35歳バツイチオッサン、アーティファクト(美少女)と共に宇宙(ソラ)を放浪する

エルリア

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2.相続した船を調べてみて

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「いつ見てもおんぼろだな」

 父親死亡の連絡を受けその日のうちに実家へと向かった俺を待っていたのは今にも朽ち果てそうなボロボロの船。

 正式名称ショップシップ、とある小規模シップメーカーが製造した店舗機能付きのスペースシップで、店舗の他に居住空間や倉庫などを有した中型船。

 輸送機能にのみ特化し、武装らしい武装をあえて外したことでコストを削減、少し無理をすれば自分だけの店と船を手に入れられるとあって新開拓時代と呼ばれる数十年前までは現役で宇宙を飛び回っていたらしいけど、だんだんと宙賊が増えてきたこととそれに対抗するべく大手製造メーカーがこぞって高性能な船を開発したことで一気に衰退。

 結果、骨董品という扱いを受けそのほとんどがコロニーなどに停泊したまま普通の店舗として運用され続けている。

 とはいえ元は数十年前の船、既存の店と比べて外も中もボロボロでわざわざそれを使って店を出すなんてよっぽどこだわりがあるか金が無いかのどちらかしかない。

 親父はずばりその両方、新しい店を出す金もなく愛着があって手放せない。

 そんな親父に愛想をつかしてお袋は俺が社会人になると同時に出て行ったんだっけか。

 なんだよ、結局俺も親父と同じ道をたどっているのか。

 すくいなのは子供がいなかったことだけ、いたら今頃もっと大変なことになっていただろうなぁ。

「名義変更は完了しているらしいけど、登録とかどうやったんだ?」

 店のシャッターはおりていて当たり前だけど鍵もかかっている。

 裏手に回ると居住スペース用の茶色くさび付いた扉を発見、解除用のパネルに手を当てると青白く光ったそれが俺の掌をスキャンし始めた。

「解除します。」

「お、マジで開いた。」

 プシュ!という音共にさび付いた扉が横に開き、中のライトが淡く光り出す。

 通電しているのにこの光量、幸い換気システムは作動していたようで埃まみれという感じではないけれど中はごみが散乱してお世辞にも綺麗とは言えない状態だった。

「とりあえず掃除するか。」

 さっきの職員の話じゃシップ内のゴミとかは自分で処理しなければならないらしい。

 一般ごみならまだしも粗大ごみが多いとそれだけでもかなりの金額になるわけだし、最悪の場合は居住スペースを一つ潰してそこに押し込むしかないだろう。

 金になる物があればそれを換金して費用に充てるんだがどうやらその期待はしないほうがよさそうだ。

 商店を営んでいたという話だったけど、棚は空っぽ。

 シャッターのさび具合からかなりの期間使われてなかったと思われる。

 じゃあ何をどこで売ってたんだっていう話になるけど不思議と客は来て居た覚えがあるんだよなぁ。

 それも一般客じゃなくて探索者エクスプローラーとか冒険者アドベンチャーと呼ばれる荒くれ者が店にやってきては親父と難しい話をしていたのが幼少期の記憶。

 怖かったけれど良く頭をなでてくれる人もいて嫌な気分ではなかったな。

 どこにでもいるしがない商人、そんな父親の所になぜ彼らが集まっていたのかはわからないけれど少なからずそれで生計を立てて育ててもらったのは間違いない。

 店舗はハズレ、居住スペースはゴミの山。

 となると最後の希望は奥の倉庫だけだ。

 親父が最後に残したメッセージにはそこに何かある的なことを書いていたけれど、具体的に何があるとは教えてくれなかった。

宇宙ソラを旅して好きなように生きろ』なんてかっこいい事言ってくれるけどさ、そもそもこんなおんぼろがメンテもなしに飛べるとは思えない。

 もし仮に飛べたとしても武器もなしに外に出ればあっという間に宙賊に襲われて身ぐるみはがされて殺されるだろう。

 悲しいかな今はそんな時代、自由に宇宙を旅するなんてそんなことができる時代ではない。

 どうしても移動したいなら武器を装備するかもしくは傭兵ギルドで護衛を頼む必要があるけれども、それにもかなりの金がかかるわけで。

 それをペイできるだけのお宝が眠っていたら嬉しいんだけど・・・あの親父にそれを期待するのは無理な話か。

「えーっと倉庫倉庫・・・あった、ここだな。」

 店舗を船の頭とすると胴体の居住空間を抜けた先、船のお尻付近に倉庫はある。

 不思議とここのドアは錆びておらず心なしか空気も綺麗な感じがする。

 埃もたまっていなかったところを見るとここには出入りをしていたようだ。

 つまり何かがある。

「さて、何があるかなっと。」

 最初同様扉横の端末に掌を載せると光のバーが指先から掌をスキャン、これにより指紋や手相のだけでなく毛細血管の位置なんかを確認してロックを解除するんだとか。

 それでも偽情報を流すと開けられてしまうらしく最近はもっと別の方法が推奨されている。

 エアロックが解除されひんやりとした空気がこちら側へと流れて来る。

 冷蔵庫?いや、そういうわけではないのか。

 何とも言えない不思議な空気、そんなに大きな倉庫ではないけれど物資を保管するには十分なスペースがある。

 昔はここに日用品や資材を満杯にして各コロニーに売りに行ったりしたらしいけど、最近は大型船で大量輸送するのが当たり前になったこともあり個人間の取引日は非常にまれなんだとか。

 昔は旅をしながら商売も楽しそうだなとか思ったりもしたけれど、実際在庫管理とか盗難とかを考えるとなかなか難しいものがあるよなぁ。

「これはゴミ、これは・・・お、プラモだ。確か新開拓時代のやつは時々プレミアがつくからこれは当たりかもしれないな。後は日用品と携帯食料と・・・まぁこれを食えばしばらくは食費にも困らないだろうけど・・・なんでまたこんな味気ないものを食ってたんだ?」

 倉庫の中はそこまで荷物でいっぱいというわけではなかったけれど、少なからず金になりそうなものや食糧なんかがあるので今の家を解約したらこっちに戻って生活は出来そうだ。

 退職金があるとはいえ空っぽの家に家賃を払い続けるのももったいない、それならこっちに移り住んだ方が金もかからないし多少の小遣い稼ぎぐらいは出来るだろう。

 ひとまず倉庫の中身を仕分けしながら大方の掃除を終え、気づけば夕方。

 今日はここに泊まって明日は諸々の解約手続きをしに家に戻ろう。

「後は・・・あれ?なんだここ。」

 掃除道具を片付けて戸締りをしようかと再び倉庫に入った時だ、さっきまでは気づかなかったけれど掃除をしたことで壁の一部の色が違うことに気が付いた。

 ここには確かスペースビールの水着ポスターが張られていたはず。

 酒も飲まないような親父がなんであんなポスターなんか張ってたんだろうか。

 その部分をペタペタ触っていると、一部分がガコン!と音を立てて沈み、倉庫の壁が横にスライドしていく。

 心なしか外見よりも倉庫が小さいように感じていたのはこれを隠していたからなのか。

 壁の向こうには小さな小部屋、そしてその真ん中には淡い光を放つ医療用ポット。

「おいおい、嘘だろ。」

 恐る恐る中を覗き込むと、そこには映画にでも出ていそうなとびきりの美少女が静かに横たわっていた。
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