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219.燃える獣と対峙しました
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十三階層の魔物駆除は無事に終了。
収奪した熱気耐性(中)のおかげで耐熱スキルを三人に回せるようになったことで彼女達の環境が改善できたのは非常に大きい。
収奪スキルを知らない七扇さんにはいつまでも冷え続ける冷感装備を大道寺グループの極秘サンプルということにして使ってもらっている。
鎧の下ではいつまでも冷たい風が吹き続け、首にかけたアイスリングはずっと凍ったまま。
動脈付近を冷やせば身体中が冷えるとよく言ったものだけどどうやら間違いなかったらしい。
それじゃあこのまま十四階層も!といきたいところだったんだけど、あまりの素材の多さに走破は断念。
念の為と現地を確認しようと思ったのだが、篠山ダンジョンでも使った保温スキルが各階層でだけで効果を発揮したことを考えるとわざわざ下の階に移動してその効果を失うのは非常に惜しい。
人間一度でも快適な環境を得てしまうと元の環境には戻りにくいもの、ということでその日は走破を諦めて大人しく地上へと戻った。
「さーて、リベンジと行こうじゃないか。」
その二日後。
早くも俺たちは再び城崎ダンジョンの前に立っていた。
普通のパーティーならもっと休んで英気を養うんだろうけど、今の俺達にはその時間すら惜しかった。
なんとしてでも城崎ダンジョンを走破する、その気持ちがダンジョンの熱気に負けないぐらいに燃え上がっているようだ。
「やる気満々だねぇ和人君。」
「そりゃこの前あれだけ稼いだらな。この前の予測通り十四階層も魔物で溢れているとなるとあれと同じ、もしくはそれ以上の稼ぎになるわけだろ?」
「普通に考えれば十四階層の素材も高値で取引されていますので、量が手に入れば四人で分けてもそれなりの儲けは出るかと。」
昨日の稼ぎは何と一人20万を突破、魔物駆除の依頼料が高かったのと、供給が止まっている間に素材の価格が高騰したかららしい。
元々需要のある素材だっただけに短期間のギルド停止とはいえ相場に大きく影響してしまったようだ。
じゃあ定期的に止めればいいじゃないかと言われるとそういうわけでもないらしい。
金儲けをしたいがためにそんなことをするのはハゲタヌキぐらいなもの、同じ思考にならないよう気をつけないと。
「休んでいた二日分さらに魔物が増えていると考えると、大変なのは間違いないがやる気も出るってもんだ。」
「ですが、その為にはあの十三階層を抜けないと。」
「あれだけ駆除したら流石にセオリー通りになっているだろう。もしなってなかったら・・・ギルドに抗議してもいいよな?」
「抗議をしても何かが解決するわけではありませんが状況が変わっているのであればそれを報告する義務があります。もっとも複数回通って同じ状態だったらというのが条件ですので、二回だけで認定されるかは何とも。」
「まぁ今回はそれが目的じゃないんだし、仮にそうだったとしても気に新手くていいんじゃない?狙うは十四階層の獣たち、みんな頑張ろうね!」
須磨寺さんの言うように今回の目的は十四階層であって十三階層は過程に過ぎない。
改めて転送装置で十三階層に移動し、目的の十四階層めがけて速やかに移動。
幸い予想を裏切り一体ずつしか魔物は出てこなかったので予定よりも早く舌への階段を発見することができた。
残すところ二階層。
ここを越えればいよいよ階層主との戦いが待っている。
その前の前哨戦、階段を下りた先で待ち構えていたのは無数の燃え上がる魔物だった。
「・・・帰るか。」
「あ、和人君が壊れた。」
「あれだけの目線にさらされたらここまで来ないとわかっていても怖くなりますね。」
「これはもう溢れる寸前といてもいいんじゃないでしょうか。え、氾濫しちゃいます?」
階段前に群がる無数の獣達。
やる気に満ち溢れた俺のテンションが急激にしぼんでいくのが分かる。
いや、多いとは思っていたよ?
