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第58話 アイテムボックス拡張、誰に使う?
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世界は何も変わっていなかった。
サフィラス伯爵の計画では魔王軍三万が村を襲い、人々は絶望を味わい……死んでいく光景があるはずだった。
だが、三万のモンスターは数時間も掛からず掻き消えてしまい、今やその気配すらもない。この計画を企てたサフィラス伯爵の姿もない。勇者の放った銀の光によって永遠に滅ぼされた。
なにもかも勇者の活躍により、泡となり、無となってしまった。
「――サフィラス伯爵、無念に散りましたか……。あたしは、秘書。お前の意思を引き継ぐつもりもありませんけど、世界に魔王様は必要という意味では意見は一致していた。けれど、やり方が間違っていた。なにもかも……」
魔王の秘書・カルニフェクスは微笑する。
◇◆◇◆◇
みんな眠った。
疲れは限界に達し、俺も自室に戻ればベッドへ寝転がる余裕もなく――床で寝た。
――翌日――
不思議な事に日が昇る前に目を覚ました。
二度寝は無理そうだし、起床。
「……ふむ。どうしたものか」
みんなまだ寝ているだろう。ひとり夜明けのモーニングコーヒーでも優雅に楽しむか、それとも一足先にEXダンジョンへ……いや、俺ひとりではアイテムを持ちきれない。
でも、待てよ。
約2億セルで購入した【アイテムボックス拡張】の存在を思い出した。これをスキル習得すれば……いや、これは俺ではない。ほぼ戦闘に回ってしまうから、拾っている暇も惜しい。
どちらかといえば、まあまあ非戦闘員のマルガな気がする。うーん、フルクでもいいけどなぁ、支援で忙しいと思うし、やっぱりマルガに荷物持ちをして貰うか。
「う~ん」
悩ましい。
スキルを習得する為の宝石は一個しかない。使用してしまえば、その人がスキルを覚えてしまい、宝石は自動消滅する。だから使用は慎重でなければならないのだが……。
なんとなく屋敷内を歩いて、なんとなく玄関から外へ出た。本当になんとなくだった。――で、俺はそいつと出会ったんだ。
「……ふふっ。お待ちしておりましたわ、勇者アウルム・キルクルスさん」
知らない顔のお姉さんがいた。
桃色の長い髪もそうだが、それよりも何てワガママボディなんだ……凹凸の激しい体のライン。美しい曲線美を描いていた。出てるところ出過ぎだろう……。
「いや、俺は貴女を御存知ないんですが。こんな美しいお姉さんなら忘れないはずですがね」
「申し遅れました。あたしは、魔王の秘書・カルニフェクスと申します。長いので……そうですね、カルニとか呼んで戴ければ」
カルニ……魔王の秘書?
「魔王の秘書だとォ!?」
瞬間で後退し、俺は構えた。
なんでこんな所に魔王の秘書がいるんだよ!?
しかも、すげぇ美人。
――って、おかしいな。全然殺気がないし、戦闘をする気配もない。
「そんな警戒なさらず。あたしは話をしに来ただけです。……単刀直入に申し上げましょう。この魔王の秘書であるあたしを、勇者の秘書に……パーティに入れて戴きたいのです」
「は……? はぁぁッ!?」
サフィラス伯爵の計画では魔王軍三万が村を襲い、人々は絶望を味わい……死んでいく光景があるはずだった。
だが、三万のモンスターは数時間も掛からず掻き消えてしまい、今やその気配すらもない。この計画を企てたサフィラス伯爵の姿もない。勇者の放った銀の光によって永遠に滅ぼされた。
なにもかも勇者の活躍により、泡となり、無となってしまった。
「――サフィラス伯爵、無念に散りましたか……。あたしは、秘書。お前の意思を引き継ぐつもりもありませんけど、世界に魔王様は必要という意味では意見は一致していた。けれど、やり方が間違っていた。なにもかも……」
魔王の秘書・カルニフェクスは微笑する。
◇◆◇◆◇
みんな眠った。
疲れは限界に達し、俺も自室に戻ればベッドへ寝転がる余裕もなく――床で寝た。
――翌日――
不思議な事に日が昇る前に目を覚ました。
二度寝は無理そうだし、起床。
「……ふむ。どうしたものか」
みんなまだ寝ているだろう。ひとり夜明けのモーニングコーヒーでも優雅に楽しむか、それとも一足先にEXダンジョンへ……いや、俺ひとりではアイテムを持ちきれない。
でも、待てよ。
約2億セルで購入した【アイテムボックス拡張】の存在を思い出した。これをスキル習得すれば……いや、これは俺ではない。ほぼ戦闘に回ってしまうから、拾っている暇も惜しい。
どちらかといえば、まあまあ非戦闘員のマルガな気がする。うーん、フルクでもいいけどなぁ、支援で忙しいと思うし、やっぱりマルガに荷物持ちをして貰うか。
「う~ん」
悩ましい。
スキルを習得する為の宝石は一個しかない。使用してしまえば、その人がスキルを覚えてしまい、宝石は自動消滅する。だから使用は慎重でなければならないのだが……。
なんとなく屋敷内を歩いて、なんとなく玄関から外へ出た。本当になんとなくだった。――で、俺はそいつと出会ったんだ。
「……ふふっ。お待ちしておりましたわ、勇者アウルム・キルクルスさん」
知らない顔のお姉さんがいた。
桃色の長い髪もそうだが、それよりも何てワガママボディなんだ……凹凸の激しい体のライン。美しい曲線美を描いていた。出てるところ出過ぎだろう……。
「いや、俺は貴女を御存知ないんですが。こんな美しいお姉さんなら忘れないはずですがね」
「申し遅れました。あたしは、魔王の秘書・カルニフェクスと申します。長いので……そうですね、カルニとか呼んで戴ければ」
カルニ……魔王の秘書?
「魔王の秘書だとォ!?」
瞬間で後退し、俺は構えた。
なんでこんな所に魔王の秘書がいるんだよ!?
しかも、すげぇ美人。
――って、おかしいな。全然殺気がないし、戦闘をする気配もない。
「そんな警戒なさらず。あたしは話をしに来ただけです。……単刀直入に申し上げましょう。この魔王の秘書であるあたしを、勇者の秘書に……パーティに入れて戴きたいのです」
「は……? はぁぁッ!?」
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