2 / 17
2.俺、転生チート
しおりを挟む
俺、ユアンは辺境の小さな村に生まれた。
生まれた瞬間はうれしくてガッツポーズした。異世界に来たって。
そう、いわゆる転生チートだ。
最初から飛ばしてしまったら目立つだろうと、控えめに過ごしたかったが、
俺の黒髪黒目は異端だった。
この国は貴族なら金や銀の髪を持ち、平民はほとんどが茶髪だ。
俺のような黒髪はめずらしく、迫害される対象だった。
もちろん俺もその例外なく…チートがあったとしても、よく死ななかったと思う。
毎日の食事すらまともに食べさせてもらえなかったから、
自分で食料を探し調理して食べるようになった。
五歳になる頃には、その辺の大人よりも狩りがうまくなっていた。
そうなると両親も俺が役に立つと気が付いたのか、
獲物を奪われるようにはなったが、邪険にされることは無くなった。
やれやれ。
これでやっと普通に暮らせる、そう思ったのが甘かった。
十四歳を半分過ぎたころ、村長と両親がこそこそ話しているのを盗み聞きしたら、
俺は十五歳になって成人したら村長の娘と結婚させられるという。
八歳も年上で行き遅れの性格ブスの村長の娘と!
ふざけんな、冗談じゃないと、その日のうちにすぐさま逃げ出して、
遠く離れた場所まで行ってギルドに登録をして冒険者になった。
それから四年が過ぎ、B級冒険者となっている。
今はA級になるために各地を回っているところだ。
一か所の冒険者ギルドにつき三十件のB級依頼を受ける。
それを二十領地でこなすことがA級に上がるための基本条件だ。
これをこなした上で昇級審査を受けなくてはいけない。
今の領地で十五か所目。この領地での依頼は二十九件目。
あと一件終われば次の領地へと行く。
馬よりも速く走れるため、移動するときにはこいつらを置いていけるのだが、
数日もすれば猫獣人のカリーナに追いつかれ、その後も誰かに追いつかれる。
それでも全員がそろうことは無かったのだが、
今回は運悪く全員に追いつかれてしまっていた。
もう毎日が苦痛で仕方ない。
最初の宿では鍵を閉めたドアの向こう側で大騒ぎされ追い出された。
次の宿では俺と誰が一緒の部屋になるかで揉め、受付で追い出された。
もちろん俺は一人で泊まると言ったのだが。
仕方なくギルドの裏の宿泊地で野営をしはじめたのだが、
俺の分の食事を作れば勝手に食われ、
寝るところも俺のテントにやつらが勝手に入ってきて占領されてしまった。
新しく一人用のテントを買いなおし、
結界を張ることで俺はなんとか無事に過ごしている。
…なんでこうなった?
俺は誰一人として一緒にいていいなんて言ってないぞ。
勝手に追いかけてきておきながら、
最近は仲間だとかパーティだとか言い出している。
俺、B級の依頼しか受けないから、お前たちと一緒に仕事することないぞ?
今日もまたため息をつきながら眠った。
どうしてこうなったのだろうと。
次の日、起きてすぐに冒険者ギルドに行くと新しい依頼が増えていた。
そのうちの一つを取ってカウンターに向かおうとすると、
D級冒険者のライムに後ろから服を引っ張られる。
「ねぇねぇ、ユアン~。この依頼一緒に受けてよぉ。」
ライムの持っている依頼書はゴブリン退治のものだ。
初心者向けの依頼で、B級の俺が受けるようなものではない。
「離せ。勝手に一人で受けてろよ。
俺は別の依頼を受ける。」
「え?何を受けるの?見せて~。」
「嫌だ。」
ライムに奪われそうになった依頼書を、さっとかわしてカウンターの受付に渡す。
受付のお姉さんも慣れたもので、ライムに見られないように手続きをしてくれる。
「あ!いじわる!
