術は劣化もないが」
わずか数分の映像だ。そのまま美女が双眸を閉じて長考する。
「最後の集合シーン。黒い魔法少女? 依頼者の若者が車いす。
自走するAI。初めて小太刀二本の剣術。学びたいバカか……」
「わからなくもないがバカだよな。高校時代に片脚を切断した。
ほぼ筋トレだけのひきこもり。ダンジョンを攻略したいのか?」
ハハハと乾いた笑いが空しく社務所に響いた。「おもしろい」
「身体は小柄。ほとんど筋肉もない。三十路でもアイドル顔……
そのうえジジィの関係者だ。その周囲は美女ばかりでハーレム」
ふーんと天井を見あげながら姑息な笑みだ。表情も変化した。
「危険しかないはずのダンジョン。あの若者の目的はなんだい?
裏があるのかもしれない。美里の顔を確認するのも悪くないな」
小癪な笑みで最後につぶやいた。「関係者に連絡してからだ」
偶然かあるいは必然だったのかな。悲劇の再来かもしれない。
喜劇かもしれない忘れた過去だ。古から届けられたプレゼント。
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