収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

エルリア

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35.新しい装備を手に入れました

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「いらっしゃいませ神明様。」

「こんにちは鈴木さん、その節はお世話になりました。」

「とんでもありません。まずは武庫ダンジョン単独走破おめでとうございます。」

「え、ご存じなんですか?」

「それはもう、ドワナロク中の噂になっていますよ。ホワイトベアのマントを身につけた新人探索者が誰も更新できないといわれた記録を塗り替えたと、紹介した私も誇らしい気持ちでいっぱいです。今日は新しい装備をお探しですか?」

探索者ギルドで広まるのはわかるとしてまさかドワナロクにまで広まっているとは思わなかった。

恥ずかしいというかなんというか、でも誇らしいと思ってもらえるのは素直に嬉しかったりもする。

それにあの装備が無ければ間違いなく達成できなかった記録だけに感謝しないといけないのはむしろ俺の方だろう。

「今日は和人さんがダンジョンで見つけた装備を買い取っていただきたいのと、新しい武器が欲しいんです。この前のは今回の探索で壊れてしまって。」

「確か以前使われていたのは魔鉱石の武器でしたね。今回も同じようなものをお探しでしょうか。」

「本当は手に入れた武器を使う方がいいんだろうけど長剣はどうも性に合わななくて、ある程度リーチがあって使いやすいのがあると助かります。」

「でしたらやはり前と同じく棒もしくは槍、薙刀という手もありますね。せっかくですからいくつか持ってまいりましょう。」

やる気満々という感じの鈴木さん、この前高い装備を買っただけに同じようなのは勘弁してほしいんだが・・・。

まぁ物を見てから考えよう。

「楽しみですね!」

「俺は必要だから買うけど、桜さんはいいのか?」

「私はほら、父からそれなりのをもらっていますので。」

どんな装備かはあえて聞かない方がいいんだろうけど、桁一つ違うのは間違いないだろう。

もしかすると二つ違う可能性もある。

さすが探索者関連企業の社長、普通なら手に入らないような素材も簡単に手に入るんだろうなぁ。

最高素材を使った最高装備・・・いや、これ以上考えるのはやめておこう。

「私は遠慮したんですけど、和人さんと一緒に潜るならこれぐらいの装備は必要だと押し付けられました。」

「まぁ装備一つで生存率がぐっと上がるからその辺は親心ということで。」

「それなら和人さんの分もくれたらいいのに。」

「それはそれ、これはこれ。それに自分で稼いだ金で買うのも探索者の醍醐味だしもしもらえたとしても遠慮するかな。」

「そっか、そうですよね。」

本音は貰えるもんは貰いたい、でもそういうのに頼って強くなるのはまた違う気がするのでとりあえず今は自力で頑張るつもりだ。

ま、途中で嫌になってほしいって言いだすかもしれないけど。

しばらくしてコンコンという音と共に扉が開き、戻ってきた鈴木さんが想像以上の量を抱えて戻ってきた。

ざっと見ても10本以上、あの細身でこの量を持ってくるとかいったいどのぐらい鍛えているんだろうか。

「お待たせいたしました。ちなみに次はどのダンジョンに望まれるご予定ですか?」

「この前のマントもあるし予定通り篠山ダンジョンに行くつもりです。」

「なるほど、となるとここらが適していますね。」

「ダンジョンによって装備を変える人は多いんですか?」

「出てくる魔物の種類に応じて変更するのが理想ですが、実際持ち運べる武器に限りはありますしそこまでできるのはほんの一握りでしょう。」

武器一本といっても下は1万円台から上は100万円を優に超えるものまである。

鈴木さんの言うように場所や魔物の種類によって武器を変えればより効率化できるんだろうけど、そこまでお金を回せなというのが現実だ。

武器だけでなく防具や探索道具にもそれなりのお金がかかるし、E級ダンジョンで稼げる金額には限界がある。

なのでどこか固定のダンジョンで金を稼いである程度準備してから次のステップへと進むのが一般的、俺みたいに特殊な方法でもない限り毎日二桁を稼ぐのは夢のまた夢だ。

「ではこちらからまいりましょう。この武器は・・・。」

そんなわけで今回も始まった鈴木さんによるプレゼン。

篠山ダンジョンの事前情報はチェックしているけれど、実際に潜っている冒険者がどんな装備を使っているのかは興味があるのでしっかり勉強させてもらうと使用。


「ありがとうございました。」

「お気に召したものがあって何よりです。しかし本当によろしいのですか?」

「何がですか?」

「オークションに出せばもう少し高値で売却もできますが。」

「それをするとこれが買えなくなりますから。仮に大道寺社長に何か言われているとしても必要以上の値引きは大丈夫です。」

今回買ったのは火水晶の二節棍、水晶と名前はついているけれど実際は防弾ガラスのように固い素材でできていてなんなら魔鉱石よりも固いらしい。

前の棒と同じく真ん中から二つに分かれるし、中にチェーンが仕込んであるから振り回したり両手持ちにして攻撃を受け止めたりできる優れもの。

しかも先端についた火水晶の効果で火属性が付与さえているため雪系の魔物が多い篠山ダンジョンでは必須の装備と言えるだろう。

購入価格は30万円、だけどあの鋼鉄の剣が20万円で売れたので実際の持ち出しはかなり少なくなったので他にもいくつか防具を買い増しすることができた。

鈴木さんが言うようにオークションに出せば30万ぐらいにはなったそうだけど、それを待っている間武器無しなのは困るし、この装備だって今を逃せば手に入らない可能性もある。

まぁ、こんなのを使うのは俺ぐらいだろうから残っている気もするけど。

「もしまた不要な装備がございましたら遠慮なくご相談ください。」

「鈴木さんありがとうございました!」

「桜様もくれぐれも無理はなさいませんよう、装備は買いなおせても命はそうはいきませんので。」

「気を付けます。そうだ!和人さん、そのブレスレットを見てもらうんでしたよね。」

おっと、そういえばすっかり忘れていた。

あまりにもなじみ過ぎてつけているのを忘れていた例のブレスレット、出て来た場所が場所なのでそこまで期待はしていないのだがとりあえず外してカウンターに置かれたトレーに載せる。

「ふむ、こちらはどこで?」

「前にダンジョンで。」

「一見するとただのブレスレットでもダンジョン産となると話は違います。ふむ、銀でもなくプラチナでもない・・・おや?」

鑑定スキル持ちの場合は手に触れたり近づいてみるだけでどんなものかわかるそうだが、それを持たない人は鈴木さんのように使い捨ての鑑定用オーブを通して見ることで装備の詳細を知ることができる。

オーブの値段は一個3万程、もっと安かったらいくつかカバンに入れて持ち歩くんだが流石にこの値段の物をポンポン使えるだけの財力はない。

オーブ越しにブレスレットを見つめる鈴木さんだが、なぜかそのまま固まってしまった。

「どうしたんですか?」

「神明様、これを手放すおつもりはありますか?」

「使い物にならないのなら考えなくもないですが・・・、その反応だと手放さない方がよさそうですね。」

「むしろあまり人に見せない方がよろしいでしょう。場合によっては人が死ぬ可能性があります。」

「え!?」

一見するとただのブレスレット。

まさか呪われていたのか?と不安になりながら三人でそれをじっと見つめるのだった。
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