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15.山を下りる
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久しぶりに山を下りて冒険者ギルドに向かうと、ギルドの中は人でにぎわっていた。
俺のA級冒険者の休業を取り消す手続きと、ルゥの冒険者登録のために来ていたが、
もう少し人のいない時間に来るべきだったかもしれない。
黒のフード姿の俺たちは目立つようで、周りからじろじろと見られている。
二年も来なかったから、俺のことを知らない冒険者も多いのだろう。
下手に目立ってからまれなければいいのだが…。
「どうする?ルゥ。人が多すぎる。
人が少ない時間にまた来るか?」
「人が多いと登録できない?」
「いや、そうじゃない。待つだけ。」
「じゃあ、待てるよ。いっぱい人がいるの見てるの面白い!」
「あぁ、なるほど。じゃあ、待つか。」
そういえばルゥは俺以外の人間をほとんど見たことがなかったはずだ。
これだけいろんな人間、獣人がいるギルドの中は面白いのかもしれない。
カウンターに並ぶ人の列に混じると、ルゥは楽しそうに周りを見ている。
フードをかぶったままにしておけと言ったのだが、ちゃんと覚えているだろうか。
そのうち忘れてフードを外してしまうんじゃないかと思って、少し心配になる。
俺は変な目で見られるのは慣れているけれど…。
まだ人との関わりが少ないルゥが何か言われるのは我慢ならない。
…でも、楽しそうだからいいか。
しっぽがあったら振ってるんじゃないかと思うくらい楽しそうな雰囲気に、
黒髪が見られたとしても何とでもなるかと思い直した。
「ユアン!ようやく見つけた!!」
久しぶりにルゥ以外に名前を呼ばれて振り向いたら、会いたくない顔が見えた。
自称幼馴染の冒険者ライムがギルドに飛び込んできていた。
ここに俺がいることを誰かに聞いて来たようだ。
あいかわらず髪を後ろで一つにまとめているが…少しぽっちゃりしたか?
二年会わなかったから、もうあきらめているだろうと思っていたのに。
「…何か用か?」
「何かじゃないわよ。もう!心配したんだから!
ずっとどこに行っていたの?私…探していたのよ?
みんなに聞いても知らないっていうし…。」
うるうると目を潤ませて責めてくるが…なんで俺が責められなきゃいけないんだ?
「いや、何も心配しなくていいぞ。もう関わることもないから。」
「え?何を言ってるの?
また一緒に旅に行けるのうれしいわ!
それともしばらくはこの領地でゆっくりする?
ねぇ、とりあえずご飯に行かない?」
「…はぁぁ。変わんねぇな。」
あまりの変わらなさに言い返すよりも呆れてしまう。
どうやって追い返そうかと思っていたら、ルゥに服を引っ張られる。
「ん?どうした?」
「ねぇ、どうしてこの人、他の人の魔力だらけなの?」
「!!」
さすがにその意味を覚えていたのか、ライムの顔が引きつる。
「あぁ、ルゥも見えるのか。
あれな、あのお姉さんは恋人がいっぱいいるんだよ。」
「へー。いっぱいいるの?変だね?」
「そういう人もいるんだ。
だから、これからはそういう人に会っても言ってはいけないよ?
人の魔力が見えても、そのことを言ってはいけないんだ。」
「言っちゃダメなんだ。ごめんなさい。」
「次から気を付けような。」
これも教育だな。ルゥが魔力を見えるなんて知らなかったけど。
街中で娼婦に会って言う前に気が付けて良かった。
娼婦だっていろんな人がいる。そんなことを言って傷つけて良いわけがない。
「…っ!ユアン、何なの?この子ども!」
「ルゥは子どもじゃないよ。」
「あぁそうだな。ルゥは子どもじゃない。
俺の妻だ。」
「妻ぁ????」
俺のA級冒険者の休業を取り消す手続きと、ルゥの冒険者登録のために来ていたが、
もう少し人のいない時間に来るべきだったかもしれない。
黒のフード姿の俺たちは目立つようで、周りからじろじろと見られている。
二年も来なかったから、俺のことを知らない冒険者も多いのだろう。
下手に目立ってからまれなければいいのだが…。
「どうする?ルゥ。人が多すぎる。
人が少ない時間にまた来るか?」
「人が多いと登録できない?」
「いや、そうじゃない。待つだけ。」
「じゃあ、待てるよ。いっぱい人がいるの見てるの面白い!」
「あぁ、なるほど。じゃあ、待つか。」
そういえばルゥは俺以外の人間をほとんど見たことがなかったはずだ。
これだけいろんな人間、獣人がいるギルドの中は面白いのかもしれない。
カウンターに並ぶ人の列に混じると、ルゥは楽しそうに周りを見ている。
フードをかぶったままにしておけと言ったのだが、ちゃんと覚えているだろうか。
そのうち忘れてフードを外してしまうんじゃないかと思って、少し心配になる。
俺は変な目で見られるのは慣れているけれど…。
まだ人との関わりが少ないルゥが何か言われるのは我慢ならない。
…でも、楽しそうだからいいか。
しっぽがあったら振ってるんじゃないかと思うくらい楽しそうな雰囲気に、
黒髪が見られたとしても何とでもなるかと思い直した。
「ユアン!ようやく見つけた!!」
久しぶりにルゥ以外に名前を呼ばれて振り向いたら、会いたくない顔が見えた。
自称幼馴染の冒険者ライムがギルドに飛び込んできていた。
ここに俺がいることを誰かに聞いて来たようだ。
あいかわらず髪を後ろで一つにまとめているが…少しぽっちゃりしたか?
二年会わなかったから、もうあきらめているだろうと思っていたのに。
「…何か用か?」
「何かじゃないわよ。もう!心配したんだから!
ずっとどこに行っていたの?私…探していたのよ?
みんなに聞いても知らないっていうし…。」
うるうると目を潤ませて責めてくるが…なんで俺が責められなきゃいけないんだ?
「いや、何も心配しなくていいぞ。もう関わることもないから。」
「え?何を言ってるの?
また一緒に旅に行けるのうれしいわ!
それともしばらくはこの領地でゆっくりする?
ねぇ、とりあえずご飯に行かない?」
「…はぁぁ。変わんねぇな。」
あまりの変わらなさに言い返すよりも呆れてしまう。
どうやって追い返そうかと思っていたら、ルゥに服を引っ張られる。
「ん?どうした?」
「ねぇ、どうしてこの人、他の人の魔力だらけなの?」
「!!」
さすがにその意味を覚えていたのか、ライムの顔が引きつる。
「あぁ、ルゥも見えるのか。
あれな、あのお姉さんは恋人がいっぱいいるんだよ。」
「へー。いっぱいいるの?変だね?」
「そういう人もいるんだ。
だから、これからはそういう人に会っても言ってはいけないよ?
人の魔力が見えても、そのことを言ってはいけないんだ。」
「言っちゃダメなんだ。ごめんなさい。」
「次から気を付けような。」
これも教育だな。ルゥが魔力を見えるなんて知らなかったけど。
街中で娼婦に会って言う前に気が付けて良かった。
娼婦だっていろんな人がいる。そんなことを言って傷つけて良いわけがない。
「…っ!ユアン、何なの?この子ども!」
「ルゥは子どもじゃないよ。」
「あぁそうだな。ルゥは子どもじゃない。
俺の妻だ。」
「妻ぁ????」
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