ヴァイオレットは幸せですか?

藤川みはな

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あのぅ、どうしてこんな状況に
なっているんでしょうか。

わたしはガタゴトと金色の豪華な馬車に揺られながら
目の前の女性を見つめる。

女性はわたしと目が合うとふわりと笑った。
か、かわいい!

ズッキューンとハートを撃ち抜かれる。
輝くような金髪を後ろでまとめ、
目元はカイルと似た
橄欖石ペリドット色の瞳。
瞳と同じ色のまるで王族が着るような豪華な
ドレスを身に纏っている。

そう、王族。
目の前のお方は、この国の王妃様
ミレイユ・セレーネ・フォルトゥナ様だ。
その横にムスッとした顔で座っているのは
王妃様の息子、カイルである。

ひぇぇぇっ、わたしが王族の
馬車に乗るなんて恐れ多いよぉっ!

「うふふ、ヴァイオレットちゃん、
どうなさったの?」
王妃様が可愛らしく小首をかしげる。

「申し訳ありません、王妃様。
娘は少し緊張しているようですわ」
隣に座ったお母様は口を隠してふふふと笑う。

「まぁ、ヴァイオレットちゃんったら
緊張しているのね、可愛らしいわ」
「本当ですよね、
ヴァイオレットちゃんの可愛さは世界一ですわ」

「お、お母様…」
いつもの親バカはやめてください!

「まあ。イザベルは娘を溺愛しているようね。
でも確かに、ヴァイオレット嬢は
本当に綺麗な子だわ」

ん?イザベル?

「王妃様、ありがとうございます。
ところで、お母様と王妃様は
親しいようですがご友人同士なのですか?」

二人にそう聞くと王妃様とお母様は顔を見合わせ
ふふふと笑った。

「そうよ。あなたのお母様とわたくしはね、
長年の親友なの。だから、
あなたのことは色々と聞いているわ」

い、色々ってお母様、
王妃様に何を話しているんですか。
不安な気持ちになりながらもわたしは
愛想笑いを浮かべた。

「そうなのですね、王妃様と
お母様が親交があったとは驚きです」

「そうでしょう? 王妃様が十八歳の頃、
今の王であるアーサー様の婚約者選びの夜会で
王妃様と出会ったのよ」

「まさか、そこで王様に選ばれたのですか?」
ワクワクしながら王妃様に聞くと彼女は
可愛らしく頬を染めて頷いた。

なんて可愛らしい方なの!

「ロマンチックですね、
夜会で王子様に選ばれるなんて」

そう口にするとカイルがピクっとなった。
ん?

「カイル…殿下、どうし…どうなさったんですか?」

「い、いや、なんでもない」

王妃様は隣のカイルに
困ったような視線を向けた。

「ごめんなさいね、カイルったら昨日から
この調子で…。本当はヴァイオレット嬢と
二人きりが良かったみたいなのよ」
「母上!!」

カイルが顔を真っ赤にして声を上げる。

そっか、大人がいると緊張するもんね。

「まあ、そうなのですね。
カイル殿下、ごめんなさいね。
私達、お邪魔虫のようですわ」
お母様が微笑ましいというように笑う。

「こ、公爵夫人!違います!
全然そんなんじゃありませんから!」

カイルと目が合ったのでお嬢様らしく
ふふふと笑っておいた。

カイルはそっぽを向いてしまう。

何よ、その態度。

「あら、どうやら大公爵家についたようですね」
お母様が窓の外を見て呟く。
御者が王妃様側の扉を開け恭しく手を差し出す。

「では参りましょうか、
大公爵家の誕生パーティーへ」

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