その手をとって、反撃を

gacchi(がっち)

文字の大きさ
29 / 55

29.試験結果

しおりを挟む
掲示を見ようとしている学生が多くて前に進めない。
人が少なくなるまで待とうとしたら、
ロドルフ様とレベッカ様がそれぞれ取り巻きを連れて来るのが見えた。

「あら、もう来ていたのね」

「ナディア、結果を見たのか?」

「いえ、まだです。人が多くて」

「避けるように言えばいいだろう」

ロドルフ様の言葉で、掲示の前にいた学生たちが左右に避けていく。
さすが王族というべきか。
レベッカ様もそれが当然だと思っているのなら、
私が高位貴族らしくないだけかもしれない。

「これで見えるだろう」

「ふふふ。楽しみだわ」

掲示の前へと向かうロドルフ様とレベッカ様の後ろをついていく。
不安そうな顔をしたミリアに大丈夫だと笑いかける。

「なっ!?」

「どうして!!」

掲示を見た二人が叫んでいる。
ゆっくりと追いついて掲示を見る。

1位 ナディア・クラデル
2位 ロドルフ・バシュラール
3位 ミリア・ポワズ
4位 レベッカ・バラチエ

「ナディア様!一位です!」

「ミリアも三位じゃない!」

「え?私が三位ですか?……本当です!どうして……」

私が一位を取ったこともうれしいけれど、ミリアが三位にいるのもうれしい。
ミリアは自分が上位にいることが信じられないのか何度も目をこすった。

「どうして、私が一位じゃないのよ!」

「そうだ!俺が一位に決まっているのに!」

結果に納得できないロドルフ様とレベッカ様が叫んでいるが、
おそらく結果が変わることはないと思う。

「ロドルフ様、レベッカ様、お二人も試験監督は学園長でしたよね?
 学園長が評価を間違えることはないと思います」

「だが、おかしいだろう。三位の者も知らないぞ!」

「そうよ!ポワズ家なんて知らないわよ!」

「ミリア・ポワズはここにいる私の侍女です」

「は?」

「侍女ですって?どうしてそんな女が私よりも上なのよ!」

それはどうしてだろう?
ミリアも首をかしげているので、何も説明できない。

「私から説明しようか?」

のんびりとした声がしたと思ったら、学園長がこちらに向かってくる。
騒ぎになると思って誰かが呼びに行ったのかもしれない。

「学園長、この結果はどういうことだ?」

「そうです!説明してください!」

「ああ、試験の結果は間違えていない。一位のナディア嬢の魔術は完璧だった。
 まだまだ余力はありそうだったが、
 学園で習う以上の試験はしなくていいとシリウス様にも言われている。
 ロドルフ王子とレベッカ嬢も同じ試験で評価している」

「だが、そこの侍女の結果がおかしい以上、
 ナディアの評価も疑わなくてはならなくなる!」

学園長に言われても納得できないロドルフ様に、
ミリアは自分のせいかと思い始めておろおろしている。

「魔術演習の試験結果だけではなく、魔術理論の結果を見ればわかる」

「魔術理論だと?」

「そういえば今回から結果を張り出しているはず」

魔術演習とは別の壁に学科の結果が張り出されている。

魔術理論の結果を見れば


1位 ナディア・クラデル
2位 ミリア・ポワズ

23位 ロドルフ・バシュラール


44位 レベッカ・バラチエ

ミリアが二位。そしてロドルフ様とレベッカ様は上位ではなかった。

「学科などどうでもいいだろう!」

「そうよ。魔術演習ができていれば問題ないじゃない」

「それは違う。魔術は理論と魔力量、技術、その三つがそろっていなければならない。
 ロドルフ王子とレベッカ嬢はきちんと理論を理解していない。
 魔術式を間違えて覚えていてもそのまま。
 むりやり発動させるだけで効力も威力もない見せかけだけの魔術だ」

