収奪の探索者(エクスプローラー)~魔物から奪ったスキルは優秀でした~

エルリア

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227.階層主は想像以上の強さでした

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余裕しゃくしゃくと言う感じで十四階層を進み、大量の骨と一緒にアーチャーがドロップするクロスボウまでゲットすることができた。

鑑定していないのですぐに使うことはできないけれど、物自体がよければ七扇さんに使ってもらえば更に強くなれる。

幸先が良いとはまさにこのこと、このまま階層主なんてやっつけてさっさとダンジョン七不思議を解明してやる、そう意気込んでいたこともありました。

「話が違う!」

「ガウ!」

城崎ダンジョン十五階層。

十四階層を爆速で駆け抜け、いつものように大きな扉の前で英気を養った俺達は気合十分な感じでその扉の向こうへやってきた。

向こうで待っていたのは首なし騎士で有名なデュラハン、そしてその横に控える黒くてデカい首が二つの犬がオルトロス。

まるで騎士によりそう忠犬的な感じで控えているものの、大きさで言えばこいつの方がデカい。

デュラハンといえば馬に乗ってるイメージだったんだけどこいつは違うんだな。

手には身の丈ほどもある大剣、黒い鎧は鈍い光を放ち資料によれば生半可な武器ではキズ一つ付けられないらしい。

犬の方も火を吐いたり鋭い牙で噛みついてきたりとただデカいだけと甘く見ていたら大変なことになるんだとか。

でもまぁ俺達にかかれば問題はない、スキルを駆使すれば問題なく倒せると気軽に考えていたのがそもそもの間違いだった。

っていうか毎回こんなことやってないか?いい加減学習しろ俺、とツッコミを入れながらデュラハンの剣戟を気合で受け流していく。

「新明さん、後ろから来ます!」

「っとぉ!?」

「リルちゃんブレスを!」

「グァゥ!」

七扇さんの声に慌てて左に向かって飛び込むと、さっきいた場所にオルトロスの右の首が通過していった。

更に反対の首が炎を吐くも、それはリルのブレスで打ち消される。

デュラハンを相手にすればオルトロスがフリーになり、オルトロスを相手にすればデュラハンが容赦なく切りかかってくる。

ここに桜さんがいればと何度も思いながらも居ないことを悔やんだからってどうにもならない。

「七扇さん、ナイスアシスト!」

「ありがとうございます、でも正直ジリ便じゃないですか?」

「冷静にそれを言われるときついなぁ、まぁそうなんだけどさ。」

やってやれないことはない、だけどこのままやっても正直勝ち筋が見えないんだよなぁ。

別に七扇さんの前だからってスキルを出し惜しみしているわけじゃない、そんなの十三階層で披露しているのでいまさらの話だ。

そのうえで致命傷を与えられない膠着状態が続いている。

言い方を変えれば十分戦えるだけの実力はあるという事、まっとうな前衛無しでここまでできるのだから中々の実力があると思っていいだろう。

それでも命には代えられない。

ここで無理して大けがをするぐらいならおとなしく引き上げて実力を積むか、無理やりでも桜さんを突破させてここまで連れてくるしかないだろう。

正直彼女無しで走破したのって篠山ダンジョンだけなんだよなぁ。

つまりD級では初めてという事になる。

改めて前衛の大切さをかみしめつつ、それでもやれるところまではやってみたいというチャレンジ精神に火がついていた。

こんなところで挫折して先に進めるはずがない。

タワマン生活を目指すためにはもう1ランク上の稼ぎが必要、その為にももっと強くならなければ。

【スケルトンジェネラルのスキルを使用しました。ストックは後二つです。】

「わ、体が軽くなった!」

「わふ!」

「ストックは後二つ、これで無理なら引き返すからもう少し頑張ろう。」

「はい!」

スケルトンジェネラルから収奪したスキルは鼓舞、自分だけでなく周りの仲間にも影響があるようで不安を打ち消し前向きな気持ちになるようだ。

まさに指揮官が持つべきスキル、ここにきて仲間にも影響するスキルが増えてきたのは非常にありがたい、直接バフがかかるわけではないけれどそれでも心が折れないのは何物にも勝る強さがある。

