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18.帰って来たアル兄様(シンディ)
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一か月ぶりにアル兄様がアントシュ国から帰って来たと思ったら、
なぜか王女を連れて帰って来たらしい。
その報告を聞いた時、どうせアル兄様のことだから、
王女にも冷たくしているんだろうって思った。
「どんな王女なの?」
「銀色の髪でした。まだ幼い王女のように見えました」
「そう。美しかった?」
「……たぶん」
「怒らないからはっきり言っていいわ」
「……とても美しい王女でした」
「ふうん」
そういえば、アントシュ国には同じ年の王女がいるはず。
誰も見たことがないので、隠された姫と呼ばれているとか。
アル兄様はクーデターを止めに行ったと聞いている。
王女を保護したのはそのついでだろう。
いくら美しい王女だとしても、アル兄様が浮気をするわけがない。
だって、アル兄様は女嫌いだもの。
「それで……あの、王弟殿下が王女を抱き上げていました」
「は?抱き上げた?嘘言わないでよ」
「本当でございます。見間違えたのかと思い、他の者にも確認いたしました」
「あのアル兄様が?王女を抱き上げてた?
それって落ちそうになったのを助けたとか?」
「……いいえ。そのまま謁見室まで行かれたそうです」
「謁見室……」
「あ、シンディ様、どちらへ!?」
居ても立っても居られなくて、謁見室に向かった。
謁見室は私が許可なく入って良い場所ではない。
アル兄様が報告しているのなら、お願いしても入れてもらえないはず。
だから無理にでも入ろうと、扉の前にいた騎士たちに退くように命じた。
謁見室には少し疲れたようなアル兄様がいた。
一か月ぶりに会うけれど、いつもどおり不機嫌そうな顔。
そうよね、アル兄様はいつもこうだもの。
そのことにほっとして、後で私の宮に来てとお願いする。
お父様に叱られてしまったから仕方なく謁見室から出る。
その時に、アル兄様に隠れるように王女がいるのが見えた。
サラサラとした長い銀色の髪。
日にあたったことがないのかと思うくらい真っ白な肌。
本当に美しい王女だけど、化粧をしていないからか幼く見える。
まるでアル兄様は王女を守るように立っていた。
見間違いだとしても、気持ちが落ち着かない。
部屋に戻って、侍女たちにお茶会の用意をさせる。
アル兄様が来たら、ちょっとは怒らないと。
未来の妃を心配させるようなことはしちゃだめって。
なのに……いくら待ってもアル兄様が来ない。
結局その日は来てくれなかったから、次の日は朝から呼び出した。
アル兄様の宮には私でも勝手に入ることはできない。
一度入ろうとしたら、失礼な騎士につまみだされたことがある。
一人でいるのを好むアル兄様だから仕方ないけど、
私くらいは自由に入れてくれてもいいのにと思う。
アル兄様に用事がある時はまず侍従を呼び出す。
たまたま暇だったのか、来たのはアズだった。
「どうしました?」
「昨日、アル兄様と約束していたのにこなかったの!」
「本当に約束したのですか?昨日は帰って来たばかりですよ?」
「約束したわ!なのに、来なかったのよ。
今すぐアル兄様を連れて来て!」
「え~さすがに疲れているでしょうし、無理だと思いますよ?」
「いいから、早く!」
「仕方ないですね。わかりました」
気の抜けたようなアズの返事にイラつく。
どうしてこんな奴がアル兄様の侍従なのかと思うけど、
アズは宰相の息子だからアル兄様につけられている。
将来、アル兄様が国王になったら、アズが宰相になる。
そう思えば、あまり怒らせていい相手ではない。
だけど、アズはアル兄様の言うことばかり聞くから好きではない。
しばらくして戻って来たと思えば、やっぱり無理だという。
仕方ないから、もう一度呼び出すと、今度はアキムが来た。
「アルフレッド様をお連れすればいいのですね!
