こんなのはハーレムと呼ばない。

gacchi(がっち)

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4.猫獣人リーナ

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新しい領地での依頼が二十件を超えたころ、猫獣人のリーナが現れた。
嗅覚で追いかけてくるこいつが現れるのは予想通り。
だが、前のように相手してやる気はまったくなかった。

「やっと追いついたニャ!おいていくなんてひどいニャ!
 リーナは発情期で大変だったのに助けてくれなかったなんてひどいニャ!」

「またお前か。」

「こんな遠くまで来るなんて、リーナじゃなかったら追いつかなかったニャ。
 でも謝ってくれたら許すニャ!」

「…謝れって何に?」

「ニャ!?だって、リーナ大変だったのに助けずにいなくなったニャ!」

「なんでお前を助けなきゃいけないんだ?」

「だって、リーナはユアンのものだし、仲間だニャ!」

「お前と俺は関係ないし、仲間でもない。」

「なんでそんなひどいこと言うのニャ!ずっと一緒だったニャ!」

「勝手についてきてただけだろう?
 なぁ、俺が一度でも言ったことあるか?
 お前が仲間だとか一緒にいようだとか。」

「…それはないニャ…でも…」

「迷惑なんだ。ずっと勝手についてこられて。
 飯は食われるし、テントは奪われる。
 言いたい放題でつきまとわられて…何一ついいことなんてない。」

「ひどいニャ…リーナはユアンが好きで一緒にいたいのニャ…。」

「俺はお前のことなんか好きじゃない。
 もう二度と俺の前に姿を見せるな。」

「…嫌だニャ!ユアンに嫌がられてもリーナはずっと追いかけるのニャ!」

「…どうしてもやめないっていうのか?」

「やめないニャ!」

今までならここで言い合いをやめてどこかに立ち去っただろう。
その結果ずるずるとつきまとわれているのだ。
だが、今回の俺はもう嫌だった。

すっと手をかざして術を使う。

「っ!何をしたのニャ!」

「お前の嗅覚を人間並みに減らした。
 これでもう追いかけてこれないだろう。」

「嫌ニャ!それだけは嫌ニャ!
 獣人が嗅覚を失うなんて恥だニャ!」

「俺を追いかけないと約束するなら戻すぞ?」

「……………わかったニャ。」

すぐに戻したうえで警告する。

「次、俺の目の前に現れたら、警告なしで嗅覚を奪う。
 そのまま消えるから、その時はもう謝っても戻さないぞ。わかったな?」

無言になったリーナを放ってギルドの外に出た。
この領地も早く出たほうがいいな。
残り数件となった依頼をを急いで片づけることにした。


…この領地での依頼が二十九件目になった時、再びリーナは俺の前に現れた。

「やっぱり無理ニャ!リーナはユアンと一緒にいるのニャ!」

「…。」

無言で術をかけ、姿を消して逃げる。

「あ!待ってニャ!ユアン!謝るのニャ!」

嗅覚を奪われたことに気が付いたリーナが焦って叫んだのが聞こえたが、もう遅い。
もう二度と姿を見せることは無い。


翌日、リーナが冒険者ギルドにいない時間を見計って依頼を受け、
翌々日の早朝に達成報告した。
これで三十件の依頼達成。次の領地へと向かう。

リーナが俺を探して冒険者ギルドにいる間に、この領地での買い物を済ませ、
さっさと走り出して領地を出た。
嗅覚が人間並みになった今のリーナでは俺を探すのは不可能だ。
偶然出会えたとしても、俺はすぐに逃げる。二度と会話はしない。

仕事もなく獣人としての役割も果たせなくなったリーナが、
この先どうやって生活していけるのかは疑問だが、
そもそも俺に寄生していたことが間違いなのだ。

この先はリーナ自身が責任をもって決めるだろう。

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