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招待
しおりを挟む「お姉しゃま!絵本よんで!」
緑柱石色の瞳をキラキラさせて
元気良く言うヴェルデ。
「だめっ!お姉しゃまは僕と遊ぶの!」
イリスはわたしの前に立ち通せんぼをするようにヴェルデに立ちはだかる。
可愛い…尊い…。
「いや!お姉しゃまは私と遊ぶの!」
「僕とだもんっ!!」
双子がお互いを睨み合っている。
弟妹がわたしを取り合ってるっ。
前世では翠以外にきょうだいがいなかったから
新鮮だ。
「「お姉しゃまぁぁぁ」」
同じタイミングで紫のワンピースに
しがみついてくる双子達。
「ふふっ。二人ともお姉様と遊ぼう?
二人の好きな『ルルの冒険』を読んであげる」
「やったぁ!!」
「お姉しゃまだいすきー!」
双子はその場でピョンピョン飛び跳ねる。
可愛すぎる。
「お嬢様、お手紙が届いております」
メイドの声と共にノックの音が聞こえた。
わたしにお手紙? フロルちゃんかな?
双子達にちょっと待ってて。と告げ
ドアを開け手紙を受け取る。
封蝋の印はフォルトゥナ王国の初代国王。
ということは。
カイルからの手紙だ。
〈王子様からの恋文ねー〉
どこからかセレニテが現れた。
「きゃっ、セレニテ びっくりさせないでよ。
しかも恋文とかじゃないから」
えーと、なになに?
要約すると
アリスがお前に会いたがっている。
一週間後にアリスの誕生パーティーがあるので
一緒に行かないか?
ふむふむ。
……
アリス?
一瞬、『不思議の国のアリス』の物語が
脳をよぎる。
カイルなに言ってんの?
ん?
アリスが会いたがっている?
はっ。前回、城下町で出会った、
灰色の瞳にプラチナブロンドの髪の美少女。
たしかアリスさんだったよね。
もしかして。
「えっえっえっ?! 嘘っ」
手紙を見つめながらその場でくるくる回る。
何度見てもその文字は変わらない。
〈危ないぞ、ヴァイオレット〉
「あ、ごめん。でも見てよコレ!」
私は遊んでいるボス達に手紙を見せた。
〈なぁにー? 告白でもされたのー?〉
「アリス様が私に会いたがってるって!
あんなに綺麗な人と、しかも貴族のなかで一番地位のある大公爵家のアリス様と
また会えるなんて!奇跡?!
も、もしかしたら友達になれるかもっ」
双子がぽかんとした様子でこちらを見ている。
「お姉しゃま嬉しそう」
「よかったねぇ」
〈えぇー、恋文じゃなかったのーっ。つまんなーい〉
セレニテはその言葉の通りつまらなさそうに
ふよふよとどこかに行ってしまった。
「ちょっとー! まぁいいや。
えへへへ、嬉しいなぁ!
アリス様と仲良くなれたらいいなぁ」
〈良かったな。
しかし自分から招待すればいいものを〉
「もしかしたら、自分から招待するのは勇気が必要だったのかもね。ほら、私たち会ったことはあるけど
一度きりだし。だから幼馴染のカイルに頼んだのよ。」
〈人間は難しいな〉
ボスはふーっとため息をつく。
そっか。ボスは魔獣だし人間の感情の複雑さが
理解できないのか。動物だってそうだしね。
動物って言ったら怒られそうだし黙っとこう。
(魔獣も魔力持ってるだけの動物と思うけどね)
「お姉しゃま、まだー?」
ヴェルデがしびれを切らしたようだ。
ぷくぷくほっぺをリスみたいに膨らませている。
思わず頬をつんつくするとヴェルデは
もうっと言いながらもキャハハッと笑っていた。
イリスは疲れたのかウトウトしてる。
かわいいーっ。
「ごめんねぇ、ヴェルデ、イリス!」
私は可愛い弟妹を抱きしめ、
ベッドの上で読み聞かせを始めた。
……アリス様、どんな方なんだろう。
読み聞かせの途中で双子が寝てしまったので
お父様とお母様に急いで
誕生パーティーの出席の許可をとり
カイルに了承の手紙を書くことにする。
お父様はカイルと一緒に行くと
言ったらゴネていたけど。
アリス様とお会いできるのが楽しみです。と
結ぶと自然と笑みがこぼれた。
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