今すぐ行ってきます!」
張り切って出て行ったけれど、本当に役に立つのだろうか。
お母様がアキムは信用していいと言っていたけれど。
戻って来たアキムはあきらかに笑顔だった。
アル兄様を連れて来れたのだろうか。
「アルフレッド様がシンディ様をお呼びです」
「え?アル兄様の宮に行ってもいいの?」
「はい!」
アル兄様の宮に呼ばれるなんて初めてだ。
新しいドレスに着替えて、侍女たちと向かう。
うきうきした気持ちで宮の扉を通り抜けようとしたら、なぜか騎士に止められる。
「侍女を通す許可が出ていません」
「は?」
「シンディ様だけお通りください」
「何を言っているの?アル兄様に呼ばれたのよ?」
「ええ、ですから、シンディ様だけお通りくださいと」
なぜ、私の侍女たちは連れていけないの?
どこに行くにも侍女を連れて行くようにと、お義母様にも言われているのに。
騎士を説得しようとしていたら、奥の部屋からアル兄様が出て来た。
だが、その後ろからあの王女までついてくる。
どうして王女がアル兄様の宮にいるの?
客室が用意されているはずでしょう?
イライラしながらも、まずはアル兄様に事情を聞かないと。
何もないのに女と一緒にいるわけがないもの。
なのに……
「お父様!アル兄様が婚約ってどういうことなの!!」
「いや……落ち着いてくれ、シンディ」
「アル兄様と婚約するのは私のはずでしょう!?」
「だがな……」
「絶対に認めないわ!アル兄様にもダメだってちゃんと言って!」
「落ち着いてくれ、な?」
お父様のこの顔はなんとかごまかそうとしている顔だ。
でも、絶対にごまかされたりはしない。
「アル兄様の婚約者は私よ!!他はありえないから!!」
大きな音で扉を閉めて、お母様のところに行く。
お父様の説得をお母様にもお願いしないと。
「お母様!聞いてちょうだい!」
「まぁ、どうしたの?怖い顔をしているわね」
なぜか王女を連れて帰って来たらしい。
その報告を聞いた時、どうせアル兄様のことだから、
王女にも冷たくしているんだろうって思った。
「どんな王女なの?」
「銀色の髪でした。まだ幼い王女のように見えました」
「そう。美しかった?」
「……たぶん」
「怒らないからはっきり言っていいわ」
「……とても美しい王女でした」
「ふうん」
そういえば、アントシュ国には同じ年の王女がいるはず。
誰も見たことがないので、隠された姫と呼ばれているとか。
アル兄様はクーデターを止めに行ったと聞いている。
王女を保護したのはそのついでだろう。
いくら美しい王女だとしても、アル兄様が浮気をするわけがない。
だって、アル兄様は女嫌いだもの。
「それで……あの、王弟殿下が王女を抱き上げていました」
「は?抱き上げた?嘘言わないでよ」
「本当でございます。見間違えたのかと思い、他の者にも確認いたしました」
「あのアル兄様が?王女を抱き上げてた?