だが会談前の広場にすら魔物があふれている状況って流石にやりすぎじゃないだろうか。
ぱっと見だけでも5体を超える魔物が俺達の方を睨みつけている。
ダンジョンの制約なのか、基本的に魔物が階層間を行き来することはできないことになっている。
つまり会談までは入ってこられないのである種の安全地帯となっているのがこの階段なわけだが、それも魔物があふれると話が変わってくる。
なにやらその傾向が出ていそうな魔物の量、それでもこれを越えなければ目的を達成できないのもまた事実。
「やるしかないよな。」
「そりゃね、でもどうするの?」
「わたしとリルちゃんで少し奥までひきつけますので、その隙に和人さんと凛ちゃんで援護をお願いします。危なくなったらすぐに戻ってきますので。」
「リルはブレスレットに戻ればいいけど桜さんはそういうわけにいかないんだからくれぐれも気を付けてくれ。」
「大丈夫です、逃げるのだけは得意なので!」
階段を降りてすぐの乱戦は非常に危険、それなら少しでもそこから離れて戦線を構築するのがベストだ。
流石に須磨寺さんにはここで待機してもらうことになるけれど、七扇さんの為にも距離を取って戦いたいところだ。
「リルは突入と同時に最大のブレス、その隙に桜さんが突入して俺もそのあとを追いかける。とりあえず全部押し出す感じでいいだろ?」
「それが出来れば助かります。」
「ここで出し惜しみしても仕方がない、後はまぁ何とかなるさ。」
「和人君がそう判断するならっていうかそれしかないよね。」
「そういう事だ。」
正直七扇さんの前で収奪スキルを使うのは避けたかったんだけど、いつまでも黙っているわけにもいかないしいずれは世間にも公表する日が来るんだからそれが早いか遅いかの話だけだ。
それに須磨寺さんが言えば七扇さんも黙ってくれるような気がするので、今はその直感を信じよう。
「それじゃあ行きます!」
「グァゥ!」
「全員突撃!」
決戦前の前哨戦になるのか、それともこれが決戦になるのか。
魔物溢れる広間へリルが突撃、真っ白いブレスで迫りくる魔物を牽制しつつ桜さんが後ろから魔物を引き付ける。
【ミノタウロスのスキルを使用しました。ストックは後三つです。】
【バーニングゴートのスキルを使用しました。ストックは後二つです。】
リルのブレスを正面からあびて真っ白になったのは燃えるような赤い毛皮を纏った巨大なクマと狼、そいつらを剛腕スキルと突進スキルで強引に部屋の奥へと押し出していく。
エコースキルで確認すると幸いにも部屋の先に魔物の姿はない、桜さんはというとブレスを避けた燃える蝙蝠を二匹ほど連れてその先で戦ってくれている。
さっきまで真っ白だった獣も己の熱で溶けてきたのか今にも動きそうな感じだ。
「リル、狼は任せた!」
「グァゥ!」
「さぁかかってこい!」
リルのブレスで出来た氷が解け、その下から真っ赤な毛皮が現れる。
レッドグリズリー。
赤いのに灰色熊とはこれ如何に、でもよく見ると赤っぽい灰色な気もしないではない。
本来出会ったら死を覚悟しなければならないような獣がゆっくりと前足を上げ、おなじみのポーズで威嚇をしてくる。
残念ながら道案内をしてくれるような雰囲気ではなさそうだ。
城崎ダンジョン十四階層。
まさかの大歓迎から壮絶な戦いの火ぶたが切って落とされたのだった。
収奪した熱気耐性(中)のおかげで耐熱スキルを三人に回せるようになったことで彼女達の環境が改善できたのは非常に大きい。
収奪スキルを知らない七扇さんにはいつまでも冷え続ける冷感装備を大道寺グループの極秘サンプルということにして使ってもらっている。
鎧の下ではいつまでも冷たい風が吹き続け、首にかけたアイスリングはずっと凍ったまま。
動脈付近を冷やせば身体中が冷えるとよく言ったものだけどどうやら間違いなかったらしい。
それじゃあこのまま十四階層も!といきたいところだったんだけど、あまりの素材の多さに走破は断念。
念の為と現地を確認しようと思ったのだが、篠山ダンジョンでも使った保温スキルが各階層でだけで効果を発揮したことを考えるとわざわざ下の階に移動してその効果を失うのは非常に惜しい。
人間一度でも快適な環境を得てしまうと元の環境には戻りにくいもの、ということでその日は走破を諦めて大人しく地上へと戻った。
「さーて、リベンジと行こうじゃないか。」
その二日後。
早くも俺たちは再び城崎ダンジョンの前に立っていた。
普通のパーティーならもっと休んで英気を養うんだろうけど、今の俺達にはその時間すら惜しかった。
なんとしてでも城崎ダンジョンを走破する、その気持ちがダンジョンの熱気に負けないぐらいに燃え上がっているようだ。
「やる気満々だねぇ和人君。」
「そりゃこの前あれだけ稼いだらな。この前の予測通り十四階層も魔物で溢れているとなるとあれと同じ、もしくはそれ以上の稼ぎになるわけだろ?」
「普通に考えれば十四階層の素材も高値で取引されていますので、量が手に入れば四人で分けてもそれなりの儲けは出るかと。」
昨日の稼ぎは何と一人20万を突破、魔物駆除の依頼料が高かったのと、供給が止まっている間に素材の価格が高騰したかららしい。
元々需要のある素材だっただけに短期間のギルド停止とはいえ相場に大きく影響してしまったようだ。
じゃあ定期的に止めればいいじゃないかと言われるとそういうわけでもないらしい。
金儲けをしたいがためにそんなことをするのはハゲタヌキぐらいなもの、同じ思考にならないよう気をつけないと。
「休んでいた二日分さらに魔物が増えていると考えると、大変なのは間違いないがやる気も出るってもんだ。」
「ですが、その為にはあの十三階層を抜けないと。」
「あれだけ駆除したら流石にセオリー通りになっているだろう。もしなってなかったら・・・ギルドに抗議してもいいよな?」
「抗議をしても何かが解決するわけではありませんが状況が変わっているのであればそれを報告する義務があります。もっとも複数回通って同じ状態だったらというのが条件ですので、二回だけで認定されるかは何とも。」
「まぁ今回はそれが目的じゃないんだし、仮にそうだったとしても気に新手くていいんじゃない?狙うは十四階層の獣たち、みんな頑張ろうね!」
須磨寺さんの言うように今回の目的は十四階層であって十三階層は過程に過ぎない。
改めて転送装置で十三階層に移動し、目的の十四階層めがけて速やかに移動。
幸い予想を裏切り一体ずつしか魔物は出てこなかったので予定よりも早く舌への階段を発見することができた。
残すところ二階層。
ここを越えればいよいよ階層主との戦いが待っている。
その前の前哨戦、階段を下りた先で待ち構えていたのは無数の燃え上がる魔物だった。
「・・・帰るか。」
「あ、和人君が壊れた。」
「あれだけの目線にさらされたらここまで来ないとわかっていても怖くなりますね。」
「これはもう溢れる寸前といてもいいんじゃないでしょうか。え、氾濫しちゃいます?」
階段前に群がる無数の獣達。
やる気に満ち溢れた俺のテンションが急激にしぼんでいくのが分かる。
いや、多いとは思っていたよ?
