収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

エルリア

文字の大きさ
85 / 290

85.まともな探索者と出会いました

しおりを挟む
頭上を飛び回るフォレストエイプの群れ、ざっと数えても10を超える魔物が虎視眈々とこちらを狙っている。

そういえばダンジョンに入ってこれほどの魔物の数を見るのはもしかすると初めてかもしれない。

猿系で言えばアイシクルエイプもそれなりの数が群れていたけれど、あの時は寒さに震えて固まっていたのを一網打尽にしたので群れを討伐したっていう実感がないんだよなぁ。

上から落とされる石や枝を盾で防ぎながらどのタイミングで攻撃を仕掛けるべきか考える。

「こんな時に悪いが遠距離攻撃ができるやつは?」

「私が弓を。」

「私は回復専門なので・・・。」

「かという俺達も近距離専門、ってことは降りてこない事には分が悪いか。」

「どうします?」

「おびき出すか・・・もしくは力業かだな。」

急遽共闘することになった四人組、前衛の大楯タンク(男)と両手斧使い(男)それと回復役(男)と弓使い(女)という何ともバランスの取れたパーティだ。

とはいえ弓使いだけじゃ牽制しかできないのでまずは自分たちの土俵に無理やりにでも呼び寄せなければならない。

奴らの戦場は木の上、ならまずは下に降りてきてもらわないとな。

「俺の技で周りの木をなぎ倒すから、そっちも近くの木を切り倒してもらえないか?」

「木を?」

「どうせここに居たって動けないしこの人数だと狭すぎる。なら無理やりにでも広げるよりほかにないだろ?」

「いいねぇ、そういう強引なの嫌いじゃないぜ!」

どうやら斧使いはこういう強引なのがお好きらしい、アイコンタクトをして左右に分かれ手近な木を斧で切り倒していく。

俺はというと火水晶の魔力を使って幹を爆破、突然自分たちの乗っている木が倒されるものだから奴らが大騒ぎをし始めた。

「やらせません!」

しびれを切らした一頭が俺めがけて飛び降りてくるも桜さんが素早く間に入り盾でそれを受け流し、着地したところを足払いでこかしてから流れるようにショートソードを胸に突き刺す。

対人戦っていうか対二足歩行相手にはめっぽう強い桜さん、例え人型だからと言って容赦はない。

「逃げてないで早くおりて来いエテ公!」

「見えた!」

「命中バフかけます!」

木が倒されたことで頭上の視界が広がり、挑発スキルか何かをつかった大楯使いに呼び寄せられた猿を弓使いが素早く射貫く。

命中バフはスキルの一つ、主に回復を担当する人が追加で覚えることが多い。

スキルブックといわれるクリスタルよりもさらに上の道具を使うことである程度決まったスキルの中からランダムで取得できるという優れもの。

ある程度探索者としてどうやって行くかを決めた後はクリスタルではなくこっちを使ってスキルを取得していくのが一般的だけど、ドロップするのがCランク以上のダンジョンな上にかなり高価なのでこれを使えるようになって初めて探索者として中堅になったといえるんだとか。

その代わり決まったものの中からしか取得できないので収奪スキルの様な珍しい物や、桜さんの弱点看破などの高ランクスキルはほとんど手に入らないのだとか。

もっとも、別の方法でスキルを上げる方法はあるので決して高ランクスキルが手に入らないわけじゃない。

「慌てるなよ!まだまだいるからな。」

「それにこれだけ木を切り倒したんだ、間違いなく奴らが来る。」

「奴ら?」

「木に傷をつけると樹液が樹液があふれるんです、それを狙ってロックビートルが来るはず・・・来ました!」

おいおい嘘だろ。

てっきり木を切り倒して視界を広くすれば戦いやすくなると思ったのに、まさかもう一種類の魔物を呼び寄せることになるなんて。

バキバキと低木をなぎ倒しながらやってきたのは真っ黒いからの巨大カブトムシ、そいつは勢いよく突っ込んできたかと思ったら・・・倒れた木にしがみついたまま動かなくなってしまった。