それって落ちそうになったのを助けたとか?」
「……いいえ。そのまま謁見室まで行かれたそうです」
「謁見室……」
「あ、シンディ様、どちらへ!?」
居ても立っても居られなくて、謁見室に向かった。
謁見室は私が許可なく入って良い場所ではない。
アル兄様が報告しているのなら、お願いしても入れてもらえないはず。
だから無理にでも入ろうと、扉の前にいた騎士たちに退くように命じた。
謁見室には少し疲れたようなアル兄様がいた。
一か月ぶりに会うけれど、いつもどおり不機嫌そうな顔。
そうよね、アル兄様はいつもこうだもの。
そのことにほっとして、後で私の宮に来てとお願いする。
お父様に叱られてしまったから仕方なく謁見室から出る。
その時に、アル兄様に隠れるように王女がいるのが見えた。
サラサラとした長い銀色の髪。
日にあたったことがないのかと思うくらい真っ白な肌。
本当に美しい王女だけど、化粧をしていないからか幼く見える。
まるでアル兄様は王女を守るように立っていた。
見間違いだとしても、気持ちが落ち着かない。
部屋に戻って、侍女たちにお茶会の用意をさせる。
アル兄様が来たら、ちょっとは怒らないと。
未来の妃を心配させるようなことはしちゃだめって。
なのに……いくら待ってもアル兄様が来ない。
結局その日は来てくれなかったから、次の日は朝から呼び出した。
アル兄様の宮には私でも勝手に入ることはできない。
一度入ろうとしたら、失礼な騎士につまみだされたことがある。
一人でいるのを好むアル兄様だから仕方ないけど、
私くらいは自由に入れてくれてもいいのにと思う。
アル兄様に用事がある時はまず侍従を呼び出す。
たまたま暇だったのか、来たのはアズだった。
「どうしました?」
「昨日、アル兄様と約束していたのにこなかったの!」
「本当に約束したのですか?昨日は帰って来たばかりですよ?」
「約束したわ!なのに、来なかったのよ。
今すぐアル兄様を連れて来て!」
「え~さすがに疲れているでしょうし、無理だと思いますよ?」
「いいから、早く!」
「仕方ないですね。わかりました」
気の抜けたようなアズの返事にイラつく。
どうしてこんな奴がアル兄様の侍従なのかと思うけど、
アズは宰相の息子だからアル兄様につけられている。
将来、アル兄様が国王になったら、アズが宰相になる。
そう思えば、あまり怒らせていい相手ではない。
だけど、アズはアル兄様の言うことばかり聞くから好きではない。
しばらくして戻って来たと思えば、やっぱり無理だという。
仕方ないから、もう一度呼び出すと、今度はアキムが来た。
「アルフレッド様をお連れすればいいのですね!
今すぐ行ってきます!」
張り切って出て行ったけれど、本当に役に立つのだろうか。
お母様がアキムは信用していいと言っていたけれど。
戻って来たアキムはあきらかに笑顔だった。
アル兄様を連れて来れたのだろうか。
「アルフレッド様がシンディ様をお呼びです」
「え?アル兄様の宮に行ってもいいの?」
「はい!」
アル兄様の宮に呼ばれるなんて初めてだ。
新しいドレスに着替えて、侍女たちと向かう。
うきうきした気持ちで宮の扉を通り抜けようとしたら、なぜか騎士に止められる。
「侍女を通す許可が出ていません」
「は?」
「シンディ様だけお通りください」
「何を言っているの?アル兄様に呼ばれたのよ?」
「ええ、ですから、シンディ様だけお通りくださいと」
なぜ、私の侍女たちは連れていけないの?
どこに行くにも侍女を連れて行くようにと、お義母様にも言われているのに。
騎士を説得しようとしていたら、奥の部屋からアル兄様が出て来た。
だが、その後ろからあの王女までついてくる。
どうして王女がアル兄様の宮にいるの?
客室が用意されているはずでしょう?
イライラしながらも、まずはアル兄様に事情を聞かないと。
何もないのに女と一緒にいるわけがないもの。
なのに……
「お父様!アル兄様が婚約ってどういうことなの!!」
「いや……落ち着いてくれ、シンディ」
「アル兄様と婚約するのは私のはずでしょう!?」
「だがな……」
「絶対に認めないわ!アル兄様にもダメだってちゃんと言って!」
「落ち着いてくれ、な?」
お父様のこの顔はなんとかごまかそうとしている顔だ。
でも、絶対にごまかされたりはしない。
「アル兄様の婚約者は私よ!!他はありえないから!!」
大きな音で扉を閉めて、お母様のところに行く。
お父様の説得をお母様にもお願いしないと。
「お母様!聞いてちょうだい!」
「まぁ、どうしたの?怖い顔をしているわね」
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