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エピローグ
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花嫁の控え室で、ルーチェはじっと、鏡に映るウェディングドレス姿の自分を覗き込んでいた。
船での大捕物からまだ二ヶ月しか経っていないとは、自分自身、到底信じられなかった。
秘密裏に帰国したルーチェとエリアスは当然のことながら、こってりと絞られた。しかし意外だったのは、ルーチェがあまり責められなかったことだ。
なにしろ、帰国して早々にエリアスが「ルーチェとでなければ結婚しないし、王位も継がない。国母としての重圧に押しつぶされそうだった(?)から爵位を捨てて逐電しようととしたルーチェがふさわしくないならば、彼女の尻を追いかけ回す自分も王にはふさわしくない」
と王と王妃に向かって持論をぶちまけ、説得、もとい脅迫したのだ。
品行方正で殆ど自己主張をしてこなかった息子の反抗に驚いたのか、はたまた正直な気持ちを聞かされて親としての心が動いたのか「まあ何も起きていないというわけで……」と今回の駆け落ち未遂事件は闇に葬られることが決定した。
エドマンズ公爵家のほうでも、王家の意向には全て従うしかないので、ルーチェはごく普通に公爵令嬢として戻ることができた。
ルーチェの複雑な胸のうちなど誰も知らないから、ただ単に「そういう壮大なプレイ」だと家族には思われて、呆れられている。
──まあ、仕方がないか。
周囲にからかわれることを、ルーチェはエリアスの心を弄んで、無責任に周りを巻き込んで困らせた罰だと受け入れている。
悪役令嬢として断罪されるよりは、はるかにましな未来だ。
そうして、大急ぎで結婚式の準備が行われた。何しろ、ともに駆け落ちするほどに愛し合っている二人のこと、もし身ごもっていたら後々懐妊発表のときにつじつま合わせが面倒くさい──ということだ。
ルーチェはエリアスと結婚して王子妃になるが、罰のひとつとして婚姻に伴う新婚旅行は没収された。このあとの二人には王族としての自覚を高めるための公務漬けが待っている。
そのお仕置きも、ルーチェとエリアスからすれば、一向に構わない。
だって二人には、二人だけの秘密の思い出が沢山あるから。
こんこんと、控え室の扉をノックする音がする。もちろん花嫁のもとにやってきたのは同じく婚礼衣装に身を包んだエリアスだ。
「君が本当にいるかどうか、不安になって」
エリアスは大真面目な顔で、そんなことを口にした。
「逃げても、エリアス様は追ってくるでしょう?」
ルーチェの冗談めいた返事はに、エリアスは深く頷いた。
「うん。何度でも」
こうなってはもう、逃げ場がないと思う。けれど今ルーチェの胸の中は喜びと安らぎに満ちている。
「私、もうどこにも行きません。エリアス様も安心してくださいね」
「頼むよ、本当に。君がいなかったら、僕は王なんてやっていけないんだ」
その言葉には恐ろしいほどの実感がこもっていて、ルーチェはおかしくなる。
「ルーチェ」
「どうしました?」
エリアスはルーチェの頬にそっと手を当てて、内緒話のようにささやいた。
「結婚式が終わったら、二人でどこかへ行く?」
ルーチェは少しだけ考えたあと、微笑んだ。
「では、次は……この国をゆっくり回りましょうか。ただの公務とも言えますけど」
「君が一緒なら、最高の旅だ」
エリアスはルーチェの頬に、そっと口づけた。
■■■
「ルーチェ・エドマンズ。あなたは、エリアス・オーウェンを生涯の伴侶とすることを誓いますか?」
神父の言葉にルーチェは微笑んで、明朗に答えた。
「はい。誓います」
船での大捕物からまだ二ヶ月しか経っていないとは、自分自身、到底信じられなかった。
秘密裏に帰国したルーチェとエリアスは当然のことながら、こってりと絞られた。しかし意外だったのは、ルーチェがあまり責められなかったことだ。
なにしろ、帰国して早々にエリアスが「ルーチェとでなければ結婚しないし、王位も継がない。国母としての重圧に押しつぶされそうだった(?)から爵位を捨てて逐電しようととしたルーチェがふさわしくないならば、彼女の尻を追いかけ回す自分も王にはふさわしくない」
と王と王妃に向かって持論をぶちまけ、説得、もとい脅迫したのだ。
品行方正で殆ど自己主張をしてこなかった息子の反抗に驚いたのか、はたまた正直な気持ちを聞かされて親としての心が動いたのか「まあ何も起きていないというわけで……」と今回の駆け落ち未遂事件は闇に葬られることが決定した。
エドマンズ公爵家のほうでも、王家の意向には全て従うしかないので、ルーチェはごく普通に公爵令嬢として戻ることができた。
ルーチェの複雑な胸のうちなど誰も知らないから、ただ単に「そういう壮大なプレイ」だと家族には思われて、呆れられている。
──まあ、仕方がないか。
周囲にからかわれることを、ルーチェはエリアスの心を弄んで、無責任に周りを巻き込んで困らせた罰だと受け入れている。
悪役令嬢として断罪されるよりは、はるかにましな未来だ。
そうして、大急ぎで結婚式の準備が行われた。何しろ、ともに駆け落ちするほどに愛し合っている二人のこと、もし身ごもっていたら後々懐妊発表のときにつじつま合わせが面倒くさい──ということだ。
ルーチェはエリアスと結婚して王子妃になるが、罰のひとつとして婚姻に伴う新婚旅行は没収された。このあとの二人には王族としての自覚を高めるための公務漬けが待っている。
そのお仕置きも、ルーチェとエリアスからすれば、一向に構わない。
だって二人には、二人だけの秘密の思い出が沢山あるから。
こんこんと、控え室の扉をノックする音がする。もちろん花嫁のもとにやってきたのは同じく婚礼衣装に身を包んだエリアスだ。
「君が本当にいるかどうか、不安になって」
エリアスは大真面目な顔で、そんなことを口にした。
「逃げても、エリアス様は追ってくるでしょう?」
ルーチェの冗談めいた返事はに、エリアスは深く頷いた。
「うん。何度でも」
こうなってはもう、逃げ場がないと思う。けれど今ルーチェの胸の中は喜びと安らぎに満ちている。
「私、もうどこにも行きません。エリアス様も安心してくださいね」
「頼むよ、本当に。君がいなかったら、僕は王なんてやっていけないんだ」
その言葉には恐ろしいほどの実感がこもっていて、ルーチェはおかしくなる。
「ルーチェ」
「どうしました?」
エリアスはルーチェの頬にそっと手を当てて、内緒話のようにささやいた。
「結婚式が終わったら、二人でどこかへ行く?」
ルーチェは少しだけ考えたあと、微笑んだ。
「では、次は……この国をゆっくり回りましょうか。ただの公務とも言えますけど」
「君が一緒なら、最高の旅だ」
エリアスはルーチェの頬に、そっと口づけた。
■■■
「ルーチェ・エドマンズ。あなたは、エリアス・オーウェンを生涯の伴侶とすることを誓いますか?」
神父の言葉にルーチェは微笑んで、明朗に答えた。
「はい。誓います」
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