ただ幸せになりたかっただけと、あなたたちは言うけれど

gacchi(がっち)

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45.どうしてお母様と私だけ(シュゼット)

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突然、学園に行けなくなって部屋に押し込められた。
ジェラルド様に会いに行きたいのにお兄様にも止められる。

使用人たちに何を言っても聞いてもらえなくなって、
あまりに腹が立って部屋の中で暴れていた。

最初は使用人たちが部屋を片づけに来ていたけれど、
そのうち誰も来なくなって、食事を運んでくるだけになった。

食事を運んできた使用人に物を投げようかと思ったけれど、
そうしたら食事も来なくなりそうだったから止めた。

いつまで部屋の中で我慢していなくてはいけないんだろう。
そう思っていたら、お兄様が部屋に来てくれた。

これでようやく外に出られる。
学園に行ってジェラルド様に会える、そう思ったのに、
なぜか無理やり馬車に乗せられてアジェ伯爵家に連れて行かれた。

一緒に連れて来られたお母様もあまりのことに怒っている。

「イフリア公爵家に戻るわ!馬車を出しなさい!」

「それは許されません」

「いいから行きなさい!」

イフリア公爵家の屋敷に戻ったら、門番が開けてくれなかった。
お母様が𠮟りつけて命令してもダメで、仕方なくアジェ伯爵家に戻る。
まさかまたここに戻って来ることになるなんて。

懐かしさは感じるけれど、イフリア公爵家の屋敷と比べると古くて狭い。
今考えるとこんなところでよく生活できていたと思うくらい。

学園に入る少し前にお母様が再婚したから、もう三年以上来ていない。
ほこりだらけだと思ったのに、意外と中は綺麗なままだった。

使用人も手配されていたから、生活に困ることはなかったけれど、
お母様は一日中機嫌が悪くて怒っていた。
お父様と手紙でやり取りしていたみたいだけど、
私たちをイフリア公爵家の屋敷に戻すのには時間がかかるって。

私はようやく自由になれたから学園に通うおうとしたけれど、
学園も謹慎になっているからと中に入れてもらえずに帰されてしまった。

このままだとジェラルド様に会えない。
お母様に相談したらレドアル公爵家に行けばいいという。
お母様がジェラルド様と婚約できるように話してくるというので、
期待して待っていたけれど、またお姉様に邪魔されたらしい。

どうしていつもお姉様は邪魔するのかしら。
妹なのに可愛がろうとか思わないんだろうか。

「お姉様がいたらいつまでもジェラルド様と会えないわ。
 どうしていつも邪魔ばかりするのかしら」

「本当に忌々しい……」

「もしかして、お姉様もジェラルド様を狙っているとか?
 本当の兄妹じゃないなら結婚できるのよね?」

その可能性に気がついて、ようやくお姉様の行動がわかった。
お姉様もジェラルド様が好きなんだ。
だから今も病気のふりをしてジェラルド様を離そうとしない。
なんてこと……どうやって二人を離せばいいんだろう。

「お母様、どうしたらいいの。
 お姉様が離れない限り、ジェラルド様は自由になれないのよ?」

「……そうね、大丈夫よ。ジュリアンヌは傷物なの。
 それが貴族社会に知られたら公爵夫人にはなれないわ」

「傷物ってどういうこと?」

「ジュリアンヌは十歳の時に誘拐されているのよ。
 貴族令嬢は一度でもさらわれたら純潔か疑われるわ。
 そんな女が公爵夫人になんてなれるわけがない」

「そうなの?誘拐って本当に?」

「本当よ。離れに一人でいたのを連れ去られたのよ。
 誘拐されて大怪我して死にかけていたのに……生きているなんて。
 中等部に来なかったのはそのせいじゃないかしら。
 きっと治療していたから来れなかったのね」

「そんなに大きな怪我をしたんだ」

「そうそう、そんな大きな怪我をしたなら子を産めないかもしれない。
 どっちにしても傷物だから、結婚するにはふさわしくないわ」

お姉様が誘拐されたことがあるなんて知らなかった。
しかも、死ぬくらいの大きな怪我で子どももできないんだ。
それならお姉様は結婚することをあきらているのかも。
だから必死でジェラルド様にしがみついているのね。

だけど、私の邪魔になることには変わらない。
どうにかしてお姉様をジェラルド様から離さないと。

「お母様、どうしたらお姉様を離せると思う?」

「そんなのは脅してやればいいのよ」

「脅す?どうやって?」

「ジュリアンヌが誘拐されたことは公表されてないわ。
 レドアル公爵家だって恥になるから内緒にしているのよ。
 どうしてもシュゼットとの婚約に応じないのなら、
 それをばらしてしまうと脅してしまえばいいわ」

お母様は簡単そうに言うけれど、それって無理やり婚約させるってことだよね。
そこまでしなくてもお姉様がいなくなれば、
ジェラルド様は私を見てくれるようになると思うけど。

「お母様、レドアル公爵家を脅すのは最後の方法に取っておくわ。
 だって、ジェラルド様は私を好きになってくれると思うもの」

「……そうね。それは最後の方法に取っておきましょう。
 こんなに可愛いシュゼットを好きにならないわけがないわ」

「ええ、お母様大好き!」

そう言って抱き着けば、久しぶりにお母様の機嫌が直った。
イフリア公爵家はもうお兄様が采配をしているから戻れないらしい。
だから私がジェラルド様と婚約したら、
すぐにでもレドアル公爵家で一緒に住めばいいと言った。

イフリア公爵家の屋敷も大きくて綺麗だったけど、
レドアル公爵家の屋敷もきっと同じくらい大きくて綺麗よね。

楽しみにしながらもジェラルド様に会うことができなくて、
だんだんとお母様もイライラし始める。
レドアル公爵家に出している手紙はそのまま送り返されてしまっている。
これもお姉様がしている意地悪なのかもしれない。

どうしようか困っていたら、サミュエルが訪ねてきてくれた。
サミュエルに会うのも久しぶりだけど、
なんだか元気がなくて落ち込んでいるように見える。

「どうしたの?何かあった?」
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