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25.女性騎士
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次の日、学園から宮に帰ると、アルフレッド様とアズが出迎えてくれる。
もうすぐ女性騎士四人がここに連れて来られると聞いて、
気がつかれないようにゆっくりと息を吸った。
……私のための護衛なのだから、落ち着いて。
アルフレッド様が気に入っているかもしれない、
なんて思ったことだけで落としたりしちゃいけない。
少しして、わぁという女性たちの声がした。
どうやら宮の扉から中に入って来たらしい。
連れて来られた四人はアルフレッド様の宮に入れたことで、
見るからに浮足立っていた。
それを見て、アズがため息をついた。
「これは一人もいないかもな」
その小さなつぶやきは私には聞こえたけれど、
アルフレッド様には届かない。
何事もなかったように、冷静な表情のままだ。
「アズ、面接をしてくれ」
「わかりました」
一人ずつ前に出して質問を重ねていく。
どうして女性騎士になったのか、
護衛として覚悟はあるのか、
人を切ることにためらいはないのか、
そして、アルフレッド様によこしまな想いはないのか。
一人、二人と脱落していき、最後の一人になる。
あの背の高い女性騎士はドロテと名乗った。
「私は覚悟を持って騎士の仕事についています。
護衛として選ばれたなら、ルーチェ様を命がけで全力で守ります」
「どうしてそう思ったんだ?護衛なら王妃もシンディ様もいるのに」
「……アントシュの戦いで恋人が亡くなりました。
彼はアルフレッド様の部下として亡くなったのです。
ですので、私も……アルフレッド様の部下として生きたいのです」
アントシュの戦いで亡くなった?
あの時、死亡者は一人もいなかったはずなのに。
おかしいと思ったけれど、ドロテは嘘をついていない。
精霊たちは警戒しているけれど、その言葉には何も反応しなかった。
アズが振り返って確認してくるので、嘘はないと合図を送る。
その答えに動揺したアズは、アルフレッド様に確認した。
「アルフレッド様、あの時の戦いに死亡者はいましたか?」
「……いや、いなかった。誰のことを言っているのかわからない」
「そんな!トーニオです!トーニオ・フレゴリ」
「トーニオは……行方不明者だ」
「彼が逃げるわけがありません。
戻ってこないのなら戦死したに違いないと……」
「そういうことか……わかった。
アズ、面接は終わりでいいのか?」
あ、まだドロテには聞いていない。
アルフレッド様によこしまな想いはないのか、と。
だが、恋人が亡くなったと訴えるドロテにその質問はできなかったのか、
アズの面接は終わってしまった。
どうしよう……三人は精霊が嘘をついていると言っていた。
だが、ドロテは嘘をついていない。
だけど、ドロテだけは採用してほしくない。
迷っていたら、アルフレッド様が口を開いた。
「全員、不採用だな」
「どうしてですか!」
異議をとなえたのはドロテだけだった。
採用されると思っていたのか、一人だけアルフレッド様に食って掛かる。
「理由は言えないが、採用できない。
四人は明日からまた剣技場で腕を磨いてくれ。
そうすれば、護衛として呼ばれることもあるだろう」
「それはアルフレッド様の宮でですか?
私はアルフレッド様の部下になりたくて騎士になったのです!
どうか採用してください!」
「とりあえず、今の時点では無理だとしか言えない。
アズ、四人を帰してくれ」
「わかりました」
まだ懇願し続けているドロテをアズが無理やり引っ張っていく。
他の三人は落ちた理由に心当たりがあるのか、おとなしく帰って行った。
「アズ一人で大丈夫でしょうか?」
「ああ見えて、俺とずっと訓練している。
女性騎士を引きずっていくくらいは問題ないだろう。
ここで俺の次に強いのはアズだろうな」
「意外でした……そうなんですね」
二人は幼馴染だとは聞いていたけれど、
アズの柔和な顔立ちからは戦っている場面が想像できない。
しばらくしてアズが疲れた顔で戻って来る。
「……いやぁ、大変でした。
私はドロテは採用するだろうと思っていましたが、
どうして採用しなかったのですか?」
「アントシュの戦いで行方不明だったのは、
俺を襲撃した者たちだ」
「あっ、あの時の!」
「襲撃者でしたか……それでは採用できませんね」
アントシュを奪還する時に死者は出なかったと聞いている。
だが、ベルコヴァへ戻って来る時にアルフレッド様は襲撃された。
三度の襲撃で数名切り倒し、遺体は処分すると言っていた。
ドロテの恋人は、その襲撃者だったということ……。
「ドロテに本当のことを言うわけにはいかない。
襲撃されたとはいえ、トーニオを俺が殺したのは事実だ。
それを逆恨みされても困るからな」
「そうですね……それにしても護衛が一人も見つかりませんでしたね」
「それは仕方ないな……。
危険なものをルーチェのそばに置くわけにもいかない。
侍女たちに頑張ってもらうしかないな」
結局はドロテも採用されなかったことにほっとした。
もし採用されていたら、私はどうしたのかな。
気に入らないから不採用にしてと言えたのだろうか。
とりあえずは誰も採用されなかったのだから、