以前、ロドルフ様とレベッカ様の魔術を見た時、
魔術式を間違えたまま発動していた。
ただ訓練を重ねても理論を学ばなければ変わることはない。

「シリウス様に警告されたのだ。
 理論をおろそかにすれば魔術の技術も伸びないと。
 だから今回から学科の試験結果も公表することにしたのだが。
 それでも学ぼうとしなかったとは……」

なぜ魔術理論が必要なのかを説明されたのにも関わらず、
それでも納得できない二人は悔しそうにミリアを指さす。

「でも、そこの女は今まで魔術演習で上位じゃなかっただろう!
 急に三位になるなんて何か不正行為があったとしか思えない!」

「ミリア嬢は前回まで魔術理論をまったくと言っていいほど理解していなかった。
 だから魔術がうまく発動できなかったのだろう。
 今回はしっかり学び直した結果、きちんと発動できていた。
 それでも魔術演習でロドルフ王子に敵わなかったのは、魔力量の問題だ」

ミリアに学科を教えていたことが魔術演習にも影響していたなんて。

「ナディア様のおかげです。ありがとうございます!」

「ふふふ。ミリアも上位でうれしいわ」

満足のいく結果にミリアと笑い合う。
喜んでいるのは私たちだけで、周りの学生たちは呆然としている。
私が勝つとは誰も予想していなかったのだから仕方ないか。

「さて、ロドルフ王子とレベッカ嬢は退学されるということでよろしいですかな?」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。

ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。 彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。 「誰も、お前なんか必要としていない」 最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。 だけどそれも、意味のないことだったのだ。 彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。 なぜ時が戻ったのかは分からない。 それでも、ひとつだけ確かなことがある。 あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。 私は、私の生きたいように生きます。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】毒を飲めと言われたので飲みました。

ごろごろみかん。
恋愛
王妃シャリゼは、稀代の毒婦、と呼ばれている。 国中から批判された嫌われ者の王妃が、やっと処刑された。 悪は倒れ、国には平和が戻る……はずだった。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。

ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。 ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。 対面した婚約者は、 「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」 ……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。 「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」 今の私はあなたを愛していません。 気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。 ☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。 ☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

【完結】ずっと、ずっとあなたを愛していました 〜後悔も、懺悔も今更いりません〜

高瀬船
恋愛
リスティアナ・メイブルムには二歳年上の婚約者が居る。 婚約者は、国の王太子で穏やかで優しく、婚約は王命ではあったが仲睦まじく関係を築けていた。 それなのに、突然ある日婚約者である王太子からは土下座をされ、婚約を解消して欲しいと願われる。 何故、そんな事に。 優しく微笑むその笑顔を向ける先は確かに自分に向けられていたのに。 婚約者として確かに大切にされていたのに何故こうなってしまったのか。 リスティアナの思いとは裏腹に、ある時期からリスティアナに悪い噂が立ち始める。 悪い噂が立つ事など何もしていないのにも関わらず、リスティアナは次第に学園で、夜会で、孤立していく。

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

〈完結〉伯爵令嬢リンシアは勝手に幸せになることにした

ごろごろみかん。
恋愛
前世の記憶を取り戻した伯爵令嬢のリンシア。 自分の婚約者は、最近現れた聖女様につききっきりである。 そんなある日、彼女は見てしまう。 婚約者に詰め寄る聖女の姿を。 「いつになったら婚約破棄するの!?」 「もうすぐだよ。リンシアの有責で婚約は破棄される」 なんと、リンシアは聖女への嫌がらせ(やってない)で婚約破棄されるらしい。 それを目撃したリンシアは、決意する。 「婚約破棄される前に、こちらから破棄してしてさしあげるわ」 もう泣いていた過去の自分はいない。 前世の記憶を取り戻したリンシアは強い。吹っ切れた彼女は、魔法道具を作ったり、文官を目指したりと、勝手に幸せになることにした。 ☆ご心配なく、婚約者様。の修正版です。詳しくは近況ボードをご確認くださいm(_ _)m ☆10万文字前後完結予定です

処理中です...