再び武器を構えリルがオルトロスへ、俺がデュラハンに殴りかかる。

相手の大振りを紙一重で避けつつ足の関節を狙って下から下から攻撃を続けた。

ゴーレムのように砕けるとは思えない、でも亀裂でも入れば少しは変わってくるはず。

時々リルとスイッチしながらそれを信じて前へ前へ進み続けるも結果は変わらなかった。

「くそ、時間切れか。」

最後の鼓舞が切れ、そのとたんに体が重たくなるのが分かる。

呪いに加えて筋肉疲労もかなりのもの、いく呪い耐性があるとはいえそれにも限界はあるしなにより体の疲れはどうしようもない。

「仕方ありません。」

「和人君引き返すよ。」

「了解。」

ここまでやって駄目なら仕方がない、地上に戻るまでが探索だからな余力は残しておかないと。

須磨寺さんが扉を開け、リルがブレスで牽制している間に急ぎそこへ走り出す。

が、思った以上に乳酸が溜まっていたのか突然足が膝から落ちその場に倒れてしまった。

担いでいたカバンから中身がこぼれ出るもそれを回収している時間はない。

「あ!」

「和人君早く!」

迫りくるオルトロス、だがこぼれ出たものの中に例のオルゴールを見つけてしまい思わず立ち止まってしまった。

アレは絶対に持ってい帰らないと。

ヘッドスライディングをするようにオルゴールに向かって飛び込み、その上を奴の口が通り抜ける。

指ではじいたもののオルゴールはすぐ目の前、だがもう一体の階層主がその隙を逃すはずがなかった。

「やば・・・。」

振り落とされる大剣がスローモーションのように迫ってくる。

あ、死ぬかも。

絶体絶命の状況にも関わらず不思議とそんな軽い気持ちでそれを見つめる事しかできなかった。

段々と迫ってくる大剣・・・のはずが、いつまでたってもそれが下りてこない。

「あれ?」

「リルちゃん援護!」

「ガウ!」

「新明さんには近づかせません!」

後ろを振り返るとリルと七扇さんが必死にオルトロスを牽制している。

このスローモーションの動きはそう見えているんじゃなくてマジで遅くなっているのか!

足元に転がる棍を拾い慌てて立ち上がる。

何かよくわからないけど今がチャンス、連携が崩れた今勝ち筋はここしかない。

【スケルトンウォーリアーのスキルを使用しました。ストックは後二つです。】
【マグマウルフのスキルを使用しました。ストックはありません。】
【レッドグリズリーのスキルを使用しました。すとっくはありません。】

遅くなったデュラハンを無視してここぞとばかりにスキルを打ち込み、オルトロスの左首を撃破。

痛みにもだえ苦しむ隙に反対側の顔をリルが切り割き、さらに七扇さんが奴の口にクロスボウを撃ち込む。

「いい加減倒れろ!」

最後に俺が頭めがけて棍を振り下ろし、それと同時に魔力を爆発させると衝撃でクロスボウの矢についていた爆薬がさく裂。

中からの衝撃に口から煙を上げながらついにオルトロスアが横に倒れた。

【オルトロスのスキルを収奪しました。ヘルファング、ストック上限は後七つです。】

収奪後、地面に残されたのは奴がけていたとげとげしい首輪と、牙。

スキルも地獄の番人にちなんで地獄という名のついたものだった、ウルフファングだけでも中々の強さなのにこれになるとどのぐらい協力なんだろうか。

そんなことよりも気になるのは動かなくなったデュラハンの方、奴の前にはさっき落としたオルゴールが転がっている。

音はなっていない、だけど間違いなくあれに反応している。

果たして何が起きているのだろうか。
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