これが運命ではなかったとしても

gacchi(がっち)

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27.夜の護衛

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アズの作戦を聞いて、私とアルフレッド様も納得することができた。
最初の面接から四か月。
ドロテは私の護衛騎士として採用されることになった。

「おはようございます!」

「ええ、おはよう」

学園に向かう馬車の前にドロテがいる。
願いが叶ってうれしいのか、満面の笑みだ。

「良かったな、ドロテ!」

「よろしくね、ドロテ」

「はい、これからよろしくお願いします!」

一緒に馬車に乗るジルとメアリーも喜んでいる。

学園に通う時の護衛騎士は、
ジルとルウイとドロテの三人が交代でつくことになる。

学園についても、ドロテはいろんな人から祝われていた。
シンディ様もうれしそうにドロテに声をかける。

「護衛騎士になれてよかったわね」

「はい!シンディ様のおかげです!ありがとうございます!」

「ふふ。私は助言をしただけよ」

助言……?シンディ様はいったいドロテに何を言ったのか。

とりあえず、その日は何事もなく学園から城に戻る。
アルフレッド様の宮に戻って来ると、アズが出迎えてくれる。

「じゃあ、また明日ね」

「はい」

ジルに挨拶をすると、ドロテは不思議そうな顔をしている。
そして、私が宮に入ろうとするとドロテも後ろをついてこようとする。
それを見て、アズがドロテに声をかける。

「ドロテ、仕事は終わりだよ。お疲れさま」

「え、あ、はい」

「何してんの?宿舎に戻りなよ」

「え?護衛騎士はアルフレッド様の宮の中に寝泊まりするのでは?」

「え?しないよ?この宮の中に部屋を持っているのは、
 ルーチェ様の他は俺とリマだけ。
 他の護衛や使用人は通いだよ。
 ジルとルウイも宿舎に住んでいるんだ」

「……そんな」

よほど驚いたのか、そこに立ち尽くしている。
それを見かねたジルがドロテを引っ張って帰って行った。

「やはり誤解していましたね」

「ドロテはこの宮の中に入りたいのかしら?」

「そうだと思っていたので、違うとわかればあきらめるかと」

「そうなのね……すごいびっくりしていたみたい」

私がこの宮に最初に来た時、この宮の使用人は一人もいなかった。
幼馴染で侍従のアズでさえ、用事がある時に来るだけ。
夜はアルフレッド様と私だけだった。

王弟で仕事も抱えているのに使用人がいない状況ではまずいと、
アズと私が協力して信頼できる使用人を増やした。

その結果、今では四十人をこえる使用人が出入りしている。

だけど、それでも夜に使用人がいるのはダメだった。
侍女も文官も、仕事が終わればこの宮から出て行く。

アルフレッド様が落ち着いて眠れないという理由で、
この宮の中で生活しているのは四人だけになっている。

だから、私の護衛騎士になってもドロテがこの宮に住むことはできない。
そのことに気がついて、ドロテはどう行動するだろうか。

次の日、少しだけ元気がないドロテをルウイが心配する。

「どうしたんだ?昨日、初出勤だったんだろう?
 張り切り過ぎて疲れたのか?」

「いえ、なんでもありません」

さすがに理由を言うわけにもいかないのか、ドロテが黙る。
教室に着いた後、ドロテは教室内を覗き込む。

何をしているのかと思えば、シンディ様に話しかけたかったようだ。
シンディ様が手招きをしてドロテを呼び寄せ、小声で何か話している。

昨日のことを報告しているのかな。
……シンディ様はドロテをどうしたいんだろう。

その日も授業を終え、馬車に乗って城へと帰る。
もうすぐ城につくという時に、ドロテは思いきったように話し出した。

「あの、ルーチェ様の夜の警備のことなのですが!」

「夜の警備?」

「はい、どうなっているのですか?
 護衛騎士は宮に寝泊まりしないと聞きましたが、
 それではルーチェ様の身が危ないのでは……」

「私のことはアルフレッド様とアズが守ってくれるわ」

「アルフレッド様は護衛ではありませんし、
 アズ殿も騎士ではありません……。
 やはり、護衛騎士が守った方が」

「宮の中にいる時は安全だから気にしなくていいの。
 私の護衛騎士の役目は、宮の外にいる時の護衛よ」

「宮の外にいる時の護衛……」

見るからにがっかりしているドロテに、
ルウイがなぐさめようとする。

「俺たちもそうだよ。ドロテが女性騎士だからそうしているわけじゃない。
 俺たちはルーチェ様を無事に学園に通わせる、それが仕事なんだ」

「……はぁ」

「明日は休みだから、宿舎でゆっくり休め。
 初めての仕事で疲れたんだろう」

「……はい」

疲れたからではないと思うけれど、ルウイはそう思ったようだ。
肩をぽんと叩かれたドロテは、おちこむように下を見ていた。

それから二週間は何事もなくドロテは護衛騎士としての仕事をしていた。
口数が減って、考え込んでいる時間が増えたようだけど、
私はそのことには何もふれずにいた。

そして三週間目になった時、ドロテがまた夜の護衛のことを口にした。

「ルーチェ様、やはり夜も護衛したほうがいいと思うのです」

「夜の護衛?いらないって言ったわよね?」





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