見せてくれたっていいじゃない!」
「見せたらついてくるだろう。」
「仲間なんだから当然でしょう?」
「誰が仲間だ。」
「あ、ひどい!」
頬を膨らまして怒り出したライムはほっといて、仕事へと行く。
移動し始めたらついてこれないライムは、場所がわからなければ追いかけてこない。
安心して魔狼の群れを片付けると、アイテムボックスに全部しまい込む。
転生チートで魔術使い放題の上にアイテムボックスまで持っているのだから、
A級に上がるのも時間の問題だった。
こんなに急いでA級に上がろうとしているのも、
あいつらにつきまとわられているからで…。
本当はゆっくりのんびり冒険の旅をしようと思っていたのに。
あいつらのせいで仲間を作ることすらできなかった。
「これで三十件達成したな。明日にはこの領地から出るか。」
生まれた瞬間はうれしくてガッツポーズした。異世界に来たって。
そう、いわゆる転生チートだ。
最初から飛ばしてしまったら目立つだろうと、控えめに過ごしたかったが、
俺の黒髪黒目は異端だった。
この国は貴族なら金や銀の髪を持ち、平民はほとんどが茶髪だ。
俺のような黒髪はめずらしく、迫害される対象だった。
もちろん俺もその例外なく…チートがあったとしても、よく死ななかったと思う。
毎日の食事すらまともに食べさせてもらえなかったから、
自分で食料を探し調理して食べるようになった。
五歳になる頃には、その辺の大人よりも狩りがうまくなっていた。
そうなると両親も俺が役に立つと気が付いたのか、
獲物を奪われるようにはなったが、邪険にされることは無くなった。
やれやれ。
これでやっと普通に暮らせる、そう思ったのが甘かった。
十四歳を半分過ぎたころ、村長と両親がこそこそ話しているのを盗み聞きしたら、
俺は十五歳になって成人したら村長の娘と結婚させられるという。
八歳も年上で行き遅れの性格ブスの村長の娘と!
ふざけんな、冗談じゃないと、その日のうちにすぐさま逃げ出して、
遠く離れた場所まで行ってギルドに登録をして冒険者になった。
それから四年が過ぎ、B級冒険者となっている。
今はA級になるために各地を回っているところだ。
一か所の冒険者ギルドにつき三十件のB級依頼を受ける。
それを二十領地でこなすことがA級に上がるための基本条件だ。
これをこなした上で昇級審査を受けなくてはいけない。
今の領地で十五か所目。この領地での依頼は二十九件目。
あと一件終われば次の領地へと行く。
馬よりも速く走れるため、移動するときにはこいつらを置いていけるのだが、
数日もすれば猫獣人のカリーナに追いつかれ、その後も誰かに追いつかれる。
それでも全員がそろうことは無かったのだが、
今回は運悪く全員に追いつかれてしまっていた。
もう毎日が苦痛で仕方ない。
最初の宿では鍵を閉めたドアの向こう側で大騒ぎされ追い出された。
次の宿では俺と誰が一緒の部屋になるかで揉め、受付で追い出された。
もちろん俺は一人で泊まると言ったのだが。
仕方なくギルドの裏の宿泊地で野営をしはじめたのだが、
俺の分の食事を作れば勝手に食われ、
寝るところも俺のテントにやつらが勝手に入ってきて占領されてしまった。
新しく一人用のテントを買いなおし、
結界を張ることで俺はなんとか無事に過ごしている。
…なんでこうなった?
俺は誰一人として一緒にいていいなんて言ってないぞ。
勝手に追いかけてきておきながら、
最近は仲間だとかパーティだとか言い出している。
俺、B級の依頼しか受けないから、お前たちと一緒に仕事することないぞ?
今日もまたため息をつきながら眠った。
どうしてこうなったのだろうと。
次の日、起きてすぐに冒険者ギルドに行くと新しい依頼が増えていた。
そのうちの一つを取ってカウンターに向かおうとすると、
D級冒険者のライムに後ろから服を引っ張られる。
「ねぇねぇ、ユアン~。この依頼一緒に受けてよぉ。」
ライムの持っている依頼書はゴブリン退治のものだ。
初心者向けの依頼で、B級の俺が受けるようなものではない。
「離せ。勝手に一人で受けてろよ。
俺は別の依頼を受ける。」
「え?何を受けるの?見せて~。」
「嫌だ。」
ライムに奪われそうになった依頼書を、さっとかわしてカウンターの受付に渡す。
受付のお姉さんも慣れたもので、ライムに見られないように手続きをしてくれる。
「あ!いじわる!
