チートスキル【レベル投げ】でレアアイテム大量獲得&スローライフ!?

桜井正宗

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第64話 魔王の影

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 元キャンプ地とは思えない『イニティウム』の中を歩き回った。顔見知りの冒険者……いや、民達と交流して村の状況を知った。

 今は、ユウェンスの部下であり、副リーダーのソルスに話を聞いていた。

「そうなんです、アウルム様。イニティウムは、この通り家が建ち、お店もあります。活気があるでしょう」

 まだ独自の貨幣がないので、帝国の『セルリアン』を使用している。まあ、このまま使い続けてもいいかもな、共和国でも使われている世界共通貨幣であるし、何かと便利だ。


「生活に不便はなさそうだね。これからもっと便利になっていくと思う。家だって、屋敷レベルになるさ」

「そうなんですか!? そりゃあ楽しみですが……」


 ソルスは困った顔をしていた。


「どうした?」


「このイニティウムは平気なんですけど、最近、パルウァエ村がよくモンスターに襲われているんです。なので助けを求められては頻繁ひんぱんに出撃している状況でして……そのモンスターが次はこの村を狙ってくるんじゃないかと心配でして」

「それは知らなかったな。被害は出ているのか?」

「ええ……今のところ重傷者が数名ほどらしいです。死者はいません。全員、メディケさんが診てくれているそうですよ」


 そうだったのか。
 さすが情報通の闇医者。
 行動が早いな。


「分かった。俺もパルウァエ村へ行ってみるよ。そのモンスターの事も任せてくれ。どのみち、今はEXダンジョン攻略も手詰まりでね」

「手詰まりなんですか!? よ、良ければ我らを使って下さってもいいのですが……。ほら、男手は沢山いますから」


「いや、今はアテ・・が出来てね。ただ……少しだけ時間が掛かりそうなんだ。それまでは、パルウァエ村の問題を解決するよ」


「そうですか、でもいつでも呼んで下さい。お力になれると思います、この私も」


 なんだかソルスから見つめられているような……。だが、俺は知っている。ユウェンスがソルスにゾッコンであるという事に。だから邪魔しちゃ悪い。


 俺はフルクの手を握って、ソルスに別れを告げた。


「じゃあ、また機会に。俺はフルクと村へ向かう」

「……ま、また来て下さいね」


 ◇◆◇◆◇


 ――崖・インケルタ――


 漆黒しっこくの怪しい影が揺れていた。その影はネムスの森を無感情に見つめ、過去、現在、未来をほんの僅かな時間で汲み取り、理解した。


「――カルニフェクス……魔王不在のこの世界で何を企んでいやがる。やはり……この私が魔王になるしかないか」
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