だが会談前の広場にすら魔物があふれている状況って流石にやりすぎじゃないだろうか。
ぱっと見だけでも5体を超える魔物が俺達の方を睨みつけている。
ダンジョンの制約なのか、基本的に魔物が階層間を行き来することはできないことになっている。
つまり会談までは入ってこられないのである種の安全地帯となっているのがこの階段なわけだが、それも魔物があふれると話が変わってくる。
なにやらその傾向が出ていそうな魔物の量、それでもこれを越えなければ目的を達成できないのもまた事実。
「やるしかないよな。」
「そりゃね、でもどうするの?」
「わたしとリルちゃんで少し奥までひきつけますので、その隙に和人さんと凛ちゃんで援護をお願いします。危なくなったらすぐに戻ってきますので。」
「リルはブレスレットに戻ればいいけど桜さんはそういうわけにいかないんだからくれぐれも気を付けてくれ。」
「大丈夫です、逃げるのだけは得意なので!」
階段を降りてすぐの乱戦は非常に危険、それなら少しでもそこから離れて戦線を構築するのがベストだ。
流石に須磨寺さんにはここで待機してもらうことになるけれど、七扇さんの為にも距離を取って戦いたいところだ。
「リルは突入と同時に最大のブレス、その隙に桜さんが突入して俺もそのあとを追いかける。とりあえず全部押し出す感じでいいだろ?」
「それが出来れば助かります。」
「ここで出し惜しみしても仕方がない、後はまぁ何とかなるさ。」
「和人君がそう判断するならっていうかそれしかないよね。」
「そういう事だ。」
正直七扇さんの前で収奪スキルを使うのは避けたかったんだけど、いつまでも黙っているわけにもいかないしいずれは世間にも公表する日が来るんだからそれが早いか遅いかの話だけだ。
それに須磨寺さんが言えば七扇さんも黙ってくれるような気がするので、今はその直感を信じよう。
「それじゃあ行きます!」
「グァゥ!」
「全員突撃!」
決戦前の前哨戦になるのか、それともこれが決戦になるのか。
魔物溢れる広間へリルが突撃、真っ白いブレスで迫りくる魔物を牽制しつつ桜さんが後ろから魔物を引き付ける。
【ミノタウロスのスキルを使用しました。ストックは後三つです。】
【バーニングゴートのスキルを使用しました。ストックは後二つです。】
リルのブレスを正面からあびて真っ白になったのは燃えるような赤い毛皮を纏った巨大なクマと狼、そいつらを剛腕スキルと突進スキルで強引に部屋の奥へと押し出していく。
エコースキルで確認すると幸いにも部屋の先に魔物の姿はない、桜さんはというとブレスを避けた燃える蝙蝠を二匹ほど連れてその先で戦ってくれている。
さっきまで真っ白だった獣も己の熱で溶けてきたのか今にも動きそうな感じだ。
「リル、狼は任せた!」
「グァゥ!」
「さぁかかってこい!」
リルのブレスで出来た氷が解け、その下から真っ赤な毛皮が現れる。
レッドグリズリー。
赤いのに灰色熊とはこれ如何に、でもよく見ると赤っぽい灰色な気もしないではない。
本来出会ったら死を覚悟しなければならないような獣がゆっくりと前足を上げ、おなじみのポーズで威嚇をしてくる。
残念ながら道案内をしてくれるような雰囲気ではなさそうだ。
城崎ダンジョン十四階層。
まさかの大歓迎から壮絶な戦いの火ぶたが切って落とされたのだった。
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