見せてくれたっていいじゃない!」
「見せたらついてくるだろう。」
「仲間なんだから当然でしょう?」
「誰が仲間だ。」
「あ、ひどい!」
頬を膨らまして怒り出したライムはほっといて、仕事へと行く。
移動し始めたらついてこれないライムは、場所がわからなければ追いかけてこない。
安心して魔狼の群れを片付けると、アイテムボックスに全部しまい込む。
転生チートで魔術使い放題の上にアイテムボックスまで持っているのだから、
A級に上がるのも時間の問題だった。
こんなに急いでA級に上がろうとしているのも、
あいつらにつきまとわられているからで…。
本当はゆっくりのんびり冒険の旅をしようと思っていたのに。
あいつらのせいで仲間を作ることすらできなかった。
「これで三十件達成したな。明日にはこの領地から出るか。」
84
あなたにおすすめの小説
わたくし、悪女呼ばわりされているのですが……全力で反省しておりますの。
月白ヤトヒコ
恋愛
本日、なんの集まりかはわかりませんが、王城へ召集されておりますの。
まあ、わたくしこれでも現王太子の婚約者なので、その関連だと思うのですが……
「父上! 僕は、こんな傲慢で鼻持ちならない冷酷非道な悪女と結婚なんかしたくありません! この女は、こともあろうに権力を使って彼女を脅し、相思相愛な僕と彼女を引き離そうとしたんですよっ!? 王妃になるなら、側妃や愛妾くらいで煩く言うのは間違っているでしょうっ!?」
と、王太子が宣いました。
「どうやら、わたくし悪女にされているようですわね。でも、わたくしも反省しておりますわ」
「ハッ! やっぱりな! お前は僕のことを愛してるからな!」
「ああ、人語を解するからと人並の知性と理性を豚に求めたわたくしが悪かったのです。ごめんなさいね? もっと早く、わたくしが決断を下していれば……豚は豚同士で娶うことができたというのに」
設定はふわっと。
乙女ゲー終了後に獣人大公に売られた子爵令嬢ですが、前世を思い出したのでなんとか最後までヤりきってみせます!
お好み焼き
恋愛
断罪された乙女ゲームの悪役オードリー、が売られたその後。
前世を思い出したけど、冤罪じゃなく普通に悪事を働いていたから、その後は何が何でも誤魔化して生きるしかないよね、みたいな緩い話。予告なく性描写が出ます。
忘れるにも程がある
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたしが目覚めると何も覚えていなかった。
本格的な記憶喪失で、言葉が喋れる以外はすべてわからない。
ちょっとだけ菓子パンやスマホのことがよぎるくらい。
そんなわたしの以前の姿は、完璧な公爵令嬢で第二王子の婚約者だという。
えっ? 噓でしょ? とても信じられない……。
でもどうやら第二王子はとっても嫌なやつなのです。
小説家になろう様、カクヨム様にも重複投稿しています。
筆者は体調不良のため、返事をするのが難しくコメント欄などを閉じさせていただいております。
どうぞよろしくお願いいたします。
自業自得じゃないですか?~前世の記憶持ち少女、キレる~
浅海 景
恋愛
前世の記憶があるジーナ。特に目立つこともなく平民として普通の生活を送るものの、本がない生活に不満を抱く。本を買うため前世知識を利用したことから、とある貴族の目に留まり貴族学園に通うことに。
本に釣られて入学したものの王子や侯爵令息に興味を持たれ、婚約者の座を狙う令嬢たちを敵に回す。本以外に興味のないジーナは、平穏な読書タイムを確保するために距離を取るが、とある事件をきっかけに最も大切なものを奪われることになり、キレたジーナは報復することを決めた。
※2024.8.5 番外編を2話追加しました!
平手打ちされたので、婚約破棄宣言に拳でお答えしました
Megumi
恋愛
婚約破棄を告げられ、婚約者に平手打ちされた——その瞬間。
伯爵令嬢イヴの拳が炸裂した。
理不尽に耐える淑女の時代は、もう終わり。
これは“我慢しない令嬢”が、これまでの常識を覆す話。
ジルの身の丈
ひづき
恋愛
ジルは貴族の屋敷で働く下女だ。
身の程、相応、身の丈といった言葉を常に考えている真面目なジル。
ある日同僚が旦那様と不倫して、奥様が突然死。
同僚が後妻に収まった途端、突然解雇され、ジルは途方に暮れた。
そこに現れたのは亡くなった奥様の弟君で───
※悩んだ末取り敢えず恋愛カテゴリに入れましたが、恋愛色は薄めです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる