収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

エルリア

文字の大きさ
260 / 290

259.盗み返してみました

しおりを挟む
ダンジョンの奥へ走り去るバンディッド。

だが、棍が思ったよりも重いのかいきなり見えなくなるまで逃げるという事はなさそうだ。

それでも逃げ足は速く中々追いつくことができない。

魔装銃を構えて狙撃しようにも走りながらだと照準を上手く定められず結局撃つのをやめてしまった。

このままでは逃げられるかもしれない、そんな心配を払しょくするかのように俺の横を真っ白い塊が風のように通り過ぎて行く。

「ワフ!」

「リル!よろしく頼む!」

見る見るうちにコソ泥バンディットとの距離を詰めその足に喰らいつくリル、そのままもつれるように床を転がりその拍子に棍が転がっていく。

さすがリル、足の速さは魔物の中でも随一と言われるだけの事はある。

小柄なバンディットをたくましい前足で押さえつけドヤ顔をするリルの頭を撫でつつ、さぁ棍を回収・・・とおもいきや、そこにあるはずのものがない。

「あれ・・・って、またか!」

一瞬目を離しただけなのにもう別のバンディットが棍を持って走り去ろうとしている。

頼みのリルは最初のやつを抑え込んでいるし、それを逃がしてこっちを追いかけようにも下手に逃がせばまたそいつが狙ってこないとも限らない。

どうしたもんかと思ったその時だ。

【マッドマンのスキルを使用しました。ストックはありません】

追いつかないのなら追いつけるようにすればいい、という事でマッドマンのスキルを使用して例の泥を逃げるバンディッドへ投げつける。

何もない場所から射出された泥はものすごい速度で獲物へと近づき見事足に命中、その途端みるみるうちに逃げる速度が遅くなっていくのが追いかけながらでもわかった。

あっという間に距離が詰まり、ついに手の届くところまできたものの攻撃するための道具がない。

殴って捕まえる?

だが向こうもCランクの魔物、丸腰で戦いを挑んで反撃されても困るしなぁ・・・。

【ワーウルフのスキルを使用しました。ストックは後四つです】

困った時の収奪スキル、というわけではないけれど見えない爪撃がやつの背中を切り裂き鮮血と共に地面へと倒れこむ。

転がる棍を先に回収してからもがくやつへと近づき、スキルを収奪。

【バンディットのスキルを収奪しました。スティール、ストック上限は後七つです】

盗みスティールか、確かにこいつらにはぴったりのスキルだな。

足元でもがく魔物に止めを刺して残った素材を回収、ドロップしたのは小型のナイフ。

遅れてやってきた須磨寺さん曰くドロップ品そのものに価値はないそうで、稀に盗んだものを落としたりするのでそっちの方が価値は高いらしい。

やれやれ、しっかり持ってても盗まれるんだから困ったものだ。

「無事回収できてよかったですね」

「まったくだ、あのまま盗まれていたら立ち直れなかった気がする。そりゃみんな躍起になって隠し宝箱を探すわけだよ」

「C級ダンジョンともなればみんなそれなりの装備を持っているしね、宝箱を開けて数十万単位の装備が出てくるだから探さない手はないよ」

「ってな感じらしいんだが、何か反応は?」

「すみません何も感じません」

「ごめんなさい」

いくら直感スキルがあるとはいえそう簡単に見つかる物でもない、とりあえず引き続きバンディットの襲撃に気を付けながらマッドマンのスキルを回収してもしもに備えていく。

探索者が多い階層だけあって、その後も何度か探索者とすれ違ったり盗みを働いて逃げ出したバンディットと遭遇したりしながらダンジョンの奥へと進んでいった。

もちろん逃げていた奴はしっかり捕まえて装備を回収するのも忘れない。

これに関しては所有権はまだ向こうなので回収しても返さなければならないけれど、お礼という感じでドロップ品を分けてもらえたりしたので中々に楽しい。

もちろん盗まれる恐怖もあるけれど、仮に盗まれてもリルがいればすぐに追いつけるのでそこまで不安にならなくてもよさそうだ。

其れよりも楽しいのはずばり新しく収奪したスキル。

「お、やっぱりできるのか」

予想通り収奪したスキルは魔物に使えるようで、倒してもいないのにドロップ品が手元に現れたのにはちょっと驚いた。

一回で手に入れられるわけじゃなさそうだけど魔物を倒さずにドロップ品を回収でき、更に倒しても手に入るってのはスキル効果としてはかなりヤバいんじゃないだろうか。

こいつらの素材はさほど珍しくないけれど、単純に言えばジュエルスカラーべの宝石を二度回収できるわけだよな?

ただでさえ集めすぎて値崩れするって言われているのにそれが可能になるのはかなりやばい。

「これを使えば盗まれても盗み返せるのかな?」

「どうだろう、やってみないと何とも言えないがその可能性もゼロじゃない。それよりもドロップ品を二十で回収できるってのはすごくないか?」

「でも絶対成功するわけじゃないんですよね?」

「それはまぁそうなんだが、階層主を倒さずに素材だけ回収できるわけだし高く売れる素材なら大儲け間違いなしだぞ」

「それは成功率にもよるんじゃないかなぁ」

確かに十回やって一回ぐらいの成功率ならやる意味もないけれど、今やった感じでは三回に一回は何かしらの反響があると思ってよさそうだ。

この後はずばり階層主戦、そこで使えるかどうかについてもしっかり検討させてもらうとしよう。

「あ!」

「ん?」

「あそこ、おかしくないですか?」

五階層へと続く階段を探しながらダンジョンを進むこと1時間程、襲撃を回避しつつスキルを収奪している中ついに桜さんが何かに反応した。

指さしたのは泥が積みあがった場所、ついさっきマッドマンが飛び出して来た場所なんだけど・・・あんなところに隠し宝箱があるのだろうか。

「うーむ、俺にはわからん」

「一見するとただの泥の山、だけど桜ちゃんには分かるんだよ。ってことではいこれ」

「なんだよ」

「力仕事は男の子の仕事だよ。リルちゃんは汚れちゃうし、ルナちゃんももちろん同様ね」

「ならなんで俺だけなんだ?」

「ほら、僕は可愛いから!」

「理由になってねぇ!」

まったく、急にスコップを渡されたと思ったら最低な理由で自分は回避しやがった。

別にやれって言われたらやるけどさぁ・・・そんな感じでぶつぶつ言いながら泥の山をかき出すこと十分ほど。

汗だくになりながら泥の山をどけると、そこに現れたのは四角い切れ込み。

いや、マジでダンジョンの床に1m四方の切れ込みが入っている。

あまりに怪しすぎて七扇さんに罠をチェックしてもらったけれど、その反応は無し。

警戒しつつルナに切れ込みに剣を差し込んでもらっててこの原理でゆっくり力を入れていくと、思ったよりも簡単に持ち上がった。

下に隠れていたのはもちろん宝箱だ。

「本当にありましたね」

「これは・・・泥の山全部を掻きだしたくなるな」

「全部泥の下ってわけじゃないと思うけど、和人君の気持ちもわかる気がするよ」

「早く開けてみましょう!」

全員の視線を一身に浴びながら七扇さんがゆっくり宝箱ん手を伸ばし、こっちの罠も確認。

無事罠がない事が確認され静かに開けられた箱の中に入っていたのは・・・。


「よかった!探してたんです!」

「まさかキーホルダーを盗むなんて思ってもみませんでした」

「確かに身に着けている物ではあるし可能性はゼロじゃないけど、なんだろうこの失望感」

箱の中に入っていたのは流行りのキャラクターを模したキーホルダーだった。

てっきり特殊な効果が付いた装飾品か何かだと思ったのに、そんなわけもなく。

全員が落ち込んでいるところに持ち主が現れ、無事に引き渡すことに成功した。

お礼に貰ったのは美味しいお菓子、まぁそんなこともあるよな。

「残念ではあるんですけど、でもこれってそういうのをたくさんつけておけば他の装備は守れる可能性が上がるわけですよね?」

「「「・・・」」」

「えっと・・・?」

「凛ちゃん賢い!」

「なるほど、その手があったか」

「これはギルドに報告すると喜ばれそうですね」

あのキーホルダーが証明したように、身に着けている物なら何でもいいのなら数を増やい手自衛することも可能だろう。

階層を越えたら外してしまえばいいわけだし、あえて音のなる鈴とかにすると盗まれたのもすぐに気づけるかもしれない。

思いもよらない所で新しい対処法が生まれる。

宝箱の中身は残念だったけれど、より安心してダンジョンに潜れるようになるのならいい事だ。

ギルドにはそういう情報提供に対する報奨金制度もあるから今回はその対象になる可能性もある。

そんな感じで気づけば階段前、ここから先は気を引き締めていかないと。

気合を入れ直し階段を上へ。

ヘップダンジョン初の階層主、果たしてその先に待ち受ける者とは。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

どうしてこうなった道中記-サブスキルで面倒ごとだらけ-

すずめさん
ファンタジー
ある日、友達に誘われ始めたMMORPG…[アルバスクロニクルオンライン] 何の変哲も無くゲームを始めたつもりがしかし!?… たった一つのスキルのせい?…で起きる波乱万丈な冒険物語。 ※本作品はPCで編集・改行がされて居る為、スマホ・タブレットにおける 縦読みでの読書は読み難い点が出て来ると思います…それでも良いと言う方は…… ゆっくりしていってね!!! ※ 現在書き直し慣行中!!!

処理中です...