「樹液を吸っているうちは静かだから今のうちに上を減らしましょう。」

「今は静かだけど全部吸うと襲ってくるんだろ?」

「えぇ、まぁ。」

「マジか。」

「大丈夫です、見た目は大きいですけど中身は所詮虫なので何とかなります。」

回復役の彼に励まされながらもとりあえずフォレストエイプを減らすことに専念する。

途中、樹液を吸い終えたロックビートルが暴れ始めるも斧使いの彼と俺とで集中攻撃することで撃破。

後は地道に数を減らしながらなんとかすべての魔物を討伐することができた。

「おわった・・・?」

「敵影ありません、おそらく大丈夫です。」

「だぁぁぁぁ死ぬかと思った!」

「いや、今回はマジでダメかと思った。あー、もう無理。」

ダンジョンのど真ん中にも関わらず荒れ放題の地面に大の字で倒れこむ斧使い、それを見て他の三人もその場にへたり込む。

一体どのぐらい戦っていたのかわからないけれどとりあえず難は去ったようだ。

「桜さんお疲れ様。」

「和人さんもお疲れ様でした。」

そんな彼らを見守りながら桜さんと拳と拳をぶつけて健闘を称えあう。

あの時休憩しておいて本当によかった、もしかするとあのはちみつレモンが効いたのかもしれない。

【フォレストエイプのスキルを収奪しました。跳躍、ストック上限は後一つです。】

【ロックビートルのスキルを収奪しました。硬化、ストック上限は後二つです。】

今回の戦闘で収奪したスキルは二つ、これもなんとなくは分かるけれど中々使う場所がない。

近いうちに別のダンジョンに潜って実際に確認してみないとなぁ。

「いいなぁ、あぁいうの。」

「ん?」

「いや、かっこいいなって。お二人は付き合ってるんですか?」

さっきのやり取りをうらやましそうに見ていた弓使いの子がまさかの質問をしてくる。

俺が桜さんと?

いやいや、そんなまさか。

俺みたいなオッサンとどう考えても釣り合わないだろう。

「いや、そういうんじゃないかな。なぁ桜さん。」

「そ~ですね~。」

「ん?」

いや、ここはあらぬ誤解が無いようしっかり否定するところであって・・・なのになんでそんな反応を?

「あー、今のダメダメな返答ですよ。わかってないなぁ。」

「そうなんです全然わかってないんです。」

「うちの男らもそうですよ、ほんと女心ってのをわかってないっていうか・・・。あ、私朝倉っていいます!よかったらライセンス交換しませんか?さっきの戦いすっごいかっこよかったです!」

「大道寺です、朝倉ちゃんの弓も凄かったね!あの角度で当てちゃうとか中々できないでしょ。」

急にディスられたかと思ったらそのまま女子同士で盛り上がってしまった。

俺達は顔を見合わせ両肩をすくめる。

あの、ここダンジョンの真ん中なんですけど?

もしかしたらまたロックビートルが樹液探しに来るかもしれないんですけど?

「ちょっと男子、さっさと素材回収してきてよね。」

「和人さん、折角倒したんですからしっかり回収お願いしますよ。」

「「「「うい~っす。」」」」

別に普段から顎で使われているわけじゃないけれどここで逆らったら大変なことになる。

なんだろうこの連帯感。

お互い苦労してるよな、心の声でそんな会話をしながら俺達は何も言わず疲れた体に鞭打って周囲のドロップ品を集めて回った。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~

ある中管理職
ファンタジー
 勤続10年目10度目のレベルアップ。  人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。  すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。  なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。  チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。  探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。  万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

レベル1の時から育ててきたパーティメンバーに裏切られて捨てられたが、俺はソロの方が本気出せるので問題はない

あつ犬
ファンタジー
王国最強のパーティメンバーを鍛え上げた、アサシンのアルマ・アルザラットはある日追放され、貯蓄もすべて奪われてしまう。 そんな折り、とある剣士の少女に助けを請われる。「パーティメンバーを助けてくれ」! 彼の人生が、動き出す。

【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?

嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】  ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。  見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。  大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!  神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。 「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

ダンジョン美食倶楽部

双葉 鳴
ファンタジー
長年レストランの下働きとして働いてきた本宝治洋一(30)は突如として現れた新オーナーの物言いにより、職を失った。 身寄りのない洋一は、飲み仲間の藤本要から「一緒にダンチューバーとして組まないか?」と誘われ、配信チャンネル【ダンジョン美食倶楽部】の料理担当兼荷物持ちを任される。 配信で明るみになる、洋一の隠された技能。 素材こそ低級モンスター、調味料も安物なのにその卓越した技術は見る者を虜にし、出来上がった料理はなんとも空腹感を促した。偶然居合わせた探索者に振る舞ったりしていくうちに【ダンジョン美食倶楽部】の名前は徐々に売れていく。 一方で洋一を追放したレストランは、SSSSランク探索者の轟美玲から「味が落ちた」と一蹴され、徐々に落ちぶれていった。 ※カクヨム様で先行公開中! ※2024年3月21で第一部完!

処理中です...