クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗

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早坂くん、死んでッ!!

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 無事にホテルへ帰還。
 門限ギリギリになったが、滑り込みセーフ。
 自室へ入ろうとすると、艾も当然のようにそのままついてきた。


「どうした?」
「一緒に……どうかなって」

「え」


 これはつまり……一緒に寝ようってコト!?

 そりゃ嬉しいけどさ、間違いが起きてしまうかもしれん。
 艾は優等生タイプの美少女。
 顔の輪郭りんかくも、体も細くて……特にお尻なんかいい形をしている。って、なにをじっくり観察しているんだ俺は。


「大丈夫だよ、早坂くん。一緒に寝るだけだし!」


 いや、声が震えているって。
 という俺も意識をし始めたら心臓がバクバクしてきた。

 結局俺は、艾を招き入れることにしてしまった。

 ・
 ・
 ・

 ベッドにちょこんと座る艾。
 ホテル用の寝間着パジャマ姿となり、準備完了。

 ……そして、沈黙。

 なんだろう、この感じたこともない緊張感。ドキドキが止まらない。

 たぶん、相手が艾だからだ。彼女は俺とは違う。たぶん、本来なら交わることのない関係だったはず。

 天音と北上さんは、グイグイくるから流れに身を任せればいいけれど、艾は違う。この圧倒的な初々しさ……! 正直、まぶしすぎるほどだ。


「ね、寝るか」
「うん……」


 シングルベッドだが広々しているので、二人くらいなら余裕だ。
 しかし距離がとてつもなく近い。
 艾の吐息が掛かりそうなほどに。


「…………」


 思考が強制的に停止する。
 頭が真っ白だ。なにを話していいか分からん……!


「えっち、する……?」

「ド直球だな、うぉい!!」


 いきなりすぎて心臓飛び跳ねたわッ!

 まさか優等生の艾がそんなストレートに誘ってくるとは思わなかった。想定外すぎる。完全に不意打ちだった。


「だって……好きだから」
「……っ」


 弱弱しい小さな声で告白する艾。
 まさかこんな風に気持ちを打ち明けてくれるとは。
 これはこれで嬉しい。


「今までたくさん守ってきてもらっているし、生きてこられた」
「……でも、本当は普通の高校生活を送りたかったんじゃ……?」

「そうでもないよ。今は毎日が特別で楽しい。お金もたくさん出来たし、将来の不安はもうないから」


 そう言ってくれると、今までがんばってきた甲斐かいがあったと思える。


「ありがとう、艾。俺はみんなを幸せにしてみせるよ」
「うん。信じてるよ、早坂くん」


 嬉しそうに微笑む艾は、ぐっと距離を縮めてくると抱きついてきた。……良い匂いがする。

 頭が麻痺まひしてきた。
 いや、これは理性が飛んできた――という方が正しいだろうか。


「……艾」

「大丈夫。天音さんや北上さんには内緒にしておくから……」


 内緒もなにも、天音も北上さんも黙認状態だけどねっ……!


 ――そんなわけで、俺と艾は“激しい”夜を過ごしたのである――。


 ◆


『早坂くぅ~~~ん………』


 闇夜から血まみれの包丁を強く握りしめる天音の姿が……って、うわぁぁぁッ!?


『あ、天音!!』

『この浮気ものおおおおおおおお…………!』


 ブン、ブンッと包丁を振り回す天音。

 ちょ、あぶねぇだろうがっ!

 つか、ヤンデレ……? いや、まだデレてはいない!

 逃げるしかない。
 とは言っても、真っ暗闇で走っても走っても脱出できそうにない。くそっ、この空間に果てはあるのか……?


『どうしてこんなことに! これは夢なのか!?』

『早坂くん、死んでッ!!』



「うああああああああああああああ………!」


 目を覚ますと、ホテルのベッドの上だった。……なんだ、悪夢か。


 汗でぐしょぐしょだ。
 シャワーでも浴び――。


「早坂くぅぅん!」

「え……天音!?」

「この浮気もおおおおおおおおおおお!」


「ぎゃああああああああああああああああ!!」



 夢じゃなかったのかよおおお!!

 つか、なんで俺の部屋に天音がいるんだよぉ!!
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