ヴァイオレットは幸せですか?

藤川みはな

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三年後

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「「おねぇしゃま、絵本読んでくだしゃい」」

銀髪に紫水晶色の瞳の男の子と
黄金の髪に緑柱石色の瞳の女の子が駆け寄ってきた。

わたしの弟妹、イリスとヴェルデだ。

「良いですよ、何を読みましょうか」

双子が可愛らしくて思わずニヤける。

「「『ルルの冒険』が良いです!!」」

声を揃えて言う双子にわたしは
にっこり笑って頷いた。

「わかりました」

わたしは双子を膝に乗せ読み聞かせをはじめる。

お、重い。

でも双子のためなら苦じゃないっ!!

皆さん、お久しぶりです。

ヴァイオレット・アゼリアです。

お母様の出産から三年が経ち、私は十歳に、
双子は三歳になった。

当時も可愛かったが
今もその可愛さは健在だ。

双子が赤ちゃんのときは苦労したよ。

なんで泣いてるのか、分からなかったり、
双子が夜泣きしてお母様が慌てて起きたり。

でも、何ごともなく成長してくれて良かった。

「めでたし、めでたし」

わたしはそう締めくくり、本を閉じる。

「もう終わりでしゅか?」

イリスがわたしの顔を見上げる。

「もうひとつ読んでくだしゃい、お姉しゃま!」

ヴェルデ。勘弁してください。

もう、五冊以上読んでるよ。

「ヴェルデ、イリス。お姉様が疲れてしまうわ。
お母様が読んであげる」

振り向くとお母様が立っていた。

お母様はわたしにウインクをし、ベッドに腰掛けた。

ありがとうございます、お母様!!

お母様は三年経った今でも綺麗だ。

むしろ磨きがかかってる。

お母様が読み聞かせを始めたのでわたしは
そっと部屋を出る。

フロルちゃんに会いに行こうかな?

歩いていると誰かにぶつかった。

「おっと、ごめんよ、レティ」

お父様だ。

相変わらずの美貌。

「わたしこそごめんなさい、お父様、
気が急いていました。」

「おや? 誰に会いにいくんだい?」

「フロルちゃんですよ」

「そうか、フロルちゃんに会いにいくんだね」
お父様はホッとしたように笑顔を見せると
わたしの頭を撫でた。

「気をつけて行ってくるんだよ」

「はいっ!」

わたしは扉を開けて、外に出たのだった。

「レティちゃんっ!!」

ジョンさんの店にお邪魔するとフロルちゃんが花束を持ったまま抱きついてきた。

「えへへ、レティちゃんとまた会えるなんて嬉しい」

キュン。

相変わらず人のハートを撃ち抜きに来るね、
フロルちゃん。

三日前に、フロルちゃんはわたしの家に来ていた。

双子たちに『フロルお姉ちゃん』と呼ばれ
親しまれている。

双子を愛でるフロルちゃんも可愛かったな。

三年の間に顔がスッキリして可愛くなったし。

フロルちゃんは嫁にやらんぞ!!

フロルちゃんの父みたいなことを考えていると
ジョンさんがわたしに気づいた。

「嬢ちゃん、久しぶりだな」

「お久しぶりです。ジョンさん」
わたしはにっこり笑う。

「綺麗になったな。誰かと思っちまったよ」
ジョンさんが豪快に笑う。

「ふふふ、ありがとうございます」
わたしはお世辞だろうと軽く受け流す。

「ねぇ、レティちゃん。今日はお出かけしない?」

フロルちゃんが可愛らしく首を傾げる。

「いいよ。どこに行くの?」

「レティちゃん、今日はなんの日か知らないの?
カイルくんの誕生日だよ!! 
屋台もいっぱい出てるし、城下街に行こうよ」

カイル。

その言葉にドキリとした。

三年前、わたしがひどいことを言って
傷つけたカイル。

元気にしてるかな。

わたしは意を決して頷いた。

「うん、一緒に行こう」

わたしはにっこり笑ったのだった。

          ◯◯◯

「わぁ、この髪飾りすごく可愛い!」

フロルちゃんが花を模ったヘアピンを手にする。

可愛い。
フロルちゃんに似合いそう。

「あ、でもお金がない……」

フロルちゃんがガックリ肩を落とす。

「大丈夫だよ、フロルちゃん。
わたしが買ってあげる」

わたしは小銭入れを漁る。

「えっ、いいよ。そんな、申し訳ないよ」

「これを一つくれ」

あ、横取りされた!

「はいよ」
お店のお婆さんはマントを被った少年に
ヘアピンを渡した。

そしてお釣りを渡して、こちらに
ヘアピンを差し出した。

「ほら、やるよ」

「え、い、いいの?」
フロルちゃんが遠慮がちに言う。

なんか聞いたことのある声。

もしかして。

そのとき、風が吹き少年の顔が露わになった。

綺麗な黒髪に紺色の瞳。

誰もが見惚れるほど綺麗な顔。

少し容姿は変わっているけど
それは紛れもなく……

「カイル?」

カイルだった。
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