ヴァイオレットは幸せですか?

藤川みはな

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衝撃の事実

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空を見上げるとオレンジ色になっていた。
もう帰らなきゃな。っていうかフロルちゃん!
すっかり忘れてたよ!

「レティちゃん!」

フロルちゃんの声が聞こえてきた。
わたしは振り返る。

そこには息を切らしたフロルちゃんとカイルがいた。

「フロルちゃん!」

「良かった~!心配したよ!」

フロルちゃんが涙を目にためる。
そんなフロルちゃんを見て申し訳なくなった。

「心配かけてごめんね」

「俺のことは無視かよ」

わたしはチラッとカイルを見る。

「あのね、レティちゃん、カイルくん、すごいんだよ!魔法でレティちゃんの居場所を突き止めたの!」

カイルが魔法を……?
わたしはカイルに疑惑の目を向ける。

「ホントに?」

「なんだよ、礼の一つも言えないのか?」

ムッ。

「探してくれてありがとーございました」

「棒読みじゃねぇか、ちゃんと心込めてんのかよ」

「ま、まぁまぁ、それよりレティちゃんが無事で良かった……て、うわぁ可愛いぃぃ!どうしたのその子グマちゃん!」

わたしが抱いているボスを至近距離で見る
フロルちゃん。

〈近い〉

ボスが嫌そうにする。

話すと長くなりそうだな。

「わたしを攫ったクマよ、ボスって名前をつけたら
こんな姿になっちゃったの」

「あのクマ!?」

フロルちゃんは二歩後ろに下がった。

「レティちゃんが無事だったから良かったけど今度レティちゃんをさらったりなんかしたら許さないからね!」

〈案ずるな、主であるヴァイオレットに
そのようなことはしない。〉
ボスはジーッとフロルちゃんを見つめていた。

「……って言ってもボス1回前科あるからね」

〈あ、あれはただヴァイオレットの魔力が美味しそうで……ごめん〉

しゅんとなるボスがおかしくてクスクス笑う。

「なぁ、さっきから何ブツブツ言ってんだ?」

え?

「もしかしてレティちゃん、ボスと話せるの?」

「みんな、聞こえてないの?ボスの声」

キョトンとしていると

「な、なんで、魔獣の声が聞こえるんだよ!!」

さっきまでとは打って変わって焦った様子のカイル。

「え?」

「神様にしか魔獣の声は聞こえないはずだ!嘘をつくなよ!」

「え?そうなの?!」

〈そうだ、我ら魔獣は光の神リュミエール様が創り、闇の女神であるオプスキュリテ様が言葉を話せない私たちのため、リュミエール様と協力して声を与えてくださったのだ。だから私たちは神としか話せない。〉

 じゃあ、なんでわたしはボスと話せるんだろう?

〈なぜ、私達と話せるのか……謎だな〉

わたしの心の声に呼応したかのようにボスが呟く。

「カイルくん!レティちゃんは嘘をつくような子じゃないよ!」

フロルちゃんがほっぺを膨らませる。

フロルちゃん……ありがとう。
そして可愛い!

「じゃあ、なんでコイツと話せるんだよ」

「それは……」

「カイル殿下!」
後ろから声がして振り向くと
茶髪のクルクルした髪に緑の瞳。
おっとりした顔立ちの青年が立っていた。

「もうっ、授業サボってまたここに居たんですか」

「おぅ、シリウス」

「家庭教師のエドワード様がカンカンですよ!」

「だって授業とか全然わかんねーし」
カイルは面倒くさそうな顔をした。

「王子ともあろうお方がそれでどうするのですかっ」

「えっ?
  えっ?」

わたしとフロルちゃんの声がハモる。

「お、王子.........?」
わなわな震えているとシリウスと呼ばれた男性が
こっちを向いた。

「ハッ、失礼しました。挨拶していませんでしたね。
私はシリウス・ミモザと申します。ウチの殿下がお世話になりまして」

「え、あの、で、殿下って.........」

「はーっ、さっきから言ってるだろ。俺はこのフォルトゥナ王国第二王子だ。」

「えぇーーーーーっ!!!」

わ、わたし超失礼なこと言っちゃったんですけど。
処刑される!!やだやだやだ!

「そんな、カイルくんが王子様?」
フロルちゃんが驚いたように手を口に当てる。

「全員信じてなかったのかよっ」

「お嬢さんたちには大変迷惑をおかけしました」
カイルを諌めるとシリウスさんは頭を下げた。

「いや、迷惑かけたっていうかかけちゃったんだけど.........」

「え?」

「いや、何でもないです!!ホントに!!」

ダラダラ冷や汗が流れる。

「もう遅いですし、送っていきましょうか?」

シリウスさんがニッコリ笑う。

「あ、いえ!! わたしたちは迎えを呼ぶので!!ね、フロルちゃん!」

「う、うん!!」

王子様と一緒に帰るなんて恐れ多いよ!!

「そうですか。分かりました。
さっ、帰りましょう、殿下」

「チッ、分かったよ」

シリウスさんがペコリとお辞儀をしたので
わたしたちも慌ててお辞儀をした。

「ヴァイオレット。近いうちに俺の城に来いよ」

ニヤリと笑うカイル。

「な、なんで? いや、なぜですか?」

カイルはフッと笑い踵を返した。


終わった……。

処刑される……。

「アハハ……」
乾いた笑い声が森に響いた。



















  




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