アルフレッド様のそばに女性が来ることもない。
そう安心していたのだけど、ドロテはあきらめなかった。
もうすぐ女性騎士四人がここに連れて来られると聞いて、
気がつかれないようにゆっくりと息を吸った。
……私のための護衛なのだから、落ち着いて。
アルフレッド様が気に入っているかもしれない、
なんて思ったことだけで落としたりしちゃいけない。
少しして、わぁという女性たちの声がした。
どうやら宮の扉から中に入って来たらしい。
連れて来られた四人はアルフレッド様の宮に入れたことで、
見るからに浮足立っていた。
それを見て、アズがため息をついた。
「これは一人もいないかもな」
その小さなつぶやきは私には聞こえたけれど、
アルフレッド様には届かない。
何事もなかったように、冷静な表情のままだ。
「アズ、面接をしてくれ」
「わかりました」
一人ずつ前に出して質問を重ねていく。
どうして女性騎士になったのか、
護衛として覚悟はあるのか、
人を切ることにためらいはないのか、
そして、アルフレッド様によこしまな想いはないのか。
一人、二人と脱落していき、最後の一人になる。
あの背の高い女性騎士はドロテと名乗った。
「私は覚悟を持って騎士の仕事についています。
護衛として選ばれたなら、ルーチェ様を命がけで全力で守ります」
「どうしてそう思ったんだ?護衛なら王妃もシンディ様もいるのに」
「……アントシュの戦いで恋人が亡くなりました。
彼はアルフレッド様の部下として亡くなったのです。
ですので、私も……アルフレッド様の部下として生きたいのです」
アントシュの戦いで亡くなった?
あの時、死亡者は一人もいなかったはずなのに。
おかしいと思ったけれど、ドロテは嘘をついていない。
精霊たちは警戒しているけれど、その言葉には何も反応しなかった。
アズが振り返って確認してくるので、嘘はないと合図を送る。
その答えに動揺したアズは、アルフレッド様に確認した。
「アルフレッド様、あの時の戦いに死亡者はいましたか?」
「……いや、いなかった。誰のことを言っているのかわからない」
「そんな!トーニオです!トーニオ・フレゴリ」
「トーニオは……行方不明者だ」
「彼が逃げるわけがありません。
戻ってこないのなら戦死したに違いないと……」
「そういうことか……わかった。
アズ、面接は終わりでいいのか?」
あ、まだドロテには聞いていない。
アルフレッド様によこしまな想いはないのか、と。
だが、恋人が亡くなったと訴えるドロテにその質問はできなかったのか、
アズの面接は終わってしまった。
どうしよう……三人は精霊が嘘をついていると言っていた。
だが、ドロテは嘘をついていない。
だけど、ドロテだけは採用してほしくない。
迷っていたら、アルフレッド様が口を開いた。
「全員、不採用だな」
「どうしてですか!」
異議をとなえたのはドロテだけだった。
採用されると思っていたのか、一人だけアルフレッド様に食って掛かる。
「理由は言えないが、採用できない。
四人は明日からまた剣技場で腕を磨いてくれ。
そうすれば、護衛として呼ばれることもあるだろう」
「それはアルフレッド様の宮でですか?
私はアルフレッド様の部下になりたくて騎士になったのです!
どうか採用してください!」
「とりあえず、今の時点では無理だとしか言えない。
アズ、四人を帰してくれ」
「わかりました」
まだ懇願し続けているドロテをアズが無理やり引っ張っていく。
他の三人は落ちた理由に心当たりがあるのか、おとなしく帰って行った。
「アズ一人で大丈夫でしょうか?」
「ああ見えて、俺とずっと訓練している。
女性騎士を引きずっていくくらいは問題ないだろう。
ここで俺の次に強いのはアズだろうな」
「意外でした……そうなんですね」
二人は幼馴染だとは聞いていたけれど、
アズの柔和な顔立ちからは戦っている場面が想像できない。
しばらくしてアズが疲れた顔で戻って来る。
「……いやぁ、大変でした。
私はドロテは採用するだろうと思っていましたが、
どうして採用しなかったのですか?」
「アントシュの戦いで行方不明だったのは、
俺を襲撃した者たちだ」
「あっ、あの時の!」
「襲撃者でしたか……それでは採用できませんね」
アントシュを奪還する時に死者は出なかったと聞いている。
だが、ベルコヴァへ戻って来る時にアルフレッド様は襲撃された。
三度の襲撃で数名切り倒し、遺体は処分すると言っていた。
ドロテの恋人は、その襲撃者だったということ……。
「ドロテに本当のことを言うわけにはいかない。
襲撃されたとはいえ、トーニオを俺が殺したのは事実だ。
それを逆恨みされても困るからな」
「そうですね……それにしても護衛が一人も見つかりませんでしたね」
「それは仕方ないな……。
危険なものをルーチェのそばに置くわけにもいかない。
侍女たちに頑張ってもらうしかないな」
結局はドロテも採用されなかったことにほっとした。
もし採用されていたら、私はどうしたのかな。
気に入らないから不採用にしてと言えたのだろうか。
とりあえずは誰も採用されなかったのだから、
アルフレッド様のそばに女性が来ることもない。
そう安心していたのだけど、ドロテはあきらめなかった。
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